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二章  しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。

時間は移ろいゆくもの

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 その後、レベッカは立食パーティーに出されたご飯を一人寂しく食べ、社交界は終わった。

「はぁぁ~。疲れたよぉ~」

 さすがに疲れたのか、部屋に戻るなり用意されたベッドにダイブした。

「お疲れ様です。レベッカ」

 部屋に戻ってき、ドレスを脱いだレベッカにそう声をかけたのはアイトだった。

「結局、レベッカは僕の力無しで乗り越えることが出来ましたね」

「そう、なのかな?全然実感がないや」

 ある程度綺麗に脱いだドレスを綺麗に直してくれているアイトにそう言う。
 実際、レベッカは一人でなんとかできたとは思っていない。
 最初にナイルが話しかけてくれたから、一人になる時間も少なかったことだし。
 それでも、最後は一人だったけど。

「他の貴族の子息の方々もレベッカのことを見てましたよ。美しい令嬢だって」

「そうなの、かな?視線とか全然わかんないや」

「レベッカは憎悪などの不快な感情の視線はわかりますけど、好意といった視線はわかりませんしね」

「ねえ、もしかしてバカにしてる?」

「いえ、そのような意図は決してございません」

 丁寧にお辞儀するアイトに、レベッカは不満たらたらだった。

「ムゥ。それよりも、もう帰るの?」

「はい。留まる理由もございませんし」

 部屋から出ようと扉に手をかけたアイトだったが、その服の裾をレベッカは掴んだ。

「どうしました?」

「………行かないで」

 小さな呟き。だが、アイトはその呟きを聞き逃さなかった。
 優しく微笑みながら、アイトはレベッカの頭をゆっくりと撫でる。
 アイトの手が頭に乗っていることに反応したレベッカは顔を赤らめた。

「あ、えっと………」

「相変わらず、寂しがり屋ですね」

 そう言うと、アイトは再度部屋の中に入り、荷物の整理の続きを始めた。

「ほら、はやく終わらせませんと、また怒られますよ?」

「わ、わかった!」

 そう言われるとレベッカが断る理由もない。急いで片付けることにした。

 少ない荷物を整理しながらレベッカはアイトを見る。

(どうしてだろう?)

 レベッカは、先程の行動に疑問を覚える。
 ただ、なんとなくだが、アイトがどこか遠くに行くような、そんな気がして。

「ねえ、アイト………」

「はい」

 2人だけの空間。だから、遠慮なく聞ける。

「どこにも、行かないよね?」

 急に消えないで。離れないで。そんな意図の言葉。
 人一倍寂しがり屋なレベッカの言葉に、アイトは優しく微笑みながら答えた。

「少なくとも、レベッカを一人にすることはありませんよ」

「ホントに?」

「本当です。僕が約束を破ったことがありますか?」

 ない。アイトは、約束を破ったことが一度もない。

「じゃあさ、指切りしようよ!」

「指切り、ですか?」

「うん!アイトが買ってきてくれた本の中にもあったじゃん。約束をする時に小指を絡めて約束するって」

 レベッカはそう言いながら小指を出した。

「しょうがないですね」

 アイトも小指を出して、お互いの小指を絡める。

「これで、約束だね」

「はい」

 そんな平和な一時。
 二人は荷物を纏め終えると馬車に向かい、屋敷に帰ったのであった。
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