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chapter.10
36.静かなる異変。
しおりを挟む「シャノン卿。よろしいでしょうか。」
「あ、ああ。今行こう。」
待たせすぎてしまっただろうか。
いや、でも以前俺が待たされた時間を考えれば俺の方が早く済んでいる。
それでも落ち着きなく俺をチラチラと伺うシャノン卿を無視することもできずに俺は口を開いた。
「どうか致しましたか?」
「あ、ああ。いや、随分と慣れたようだなと思ってな。」
それはきっとスキンシップの話だろうと分かった。
「慣れてはいません。未だにヴィクトリア様の反応が良いので初々しい気持ちでさせて頂いております。」
「っ。そんなにストレートに言うんじゃない。…ったく。」
そっぽを向いたシャノン卿からはいつもの余裕の笑みは見られなかった。
「そういえば、例の餞別はどこで買われたのですか?ストックが欲しいのですが。」
「んぐっ。も、もう無いのか⁈」
「え?ええ。1度使えば2度は使えませんし。」
「1度に何回しているんだ。お前はモンスターか何かか。」
「いえ。ヴィクトリア様を見ていれば何度だって可能です。それはヴィクトリア様だからであって、他の女性では勃つことすらきっとできないでしょう。」
サラッと本心からそう告げたのだが、シャノン卿は絶句していた。
「ヴィーもよく相手をしているものだな。」
「それが普通だと思ってくれておりますから、余計なことは教えないでくださると嬉しいです。
それに、休みの前の日にするようにしているので、仕事に支障はありません。」
「はぁぁ…。いつしているかが分かるようなことを言うんじゃない。」
シャノン卿は額に手を当てて溜め息を吐くのだ。聞かれたから答えたまでのことなのに、どうしてシャノン卿がダメージを負うのだろうか。
しかし、シャノン卿にとってリアは妹のような存在。妹の営みの頻度など知りたくはなかったのだろう。
俺がもし、シャガートとセレンナのそういう話を聞かせられたらやるせない気持ちになりかねない。
そう思うとなんだか申し訳ないとも思うようだ。
「…ヴィーは?」
「一応眠っていていいと伝えてあります。」
「そうか。カミーリアは出てこれるだろうか。」
「ええ。先程したばかりですし、可能かと。」
「…だからストレート過ぎるんだ。もう少し何か言い方はないのか。」
「シャノン卿に伝わるのなら同じことかと…」
「…はぁ。確かにそうだな。」
「とにかくカミーリアの考えも聞かないことにはいけませんから急ぎましょう。」
「ああ。」
会話をしながら向かった俺たちだったが、部屋に残したリアは眠るどころか椅子に座っていた。
「あれ?ヴィー。起きていたのか。」
「ええ。」
「疲れているなら寝ていて良かったんだぞ。」
シャノン卿は普通に墓穴を掘った。
その証拠にリアはみるみるうちに赤面するのだ。
それを見たシャノン卿は慌てて言い訳をしようとするが、見ているこっちが可哀想になる。
「あっ。いや、ヴィー。違うんだ。聞いていたとかではなくてだな!」
「何が違うのですか。シャノン兄様!」
リアとシャノン卿がぎゃあぎゃあと言い合いをする中、俺は冷静にリアにお兄様と呼ばれる妄想を繰り広げていた。
「コホン。それより、ヴィーが眠っていないとすれば睡眠薬を使うか?」
カミーリアと話すべく、それが必要になる為、俺は胸元に忍ばせてあるその薬の瓶に手を伸ばしたが、すぐにリアに止められた。
「あ、それなら必要ないわ。」
「え?どういうことです?」
「条件が揃っていれば、呼びかけるだけで出てきてくれるようになったの。」
「「え?」」
何ということだろうか。
そんなこと全く知らなかった。
「…カミーリア。」
ボソッとリアが呟くと、リアの片目は赤くなった。反対の目はいつも通りの黄色だ。
「本当にカミーリアなのか?」
『ええ。そうよ。』
「凄いでしょう?私の意識もそのままなの!」
クールなカミーリアと無邪気なリアの組み合わせは何だか不思議だ。
「いつの間にそんなことが…」
『よっぽど想いが通じ合っているのよ。こんな風になるのは滅多にないことなんだから。』
「そうか。それで話に移りたいのだが、良いだろうか?」
『ええ。いいわよ。』
「カミーリア。…シトロンという名前を聞いたことはあるか?」
『…シトロン?いいえ、聞いたことないわ。』
「そうか。それではまず、説明するところから始めることにしよう。いいか?」
「『ええ。』」
「まず、ヴィーは週に1度、寝ている間に意識を奪われていたようだ。」
それを聞いたリア本人は予想通り驚いているようだ。
「え。そんなこと気付かなかったわ。」
『私も気付かなかったわ。でも、何度かヴィクトリアの意識と離されたことがあるの。もしかしてその時かしら?』
「ああ。シトロンはヴィーの体を使って自身の樹に向けてエネルギーを分けていた。そして昨日、ゼノがシトロンと接触した。」
「はい。今までは知らないうちに深眠を掛けられていて、ヴィクトリア様が部屋から出るのにも気付きませんでした。」
『ヴィクトリアに甘い所を突かれたのね。』
「待って、自身の樹に向けてエネルギーをってことは、もしかして…」
「ああ。第二の生命の樹だと予想している。」
「『っ!』」
「わ、私の体にもう1つの生命の樹が宿っているの?」
『そんなこと未だかつてないわよ。』
信じられなさそうにリアとカミーリアは瞳を揺らしている。
「そんなことは可能なのかしら?」
『分からないわ。1つの生命の樹を支えるだけでもかなりの魔力と心を使うのよ。現に暴走だってしてるのだから…
いい状況だとは言えないと思うわ。』
「そ、そうよね…」
「私はシトロンと話をしてみたいのだが、カミーリアも知らないとすれば、ヴィーの意識の中にはいないということだよな。」
『ええ。きっと用事がある時だけ来ているのだと思うわ。』
「そのシトロンとゼノは何を話したの?」
「あまり話す時間はありませんでしたから、シトロンの名前と、俺の愛は美味しいから俺を気に入っていると言うことしか聞くことは出来ませんでした。」
ただ言われた事実を告げただけだったが、すぐにリアの表情が曇った。
『ちょっと、何ヴィクトリアの嫉妬心に火をつけているのよ。』
「…。」
確かに自分の恋人が他の女性に気に入られているのはあまりいい気はしないだろう。しかし、シトロンの場合、それは恋ではなくただの好物というだけなのだから、そんなに悲しい顔をしないでほしい。
それにシトロンが美味しいと言っていたのは俺のリアに対する愛情なのだから、嫉妬することが御門違いなのだ。
「リア。俺のリアに対する愛情が評価されているだけなのだから、そうヤキモチを妬かないでくれ。
俺はリアを幸せにしたいのであって、そんな顔をさせたいわけじゃないんだ。」
リアの意識が残っている右側の頬に触れ、ジッと視線を合わせると、リアは嬉しそうに頬を染めていた。
『あらあら、ヴィクトリアの前では本当に甘い顔をするんだから…。
私が出てきた時もそれくらい優しくしてくれてもいいのよ?』
「俺はリアだから優しくなるのであって、リアじゃなければ優しくする必要などない。」
「ゼノ。いつの間にヴィーのことをリアと呼ぶようになったんだ。」
「仕事とプライベートを分けているだけです。今はプライベートとしての俺の意見ですから呼び名がそうなってもおかしくはないでしょう。」
『本当ゼノはモテるでしょうね~。』
「人から好意を寄せられようと、俺が一生かけて愛するのはリアしかいませんので、モテようがモテまいが変わりません。」
『あーあ。私もそこまで愛されてみたいわ。やっぱりゼノの情熱的な愛はヴィクトリアにも生命の樹にも必要不可欠ね。』
「ええ。私もゼノしか愛せないもの…」
「ゼノの愛情というのはやはり凄いのか?」
『当たり前じゃない。こんなに情熱的な愛情がヴィクトリアの心に注がれるのよ。
酔いしれる程、美味しいものになるの。』
「ひとつ聞きたいのですが、カミーリアはどうやってヴィクトリア様から意識を出しているのですか?」
『まあ、簡単に言えばヴィクトリアが私をを認識してくれるからこうやって出やすくなっているのよ。
何度も生命の樹に足を運んで直接魔力を流してくれたんだもの。』
「直接。か。
ヴィー。階段の踊り場から見えたというその白い樹の所へ行ってみないか?」
「っ!そうね。何か分かるかもしれないし、私は賛成よ。」
「ゼノも良いだろうか?」
「はい。しかし1つ訂正があります。」
「なんだ?」
「シトロンはあの時綺麗なほど光り輝いていましたが、朝にはその光はありませんでした。」
「つまり魔力を渡した時だけということか。」
「はい。ですから、特別な樹だと思われないように行くべきかと思います。
誰かに気付かれれば最悪、樹は切られたり悪戯の標的になりかねませんし。」
「そうだな。まだどうするべきかの目処が立っていない今、騒ぎになるようなことは避けたい。」
「はい。ヴィクトリア様とシャノン卿が一緒に出歩くとなればかなり目立ちます。夜に行くか、変装して行くかしなければ、辿り着くのも困難かと思います。」
「ああ。分かった。
それでは変装の手配をしておこう。
執務は今日中に片付ける。
ヴィーも執務を残さないように頼んだぞ。
明日の朝、またここに集まるように。
いいな?」
「ええ。」
「はい。」
「カミーリアは申し訳ないが意識の中にいてもらうことになるだろう。」
『いいわよ。ヴィクトリアの中から様子を見させてもらうから。』
「ああ。何かあればまた呼ぶかもしれないが…」
『ええ。勿論いいわよ。それじゃ、私はこのまま消えるわね!また後でね。』
「…ああ、今日の執務はまだ終わっていないのか。」
「ええ。後で行ってくるわ。」
「ゼノ、ヴィーを頼んだぞ。」
「はい。かしこまりました。」
俺は部屋から出ていくシャノン卿に礼をし、残された俺とリアは少し休んでから執務へと出かけた。
「あ、ああ。今行こう。」
待たせすぎてしまっただろうか。
いや、でも以前俺が待たされた時間を考えれば俺の方が早く済んでいる。
それでも落ち着きなく俺をチラチラと伺うシャノン卿を無視することもできずに俺は口を開いた。
「どうか致しましたか?」
「あ、ああ。いや、随分と慣れたようだなと思ってな。」
それはきっとスキンシップの話だろうと分かった。
「慣れてはいません。未だにヴィクトリア様の反応が良いので初々しい気持ちでさせて頂いております。」
「っ。そんなにストレートに言うんじゃない。…ったく。」
そっぽを向いたシャノン卿からはいつもの余裕の笑みは見られなかった。
「そういえば、例の餞別はどこで買われたのですか?ストックが欲しいのですが。」
「んぐっ。も、もう無いのか⁈」
「え?ええ。1度使えば2度は使えませんし。」
「1度に何回しているんだ。お前はモンスターか何かか。」
「いえ。ヴィクトリア様を見ていれば何度だって可能です。それはヴィクトリア様だからであって、他の女性では勃つことすらきっとできないでしょう。」
サラッと本心からそう告げたのだが、シャノン卿は絶句していた。
「ヴィーもよく相手をしているものだな。」
「それが普通だと思ってくれておりますから、余計なことは教えないでくださると嬉しいです。
それに、休みの前の日にするようにしているので、仕事に支障はありません。」
「はぁぁ…。いつしているかが分かるようなことを言うんじゃない。」
シャノン卿は額に手を当てて溜め息を吐くのだ。聞かれたから答えたまでのことなのに、どうしてシャノン卿がダメージを負うのだろうか。
しかし、シャノン卿にとってリアは妹のような存在。妹の営みの頻度など知りたくはなかったのだろう。
俺がもし、シャガートとセレンナのそういう話を聞かせられたらやるせない気持ちになりかねない。
そう思うとなんだか申し訳ないとも思うようだ。
「…ヴィーは?」
「一応眠っていていいと伝えてあります。」
「そうか。カミーリアは出てこれるだろうか。」
「ええ。先程したばかりですし、可能かと。」
「…だからストレート過ぎるんだ。もう少し何か言い方はないのか。」
「シャノン卿に伝わるのなら同じことかと…」
「…はぁ。確かにそうだな。」
「とにかくカミーリアの考えも聞かないことにはいけませんから急ぎましょう。」
「ああ。」
会話をしながら向かった俺たちだったが、部屋に残したリアは眠るどころか椅子に座っていた。
「あれ?ヴィー。起きていたのか。」
「ええ。」
「疲れているなら寝ていて良かったんだぞ。」
シャノン卿は普通に墓穴を掘った。
その証拠にリアはみるみるうちに赤面するのだ。
それを見たシャノン卿は慌てて言い訳をしようとするが、見ているこっちが可哀想になる。
「あっ。いや、ヴィー。違うんだ。聞いていたとかではなくてだな!」
「何が違うのですか。シャノン兄様!」
リアとシャノン卿がぎゃあぎゃあと言い合いをする中、俺は冷静にリアにお兄様と呼ばれる妄想を繰り広げていた。
「コホン。それより、ヴィーが眠っていないとすれば睡眠薬を使うか?」
カミーリアと話すべく、それが必要になる為、俺は胸元に忍ばせてあるその薬の瓶に手を伸ばしたが、すぐにリアに止められた。
「あ、それなら必要ないわ。」
「え?どういうことです?」
「条件が揃っていれば、呼びかけるだけで出てきてくれるようになったの。」
「「え?」」
何ということだろうか。
そんなこと全く知らなかった。
「…カミーリア。」
ボソッとリアが呟くと、リアの片目は赤くなった。反対の目はいつも通りの黄色だ。
「本当にカミーリアなのか?」
『ええ。そうよ。』
「凄いでしょう?私の意識もそのままなの!」
クールなカミーリアと無邪気なリアの組み合わせは何だか不思議だ。
「いつの間にそんなことが…」
『よっぽど想いが通じ合っているのよ。こんな風になるのは滅多にないことなんだから。』
「そうか。それで話に移りたいのだが、良いだろうか?」
『ええ。いいわよ。』
「カミーリア。…シトロンという名前を聞いたことはあるか?」
『…シトロン?いいえ、聞いたことないわ。』
「そうか。それではまず、説明するところから始めることにしよう。いいか?」
「『ええ。』」
「まず、ヴィーは週に1度、寝ている間に意識を奪われていたようだ。」
それを聞いたリア本人は予想通り驚いているようだ。
「え。そんなこと気付かなかったわ。」
『私も気付かなかったわ。でも、何度かヴィクトリアの意識と離されたことがあるの。もしかしてその時かしら?』
「ああ。シトロンはヴィーの体を使って自身の樹に向けてエネルギーを分けていた。そして昨日、ゼノがシトロンと接触した。」
「はい。今までは知らないうちに深眠を掛けられていて、ヴィクトリア様が部屋から出るのにも気付きませんでした。」
『ヴィクトリアに甘い所を突かれたのね。』
「待って、自身の樹に向けてエネルギーをってことは、もしかして…」
「ああ。第二の生命の樹だと予想している。」
「『っ!』」
「わ、私の体にもう1つの生命の樹が宿っているの?」
『そんなこと未だかつてないわよ。』
信じられなさそうにリアとカミーリアは瞳を揺らしている。
「そんなことは可能なのかしら?」
『分からないわ。1つの生命の樹を支えるだけでもかなりの魔力と心を使うのよ。現に暴走だってしてるのだから…
いい状況だとは言えないと思うわ。』
「そ、そうよね…」
「私はシトロンと話をしてみたいのだが、カミーリアも知らないとすれば、ヴィーの意識の中にはいないということだよな。」
『ええ。きっと用事がある時だけ来ているのだと思うわ。』
「そのシトロンとゼノは何を話したの?」
「あまり話す時間はありませんでしたから、シトロンの名前と、俺の愛は美味しいから俺を気に入っていると言うことしか聞くことは出来ませんでした。」
ただ言われた事実を告げただけだったが、すぐにリアの表情が曇った。
『ちょっと、何ヴィクトリアの嫉妬心に火をつけているのよ。』
「…。」
確かに自分の恋人が他の女性に気に入られているのはあまりいい気はしないだろう。しかし、シトロンの場合、それは恋ではなくただの好物というだけなのだから、そんなに悲しい顔をしないでほしい。
それにシトロンが美味しいと言っていたのは俺のリアに対する愛情なのだから、嫉妬することが御門違いなのだ。
「リア。俺のリアに対する愛情が評価されているだけなのだから、そうヤキモチを妬かないでくれ。
俺はリアを幸せにしたいのであって、そんな顔をさせたいわけじゃないんだ。」
リアの意識が残っている右側の頬に触れ、ジッと視線を合わせると、リアは嬉しそうに頬を染めていた。
『あらあら、ヴィクトリアの前では本当に甘い顔をするんだから…。
私が出てきた時もそれくらい優しくしてくれてもいいのよ?』
「俺はリアだから優しくなるのであって、リアじゃなければ優しくする必要などない。」
「ゼノ。いつの間にヴィーのことをリアと呼ぶようになったんだ。」
「仕事とプライベートを分けているだけです。今はプライベートとしての俺の意見ですから呼び名がそうなってもおかしくはないでしょう。」
『本当ゼノはモテるでしょうね~。』
「人から好意を寄せられようと、俺が一生かけて愛するのはリアしかいませんので、モテようがモテまいが変わりません。」
『あーあ。私もそこまで愛されてみたいわ。やっぱりゼノの情熱的な愛はヴィクトリアにも生命の樹にも必要不可欠ね。』
「ええ。私もゼノしか愛せないもの…」
「ゼノの愛情というのはやはり凄いのか?」
『当たり前じゃない。こんなに情熱的な愛情がヴィクトリアの心に注がれるのよ。
酔いしれる程、美味しいものになるの。』
「ひとつ聞きたいのですが、カミーリアはどうやってヴィクトリア様から意識を出しているのですか?」
『まあ、簡単に言えばヴィクトリアが私をを認識してくれるからこうやって出やすくなっているのよ。
何度も生命の樹に足を運んで直接魔力を流してくれたんだもの。』
「直接。か。
ヴィー。階段の踊り場から見えたというその白い樹の所へ行ってみないか?」
「っ!そうね。何か分かるかもしれないし、私は賛成よ。」
「ゼノも良いだろうか?」
「はい。しかし1つ訂正があります。」
「なんだ?」
「シトロンはあの時綺麗なほど光り輝いていましたが、朝にはその光はありませんでした。」
「つまり魔力を渡した時だけということか。」
「はい。ですから、特別な樹だと思われないように行くべきかと思います。
誰かに気付かれれば最悪、樹は切られたり悪戯の標的になりかねませんし。」
「そうだな。まだどうするべきかの目処が立っていない今、騒ぎになるようなことは避けたい。」
「はい。ヴィクトリア様とシャノン卿が一緒に出歩くとなればかなり目立ちます。夜に行くか、変装して行くかしなければ、辿り着くのも困難かと思います。」
「ああ。分かった。
それでは変装の手配をしておこう。
執務は今日中に片付ける。
ヴィーも執務を残さないように頼んだぞ。
明日の朝、またここに集まるように。
いいな?」
「ええ。」
「はい。」
「カミーリアは申し訳ないが意識の中にいてもらうことになるだろう。」
『いいわよ。ヴィクトリアの中から様子を見させてもらうから。』
「ああ。何かあればまた呼ぶかもしれないが…」
『ええ。勿論いいわよ。それじゃ、私はこのまま消えるわね!また後でね。』
「…ああ、今日の執務はまだ終わっていないのか。」
「ええ。後で行ってくるわ。」
「ゼノ、ヴィーを頼んだぞ。」
「はい。かしこまりました。」
俺は部屋から出ていくシャノン卿に礼をし、残された俺とリアは少し休んでから執務へと出かけた。
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