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リザルト
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「とにかくまぁ、やったじゃねぇか」
ゼニはどこか満足げだ。それがまた腹立つ。オレはと言うとつい今しがたまで怪我人の手当に追われていた。かなり大怪我の人もいたけど無事治療が出来た。毒に侵された人もいて少し心配したけど、女王グモの毒は特別って事も無くて良かった。無事何度かのキュアで治療する事が出来た。
「いやぁトウゴくん、ゼニくん、本当にありがとう。君たち2人がいなかったら今ごろどうなっていたか分からないよ」
「そうでしょうよ!もっと!褒めてもいいんですよ!」
「あはは、ゼニくんは元気だなぁ」
「いや笑ってる場合じゃないですよトーラさん。ちょーし乗んなゼニ。お前死にかけただろーが」
「捨て身の特攻と言ってくれたまえ!」
「捨て身の特攻って言ったら何か変わるのかよ?ステミノトッコー」
「そう!もっと褒めろ!」
褒めてねーけどな。
「焼き払った巣の方も問題無く中を全て全滅させる事が出来たみたいだから、これから倒したコドクグモの解体に入ろうと思うよ」
「お!お待ちかねのご褒美タイムですねぇ!」
「ご褒美てお前……。それはみなさんにお任せしてもいいんですか?」
「それはもちろんだよ!だから2人はちょっとゆっくり休んでいてほしい。で、持ち帰れる物にも限りがあるから、この場で全員の分配を決めようと思うんだ。解体が終わったら声を掛けるから、その時に相談しよう」
「そうですね、じゃあお言葉に甘えてオレとゼニは少し休ませてもらっています」
オレとゼニは地面に転がっていた少し大きめな石に腰掛けみなさんの解体を眺めていた。それはなかなかにショッキングな映像だったけど、この世界では日常茶飯事なんだろう。トーラさんは皆素人だと言っていたがオレにはとても手際よく解体している様に見える。
「あれってそんなに難しいもんなのか?オレにはなんか皆プロっぽく見えるんだけど?」
「いやまぁ、オレもそんなに詳しくはねぇんだけどよ、ちゃんと技術がある人がやった方が素材の状態がいいんだと。つまり価値を下げずに素材に出来るって事なんだろうなぁ。後は素人には見たこともない様なレアな魔獣の素材なんて物があるぐらいだから奥が深いんだろーよ」
「そんなもんかね」
分かった様な分からないような。まぁ元いた世界でもその道の専門の人ってのはそんなもんだった気がするな。匠の技ってやつだな。
「さぁふたりとも、だいたい作業は終わったよ」
トーラさんに呼ばれ解体が終わった素材が並べられた場所まで行く。そこには地面にたくさんのコドクグモの素材、つまり内蔵やら皮やらが並べられていた。
「ボクらも解体についてはそこまでプロじゃないからこんなもんかな?それにしたって大量の素材が手に入ったよ。コドクグモぐらいになると虫と言うよりは獣に近い素材が取れるからね。皮や爪、狭角なんて物から内蔵なんてのもあるよ」
一通り眺めて見たけど何となくしか分からないな。
「で、分配についてなんだけど、さっき村の皆と話して女王グモ以外は等分って事にしようと思う。そして女王グモの素材については全て君たち2人にもらってほしいんだ」
「え?いいんですか?素材についてはオレは良く分からないですけど、普通に考えて女王グモの素材の方が価値が高いんじゃないですか?いくら数が少ないって言ったって、オレら2人に全部って言は無いんじゃないですか?」
「いやいや!数がどうのって言う話じゃ無いんだよ!基本的には魔獣の素材って言うのは倒した人に所有権がある。女王グモに関してはどう考えたって君たち2人が倒したと言うのは間違いないよ。つまりこれは全て君たちに所有権がある、そうだろ?」
「いやでも、オレたちだけで戦っていた訳では……」
「いいんだよトウゴ、こーゆー時は素直に受け取っとくのが礼儀ってもんだぞ。ねぇ、トーラさん」
「そうそう、それが皆1番納得出来るんだからさ」
ゼニの申し出にトーラさんが同意する。これもオレが理解していない、この世界の常識なのかな?
「そういう事でしたら……遠慮なくいただきますね」
「そうそう、そうしてよ。後は素材を村に持ち帰ってクッタさんに相談しよう。自分たちで使わない素材はクッタさんなら王都で捌いてくれるだろうからね」
確かに、素材なんてもらったってどうしていいか分からないもんな。出来れば現金化する事に越したことはない。
「よし、そうと決まればさっさと荷造りをして帰ろうか。村の皆も心配してるよ。戻ったら君たちはどうするんだい?せっかくの珍しい素材だ、王都に行って武器や防具に加工してもらうっていうのもいいと思うよ」
「そうそれ!いいッスねぇ~!強い武器!その素材集めにオレは来たんだからさぁ!」
戻ったらどうする……?そうか、オレはどうするんだ……?
「トウゴ、お前ももらった素材持って王都行くのかよ?」
「えっと……そうだな……」
「すまない!2人にもこの荷物を担いでもらえるかな!がんばれば全部捨てずに持って帰れそうだよ!」
トーラさんが手を振って呼んでいる。
「おう!もちろんッスよ!まだまだ元気いっぱいだから余裕だぜぇ!」
駆け出すゼニの後をオレもついて走った。
ゼニはどこか満足げだ。それがまた腹立つ。オレはと言うとつい今しがたまで怪我人の手当に追われていた。かなり大怪我の人もいたけど無事治療が出来た。毒に侵された人もいて少し心配したけど、女王グモの毒は特別って事も無くて良かった。無事何度かのキュアで治療する事が出来た。
「いやぁトウゴくん、ゼニくん、本当にありがとう。君たち2人がいなかったら今ごろどうなっていたか分からないよ」
「そうでしょうよ!もっと!褒めてもいいんですよ!」
「あはは、ゼニくんは元気だなぁ」
「いや笑ってる場合じゃないですよトーラさん。ちょーし乗んなゼニ。お前死にかけただろーが」
「捨て身の特攻と言ってくれたまえ!」
「捨て身の特攻って言ったら何か変わるのかよ?ステミノトッコー」
「そう!もっと褒めろ!」
褒めてねーけどな。
「焼き払った巣の方も問題無く中を全て全滅させる事が出来たみたいだから、これから倒したコドクグモの解体に入ろうと思うよ」
「お!お待ちかねのご褒美タイムですねぇ!」
「ご褒美てお前……。それはみなさんにお任せしてもいいんですか?」
「それはもちろんだよ!だから2人はちょっとゆっくり休んでいてほしい。で、持ち帰れる物にも限りがあるから、この場で全員の分配を決めようと思うんだ。解体が終わったら声を掛けるから、その時に相談しよう」
「そうですね、じゃあお言葉に甘えてオレとゼニは少し休ませてもらっています」
オレとゼニは地面に転がっていた少し大きめな石に腰掛けみなさんの解体を眺めていた。それはなかなかにショッキングな映像だったけど、この世界では日常茶飯事なんだろう。トーラさんは皆素人だと言っていたがオレにはとても手際よく解体している様に見える。
「あれってそんなに難しいもんなのか?オレにはなんか皆プロっぽく見えるんだけど?」
「いやまぁ、オレもそんなに詳しくはねぇんだけどよ、ちゃんと技術がある人がやった方が素材の状態がいいんだと。つまり価値を下げずに素材に出来るって事なんだろうなぁ。後は素人には見たこともない様なレアな魔獣の素材なんて物があるぐらいだから奥が深いんだろーよ」
「そんなもんかね」
分かった様な分からないような。まぁ元いた世界でもその道の専門の人ってのはそんなもんだった気がするな。匠の技ってやつだな。
「さぁふたりとも、だいたい作業は終わったよ」
トーラさんに呼ばれ解体が終わった素材が並べられた場所まで行く。そこには地面にたくさんのコドクグモの素材、つまり内蔵やら皮やらが並べられていた。
「ボクらも解体についてはそこまでプロじゃないからこんなもんかな?それにしたって大量の素材が手に入ったよ。コドクグモぐらいになると虫と言うよりは獣に近い素材が取れるからね。皮や爪、狭角なんて物から内蔵なんてのもあるよ」
一通り眺めて見たけど何となくしか分からないな。
「で、分配についてなんだけど、さっき村の皆と話して女王グモ以外は等分って事にしようと思う。そして女王グモの素材については全て君たち2人にもらってほしいんだ」
「え?いいんですか?素材についてはオレは良く分からないですけど、普通に考えて女王グモの素材の方が価値が高いんじゃないですか?いくら数が少ないって言ったって、オレら2人に全部って言は無いんじゃないですか?」
「いやいや!数がどうのって言う話じゃ無いんだよ!基本的には魔獣の素材って言うのは倒した人に所有権がある。女王グモに関してはどう考えたって君たち2人が倒したと言うのは間違いないよ。つまりこれは全て君たちに所有権がある、そうだろ?」
「いやでも、オレたちだけで戦っていた訳では……」
「いいんだよトウゴ、こーゆー時は素直に受け取っとくのが礼儀ってもんだぞ。ねぇ、トーラさん」
「そうそう、それが皆1番納得出来るんだからさ」
ゼニの申し出にトーラさんが同意する。これもオレが理解していない、この世界の常識なのかな?
「そういう事でしたら……遠慮なくいただきますね」
「そうそう、そうしてよ。後は素材を村に持ち帰ってクッタさんに相談しよう。自分たちで使わない素材はクッタさんなら王都で捌いてくれるだろうからね」
確かに、素材なんてもらったってどうしていいか分からないもんな。出来れば現金化する事に越したことはない。
「よし、そうと決まればさっさと荷造りをして帰ろうか。村の皆も心配してるよ。戻ったら君たちはどうするんだい?せっかくの珍しい素材だ、王都に行って武器や防具に加工してもらうっていうのもいいと思うよ」
「そうそれ!いいッスねぇ~!強い武器!その素材集めにオレは来たんだからさぁ!」
戻ったらどうする……?そうか、オレはどうするんだ……?
「トウゴ、お前ももらった素材持って王都行くのかよ?」
「えっと……そうだな……」
「すまない!2人にもこの荷物を担いでもらえるかな!がんばれば全部捨てずに持って帰れそうだよ!」
トーラさんが手を振って呼んでいる。
「おう!もちろんッスよ!まだまだ元気いっぱいだから余裕だぜぇ!」
駆け出すゼニの後をオレもついて走った。
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