上 下
21 / 22
第4章 動き出す魔の王

第21話 到着!魔王城!!!

しおりを挟む


俺達は武器や交渉に使う資源を今創った魔法、アイテムボックスに詰め込めまくっている。なぜかというと、交渉に使うからだ。この中の資源は、人族側の小国が持つ資源を遥かに上回る。魔族領は、作物が育てにくいし、鉄や金、ミスリルにアダマンタイトなどの鉱石も取れにくい。だから、この資源達も交渉に役立ってくれるだろうという願望を元に資源を片っ端から詰め込んでいるという訳だ。


「よし、こんなもんかな。」
と、大体支度が終わった。


「じゃ、魔族領土最大の王国、ディスカルド王国の王都に、いざ!転移!」
「「「おー!!!」」」


ヒュオン!
と、お馴染みの音と共に、景色が変わる。


「よーし。ついたな!!」


魔族の王都の門番に話しかける。


「あのぉ、すみませーん。」
俺がそういうと、

「ん?何だ?あれ、お前は...。まさか、人間か!や、やばい!すぐに魔王様に伝えないと!」
そういって血相を変えて、走り出してしまった。


「え!?いや、ちょっとまってくれ!俺は魔王に交渉をしに来たんだ!!」


「交渉だと?嘘をつけ!人族が魔族に交渉などする訳が無いだろう!お前らは勇者を召喚し同胞を虐殺する凶悪な存在だ!俺の誇りにかけて、人族を王都に入れるわけにはいかない!!!!」


「いやだから、交渉しに来たの!分かる?おーけー?とりあえず、話を聞いてくれ!俺はただ魔王軍に加担しに来ただけだ!!」


「人間が魔王軍に加担するぅ?そんな上手い話があるものか!!!」


「いや、だから本当なんだって!!」


「本当に、か?」


「あぁ、命かけてもいいぜ」


「そこまで言うなら、魔王様の耳には入れてやる。だが、会ってくださるかはお前の運次第だ。いいな?」


「OKだぜ。」
はぁ、やっとこれで会えるチャンスが貰えたな。


果たして結果はどうなのだろうか?



1時間後、衛兵から連絡があり、魔王が俺に会ってくれるそうだ。


「こっちへ来い!」
衛兵が大きな声で俺を呼んだ。


「分かった分かった」


街を歩いていると、みんな自分の家へこもり、俺に軽蔑の視線を向けている。
まぁ、それもそうか。人間対魔族という構図の戦争は、数千年に渡り行われており、その中で魔族は何度か和平を結ぼうとしたが、人間側が和平を結ぼうとした事は一度たりとも無く、魔族側の誘いも全て無視しているそうだ。人間は、魔族とは絶対に寄り添おうとはしない種族だ。というのが、魔族の中で浸透し過ぎている。まぁ、数千年も争ってたらそうなるよな....。


ここは魔族の王都、拠点のど真ん中にあたる。
さっきの事を踏まえると、よく聞いわする気になってくれたなぁ。と、ありがたみが湧いてきた。

数十分歩き、ようやく魔王城へ着いた。


「もう歩けないよぉ....。零人お兄ちゃん抱っこ~」
ナギがそう言ってきた。
確かに、疲れただろう。
いくらナギの種族がヴァンパイアロードだとしても、まだ7歳の子供だ。根を上げるのは当然だろう。


「はいはい、おんぶならしてあげるよ。」
そうナギに返すと、


「ありがとう!!」
と、満面の笑みでお礼を言ってきた。


俺が肩を下ろし、ナギが乗りやすい体勢を取ってやると、ヒョイと軽々背中に乗ってきた。


「よーし、じゃあ行くかぁ!」


魔王城の扉が開く。

中に入ると大勢の魔族が待機しており、強そうな奴がゴロゴロいた。

そうして、案内されたのは天にも登るかのような長さの階段。その高さは大気圏を突破している様にみえる。

こんな階段、普通に登っていてはキリがないので、最上階まで転移する事にした。
転移様々やなぁ...。


ヒュオン!と音がして、目を開くと、そこには1人の強大な力を感じる女がいた。


「貴方達が私とお話ししたいって言った人間なのね?」


「そうだ。」


「貴方一見強そうに見えないけど?」


「ん?あぁ、そりゃ力を常人レベルにまで抑えてるからな。そうしないと周りの人を気絶させまくっちまう。」


「ふぅん、それ程までに貴方は強いのかしら?」
魔王は少し挑発する様な口癖で言った。


「試してみるか?」


「是非。」


「それじゃあ。」


「えぇ。」


戦いの火蓋が落とされるーー。
しおりを挟む

処理中です...