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3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。
ここからが、始まり
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十分な休息をとった二人は、そのまま地上に脱出した。
「それで、いずれ来る厄災ってなに?」
「それを答える前に一つ。レベッカは、自分の恩恵を確認できたか?」
突然の質問内容に困惑するが、意味のあることだと判断して素直に答える。
「効果は頭で理解できたけど、名前は文字化けしてよくわからなかったよ………」
そう。ルルアリアが持ってきてくれた水晶のおかげで再確認することはできたが、文字化けしていて名前を正確に確認することができなかったのだ。
「そうか………。実はな、今までレベッカの恩恵を正確に確認できたことは一度もない」
「え?一度も?」
「───ああ。………レベッカの恩恵は、オーラを使った物体の具現化、聖火を用いた強化、浄化が主な能力だ………」
「それに加えて、他者から力を借りられる力………」
改めて考えると、中々のチートぶりだ。
「そして、その厄災曰く、レベッカの恩恵は───覚醒前らしい」
覚醒前。ということは、
「───まだ、上の段階が、存在するの?」
「らしいな。そして、そいつはそれを阻止するために動いている」
厄災にとって、レベッカの覚醒は都合が悪いものだという。
「───その、厄災の能力って………」
「その厄災の恩恵は、運命に干渉する力だ」
───運命。摩訶不思議なものだが、あながちバカにできないと思っている。
「アイトの虚飾じゃ、対抗できなかったの?」
「………そうだな。俺が手を出せるのは現実的なものだけで、運命にまでは手を伸ばせなかった」
そして、
「あいつは、レベッカの恩恵を確認出来たら、直ぐに飛んでくる」
つまり、もうすぐ来るということだ。
「───猶予は?」
「───恐らく、あと一日」
短い、とは言っていられない。
しかも、敵はレベッカが死力を尽くして漸く勝てたアイトを、何度も打倒してきた敵だ。
「相手にとって、レベッカは弱点のはずです。レベッカが死なずに、それでいて恩恵を覚醒することができれば………」
全てが丸く収まりそうな今、失敗することは許されない。
「───ていうか、今まで私、覚醒したことなかったんだね」
「まあ、そうだな。なんやかんや覚醒する前に殺されてるしな」
となると、それだけの回数殺してきた、ということは相手は完全に熟知している可能性がある。
だが、そんな考えは。
「まあ、半分以上は別の要因で殺されたりしたしな」
次のアイトの言葉で吹き飛んだ。
「………え?」
別の要因。つまり、他にも敵が………
「他に敵はいないからな。強いて言えば、ルーズ家の使用人」
「あぁ………」
それだけでなんとなく理解出来てしまった。
「───っていうか、なんでアイトはあんな形で私と恩恵、隠してたの?」
「隠した方が、死亡までの期間が長かったからな。でも、普通の恩恵で偽装しても、それはそれで直ぐに死ぬから、憎まれるような恩恵にしたんだよ」
「じゃあ、私が虐められたのは………」
「あ、それは憎まれる形にしたら、使用人が勝手にはじめたことだな」
そして、ヴァインヒルトが最初は抑えていたけど、ストレスの溜まった使用人にレベッカは殺されたりするので、いっそのこと全員に憎悪を抱かせると、万事解決した、ということだ。
「なんていうか、極論だね………」
「こういうのが案外刺さるんだよ」
取り敢えず、敵に関する情報は少ない。そして
「覚醒するための情報もない、か………」
そうして落胆するレベッカに、「いや、」とアイトが口を開いた。
「覚醒するための情報は、直ぐに手に入るぞ」
「え?ほんと!?」
あまりのビッグニュースに、アイトは頷きながら、ゆっくりと口を開いた。
「トリスタンとルルアリア。二人の協力さえあれば、な」
「それで、いずれ来る厄災ってなに?」
「それを答える前に一つ。レベッカは、自分の恩恵を確認できたか?」
突然の質問内容に困惑するが、意味のあることだと判断して素直に答える。
「効果は頭で理解できたけど、名前は文字化けしてよくわからなかったよ………」
そう。ルルアリアが持ってきてくれた水晶のおかげで再確認することはできたが、文字化けしていて名前を正確に確認することができなかったのだ。
「そうか………。実はな、今までレベッカの恩恵を正確に確認できたことは一度もない」
「え?一度も?」
「───ああ。………レベッカの恩恵は、オーラを使った物体の具現化、聖火を用いた強化、浄化が主な能力だ………」
「それに加えて、他者から力を借りられる力………」
改めて考えると、中々のチートぶりだ。
「そして、その厄災曰く、レベッカの恩恵は───覚醒前らしい」
覚醒前。ということは、
「───まだ、上の段階が、存在するの?」
「らしいな。そして、そいつはそれを阻止するために動いている」
厄災にとって、レベッカの覚醒は都合が悪いものだという。
「───その、厄災の能力って………」
「その厄災の恩恵は、運命に干渉する力だ」
───運命。摩訶不思議なものだが、あながちバカにできないと思っている。
「アイトの虚飾じゃ、対抗できなかったの?」
「………そうだな。俺が手を出せるのは現実的なものだけで、運命にまでは手を伸ばせなかった」
そして、
「あいつは、レベッカの恩恵を確認出来たら、直ぐに飛んでくる」
つまり、もうすぐ来るということだ。
「───猶予は?」
「───恐らく、あと一日」
短い、とは言っていられない。
しかも、敵はレベッカが死力を尽くして漸く勝てたアイトを、何度も打倒してきた敵だ。
「相手にとって、レベッカは弱点のはずです。レベッカが死なずに、それでいて恩恵を覚醒することができれば………」
全てが丸く収まりそうな今、失敗することは許されない。
「───ていうか、今まで私、覚醒したことなかったんだね」
「まあ、そうだな。なんやかんや覚醒する前に殺されてるしな」
となると、それだけの回数殺してきた、ということは相手は完全に熟知している可能性がある。
だが、そんな考えは。
「まあ、半分以上は別の要因で殺されたりしたしな」
次のアイトの言葉で吹き飛んだ。
「………え?」
別の要因。つまり、他にも敵が………
「他に敵はいないからな。強いて言えば、ルーズ家の使用人」
「あぁ………」
それだけでなんとなく理解出来てしまった。
「───っていうか、なんでアイトはあんな形で私と恩恵、隠してたの?」
「隠した方が、死亡までの期間が長かったからな。でも、普通の恩恵で偽装しても、それはそれで直ぐに死ぬから、憎まれるような恩恵にしたんだよ」
「じゃあ、私が虐められたのは………」
「あ、それは憎まれる形にしたら、使用人が勝手にはじめたことだな」
そして、ヴァインヒルトが最初は抑えていたけど、ストレスの溜まった使用人にレベッカは殺されたりするので、いっそのこと全員に憎悪を抱かせると、万事解決した、ということだ。
「なんていうか、極論だね………」
「こういうのが案外刺さるんだよ」
取り敢えず、敵に関する情報は少ない。そして
「覚醒するための情報もない、か………」
そうして落胆するレベッカに、「いや、」とアイトが口を開いた。
「覚醒するための情報は、直ぐに手に入るぞ」
「え?ほんと!?」
あまりのビッグニュースに、アイトは頷きながら、ゆっくりと口を開いた。
「トリスタンとルルアリア。二人の協力さえあれば、な」
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