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初討伐
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「とは言えな……」
さてどうするか。もちろん気持ちは折れて無いけどどうやってこんな魔物、オレ1人で倒すかだ。ここは一気に決めたい所だ。オレにスタミナが無いのはもちろんだけど、何よりあいつが油断し切って隙だらけな今が1番のチャンスだ。じゃあどうするか?とりあえずあいつ、オレからは仕掛けて来ないと思ってそうだな。完全に舐められてる。それならこっちから一気に最大火力で畳み掛ける方がいいな。現状のオレの最大火力って言ったらもちろんファイアボールのスクロール×2だろう。後はそれをどこに叩き込むかだ。今までのコドクグモとの戦闘を思い返す。
「やっぱ顔か……腹だよなぁ」
狙うなら腹だ。何とかして腹にファイアボールを打ち込める体制にしないとな。
頭の中でグルグルと思考が回る。
「よし、一気に行くぞ」
オレはリュックからファイアボールのスクロールを2つとも取り出して両手で持つ。それを見ていたオオコドクグモがピクリと一瞬動きを止めたがすぐにまたゆっくりと距離を詰めて来る。
「いいねぇ~完全に舐めてるねぇ~」
見てろよ。オレは右手のスクロールを開きオオコドクグモに向けながらダッシュした。オオコドクグモにとってはまさかの行動に一瞬ひるんだように見える。
そんな隙、逃すかよ!
オレは右手のスクロールを発動、放たれた火球は真っ直ぐオオコドクグモへ。無防備になっていたオオコドクグモの顔面ど真ん中に見事にヒット、派手な音と共に火球が弾け飛び、オオコドクグモはその勢いで少し後ろに仰け反り顔が上を向いた。オレは使ったスクロールを修復しつつさらに加速、一気にオオコドクグモに肉薄し真正面に位置取った。
「もう1発だ!」
左手のスクロールも右手に持ち替え、盾を強く握り少し上向いていたオオコドクグモの顔面を下から思いっきり盾でアッパーカットを決め昇龍拳さながらに打ち上げた。たまらずオオコドクグモは大きく仰け反り体半分が浮き上がり、辛うじて後ろの足、左右2本ずつで体を支えていた。
「喰らえ!!!」
オレは素早くスクロールを1つ左手に持ち替えファイアボールをオオコドクグモの無防備な腹に向かって放ち直後に修復開始。炸裂したファイアボールが弾けた直後にすでに修復が完了していた右手のスクロールでさらにファイアボールを放ちつつ修復。左手のスクロールの修復が完了しすぐに発動。それを何度も繰り返す。オオコドクグモの体が地面に着く前に次のファイアボールが炸裂し、また体を浮き上がらせる。合計8発のファイアボールをぶち当てた所でオオコドクグモは力無く尻もちを着いて後ろへひっくり返った。
「よっしゃ!とどめ!」
オレはひっくり返ったオオコドクグモを飛び越え落下する勢いをそのまま乗せ、盾を垂直にオオコドクグモの頭へ突き立てた。不快な音と共に盾はオオコドクグモの頭にめり込み、一瞬ビクンッと足を縮めそのまま動かなくなった。
「おおー、やったね」
1人でやっちゃったよ、すごいねオレ。てかそれより他の人の加勢に行かなきゃ!
周囲を見渡すとゼニはまだ交戦中だったが村人たちは2匹のオオコドクグモを無事倒した様だ。しかし数人の村人が地面に倒れている。あれは治療しないと。オレはすぐさま倒れている村人に向かって走り出した。
「大丈夫ですか?すぐにヒールをかけますね」
怪我をした人たちはオオコドクグモから遠ざけられ1箇所に集められていた様だ。幸い怪我人が襲われる事もなく2匹とも討伐出来たようだ。オレはすぐにヒールを次々とかけて行く。さらに幸いな事に毒に犯された人はいなかったのですぐに治療は終わった。とは言え傷が治ったってだけで体力は回復していない。みんなとても疲れた顔をしている。
「ゼニくん!」
トーラさんの声だ。振り返るとトーラさんがゼニに向かって叫んでいる。ゼニを見るとまさに大剣をオオコドクグモの脇腹に突き刺す所だった。
「おおよ!こっちも討伐完了だぜ!」
ゼニが満面の笑みで親指を立てる。ナイス、グッジョブ。
「やった……」
トーラさんの肩の力が抜け、構えていた剣の剣先が地面に落ちる。
「トーラ、オレらはやったのか?」
「あぁ、そうだよ、やったよ。後はあそこの巣を焼き払うだけだ」
トーラさんがこのすり鉢状の広場の中心にある糸の塊を指さした。
「あそこをや……」
言いかけた村人が固まる。どうしたんだ?
「なんか……ゴソゴソ言ってないか?あそこ……」
その言葉に皆が糸の塊を凝視する。確かに何か糸が動いている様な……。程なくしてその動きは徐々に激しくなり、大きく上下しだした。そして一際大きく糸が上へ盛り上がったと思ったら、次の瞬間糸を突き破ってコドクグモの足が突き出して来た。それは確かにコドクグモの足。しかし今までとサイズが違う。村を襲ったコドクグモより大きいオオコドクグモ、それの足よりもさらに大きな足が地面から這い出て来ている。それは2本になり、3本になり、4本目が出てくる頃には地面が割れ穴を大きく広げながら這い上がってくる。そして静かに全身を地表に現したそれはオオコドクグモよりもさらに1.5倍はあろうかと言う巨大なコドクグモだった。
「あれは……さしずめ女王コドクグモってところですか?」
「そうだろうね……普通に考えたら居て当たり前か……。卵を産む女王が巣の中に居るに決まってる……」
トーラさんもオレと同意見の様だ。いやちょっとシャレにならないなぁ。
「ずいぶんでっかくねぇか?あれ?」
いつの間にか近くまで来ていたゼニが声を掛ける。
「まぁここのボスだからなぁ。そりゃでかくもなるだろ」
言ってて理屈が訳分からないな。でも実際そんなもんだろ。最後に出てくるやつが1番強い。
さてどうするか。もちろん気持ちは折れて無いけどどうやってこんな魔物、オレ1人で倒すかだ。ここは一気に決めたい所だ。オレにスタミナが無いのはもちろんだけど、何よりあいつが油断し切って隙だらけな今が1番のチャンスだ。じゃあどうするか?とりあえずあいつ、オレからは仕掛けて来ないと思ってそうだな。完全に舐められてる。それならこっちから一気に最大火力で畳み掛ける方がいいな。現状のオレの最大火力って言ったらもちろんファイアボールのスクロール×2だろう。後はそれをどこに叩き込むかだ。今までのコドクグモとの戦闘を思い返す。
「やっぱ顔か……腹だよなぁ」
狙うなら腹だ。何とかして腹にファイアボールを打ち込める体制にしないとな。
頭の中でグルグルと思考が回る。
「よし、一気に行くぞ」
オレはリュックからファイアボールのスクロールを2つとも取り出して両手で持つ。それを見ていたオオコドクグモがピクリと一瞬動きを止めたがすぐにまたゆっくりと距離を詰めて来る。
「いいねぇ~完全に舐めてるねぇ~」
見てろよ。オレは右手のスクロールを開きオオコドクグモに向けながらダッシュした。オオコドクグモにとってはまさかの行動に一瞬ひるんだように見える。
そんな隙、逃すかよ!
オレは右手のスクロールを発動、放たれた火球は真っ直ぐオオコドクグモへ。無防備になっていたオオコドクグモの顔面ど真ん中に見事にヒット、派手な音と共に火球が弾け飛び、オオコドクグモはその勢いで少し後ろに仰け反り顔が上を向いた。オレは使ったスクロールを修復しつつさらに加速、一気にオオコドクグモに肉薄し真正面に位置取った。
「もう1発だ!」
左手のスクロールも右手に持ち替え、盾を強く握り少し上向いていたオオコドクグモの顔面を下から思いっきり盾でアッパーカットを決め昇龍拳さながらに打ち上げた。たまらずオオコドクグモは大きく仰け反り体半分が浮き上がり、辛うじて後ろの足、左右2本ずつで体を支えていた。
「喰らえ!!!」
オレは素早くスクロールを1つ左手に持ち替えファイアボールをオオコドクグモの無防備な腹に向かって放ち直後に修復開始。炸裂したファイアボールが弾けた直後にすでに修復が完了していた右手のスクロールでさらにファイアボールを放ちつつ修復。左手のスクロールの修復が完了しすぐに発動。それを何度も繰り返す。オオコドクグモの体が地面に着く前に次のファイアボールが炸裂し、また体を浮き上がらせる。合計8発のファイアボールをぶち当てた所でオオコドクグモは力無く尻もちを着いて後ろへひっくり返った。
「よっしゃ!とどめ!」
オレはひっくり返ったオオコドクグモを飛び越え落下する勢いをそのまま乗せ、盾を垂直にオオコドクグモの頭へ突き立てた。不快な音と共に盾はオオコドクグモの頭にめり込み、一瞬ビクンッと足を縮めそのまま動かなくなった。
「おおー、やったね」
1人でやっちゃったよ、すごいねオレ。てかそれより他の人の加勢に行かなきゃ!
周囲を見渡すとゼニはまだ交戦中だったが村人たちは2匹のオオコドクグモを無事倒した様だ。しかし数人の村人が地面に倒れている。あれは治療しないと。オレはすぐさま倒れている村人に向かって走り出した。
「大丈夫ですか?すぐにヒールをかけますね」
怪我をした人たちはオオコドクグモから遠ざけられ1箇所に集められていた様だ。幸い怪我人が襲われる事もなく2匹とも討伐出来たようだ。オレはすぐにヒールを次々とかけて行く。さらに幸いな事に毒に犯された人はいなかったのですぐに治療は終わった。とは言え傷が治ったってだけで体力は回復していない。みんなとても疲れた顔をしている。
「ゼニくん!」
トーラさんの声だ。振り返るとトーラさんがゼニに向かって叫んでいる。ゼニを見るとまさに大剣をオオコドクグモの脇腹に突き刺す所だった。
「おおよ!こっちも討伐完了だぜ!」
ゼニが満面の笑みで親指を立てる。ナイス、グッジョブ。
「やった……」
トーラさんの肩の力が抜け、構えていた剣の剣先が地面に落ちる。
「トーラ、オレらはやったのか?」
「あぁ、そうだよ、やったよ。後はあそこの巣を焼き払うだけだ」
トーラさんがこのすり鉢状の広場の中心にある糸の塊を指さした。
「あそこをや……」
言いかけた村人が固まる。どうしたんだ?
「なんか……ゴソゴソ言ってないか?あそこ……」
その言葉に皆が糸の塊を凝視する。確かに何か糸が動いている様な……。程なくしてその動きは徐々に激しくなり、大きく上下しだした。そして一際大きく糸が上へ盛り上がったと思ったら、次の瞬間糸を突き破ってコドクグモの足が突き出して来た。それは確かにコドクグモの足。しかし今までとサイズが違う。村を襲ったコドクグモより大きいオオコドクグモ、それの足よりもさらに大きな足が地面から這い出て来ている。それは2本になり、3本になり、4本目が出てくる頃には地面が割れ穴を大きく広げながら這い上がってくる。そして静かに全身を地表に現したそれはオオコドクグモよりもさらに1.5倍はあろうかと言う巨大なコドクグモだった。
「あれは……さしずめ女王コドクグモってところですか?」
「そうだろうね……普通に考えたら居て当たり前か……。卵を産む女王が巣の中に居るに決まってる……」
トーラさんもオレと同意見の様だ。いやちょっとシャレにならないなぁ。
「ずいぶんでっかくねぇか?あれ?」
いつの間にか近くまで来ていたゼニが声を掛ける。
「まぁここのボスだからなぁ。そりゃでかくもなるだろ」
言ってて理屈が訳分からないな。でも実際そんなもんだろ。最後に出てくるやつが1番強い。
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