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散歩の様に
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「スクロール、ですか」
「そう、スクロールだよ。その中に魔法を閉じ込めてあるんだ。結構高価な物だよ、それ」
なぁーるほどお。村までの道中はトーラさんにいろいろ教えてもらった。トーラさんの村はハツラという名前で、ソジンだけが住む小さな村と言うことだった。ソジンってなんだ?ってなって聞いてみたら、え?まさかそれも知らないのかい?とかなり驚かれた。そういやあの金髪マッシュバカもソジンとかなんとか言ってたな。
ソジンとは素人、どうも素の人間の事らしい。獣の様な姿の獣人、エルフやドワーフなんかは大きく分類すると亜人と言うらしい。その他にも魔人や竜人なんてものいるらしい。なんでもそれら全ては大昔に素人から派生したものだと言い伝えられているそうだ。でも今となってはそれも怪しいとされ、基本的になんの能力を持たない素人は他の人種から劣等種と思われているそうだ。
そしてオレが1番聞きたかった事、それがこれ、スクロールについてだ。
「このスクロールってやつ、使ってる所は見たんですよ。なんか火がぼぁー!って出てて。でもこれ、誰でも使える物じゃ無いんですか?」
「まさか、むしろスクロールは誰でも魔法を使える様にする道具だよ」
そしてそこからトールさんによる魔法のレクチャーが始まった。
この世界には魔法が存在する。それはとても基本的な事らしい。魔法を操る力、魔力は多かれ少なかれ誰の中にでもある。魔力はつまり命の力、その人の生命エネルギーみたいなものだそうだ。でもその魔力を使って魔法という現象を起こす事が出来る人間はほんのひと握りしかいないらしい。つまり魔法は誰しもが知っているものだが、魔法使いはかなり珍しいものだって事だ。トーラさんも実際魔法使いを見たことは無いそうだ。
「で、肝心のスクロールの使い方なんだけど、それはボクにも分かるよ。スクロールに自分の魔力を込めるだけだからね」
「魔力を込める.......?トーラさんはスクロールを使ったことがあるんですか?」
「スクロールは無いけど、前に王都に行ったことがあって、その時に夜に光を灯すジンツーグを使ったことはあるよ。原理は同じだからね」
「ジンツーグ???」
「あぁー、ジンツーグも知らないのね?ジンツーグって言うのは、魔法を閉じ込めた道具みたいな物かな?だからスクロールもジンツーグのひとつって事になるね。つまり誰でも、どんな属性の魔法でも使えるようにする便利な道具ってとこかな。大昔はオンミョウジやシノビと呼ばれる職業の人達が使ってたって昔話にはあるけど、ボクはオンミョウジにもシノビにも会った事は無いから本当かどうか分からないけどね」
陰陽師に忍か.......。こりゃあ昔にも転生者がいたのはほぼ確定だな。しかも絶対日本人だろ。
「なるほど.......。じゃあ試しにこのスクロールを使って見せてくださいよ」
「ちょちょ!それは悪いよ!スクロールってさ、1度使ったら破れてしまうから使い捨てなんだよ!」
あぁー、なるほど。確かにそうみたいだな。金髪マッシュバカを思い返す。
「でもこれ、ただの拾い物ですからいいですよ。ちょうど2個あるし。お願いします」
「えぇー.......まぁ君がいいならいいけど.......。じゃちょっと貸してみて」
トーラさんはスクロールを開き柄の書かれた面を少し遠くにある大きな石に向けた。
「後は魔力をスクロールに込めるだけだ。まぁそれはイメージだよ、イメージ」
すると先ほどの金髪マッシュバカの様にスクロールの柄が膨れ上がり破裂するように裂け、炎の玉が石に向かって飛んで行き大きな音をたてて弾けた。
「これ結構すごいね.......。スクロールは中に込められた魔法の強さによって価値が変わるらしいから、結構高価な物だよこれ.......本当に良かったの?」
「あぁーいいんですいいんです。じゃちょっとオレもやってみますね」
同じ様にオレもスクロールを構える。魔力を込めるって要は修復のスキルを使う時と同じ感覚って事でいいんだよな?それなら出来るだろ。
思った通り。トーラさんと同じ様に石に向かって炎の玉を飛ばす事が出来た。
「ははぁーなるほど。これは便利だ」
「ま、まあね.......でももったいないなぁ」
オレはトーラさんにバレないように修復のスキルを使う。トーラさんは黒焦げになった石を見に行ってるから気がついていない。まぁ余計な事は言わなくてもいいだろ。
「しかしあれだね、ずいぶんいい物を拾ったものだね。君のそのリュックも相当高価な物だと思うよ」
「え?これ?そうなんですか?」
「そうだよ~、その横に描かれた紋章、たぶんそれグィトル工房の紋章だよ」
ん?紋章?そんなんあったか?ちょっとリュックを降ろして見てみる。
「ほらこれこれ、この紋章だよ」
トーラさんが指さす場所にはフォークと縫い針がデザインされた紋章が入っていた。これ何を意味してるんだ?
「グィトル工房と言ったら王家御用達の品々を作るような所だよ。高価な価格に見合うだけの特別な品ばかりだ。君のそのリュックだってそうだよ。ボクもそこまで詳しくは無いけど、見たところそれ、保存に特化したリュックみたいだね」
「保存に特化?」
「そう、すごいよそれ。今はホーンボアの肝臓と肉は麻袋に包んで君のリュックに入れてえるじゃない?でも全然匂いが漏れてないのに気がついた?」
確かに.......そういや全然匂いしないな。
「匂いだけじゃない。きっとそのリュック、保冷と保温も出来るし腐敗も防ぐ魔法がかけられてると思うよ。食べ物や狩った魔物の素材を運ぶにはこれ以上無い性能だね」
「そうなんですね。知らなかったぁ~」
こりゃいい物ばっかり拾ったな。ラッキー。
「そう、スクロールだよ。その中に魔法を閉じ込めてあるんだ。結構高価な物だよ、それ」
なぁーるほどお。村までの道中はトーラさんにいろいろ教えてもらった。トーラさんの村はハツラという名前で、ソジンだけが住む小さな村と言うことだった。ソジンってなんだ?ってなって聞いてみたら、え?まさかそれも知らないのかい?とかなり驚かれた。そういやあの金髪マッシュバカもソジンとかなんとか言ってたな。
ソジンとは素人、どうも素の人間の事らしい。獣の様な姿の獣人、エルフやドワーフなんかは大きく分類すると亜人と言うらしい。その他にも魔人や竜人なんてものいるらしい。なんでもそれら全ては大昔に素人から派生したものだと言い伝えられているそうだ。でも今となってはそれも怪しいとされ、基本的になんの能力を持たない素人は他の人種から劣等種と思われているそうだ。
そしてオレが1番聞きたかった事、それがこれ、スクロールについてだ。
「このスクロールってやつ、使ってる所は見たんですよ。なんか火がぼぁー!って出てて。でもこれ、誰でも使える物じゃ無いんですか?」
「まさか、むしろスクロールは誰でも魔法を使える様にする道具だよ」
そしてそこからトールさんによる魔法のレクチャーが始まった。
この世界には魔法が存在する。それはとても基本的な事らしい。魔法を操る力、魔力は多かれ少なかれ誰の中にでもある。魔力はつまり命の力、その人の生命エネルギーみたいなものだそうだ。でもその魔力を使って魔法という現象を起こす事が出来る人間はほんのひと握りしかいないらしい。つまり魔法は誰しもが知っているものだが、魔法使いはかなり珍しいものだって事だ。トーラさんも実際魔法使いを見たことは無いそうだ。
「で、肝心のスクロールの使い方なんだけど、それはボクにも分かるよ。スクロールに自分の魔力を込めるだけだからね」
「魔力を込める.......?トーラさんはスクロールを使ったことがあるんですか?」
「スクロールは無いけど、前に王都に行ったことがあって、その時に夜に光を灯すジンツーグを使ったことはあるよ。原理は同じだからね」
「ジンツーグ???」
「あぁー、ジンツーグも知らないのね?ジンツーグって言うのは、魔法を閉じ込めた道具みたいな物かな?だからスクロールもジンツーグのひとつって事になるね。つまり誰でも、どんな属性の魔法でも使えるようにする便利な道具ってとこかな。大昔はオンミョウジやシノビと呼ばれる職業の人達が使ってたって昔話にはあるけど、ボクはオンミョウジにもシノビにも会った事は無いから本当かどうか分からないけどね」
陰陽師に忍か.......。こりゃあ昔にも転生者がいたのはほぼ確定だな。しかも絶対日本人だろ。
「なるほど.......。じゃあ試しにこのスクロールを使って見せてくださいよ」
「ちょちょ!それは悪いよ!スクロールってさ、1度使ったら破れてしまうから使い捨てなんだよ!」
あぁー、なるほど。確かにそうみたいだな。金髪マッシュバカを思い返す。
「でもこれ、ただの拾い物ですからいいですよ。ちょうど2個あるし。お願いします」
「えぇー.......まぁ君がいいならいいけど.......。じゃちょっと貸してみて」
トーラさんはスクロールを開き柄の書かれた面を少し遠くにある大きな石に向けた。
「後は魔力をスクロールに込めるだけだ。まぁそれはイメージだよ、イメージ」
すると先ほどの金髪マッシュバカの様にスクロールの柄が膨れ上がり破裂するように裂け、炎の玉が石に向かって飛んで行き大きな音をたてて弾けた。
「これ結構すごいね.......。スクロールは中に込められた魔法の強さによって価値が変わるらしいから、結構高価な物だよこれ.......本当に良かったの?」
「あぁーいいんですいいんです。じゃちょっとオレもやってみますね」
同じ様にオレもスクロールを構える。魔力を込めるって要は修復のスキルを使う時と同じ感覚って事でいいんだよな?それなら出来るだろ。
思った通り。トーラさんと同じ様に石に向かって炎の玉を飛ばす事が出来た。
「ははぁーなるほど。これは便利だ」
「ま、まあね.......でももったいないなぁ」
オレはトーラさんにバレないように修復のスキルを使う。トーラさんは黒焦げになった石を見に行ってるから気がついていない。まぁ余計な事は言わなくてもいいだろ。
「しかしあれだね、ずいぶんいい物を拾ったものだね。君のそのリュックも相当高価な物だと思うよ」
「え?これ?そうなんですか?」
「そうだよ~、その横に描かれた紋章、たぶんそれグィトル工房の紋章だよ」
ん?紋章?そんなんあったか?ちょっとリュックを降ろして見てみる。
「ほらこれこれ、この紋章だよ」
トーラさんが指さす場所にはフォークと縫い針がデザインされた紋章が入っていた。これ何を意味してるんだ?
「グィトル工房と言ったら王家御用達の品々を作るような所だよ。高価な価格に見合うだけの特別な品ばかりだ。君のそのリュックだってそうだよ。ボクもそこまで詳しくは無いけど、見たところそれ、保存に特化したリュックみたいだね」
「保存に特化?」
「そう、すごいよそれ。今はホーンボアの肝臓と肉は麻袋に包んで君のリュックに入れてえるじゃない?でも全然匂いが漏れてないのに気がついた?」
確かに.......そういや全然匂いしないな。
「匂いだけじゃない。きっとそのリュック、保冷と保温も出来るし腐敗も防ぐ魔法がかけられてると思うよ。食べ物や狩った魔物の素材を運ぶにはこれ以上無い性能だね」
「そうなんですね。知らなかったぁ~」
こりゃいい物ばっかり拾ったな。ラッキー。
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