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1章 魔女 扉を開ける
3 魔女と騎士 3
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「フェリア殿下!」
ギディオンが黒馬とともに木々の隙間を抜けた時、突然目の前に青い湖が広がった。
大きくはない。湖というよりもただの泉だ。
しかし、その水の色から深さと冷たさが伺える。
そして、岸辺からそう遠くないところに、彼の女主人と、もう一人の黒い影が水と格闘していた。実際に格闘していたのは黒い方だ。激しく上がる飛沫が二人の絶望を表している。
「今お助けします!」
ギディオンはもう一度声をあげると、馬を飛び降り、水に飛び込んだ。泉は予想通り深く、すぐに首まで水に浸かる。
いかん!
思ったよりもずっと水が冷たい。何の訓練も受けていない少女の体はすぐに凍えて力を失ってしまうだろう。
ギディオンはまとわりつく水を両手で押しのけた。
あと数歩で二人に手が届くと思った時、フェリアをかばって沈みかけていた黒い姿から、なにか波動のようなものが放たれた、ように見えた。
その瞬間、上から不自然な風が吹きつけ、二人を取り込もうとしていた水が緩やかにへこみ出したのだ。
風が水を押しているようにも、水が風を吸い寄せているようにも見える。二人の顔が水面に浮かび上がった。
なんだこれは!
しかし、考えている暇はない。ギディオンは力強く水底を蹴ると、両腕で二人とも抱え込んだ。抱き寄せた瞬間、左側の見知らぬ娘がこちらを見た。
黒い大きな瞳。
ほんの刹那の出来事だった。なぜならその瞳はすぐに閉じられてしまったから。
ギディオンはしっかり二人を抱きかかえると、ぐいぐいと岸に向かって進んた。左腕の握力は弱いが、黒い娘にはほとんど重さというものが感じられず、彼の膂力もあって抱えるのは容易だった。
程なく岸にたどり着く。
ギディオンがまず屈み込んだのは金髪の娘の方だ。
桃色のドレスはたっぷり水を含んで重くなっていて、美しく結われていた金髪も乱れている。顔色も悪い。しかし、水を飲んだ様子はなく、自分で呼吸をしている。怪我もしていないようだ。
おそらく、落馬のショックで気を失ったまま泉に突っ込んでしまったせいだろう。程なく気がつくと思われた。
しかし、このままではお体が冷えてしまう。と言って、俺が服を脱がすわけにもいかないし。さてどうするか。
とりあえず、自分の上着をかぶせることにして、ギディオンは隣に寝かしたもう一人に目を向けた。
それは見たところ、彼の主人であるフェリアとそう歳が変わらない見た目の娘だった。十代半ばというところか。
濡れた黒髪は長くもつれ、腰のあたりまである。なんの飾りもない黒い服を纏っている。肌にぴったりくっついて、痩せているのが一目でわかった。
しかし、ギディオンが注目したのはそんなことではない。
この紋様は?
すでに消えかかっているが、べったりと額に張り付いた前髪の隙間から奇妙な紋様が見えた。
髪を払いのけると、縄のようなものが複雑に絡まりあった紋様が現れた。白く輝くようにそれは額に浮かび上がっている。
しかし、彼が見ている前でその不思議な紋様は、肌に吸い込まれるように消えていった。
「これはどういうことだ……?」
その時、背後で小さく呻く声がして、ギディオンはすぐさまもう一人の娘へと向き直った。
「……んん」
「おお! フェリア様! お気がつかれましたか!」
「ギデ……オン? ギディ? ギディ! どこ?」
フェリアと呼ばれた金髪の娘が弱々しく腕を伸ばしている。咄嗟に彼はその腕をとった。
「は! 御前に! ここにおります!」
「わ、私……は?」
うっすらと見開かれた目は薄い紅色だった。
「どうなったの? ここは?」
「泉に落ちられたのです。ここは離宮の森です。かなり奥のようですが」
「い……ずみ?」
フェリアは身を起こそうともがいたが、水を吸ったドレスが重く絡みついている。ギディオンはご無礼、と断って助け起こした。
「殿下、苦しくはありませんか? どこか痛いところは?」
「……痛くはない……わ。私、ミレイから放り出された……のね?」
フェリアはギディオンに助け起こされながら辺りを見渡した。ミレイとは彼女の馬の名である。
「そのようです。ミレイが暴走したのです。私がついていながら申し訳ございませぬ」
「いいえ、あれは私が悪いのよ。で、ミレイは?」
「ここにはおりません。おそらく離宮に戻っていることでしょう。それより、お体を温めなくては。立てますか?」
「ええ。でも、服が濡れて気持ちが悪いわ。歩けるかしら」
「私の馬が近くにいるのでそれに。しかし、宮まではちょっと距離があるな……」
ギディオンが困ったように呟いた時、背中に小さな気配があった。
振り向くと、ぐっしょり濡れた黒髪を海藻のように纏わりつかせた小さな娘が立っていた。その瞳は闇夜のように黒い。
それはさっき、彼を一瞬だけ見た瞳。
「……お前は」
「ギディオン? その子は?」
フェリアが背中から顔を出す。
「はい。水に落ちたフェリア様を助けようとしていた者です。結局二人とも溺れかけましたが……お前、体は大事ないか?」
娘は答えられないように、自分を見上げていた。瞳だけが大きく見開かれている。
それはまるで吸い込まれそうな夜の色だった。
なんだこの目は。それにさっきの額の紋様……ただの娘とは思えない。
「お前は誰だ?」
ギディオンの目がにわかに厳しくなった。
しかし、娘は無防備に突っ立っているだけだ。顔立ちは悪くないが痩せっぽちで青白く、首など片手だけで縊り殺せそうだ。害意もなく、武器もないことは見ただけでわかる。
つまり自分の敵ではない。
それに、この娘はフェリアを助けようとして自分も溺れかけていた。その様子に嘘はなかった。
ギディオンは警戒を緩めた。
「誰だ?」
彼は再び尋ねた。痩せた頬を雫が滑り落ちる。娘は答えない。色の悪い唇が震えるように歪められただけだ。
「……もしかして、口がきけないのか?」
「い……いいえ!」
意外にもすぐに返事があった。
「ご立派な騎士さま。わたしはザザ……ザザといいます」
ああ、きれい。
戸惑ったように自分を覗き込んでいる男の瞳は、泉と同じ色。意識を失う寸前に焼きついた色だった。
「ザザか」
自分の名を呼ぶ低い声を、ザザは全身全霊で味わった。
男ははゆっくりと立ち上がった。屈んでいても大きく見えたのに、立ち上がると顔まで一層距離があった。
「……」
彼は紺色の服をまとっていた。その服はずぶ濡れでも非常に立派で、分厚く上質な生地でできている。腰には大きな剣を帯びていた。
「おい、大丈夫か?」
ザザが見惚れていると、男は怪訝そうに尋ねた。
「あ、はい。大丈夫です。騎士さま」
「この方を助けようとしてくれたことに礼を言う。私はギディオンという」
ギディオンさま。
美しい響きだった。聞いた瞬間に心に刻みつけられるような。
「怪しい者ではない。ただの護衛騎士だ。お前の家は近くなのか、ザザ?」
自分の名を呼ぶ低い声を、ザザは全身全霊で味わった。
「……ザザ?」
喉から声を絞り出すことができずに、ザザはかろうじて首を縦に振った。
「そうか、よかった。では、すまないが。我々を連れて行ってくれないか? この方を温めて差し上げたいのだ。礼はする」
「わかりました」
「フェリア様、お聞きになられましたか? 一旦この者の家に世話になりましょう」
ザザは、ギディオンが跪いて桃色の服を着た娘を助け起こすのを見ていた。
彼はとても丁寧に、恭しく接している。その娘がとても大切な存在なのだということは、世間知らずのザザにも伝わった。
そこに一頭の大きな黒馬がぽくぽくと近づいてきた。立派な馬具をつけていて、鞍の上には隼がとまっている。
「おお、ハーレイか、モスもいるな」
ギディオンは馬と隼に声をかけた。隼はずいぶん慣れているらしく、名を呼ばれるとひらりと肩に飛び乗った。ギディオンはその羽を撫でている。隼はザザを見つめていた。
「よしよし、いい子だ。モス、お前は宮に戻って皆を案内してこい。そら!」
隼は一声大きく鳴くと、男が指差す方角の空へ舞い上がった。フェリアが不安そうに身動ぐ。
「ギディオン?」
「モスなら大丈夫です。私の部下ならすぐに事情を察するでしょう。さぁ、フェ……お嬢様、馬にお乗りください」
ギディオンは娘を黒馬に助け上げると、自分は手綱を取ってザザを促す。
「ではザザ、案内を頼む」
「はい。ギディオンさま」
ザザは歩き出した。
動き出した運命に向かって。
ギディオンが黒馬とともに木々の隙間を抜けた時、突然目の前に青い湖が広がった。
大きくはない。湖というよりもただの泉だ。
しかし、その水の色から深さと冷たさが伺える。
そして、岸辺からそう遠くないところに、彼の女主人と、もう一人の黒い影が水と格闘していた。実際に格闘していたのは黒い方だ。激しく上がる飛沫が二人の絶望を表している。
「今お助けします!」
ギディオンはもう一度声をあげると、馬を飛び降り、水に飛び込んだ。泉は予想通り深く、すぐに首まで水に浸かる。
いかん!
思ったよりもずっと水が冷たい。何の訓練も受けていない少女の体はすぐに凍えて力を失ってしまうだろう。
ギディオンはまとわりつく水を両手で押しのけた。
あと数歩で二人に手が届くと思った時、フェリアをかばって沈みかけていた黒い姿から、なにか波動のようなものが放たれた、ように見えた。
その瞬間、上から不自然な風が吹きつけ、二人を取り込もうとしていた水が緩やかにへこみ出したのだ。
風が水を押しているようにも、水が風を吸い寄せているようにも見える。二人の顔が水面に浮かび上がった。
なんだこれは!
しかし、考えている暇はない。ギディオンは力強く水底を蹴ると、両腕で二人とも抱え込んだ。抱き寄せた瞬間、左側の見知らぬ娘がこちらを見た。
黒い大きな瞳。
ほんの刹那の出来事だった。なぜならその瞳はすぐに閉じられてしまったから。
ギディオンはしっかり二人を抱きかかえると、ぐいぐいと岸に向かって進んた。左腕の握力は弱いが、黒い娘にはほとんど重さというものが感じられず、彼の膂力もあって抱えるのは容易だった。
程なく岸にたどり着く。
ギディオンがまず屈み込んだのは金髪の娘の方だ。
桃色のドレスはたっぷり水を含んで重くなっていて、美しく結われていた金髪も乱れている。顔色も悪い。しかし、水を飲んだ様子はなく、自分で呼吸をしている。怪我もしていないようだ。
おそらく、落馬のショックで気を失ったまま泉に突っ込んでしまったせいだろう。程なく気がつくと思われた。
しかし、このままではお体が冷えてしまう。と言って、俺が服を脱がすわけにもいかないし。さてどうするか。
とりあえず、自分の上着をかぶせることにして、ギディオンは隣に寝かしたもう一人に目を向けた。
それは見たところ、彼の主人であるフェリアとそう歳が変わらない見た目の娘だった。十代半ばというところか。
濡れた黒髪は長くもつれ、腰のあたりまである。なんの飾りもない黒い服を纏っている。肌にぴったりくっついて、痩せているのが一目でわかった。
しかし、ギディオンが注目したのはそんなことではない。
この紋様は?
すでに消えかかっているが、べったりと額に張り付いた前髪の隙間から奇妙な紋様が見えた。
髪を払いのけると、縄のようなものが複雑に絡まりあった紋様が現れた。白く輝くようにそれは額に浮かび上がっている。
しかし、彼が見ている前でその不思議な紋様は、肌に吸い込まれるように消えていった。
「これはどういうことだ……?」
その時、背後で小さく呻く声がして、ギディオンはすぐさまもう一人の娘へと向き直った。
「……んん」
「おお! フェリア様! お気がつかれましたか!」
「ギデ……オン? ギディ? ギディ! どこ?」
フェリアと呼ばれた金髪の娘が弱々しく腕を伸ばしている。咄嗟に彼はその腕をとった。
「は! 御前に! ここにおります!」
「わ、私……は?」
うっすらと見開かれた目は薄い紅色だった。
「どうなったの? ここは?」
「泉に落ちられたのです。ここは離宮の森です。かなり奥のようですが」
「い……ずみ?」
フェリアは身を起こそうともがいたが、水を吸ったドレスが重く絡みついている。ギディオンはご無礼、と断って助け起こした。
「殿下、苦しくはありませんか? どこか痛いところは?」
「……痛くはない……わ。私、ミレイから放り出された……のね?」
フェリアはギディオンに助け起こされながら辺りを見渡した。ミレイとは彼女の馬の名である。
「そのようです。ミレイが暴走したのです。私がついていながら申し訳ございませぬ」
「いいえ、あれは私が悪いのよ。で、ミレイは?」
「ここにはおりません。おそらく離宮に戻っていることでしょう。それより、お体を温めなくては。立てますか?」
「ええ。でも、服が濡れて気持ちが悪いわ。歩けるかしら」
「私の馬が近くにいるのでそれに。しかし、宮まではちょっと距離があるな……」
ギディオンが困ったように呟いた時、背中に小さな気配があった。
振り向くと、ぐっしょり濡れた黒髪を海藻のように纏わりつかせた小さな娘が立っていた。その瞳は闇夜のように黒い。
それはさっき、彼を一瞬だけ見た瞳。
「……お前は」
「ギディオン? その子は?」
フェリアが背中から顔を出す。
「はい。水に落ちたフェリア様を助けようとしていた者です。結局二人とも溺れかけましたが……お前、体は大事ないか?」
娘は答えられないように、自分を見上げていた。瞳だけが大きく見開かれている。
それはまるで吸い込まれそうな夜の色だった。
なんだこの目は。それにさっきの額の紋様……ただの娘とは思えない。
「お前は誰だ?」
ギディオンの目がにわかに厳しくなった。
しかし、娘は無防備に突っ立っているだけだ。顔立ちは悪くないが痩せっぽちで青白く、首など片手だけで縊り殺せそうだ。害意もなく、武器もないことは見ただけでわかる。
つまり自分の敵ではない。
それに、この娘はフェリアを助けようとして自分も溺れかけていた。その様子に嘘はなかった。
ギディオンは警戒を緩めた。
「誰だ?」
彼は再び尋ねた。痩せた頬を雫が滑り落ちる。娘は答えない。色の悪い唇が震えるように歪められただけだ。
「……もしかして、口がきけないのか?」
「い……いいえ!」
意外にもすぐに返事があった。
「ご立派な騎士さま。わたしはザザ……ザザといいます」
ああ、きれい。
戸惑ったように自分を覗き込んでいる男の瞳は、泉と同じ色。意識を失う寸前に焼きついた色だった。
「ザザか」
自分の名を呼ぶ低い声を、ザザは全身全霊で味わった。
男ははゆっくりと立ち上がった。屈んでいても大きく見えたのに、立ち上がると顔まで一層距離があった。
「……」
彼は紺色の服をまとっていた。その服はずぶ濡れでも非常に立派で、分厚く上質な生地でできている。腰には大きな剣を帯びていた。
「おい、大丈夫か?」
ザザが見惚れていると、男は怪訝そうに尋ねた。
「あ、はい。大丈夫です。騎士さま」
「この方を助けようとしてくれたことに礼を言う。私はギディオンという」
ギディオンさま。
美しい響きだった。聞いた瞬間に心に刻みつけられるような。
「怪しい者ではない。ただの護衛騎士だ。お前の家は近くなのか、ザザ?」
自分の名を呼ぶ低い声を、ザザは全身全霊で味わった。
「……ザザ?」
喉から声を絞り出すことができずに、ザザはかろうじて首を縦に振った。
「そうか、よかった。では、すまないが。我々を連れて行ってくれないか? この方を温めて差し上げたいのだ。礼はする」
「わかりました」
「フェリア様、お聞きになられましたか? 一旦この者の家に世話になりましょう」
ザザは、ギディオンが跪いて桃色の服を着た娘を助け起こすのを見ていた。
彼はとても丁寧に、恭しく接している。その娘がとても大切な存在なのだということは、世間知らずのザザにも伝わった。
そこに一頭の大きな黒馬がぽくぽくと近づいてきた。立派な馬具をつけていて、鞍の上には隼がとまっている。
「おお、ハーレイか、モスもいるな」
ギディオンは馬と隼に声をかけた。隼はずいぶん慣れているらしく、名を呼ばれるとひらりと肩に飛び乗った。ギディオンはその羽を撫でている。隼はザザを見つめていた。
「よしよし、いい子だ。モス、お前は宮に戻って皆を案内してこい。そら!」
隼は一声大きく鳴くと、男が指差す方角の空へ舞い上がった。フェリアが不安そうに身動ぐ。
「ギディオン?」
「モスなら大丈夫です。私の部下ならすぐに事情を察するでしょう。さぁ、フェ……お嬢様、馬にお乗りください」
ギディオンは娘を黒馬に助け上げると、自分は手綱を取ってザザを促す。
「ではザザ、案内を頼む」
「はい。ギディオンさま」
ザザは歩き出した。
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