7 / 66
7 呪いを解く三つの方法
しおりを挟む
預言者ミドーの秘密の間は東館の屋上に建つペントハウスであった。
とても魔法陣を描かなければ来れないような神秘的な場所には思えないが、とりあえず今は気にしない。
「私が大予言者ミドーである。少女よ望みは何だ」
ここに来た途端、ミドーはガラリと雰囲気を変えた。
「あの、駆け落ちしたフィリップを魔法でチャチャッと見つけてほしいんですけど」
私はストレートに希望を伝えた。
「それは無理だな」
「なんでです、人探しは得意分野でしょう?」
「預言者は便利屋ではないぞ。歴史に関わるような重大事でなければ預言は降ってこないのだ」
(使えねえヤツ…)大体にして、ずっと私の隣にいる悪魔ゾディアックの気配を感じられていない時点で、どの程度の魔力を持っているのか怪しいものだが。
「じゃあ、フィリップと成婚の儀式を挙げなくても、私が助かる方法を教えてもらえますか?」
「うーん、方法は三つある」
ミドーは意外とあっさり答えた。
「え、三つもあるの!」
さすが『餅は餅屋』である、私はバカにしていた事を心の中で謝罪した。
「一つ目は、魔王を倒すことだ」
「いいじゃない、どうすればいいの?」
「必要なのは、白い預言の書、黒い時計、封印の鏡、ゼロの聖剣とそれらを起動するだけの魔力だ」
「…それって、ショッピングモールでまとめ買いとかできる?」
「できんな、もちろん」
「じゃ、却下!そんな面倒なことしてるうちに死んじゃうわよ」
「二つ目は、フィリップ王子に代わる愛しい人を見つけ、その者と成婚の儀式を挙げることだ」
「相手は誰でもいいの?」
「そうはいかん。王子に代わるのは、やはりどこかの国の王子でなくてはな。それから成婚の儀式を挙げた相手とは一生添い遂げなければならん」
「別れたらどうなるのよ?」
「呪い倍返しの掟によって、呪いの対象者だけでなく二人とも命を失うことになる」
「却下!大体、そんな相手を探してる暇なんかないわよ」
「最後、三つ目は、名称交換の儀式を行って、少女がフィリップに、王子がパテックに名前を入れ替えることだ。」
「なんかややこしい話だけど、その儀式はフィリップがいなくてもできるの?」
「いや、少女と王子、二人そろっていなければできない」
「それじゃ成婚の儀式と変わらないじゃない!フィリップがどこにいるか分からないから困ってんのに」
「大違いだ。名称交換の儀式は交換する者がそろっておれば可能だが、成婚の儀式は愛し合う者同士でなければ成立しないのだ」
この話は私の知らない事実だった。
「え、そうなの?成婚の儀式って既成事実さえできれば、呪いは解けると思ってたのに!」
「魔王の呪いを解く鍵は愛の力なのだ。それなくして成婚の儀式もない」
なんだ、それじゃあフィリップが駆け落ちした時点でこの契約は不成立決定ってことじゃんか。
「そう…結局、フィリップを捕まえるしか私の助かる道はないって事ね」
「ただし、名称交換の儀式を行えば、呪い耐性の低いフィリップは死ぬぞ、確実に」
「それに関してはこう答えさせて貰うわ……私の知ったこっちゃない!」
当たり前の話だ、私は自分の命の方が大事である。
とても魔法陣を描かなければ来れないような神秘的な場所には思えないが、とりあえず今は気にしない。
「私が大予言者ミドーである。少女よ望みは何だ」
ここに来た途端、ミドーはガラリと雰囲気を変えた。
「あの、駆け落ちしたフィリップを魔法でチャチャッと見つけてほしいんですけど」
私はストレートに希望を伝えた。
「それは無理だな」
「なんでです、人探しは得意分野でしょう?」
「預言者は便利屋ではないぞ。歴史に関わるような重大事でなければ預言は降ってこないのだ」
(使えねえヤツ…)大体にして、ずっと私の隣にいる悪魔ゾディアックの気配を感じられていない時点で、どの程度の魔力を持っているのか怪しいものだが。
「じゃあ、フィリップと成婚の儀式を挙げなくても、私が助かる方法を教えてもらえますか?」
「うーん、方法は三つある」
ミドーは意外とあっさり答えた。
「え、三つもあるの!」
さすが『餅は餅屋』である、私はバカにしていた事を心の中で謝罪した。
「一つ目は、魔王を倒すことだ」
「いいじゃない、どうすればいいの?」
「必要なのは、白い預言の書、黒い時計、封印の鏡、ゼロの聖剣とそれらを起動するだけの魔力だ」
「…それって、ショッピングモールでまとめ買いとかできる?」
「できんな、もちろん」
「じゃ、却下!そんな面倒なことしてるうちに死んじゃうわよ」
「二つ目は、フィリップ王子に代わる愛しい人を見つけ、その者と成婚の儀式を挙げることだ」
「相手は誰でもいいの?」
「そうはいかん。王子に代わるのは、やはりどこかの国の王子でなくてはな。それから成婚の儀式を挙げた相手とは一生添い遂げなければならん」
「別れたらどうなるのよ?」
「呪い倍返しの掟によって、呪いの対象者だけでなく二人とも命を失うことになる」
「却下!大体、そんな相手を探してる暇なんかないわよ」
「最後、三つ目は、名称交換の儀式を行って、少女がフィリップに、王子がパテックに名前を入れ替えることだ。」
「なんかややこしい話だけど、その儀式はフィリップがいなくてもできるの?」
「いや、少女と王子、二人そろっていなければできない」
「それじゃ成婚の儀式と変わらないじゃない!フィリップがどこにいるか分からないから困ってんのに」
「大違いだ。名称交換の儀式は交換する者がそろっておれば可能だが、成婚の儀式は愛し合う者同士でなければ成立しないのだ」
この話は私の知らない事実だった。
「え、そうなの?成婚の儀式って既成事実さえできれば、呪いは解けると思ってたのに!」
「魔王の呪いを解く鍵は愛の力なのだ。それなくして成婚の儀式もない」
なんだ、それじゃあフィリップが駆け落ちした時点でこの契約は不成立決定ってことじゃんか。
「そう…結局、フィリップを捕まえるしか私の助かる道はないって事ね」
「ただし、名称交換の儀式を行えば、呪い耐性の低いフィリップは死ぬぞ、確実に」
「それに関してはこう答えさせて貰うわ……私の知ったこっちゃない!」
当たり前の話だ、私は自分の命の方が大事である。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します
シマ
恋愛
私、ハリエットには婚約者がいる。初めての顔合わせの時に暴言を吐いた婚約者のクロード様。
両親から叱られていたが、彼は反省なんてしていなかった。
その後の交流には不参加もしくは当日のキャンセル。繰り返される不誠実な態度に、もう我慢の限界です。婚約者を交代させて頂きます。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる