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第2章 復讐と、本当の仲間。

第6話 エルミア

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俺は復讐を1つ終え、アエストロ王国の隣国。トット王国にて、引き取った奴隷の少女エルミアに合う服を見繕っている。透き通った白髪で、顔立ちも、今までの人生で見てきた中で、1番綺麗だと思える素敵な少女なのだが...

「この服着たいか?」
と、尋ねてみる。

「ご主人様のお好きなようにどうぞ。」
と、素っ気なく言う。
というかこの子、俺が質問したり、話しかけたりしない限り、絶対喋らない。めっちゃ無口だ。
会話が続かない。

「俺はあまり服に気を使えないんだ、だから、おまえにえらんでもらいたいのだが。」

「わかりました。」
そう言って彼女は1番安い服を選ぶ。

「いや、もうちょっと欲張ってもいいんだぞ?」

「これでいいです。」

こやつ中々強情だな。どうしたものか、俺はこの子を奴隷としてではなく、家族として扱いたい。

「これがいいんじゃないか?」
俺は精一杯の美的センスで白いワンピースを選ぶ。

「ご主人様はこういった服が好みでしたか。」

「いや、ただ普通に君に合いそうな服を選んだだけだ」

「そうですか、けれど、どうせ夜になれば私を犯すんでしょう。」

「?別にそんなことしないが?」

「そんな訳ないでしょう!!私を買ったご主人様は3人いました。1人目は、子爵の貴族で、私を犯すのを楽しみにしていましたが、私を持ち帰ろうとして暗殺されました。2人目は私の魔物に愛されし者という称号を知り、高く奴隷市場に出品しましたが、私はこわくて、助けて、と心から思ってしまい、称号の力が働き、市場に乱入した魔物に食い殺されました。3人目は王族です。王が街を凱旋していた時、目をつけられ、夜になるまで牢獄に閉じ込められていた所、貴方がたが来ました。私は出会ってきた主人全員にひどい扱いを受けました。どうせ、貴方もそうなんでしょう。」

少女は冷め切った目をして俺に言った。
コイツも大変だったんだな。
分かるよ俺も酷い扱いを受けてきたから。

「大変だったな。」
俺は慰めるように、優しく撫でるように、分かち合うように、慈愛に溢れた声で言った。

「あ、貴方になにが!分かるの!」

無口だった少女のようやく開きかけた心の扉、俺はそれを手放さない。

「分かるさ、俺も酷い人生だった。聞いてくれるか?」
それから、俺は異世界から来たこと、異世界に来る前に酷いいじめを受けていた事、ダンジョンで嵌められた事
洗いざらい全て話した。





「ごめんなさいあんな酷い事を言って。」
少女は謝ってくる。

「気にしないさ、俺が言われてきた罵詈雑言の嵐に比べれば、あんなの悪口にも入らない。」
俺は優しく笑いかけ、

「なぁ、エルミアって呼んでいいか?」
俺は聞く。

「もちろん。」
エルミアは笑って言った。

俺の本当の仲間ができた。




その夜、宿をふた部屋借り、俺がベッドにはいり、寝ようとすると、むにっと、何かが手に当たった。何だこれ、俺が確認しようと感触のある方を向くと、

薄い寝間着を着たエルミアがいた。

「えっち」
彼女はそう呟いた。

「は!?何でいんの!?え?ふた部屋借りたよな?」

「私、貴方の事好きになったから」
そう言った直後、馬乗りになって服を脱ぎ始めた。

その夜、零人は1つ、大人の階段を登ったという。





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プロフィール

エルミア
17歳
Lv.105
職業:超級魔術師
性別女

称号:魔物に愛されし者

スキル:魔物使役、全属性魔法使用可能。

備考:基本無口、だが桐崎に振り向いてもらう為、意識して話しかけようと心掛けている。



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魔法設定
基本属性







その他(幻影魔法、毒魔法、使役魔法.....等。)

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