聖なる愚者は不敵に笑う

蒼風

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作品概要

0.あらすじのような何か

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「おはようみんな。ちょっと話が有るんだけどいいかな?」

 俺は朝起きると、真っ先にリビングへと向かった。
 リビングにはみんな揃っていて、俺の第一声に何かあったのかと訝しんでいた。

「俺は決めたんだ。俺は……。俺は………!!俺は作業場を増築する!!」
「そっか。」
「まあ、カイトだからな。」
「カイト、思いつめてたからなんだと思ったよ。」

 俺は一世一代のつもりでみんなに宣言した。
 しかし、みんなの反応はいまいちだった。

 あれ?意外と皆さん予想してた?

「ちょ、俺一世一代のつもりで話したんですけど?!」
「いや、だってねぇ~。ここって誰の家なの?」
「俺たちのでしょ?」

 何を馬鹿なことを言ってるんですかデイジーさん。
 決まっているではないですか。

「たぶんそこの認識からして間違ってるよ?ここはカイトの家だからね?改装OKって内容でカイトが契約を結んだんだからそうでしょ?」
 
 デイジーが何を言っているか分からないって顔で小首を傾げていた。
 た、確かにそういう契約だったような……
 ヤバイ……契約内容あまり覚えてないや。
 あとでもう一度契約書を見直さないとだめだね。

「だったら、カイトがどう魔改造しようがカイトの自由でしょ?ましてやカイトの個人資産で改造するんだから、私たちには何も言えないでしょ?」

 やばい、デイジーがまともなこと言ってる。
 あ、いやごめんなさい。睨まないでください。

「あと、どこか直したい場所とかある?」
「私はキッチンを新調したいわね。最近新しいモデルが出たっていうし。みんなにもおいしい料理食べてほしいから。」

 エルダからは、エルダらしい返答があった。
 本当にエルダには頭が上がらないな。
 いつもおいしい料理ありがとうござます。
 キッチンを直しても罰は当たならにだろうね。
 むしろ日頃の感謝を込めて新調するのもありだな。

「あ、じゃあ私はお風呂の修繕をお願いします!!もっと広いお風呂がいいな。できれば大人数で入っても問題ないやつ。」

 今のままでも十分だと思うんだけど、デイジー的にはまだ足りないのかな?

「デイジー、お風呂で泳ごうとしないの。カイト、お風呂はそのままでも十分よ。どこも傷みとか無いからね。」
「たしかに、風呂は今のままでも十分だな。」

 確かに風呂は今のままでも十分にくつろげるサイズはある。
 最初にここを建てた人がこだわって作ったようで、ゆったりとした造りになっていた。

「じゃあ、キッチンの改装が第2候補だな。あとは可能だったら、風呂の給湯系の魔道具を新しいのに変えよっか。」
「あ、カイト。それいいね!!」

 デイジーも自分の意見が少し通ったことで、機嫌がよくなっていた。
 本当にデイジーって見てて飽きないな。

 お金の使い方も決まったし、その辺は木工ギルドと魔道具ギルドに話を通しておこう。

「それじゃあ、冷めないうちに朝食にしましょう。デイジー運ぶの手伝って。」
「は~い。カイトたちはダイニングの準備おねが~い。」

 エルダとデイジーはキッチンへ朝食を取りに行ってくれた。
 俺とポールはダイニングテーブルを片付けて食器類を準備していく。

「そういえばカイト。庭はいじらないのか?」
「庭ねぇ~。俺そう言うの詳しくないからなぁ~。」

 まさかポールから庭について話が出てくるとは思わなかったよ。

「なら、ちょっとした訓練施設でも作ったらどうだろうか?」
「あ、確かにそれ良いかも。軽く試射出来たり模擬戦できるといいよね。」

 よし、それも候補に入れておこう。
 
 そんなこんなでポールと話していると、エルダとデイジーの手によって次々と朝食が運び込まれてきた。
 本日のメニューは、スクランブルエッグと厚切りベーコン。オニオンスープにパンとサラダ。
 あれ?結構手が込んでるな。

「デイジーも手伝ってくれたからいっぱい作っちゃった。」
「私だってやれば出来るんだからね!!」

 本当にデイジーはすごいな。
 ポジティブというかなんというか。
 まさに元気印って感じがするよ。



 俺たちは朝食を摂ると、そのまま冒険者ギルドへ向かった。
 今日の目的は森の最奥の深緑の森で調整と、【新緑のダンジョン】に初トライすることだ。
 ギルドの掲示板は、やはり争奪戦が繰り広げられていた。
 俺たちはこれといって何か狙っているわけではないので、【新緑のダンジョン】の常設依頼を確認していた。

・オークの肉納品(1kg)銅貨20枚
・オークの霜降り肉納品(250g)銅貨100枚

 うん、この二つが常設依頼で載ってるので、これでいいだろう。

「カイト~、これ見てこれ。急募だって。」

・オークの霜降り肉納品(5kg)銅貨3000枚

「ナイスデイジー。常設依頼のより高額じゃないか。で、期限は?」
「今日の夜。」
「「「却下!!」」」
「えぇ~。」

 どう考えても間に合うわけがない。
 前に少し調べたら、本当に極稀にしかドロップしないってなってたからね。
 達成できなかったときのペナルティの方が問題になってくる。

 ということで、常設依頼を確認した俺たちは、東門へ向かった。
 今日の目的地は東の森のその先。
 久しぶりの探索で少しワクワクしている自分がいた。
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