47 / 111
二章 しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。
平和?何それ美味しいの?と言われたら、その人は病院に行くことをおすすめします
しおりを挟む
社交界が終わり、平和な日常が戻ってきた。
「うーん………」
窓から入り込んでくる朝日の光によって目が覚めたレベッカは、ゆっくりとその身体を起こす。
「今日は………」
デートに行く予定もなく、部屋に引きこもるだけの日。
暇でしかないのだ。
「おはようございます。お嬢様」
いつも通り扉を開けて部屋に入ってきたアイトの手には朝食が用意されている。
朝食をテーブルの上に置くと、レベッカはゆっくりとベッドから降りた。
「おはよう、アイト………」
まだ少し寝惚けているのか、眠たそうな声でぼんやりと挨拶をするレベッカに、アイトは微笑みながら着替えを用意する。
「お嬢様。まずは顔を洗って、朝食を食べましょう」
「………わかった」
これが、レベッカの日常だった。
朝食も食べ終わり、着替え終えたレベッカは机の上でアイトが持ってきた新聞を読んでいた。
「最近は、平和だね………」
「はい。まあ、問題なんてそうそう起こるものでもありませんよ」
優雅に紅茶を用意してくれたアイトにお礼を言いながら、レベッカは新聞を読み進める。
「でも、少し前まで事件があったから、なんだか新鮮な気持ちだね………」
ステラが起こした連続殺人事件。あれもまだレベッカの記憶に新しい事件だ。
それを受け入れて、今のレベッカがあるのだが。
「そういえば、奇妙な噂は聞いたことがありますよ」
「噂?」
アイトはふと思い出したかのように噂話をする。
「はい。なんでも、家に匿名で奇妙な手紙が送り付けられるとか」
「………怪奇、現象?」
それはまあ、なんとも恐ろしい話だ。
「しかも、その手紙の文字は全て真っ赤だそうで………」
「普通にホラーじゃん!?」
普通に怖い手紙かと思ったのだが、想像以上にホラーで、レベッカは少し怖くなる。
「内容は?それも怖いの?」
「まあ、そうですね。なんでもその家に不幸をばら撒くといった内容が書かれているそうで………」
不幸をばら撒く。そんなことできるのは誰もいない。
「私の恩恵に似てるね………」
だけど、レベッカの恩恵は任意操作はできない。送り主は、任意捜査ができるのだろう。とすると、
「レベッカの完全上位互換、ということになりますね」
この世界は恩恵で構成されている。なんてことはないが、それでも強力なことには変わりない。
「でも、噂だしね」
「はい。実際の噂の不幸も、恋人と喧嘩した。お気に入りの食器が割れた。家族が少し大袈裟に怪我をした。といった内容しか聞いてませんしね」
先程までの迫力に比べて、なんだか内容がしょぼかった。
「じゃあ、安心なのかな?」
「いえ、一概にそうとも言いきれません。人が死ぬのは一瞬です。案外、本気で殺しにくる可能性もありますので」
まあ、警戒するに越したことはない。
「でも、私にそんな手紙は来ないしね」
来ても、ポストから出された段階で他の誰かに潰されている。
それがわかっているから、レベッカはあまり気にしない。
「事前にわかってるかわかってないかじゃ、心構えも変わるのかもしれないけど、知っててもどうしようもないこともあるしね」
そう言ってレベッカは新聞に視線を戻す。
アイトも仕事のために部屋から出ていった。
そんな平和な一時。
「うーん………」
窓から入り込んでくる朝日の光によって目が覚めたレベッカは、ゆっくりとその身体を起こす。
「今日は………」
デートに行く予定もなく、部屋に引きこもるだけの日。
暇でしかないのだ。
「おはようございます。お嬢様」
いつも通り扉を開けて部屋に入ってきたアイトの手には朝食が用意されている。
朝食をテーブルの上に置くと、レベッカはゆっくりとベッドから降りた。
「おはよう、アイト………」
まだ少し寝惚けているのか、眠たそうな声でぼんやりと挨拶をするレベッカに、アイトは微笑みながら着替えを用意する。
「お嬢様。まずは顔を洗って、朝食を食べましょう」
「………わかった」
これが、レベッカの日常だった。
朝食も食べ終わり、着替え終えたレベッカは机の上でアイトが持ってきた新聞を読んでいた。
「最近は、平和だね………」
「はい。まあ、問題なんてそうそう起こるものでもありませんよ」
優雅に紅茶を用意してくれたアイトにお礼を言いながら、レベッカは新聞を読み進める。
「でも、少し前まで事件があったから、なんだか新鮮な気持ちだね………」
ステラが起こした連続殺人事件。あれもまだレベッカの記憶に新しい事件だ。
それを受け入れて、今のレベッカがあるのだが。
「そういえば、奇妙な噂は聞いたことがありますよ」
「噂?」
アイトはふと思い出したかのように噂話をする。
「はい。なんでも、家に匿名で奇妙な手紙が送り付けられるとか」
「………怪奇、現象?」
それはまあ、なんとも恐ろしい話だ。
「しかも、その手紙の文字は全て真っ赤だそうで………」
「普通にホラーじゃん!?」
普通に怖い手紙かと思ったのだが、想像以上にホラーで、レベッカは少し怖くなる。
「内容は?それも怖いの?」
「まあ、そうですね。なんでもその家に不幸をばら撒くといった内容が書かれているそうで………」
不幸をばら撒く。そんなことできるのは誰もいない。
「私の恩恵に似てるね………」
だけど、レベッカの恩恵は任意操作はできない。送り主は、任意捜査ができるのだろう。とすると、
「レベッカの完全上位互換、ということになりますね」
この世界は恩恵で構成されている。なんてことはないが、それでも強力なことには変わりない。
「でも、噂だしね」
「はい。実際の噂の不幸も、恋人と喧嘩した。お気に入りの食器が割れた。家族が少し大袈裟に怪我をした。といった内容しか聞いてませんしね」
先程までの迫力に比べて、なんだか内容がしょぼかった。
「じゃあ、安心なのかな?」
「いえ、一概にそうとも言いきれません。人が死ぬのは一瞬です。案外、本気で殺しにくる可能性もありますので」
まあ、警戒するに越したことはない。
「でも、私にそんな手紙は来ないしね」
来ても、ポストから出された段階で他の誰かに潰されている。
それがわかっているから、レベッカはあまり気にしない。
「事前にわかってるかわかってないかじゃ、心構えも変わるのかもしれないけど、知っててもどうしようもないこともあるしね」
そう言ってレベッカは新聞に視線を戻す。
アイトも仕事のために部屋から出ていった。
そんな平和な一時。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
妹に陥れられ処刑決定したのでブチギレることにします
リオール
恋愛
実の妹を殺そうとした罪で、私は処刑されることとなった。
違うと言っても、事実無根だとどれだけ訴えても。
真実を調べることもなく、私の処刑は決定となったのだ。
──あ、そう?じゃあもう我慢しなくていいですね。
大人しくしてたら随分なめられた事態になってしまったようで。
いいでしょう、それではご期待通りに悪女となってみせますよ!
淑女の時間は終わりました。
これからは──ブチギレタイムと致します!!
======
筆者定番の勢いだけで書いた小説。
主人公は大人しく、悲劇のヒロイン…ではありません。
処刑されたら時間が戻ってやり直し…なんて手間もかけません。とっととやっちゃいます。
矛盾点とか指摘したら負けです(?)
何でもオッケーな心の広い方向けです。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる