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7 無能王子、リーダーに指名される
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「ちょっと待ってください、僕は勇者パーティーに参加するなんて話、聞いてませんよ」
僕は慌てて否定した。
「それはすまなかった、連絡の行き違いがあったようだ」
言葉とは裏腹にブライツは気にしていないようだった。
「僕はまだ学生ですし、魔物狩りなんて無理です」
「勿論、やるかやらないかは君の自由だ。一応、君のご両親には大帝から要望を伝えていただいて許可は貰っているので、出来れば参加して欲しかったのだが…」
「両親は何と?」
「世の中の役に立てると喜んでいたそうだ」
僕は考えた、もしここで誘いを断って魔法工学院の残ったとして、卒業後の僕を雇ってくれる勇者パーティーなどあるだろうか?両親が勧めるならその道を選ぶ、それがいつもの僕のスタイルじゃないか…
「分かりました。僕、ブライツさんの勇者パーティーに参加します!」
「それなら良かった、歓迎する」
「よろしくなアスト」
ドルチェが僕の肩を叩いた。
エクセリーヌとプレザージュも歓迎の言葉を口にする、しかし、ルキアだけは黙って僕を見ていた。
「ブライツが抜けるって事は、代わりのリーダーを決めなきゃならんな。わしはルキアがいいと思うが」
ドルチェがルキアを見る。ルキアはまんざらでもないのか少しだけ表情を和らげる。
「そうね、ドルチェに無理はさせられないし、私もルキアがいいと思うわ」
エクセリーヌが同意した。
「いや、ルキアには今まで通り戦いの先陣を切るチームのエースとして、新しいリーダーを支えてほしい」
ブライツの言葉に他のメンバーは困惑した。
「おいブライツ、わしはリーダーってタイプじゃないぜ」
ドルチェが首を横に振る。
「申し訳ないが、新しいリーダーに考えているのはドルチェでもない」
「じゃあ誰を?」
「新しいリーダーには、アストを置こうと思う」
「!!!」
場の空気が凍り付く。僕は事態が飲み込めずボーとしていた。
「こんにちはー」
元気な声と共に少女が部屋に入って来た。
「白魔術士のアテッサです。ル・ブランシュ魔法保安協会の紹介で参りま…」
異様な雰囲気に気付いて、彼女は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「いらっしゃい、アテッサ」
エクセリーヌが少女(アテッサ)に声を掛けた。
「ひ、姫様!」
「ごめんなさい、話がひと段落するまで待ってちょうだいね」
「は、はい!」
アテッサは口に手を当てて黙った。
「ブライツ、さすがにその坊やがリーダーってのは無理があるんじゃないか?」
ドルチェが呆れたように言った。
「いいんだドルチェ。師匠がそうしたいと言うなら、俺は受け入れるよ」
そう言ったルキアの手は爪が食い込んで血がにじむほど強く握られていた。
「来ていきなりリーダーと言われても、メンバーは納得しにくいでしょう。
そこで提案ですが、ルキアとアスト君を勝負させて、勝った方をリーダーにするというのはどうですか?」
このプレザージュの提案をブライツは受け入れた。
「分かった。ただし、危険になる前に私が勝敗の判定をさせてもらう」
「俺は師匠の判定を信じます」
ルキアが了承する。僕の意見など誰も気にかけていなかった。
「僕はリーダーなんかやりたくありません!」と言いたかったが、とても言える雰囲気ではなくなっていた。
「アスト、やってくれるな?」
僕はブライツの圧に負けた。
「は……い…」
僕は慌てて否定した。
「それはすまなかった、連絡の行き違いがあったようだ」
言葉とは裏腹にブライツは気にしていないようだった。
「僕はまだ学生ですし、魔物狩りなんて無理です」
「勿論、やるかやらないかは君の自由だ。一応、君のご両親には大帝から要望を伝えていただいて許可は貰っているので、出来れば参加して欲しかったのだが…」
「両親は何と?」
「世の中の役に立てると喜んでいたそうだ」
僕は考えた、もしここで誘いを断って魔法工学院の残ったとして、卒業後の僕を雇ってくれる勇者パーティーなどあるだろうか?両親が勧めるならその道を選ぶ、それがいつもの僕のスタイルじゃないか…
「分かりました。僕、ブライツさんの勇者パーティーに参加します!」
「それなら良かった、歓迎する」
「よろしくなアスト」
ドルチェが僕の肩を叩いた。
エクセリーヌとプレザージュも歓迎の言葉を口にする、しかし、ルキアだけは黙って僕を見ていた。
「ブライツが抜けるって事は、代わりのリーダーを決めなきゃならんな。わしはルキアがいいと思うが」
ドルチェがルキアを見る。ルキアはまんざらでもないのか少しだけ表情を和らげる。
「そうね、ドルチェに無理はさせられないし、私もルキアがいいと思うわ」
エクセリーヌが同意した。
「いや、ルキアには今まで通り戦いの先陣を切るチームのエースとして、新しいリーダーを支えてほしい」
ブライツの言葉に他のメンバーは困惑した。
「おいブライツ、わしはリーダーってタイプじゃないぜ」
ドルチェが首を横に振る。
「申し訳ないが、新しいリーダーに考えているのはドルチェでもない」
「じゃあ誰を?」
「新しいリーダーには、アストを置こうと思う」
「!!!」
場の空気が凍り付く。僕は事態が飲み込めずボーとしていた。
「こんにちはー」
元気な声と共に少女が部屋に入って来た。
「白魔術士のアテッサです。ル・ブランシュ魔法保安協会の紹介で参りま…」
異様な雰囲気に気付いて、彼女は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「いらっしゃい、アテッサ」
エクセリーヌが少女(アテッサ)に声を掛けた。
「ひ、姫様!」
「ごめんなさい、話がひと段落するまで待ってちょうだいね」
「は、はい!」
アテッサは口に手を当てて黙った。
「ブライツ、さすがにその坊やがリーダーってのは無理があるんじゃないか?」
ドルチェが呆れたように言った。
「いいんだドルチェ。師匠がそうしたいと言うなら、俺は受け入れるよ」
そう言ったルキアの手は爪が食い込んで血がにじむほど強く握られていた。
「来ていきなりリーダーと言われても、メンバーは納得しにくいでしょう。
そこで提案ですが、ルキアとアスト君を勝負させて、勝った方をリーダーにするというのはどうですか?」
このプレザージュの提案をブライツは受け入れた。
「分かった。ただし、危険になる前に私が勝敗の判定をさせてもらう」
「俺は師匠の判定を信じます」
ルキアが了承する。僕の意見など誰も気にかけていなかった。
「僕はリーダーなんかやりたくありません!」と言いたかったが、とても言える雰囲気ではなくなっていた。
「アスト、やってくれるな?」
僕はブライツの圧に負けた。
「は……い…」
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