魔王の呪いを王子の身代わりになって受けた私、婚約破棄するならお返しします

4 契約違反の代償とは

「失敬だな！これでも俺は魔王様直属の一級悪魔だぜ」

プライドを傷付けられたゾディアックはムキになって言った。

「やってる仕事が二流だって言ってるの！一級を語るなら一流の仕事をしなさいよ」

私は更にゾディアックを罵倒した。

さて、なぜ私が悪魔と普通に会話しているのか疑問に思う方もいるだろう。
しかし考えてみてほしい、私は生まれた時からゾディアックに憑りつかているのだ。
すでに悪魔に対する恐怖感は皆無、というよりゾディアックは一番身近な話し相手になっていた。

「一流の仕事ってなんだよ？」

ゾディアックは少しふてくされて私に訊いた。

「例えば、私とフィリップを間違えたと分かったなら、責任もって呪いをかけ直すとか、そういうとこよ」

悪魔に責任の話をしてもしょうがないと思いつつ私は言ってみた。

「‥できればやってたさ。でも呪いは契約と同じで、一度かけたら完了するまで解除はできないんだよ。契約が絶対的効力を持つのは人間界に限った事じゃないんだぜ」

予想に反してゾディアックは落ち込んでいるようだった。

「契約違反したらどうなるの？」

「その場合、俺は世界から消去されちまうのさ」

「死んじゃうってこと？」

「死ぬだけなら生まれ変わる事ができる。だがな、消去されたらもう二度と生まれ変わる事もない…ヘッヘッへ、完全に無に帰るのさ！」

ゾディアックはシニカルに笑った。

「…さすが悪魔界、罰則がえげつないわね…」

私はゾッとした。それに比べれば人間同士の契約なんて脆いもの…私はこの後、それを実感することになる…