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二章  しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。

平和?何それ美味しいの?と言われたら、その人は病院に行くことをおすすめします

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 社交界が終わり、平和な日常が戻ってきた。

「うーん………」

 窓から入り込んでくる朝日の光によって目が覚めたレベッカは、ゆっくりとその身体を起こす。

「今日は………」

 デートに行く予定もなく、部屋に引きこもるだけの日。
 暇でしかないのだ。

「おはようございます。お嬢様」

 いつも通り扉を開けて部屋に入ってきたアイトの手には朝食が用意されている。
 朝食をテーブルの上に置くと、レベッカはゆっくりとベッドから降りた。

「おはよう、アイト………」

 まだ少し寝惚けているのか、眠たそうな声でぼんやりと挨拶をするレベッカに、アイトは微笑みながら着替えを用意する。

「お嬢様。まずは顔を洗って、朝食を食べましょう」

「………わかった」

 これが、レベッカの日常だった。
 朝食も食べ終わり、着替え終えたレベッカは机の上でアイトが持ってきた新聞を読んでいた。

「最近は、平和だね………」

「はい。まあ、問題なんてそうそう起こるものでもありませんよ」

 優雅に紅茶を用意してくれたアイトにお礼を言いながら、レベッカは新聞を読み進める。

「でも、少し前まで事件があったから、なんだか新鮮な気持ちだね………」

 ステラが起こした連続殺人事件。あれもまだレベッカの記憶に新しい事件だ。
 それを受け入れて、今のレベッカがあるのだが。

「そういえば、奇妙な噂は聞いたことがありますよ」

「噂?」

 アイトはふと思い出したかのように噂話をする。

「はい。なんでも、家に匿名で奇妙な手紙が送り付けられるとか」

「………怪奇、現象?」

 それはまあ、なんとも恐ろしい話だ。

「しかも、その手紙の文字は全て真っ赤だそうで………」

「普通にホラーじゃん!?」

 普通に怖い手紙かと思ったのだが、想像以上にホラーで、レベッカは少し怖くなる。

「内容は?それも怖いの?」

「まあ、そうですね。なんでもその家に不幸をばら撒くといった内容が書かれているそうで………」

 不幸をばら撒く。そんなことできるのは誰もいない。

「私の恩恵ギフトに似てるね………」

 だけど、レベッカの恩恵ギフトは任意操作はできない。送り主は、任意捜査ができるのだろう。とすると、

「レベッカの完全上位互換、ということになりますね」

 この世界は恩恵ギフトで構成されている。なんてことはないが、それでも強力なことには変わりない。

「でも、噂だしね」

「はい。実際の噂の不幸も、恋人と喧嘩した。お気に入りの食器が割れた。家族が少し大袈裟に怪我をした。といった内容しか聞いてませんしね」

 先程までの迫力に比べて、なんだか内容がしょぼかった。

「じゃあ、安心なのかな?」

「いえ、一概にそうとも言いきれません。人が死ぬのは一瞬です。案外、本気で殺しにくる可能性もありますので」

 まあ、警戒するに越したことはない。

「でも、私にそんな手紙は来ないしね」

 来ても、ポストから出された段階で他の誰かに潰されている。
 それがわかっているから、レベッカはあまり気にしない。

「事前にわかってるかわかってないかじゃ、心構えも変わるのかもしれないけど、知っててもどうしようもないこともあるしね」

 そう言ってレベッカは新聞に視線を戻す。
 アイトも仕事のために部屋から出ていった。
 そんな平和な一時。
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