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6 予言者ミドーに会う
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王立魔法保安協会は、我が国の白魔法を管理している公共機関です。
その組織は、物理魔法部、精神魔法部、回復魔法部、預言魔法部によって構成されています。
白魔法とは神の力を使って行われる魔法で、その元になるエネルギーは、呪文によって神と契約をかわす事で供給されます。
白魔法は我が国の交通、通信、医療、占いを支える大切なエネルギー資源です、大切に使いましょう。
(王立魔法保安協会の公式パンフレットより抜粋)
王立魔法保安協会に来た私は総合窓口で受付手続きを済ませた。
「それでは東館五階の預言魔法部、預言者派遣課までお願いします」
受付嬢に言われ、その場所に行くと、預言者ミドーその人がいた。
「はい、私が課長のミドーですが」
「私、パテック・カラトヴァです」
「パテック様…あー、はいはい覚えてますよ。ご用件は何でしょう?」
私はミドーに、フィリップが駆け落ちした件と、私の呪いを解く方法を知りたい旨を伝えた。
「…なるほど、その件ですと担当は契約更新課になります。四階へどうぞ」
「なんでよ、窓口で言われた通り来たのに!」
「そう言われましても、決まりですので」
なんというお役所仕事!いや役所なんだけど…
「分かりました、四階に行けばいいんですね!」
私はムカムカしながら言われた場所に向かった。
「いらっしゃいませ」
契約更新課で私を迎えたのはミドーだった、走って来たのかゼイゼイと肩で息をしている。
「これはなんの冗談ですか?」
「私は冗談なんか言っておりませんが。それで、ご用件は何でしょう?」
「また同じ話をしろっての?」
「決まりですので」
私はイライラしながらさっきと同じ話をした。
「…なるほど、なるほど、その件でしたら担当は呪い対策課ですね。二階へどうぞ」
「なんだと~、だったらさっきの所で言ってよ!」
「と言われましても、決まりですので」
(コイツ、たらい回しにしたすえに諦めて帰らせるつもりだな)私の闘志に火が付いた。
「分かりました、行きます、行きゃあいいんでしょう!」
私はのしのしと足音を響かせながら言われた場所を目指す、と、その後をミドーがついてきた。
「なんで後を付いてくるんですか?」
「気のせいです。お気になさらずに」
呪い対策課に着くと、案の定、ミドーが受付席についた。
「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょう?」
私は呆れながら三度目の事情説明をした。
「…で、次はどこに行けばいいの?」
「一階の魔法推進課へどうぞ」
そんなやり取りをしばらく繰り返していると…
「五階の預言者派遣課へどうぞ」
と言われた、これにはさすがにキレるしかないだろう。
「オイおまえ、最初に戻ってるだろうが!」
「決まりですので」
私はミドーの胸ぐらを掴んだ。
「殴る!」
「ま、待ちなさい少女よ!」
ミドーは急に真面目な顔になって言った。
「今まで通って来た経路をよく思い出してみなさい」
「どういう事?」
「そう…私たちは、秘密の間に通じる扉を開くための魔法陣を描いていたのです!」
したり顔でミドーは言った。
その組織は、物理魔法部、精神魔法部、回復魔法部、預言魔法部によって構成されています。
白魔法とは神の力を使って行われる魔法で、その元になるエネルギーは、呪文によって神と契約をかわす事で供給されます。
白魔法は我が国の交通、通信、医療、占いを支える大切なエネルギー資源です、大切に使いましょう。
(王立魔法保安協会の公式パンフレットより抜粋)
王立魔法保安協会に来た私は総合窓口で受付手続きを済ませた。
「それでは東館五階の預言魔法部、預言者派遣課までお願いします」
受付嬢に言われ、その場所に行くと、預言者ミドーその人がいた。
「はい、私が課長のミドーですが」
「私、パテック・カラトヴァです」
「パテック様…あー、はいはい覚えてますよ。ご用件は何でしょう?」
私はミドーに、フィリップが駆け落ちした件と、私の呪いを解く方法を知りたい旨を伝えた。
「…なるほど、その件ですと担当は契約更新課になります。四階へどうぞ」
「なんでよ、窓口で言われた通り来たのに!」
「そう言われましても、決まりですので」
なんというお役所仕事!いや役所なんだけど…
「分かりました、四階に行けばいいんですね!」
私はムカムカしながら言われた場所に向かった。
「いらっしゃいませ」
契約更新課で私を迎えたのはミドーだった、走って来たのかゼイゼイと肩で息をしている。
「これはなんの冗談ですか?」
「私は冗談なんか言っておりませんが。それで、ご用件は何でしょう?」
「また同じ話をしろっての?」
「決まりですので」
私はイライラしながらさっきと同じ話をした。
「…なるほど、なるほど、その件でしたら担当は呪い対策課ですね。二階へどうぞ」
「なんだと~、だったらさっきの所で言ってよ!」
「と言われましても、決まりですので」
(コイツ、たらい回しにしたすえに諦めて帰らせるつもりだな)私の闘志に火が付いた。
「分かりました、行きます、行きゃあいいんでしょう!」
私はのしのしと足音を響かせながら言われた場所を目指す、と、その後をミドーがついてきた。
「なんで後を付いてくるんですか?」
「気のせいです。お気になさらずに」
呪い対策課に着くと、案の定、ミドーが受付席についた。
「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょう?」
私は呆れながら三度目の事情説明をした。
「…で、次はどこに行けばいいの?」
「一階の魔法推進課へどうぞ」
そんなやり取りをしばらく繰り返していると…
「五階の預言者派遣課へどうぞ」
と言われた、これにはさすがにキレるしかないだろう。
「オイおまえ、最初に戻ってるだろうが!」
「決まりですので」
私はミドーの胸ぐらを掴んだ。
「殴る!」
「ま、待ちなさい少女よ!」
ミドーは急に真面目な顔になって言った。
「今まで通って来た経路をよく思い出してみなさい」
「どういう事?」
「そう…私たちは、秘密の間に通じる扉を開くための魔法陣を描いていたのです!」
したり顔でミドーは言った。
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