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7 呪いを解く三つの方法

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預言者ミドーの秘密の間は東館の屋上に建つペントハウスであった。
とても魔法陣を描かなければ来れないような神秘的な場所には思えないが、とりあえず今は気にしない。

「私が大予言者ミドーである。少女よ望みは何だ」

ここに来た途端、ミドーはガラリと雰囲気を変えた。

「あの、駆け落ちしたフィリップを魔法でチャチャッと見つけてほしいんですけど」

私はストレートに希望を伝えた。

「それは無理だな」

「なんでです、人探しは得意分野でしょう?」

「預言者は便利屋ではないぞ。歴史に関わるような重大事でなければ預言は降ってこないのだ」

(使えねえヤツ…)大体にして、ずっと私の隣にいる悪魔ゾディアックの気配を感じられていない時点で、どの程度の魔力を持っているのか怪しいものだが。

「じゃあ、フィリップと成婚の儀式を挙げなくても、私が助かる方法を教えてもらえますか?」

「うーん、方法は三つある」

ミドーは意外とあっさり答えた。

「え、三つもあるの!」

さすが『餅は餅屋』である、私はバカにしていた事を心の中で謝罪した。

「一つ目は、魔王を倒すことだ」

「いいじゃない、どうすればいいの?」

「必要なのは、白い預言の書、黒い時計、封印の鏡、ゼロの聖剣とそれらを起動するだけの魔力だ」

「…それって、ショッピングモールでまとめ買いとかできる?」

「できんな、もちろん」

「じゃ、却下!そんな面倒なことしてるうちに死んじゃうわよ」

「二つ目は、フィリップ王子に代わる愛しい人を見つけ、その者と成婚の儀式を挙げることだ」

「相手は誰でもいいの?」

「そうはいかん。王子に代わるのは、やはりどこかの国の王子でなくてはな。それから成婚の儀式を挙げた相手とは一生添い遂げなければならん」

「別れたらどうなるのよ?」

「呪い倍返しの掟によって、呪いの対象者だけでなく二人とも命を失うことになる」

「却下!大体、そんな相手を探してる暇なんかないわよ」

「最後、三つ目は、名称交換の儀式を行って、少女がフィリップに、王子がパテックに名前を入れ替えることだ。」

「なんかややこしい話だけど、その儀式はフィリップがいなくてもできるの?」

「いや、少女と王子、二人そろっていなければできない」

「それじゃ成婚の儀式と変わらないじゃない!フィリップがどこにいるか分からないから困ってんのに」

「大違いだ。名称交換の儀式は交換する者がそろっておれば可能だが、成婚の儀式は愛し合う者同士でなければ成立しないのだ」

この話は私の知らない事実だった。

「え、そうなの?成婚の儀式って既成事実さえできれば、呪いは解けると思ってたのに!」

「魔王の呪いを解く鍵は愛の力なのだ。それなくして成婚の儀式もない」

なんだ、それじゃあフィリップが駆け落ちした時点でこの契約は不成立決定ってことじゃんか。

「そう…結局、フィリップを捕まえるしか私の助かる道はないって事ね」

「ただし、名称交換の儀式を行えば、呪い耐性の低いフィリップは死ぬぞ、確実に」

「それに関してはこう答えさせて貰うわ……私の知ったこっちゃない!」

当たり前の話だ、私は自分の命の方が大事である。
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