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62 宴の夜 1
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「リザ様、本当に大丈夫ですか?」
ニーケが心配そうに鏡の中のリザに声をかける。虚像だけでなく、実際の女主も顔色もいつも以上に白い。
「ええ。平気よ。でも気になるなら、紅を少しだけ刷いてちょうだい」
リザは鏡に向かって微笑むふりをした。自分ながら、その顔色は蝋人形のようだと思ったのだ。
狩りの後、広場では取った獲物の解体作業が行われた。
血抜きをした獣からはなんとも言えない匂いが立ち上り、生まれて初めて見た、開かれた動物の体に、ニーケはたちまち気分が悪くなってしまった。パーセラもだめだったようで、夫に付き添われて一足先に城に戻っている。
「あらあら、さすがに都育ちのお嬢様はお気が弱くていらっしゃる」
アンテは親切そうにニーケを木陰で休ませてやった。
「大丈夫か?」
ニーケの様子を見に来たエルランドは、ニーケよりもリザの顔色に驚いた。
「リザ! 真っ青だぞ!」
「……そうですか?」
リザは差し出されたエルランドの手が触れぬように一歩下がった。それに気がつかぬエルランドではない。
「どうした、リザも気分が悪いのか?」
「いえ……でも、確かにそうかもしれません。動物を解体するのを見たのは初めてなので……」
リザはエルランドの腕を見つめている。さっきウルリーケを抱いていた腕だ。今はその腕に触れられたくなかった。
この言葉は説得力があったようで、エルランドはすぐに頷いた。
「確かに、王宮から出たことのないリザには恐ろしいかもしれないな。今まで解体を手伝っていたから、俺の手からも血の匂いがするだろう。食欲はあるか?」
「しょくよく?」
リザは彼が何を言っているのか、意味がわからないように繰り返したが、力なく首を振った。
「申し訳ありません。女主として情けないのですけれど、ニーケと一緒にお城に帰ってもよろしいでしょうか? パーセラさんのことも心配ですし。今夜の宴までには必ず、気持ちを立て直しますから」
「……リザ?」
エルランドはリザの口調に眉を顰め、口を開きかけたが、すぐにアンテが心配そうに遮った。
「リザ様、是非そうなさいませ。コルに送らせましょう」
「ありがとう、アンテ」
「……俺がついてやればいいのだが」
「エルランド殿! 皆が待っておりますぞ! どの鹿か一番重いか賭けようということになりましてな!
ナント侯爵が、向こうから大声でエルランドを呼ばわった。
「お客様を待たせてはなりませんわ。私ならへいきです……いつもそうでしたし。では失礼いたします。エルランド様」
「……」
何か言いたげなエルランドを残し、リザはニーケと城に戻ったのだった。
それから五時間以上が過ぎて、ニーケはすっかり元気を取り戻している。
彼女は新しい服に身を包んでいて、すっかり身支度を整えてから、ターニャと共にリザの着付けを手伝っているのだ。
今夜のリザのドレスは、パーセラが描いた意匠通りに、仕立て屋姉妹と指先自慢の村の女たちが仕上げた、リザの初めての夜会用のドレスだった。
それはウィルターが、一巻きだけ商品の中に入れていた真珠色の絹。
大袈裟な飾りはないが、リザの姿を映させる上品な仕上がりになっていた。真っ白ではないので温かみがあり、周りの色を反映させる布地だった。リザの黒髪も柔らかく影を落としている。
言われたようにニーケはリザの頬と唇に紅をさす。パーセラのおかげで化粧品もようやく整ったので、リザの肌は最近ますます艶めいてきた。
ただ、顔色だけが優れなかった。
「お美しいですわ。さぁ、お顔をお上げになって」
「……」
黒髪は脇だけを耳の前に垂らし、あとは首の後ろで結っている。本来なら、もっと高い位置で結い上げれば華やかさが出るのだが、残念ながらリザの髪はまだそこまで伸びてはいない。
短い髪が豊かに見えるように、巧みに張り出しを作ったのは、最近髪結いを頑張っているターニャの仕事だった。後ろから見ると、まるで髪が重なり合った花びらのように見える。
「リザ様、エルランド様からのお届けものです」
そう言って入ってきたパーセラは綺麗な小箱を開けると、中には真珠の装飾品が入っていた。
「パーセラ様、もう大丈夫ですか?」
ニーケが心配そうに声をかける。
「ええ、すっかり。獣の匂いに参っただけですから。それよりご覧ください! こちらは髪に刺す櫛で、これはお耳に、連なったものは首飾りですよ。今朝、都から届いたものだそうです。見事でしょう? お付けいたしますわ」
「いらない!」
思わず声を上げてからリザは自分に驚いた。
ニーケもターニャも、初めて聞くリザの大声にびっくりしている。
「リザ様?」
「いえ、ごめんなさい。急に声を上げてしまって。でも……こんな高価な真珠は私に似合わないと思ったの」
「何をおっしゃいます。黒髪に真珠が映えない訳がありませんわ」
リザの言い訳に耳を貸さず、パーセラとニーケはリザをどんどん飾り立てていった。
そして月が昇り始める。
秋の澄んだ夜気に、それはとても大きく見えた。
「さぁ、ご領主様、リザ様を見てください!」
ターニャがエルランドを連れて入ってきたが、リザはそちらを向くことができなかった。
だから、エルランドは見たのはリザの後ろ姿だった。そして侍女達はいつの間にかいなくなる。いつものように。
だが、リザは今ほど、エルランドと二人きりになりたくないと思ったことはなかった。
「体調はもういいのか?」
「はい。いつもご迷惑ばかりかけて申し訳ありません」
話しかけられて、リザはようやく振り返った。それでも真正面から彼を見るのは難しく、斜め前の床を見つめている。
「リザ」
リザが必死の思いで取った距離を、エルランドはたった一歩で詰めてしまった。
「どうした、何があった」
その問いは疑問形ではなかった。
「どうしてそんな話し方をする。言ってみなさい」
「……こんな服も飾りも、私には似合わないと思って」
「誰かにそう言われたのか?」
「いいえ。今日、カラス百合という花を見たのです。黒に近い花びらをしていて、私そっくりだなって思って……」
「カラス百合? 知らないな」
花などに興味を持ったことのないエルランドは首を捻った。リザは彼から離れる機会ができたと思って、昼間写生した手帳を見せる。
「これです」
「へぇ。こんな花があるのか……知らなかった。しかしよく描けている。リザは本当に器用だな」
「……」
「どこに生えていた?」
「……森の入り口近くの高台です。お昼前に登ったのです。皆さんが戻ってくるのが見えましたわ」
リザはその説明で、エルランドが何か気がつくかと思ったのだが、彼の態度は予想外のものだった。
「あんなところに登ったのか!」
叱りつけるような口調に、リザは思わず半歩下がった。
「結構急斜面だったろう? 危ないじゃないか」
「あ、アンテが連れていってくれたの」
「あのぅ……そろそろお時間でございますが……」
ニーケが遠慮しながら顔を出した。
「そうか。リザ、顔を上げなさい。大きな声を出して悪かった。あんなところに登って怪我をしたら大変だと思ったんだ」
「……」
リザはほんの少し顔を上げた。
「今夜のリザもとても綺麗だ。だが、そんな目で見上げるのは俺だけにしてほしい。舞踏もあるが、俺以外の男とは踊らないように」
「踊りませんわ。だって私、踊れないんですもの」
「ああ、そうだったか」
エルランドは、リザの不安の原因がわかったような気がした。
あの離宮で、ほとんど人にも会わずに暮らしていたリザに、舞踏ができるとは思えない。宴の話になるたびにリザが少し暗い顔をしていたのは、そのせいでもあったのだ。そこを考えつかなかった自分の配慮のなさに腹が立った。
「俺も舞踏は苦手だ。傭兵だった頃、貴族に招かれ、何度か夜会に行った程度だからな。それも、資金を供出してもらうために渋々行ったのさ」
「ナント侯爵様のお屋敷にも?」
「ああ。何度か招待されたことがある」
自分の言葉がリザをさらに怯ませたことに、エルランドは気がついていない。
「私は見ておりますので、エルランド様は、どうぞウルリーケ様と踊ってくださいませ」
「客人のご婦人とは踊らなければならないのは、主の務めでもあるから仕方がないが、俺はリザと踊りたい」
「でもだって、踊れないから」
「心配ない。それよりも」
エルランドはリザの顎を捉えた。口づけたいが、せっかくの紅が取れてしまう。彼はいつもより白い額に唇を落とすだけに留めた。
触れた瞬間、リザの肌に震えが走る。それがエルランドの眉を顰めさせた。
きっと、まだ何かある。俺が知らない何かが。
話し方も固い。
「この瞳に見える憂いの方が心配だ。リザ、必要以上に自分を卑下するな。不安もあるだろうが、俺がついている。この花もきっと美しいに違いない」
エルランドは傍の写生を指さす。
「不慣れなリザに、いろいろ無理を強いているのはわかっている。だが、明日には客達も帰るだろう」
「大丈夫。私はこの城の女主の役目を果たしてみせます」
そう言ってリザは毅然と顔を上げた。
この上、惨めに落ち込んだ顔をウルリーケやアンテに見られたくないと思ったのだ。
「この宴が終わったら、少し時間ができる。ゆっくり話をしような……リザ」
「行きましょう。宴が始まりますわ」
そう言ってリザは、差し出された腕を取った。
*****
また一つ、リザちゃんの特徴が、明らかになりました(実は作者も同じです)。
Twitterにリザのドレスと髪型のイメージがあります。
ニーケが心配そうに鏡の中のリザに声をかける。虚像だけでなく、実際の女主も顔色もいつも以上に白い。
「ええ。平気よ。でも気になるなら、紅を少しだけ刷いてちょうだい」
リザは鏡に向かって微笑むふりをした。自分ながら、その顔色は蝋人形のようだと思ったのだ。
狩りの後、広場では取った獲物の解体作業が行われた。
血抜きをした獣からはなんとも言えない匂いが立ち上り、生まれて初めて見た、開かれた動物の体に、ニーケはたちまち気分が悪くなってしまった。パーセラもだめだったようで、夫に付き添われて一足先に城に戻っている。
「あらあら、さすがに都育ちのお嬢様はお気が弱くていらっしゃる」
アンテは親切そうにニーケを木陰で休ませてやった。
「大丈夫か?」
ニーケの様子を見に来たエルランドは、ニーケよりもリザの顔色に驚いた。
「リザ! 真っ青だぞ!」
「……そうですか?」
リザは差し出されたエルランドの手が触れぬように一歩下がった。それに気がつかぬエルランドではない。
「どうした、リザも気分が悪いのか?」
「いえ……でも、確かにそうかもしれません。動物を解体するのを見たのは初めてなので……」
リザはエルランドの腕を見つめている。さっきウルリーケを抱いていた腕だ。今はその腕に触れられたくなかった。
この言葉は説得力があったようで、エルランドはすぐに頷いた。
「確かに、王宮から出たことのないリザには恐ろしいかもしれないな。今まで解体を手伝っていたから、俺の手からも血の匂いがするだろう。食欲はあるか?」
「しょくよく?」
リザは彼が何を言っているのか、意味がわからないように繰り返したが、力なく首を振った。
「申し訳ありません。女主として情けないのですけれど、ニーケと一緒にお城に帰ってもよろしいでしょうか? パーセラさんのことも心配ですし。今夜の宴までには必ず、気持ちを立て直しますから」
「……リザ?」
エルランドはリザの口調に眉を顰め、口を開きかけたが、すぐにアンテが心配そうに遮った。
「リザ様、是非そうなさいませ。コルに送らせましょう」
「ありがとう、アンテ」
「……俺がついてやればいいのだが」
「エルランド殿! 皆が待っておりますぞ! どの鹿か一番重いか賭けようということになりましてな!
ナント侯爵が、向こうから大声でエルランドを呼ばわった。
「お客様を待たせてはなりませんわ。私ならへいきです……いつもそうでしたし。では失礼いたします。エルランド様」
「……」
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それから五時間以上が過ぎて、ニーケはすっかり元気を取り戻している。
彼女は新しい服に身を包んでいて、すっかり身支度を整えてから、ターニャと共にリザの着付けを手伝っているのだ。
今夜のリザのドレスは、パーセラが描いた意匠通りに、仕立て屋姉妹と指先自慢の村の女たちが仕上げた、リザの初めての夜会用のドレスだった。
それはウィルターが、一巻きだけ商品の中に入れていた真珠色の絹。
大袈裟な飾りはないが、リザの姿を映させる上品な仕上がりになっていた。真っ白ではないので温かみがあり、周りの色を反映させる布地だった。リザの黒髪も柔らかく影を落としている。
言われたようにニーケはリザの頬と唇に紅をさす。パーセラのおかげで化粧品もようやく整ったので、リザの肌は最近ますます艶めいてきた。
ただ、顔色だけが優れなかった。
「お美しいですわ。さぁ、お顔をお上げになって」
「……」
黒髪は脇だけを耳の前に垂らし、あとは首の後ろで結っている。本来なら、もっと高い位置で結い上げれば華やかさが出るのだが、残念ながらリザの髪はまだそこまで伸びてはいない。
短い髪が豊かに見えるように、巧みに張り出しを作ったのは、最近髪結いを頑張っているターニャの仕事だった。後ろから見ると、まるで髪が重なり合った花びらのように見える。
「リザ様、エルランド様からのお届けものです」
そう言って入ってきたパーセラは綺麗な小箱を開けると、中には真珠の装飾品が入っていた。
「パーセラ様、もう大丈夫ですか?」
ニーケが心配そうに声をかける。
「ええ、すっかり。獣の匂いに参っただけですから。それよりご覧ください! こちらは髪に刺す櫛で、これはお耳に、連なったものは首飾りですよ。今朝、都から届いたものだそうです。見事でしょう? お付けいたしますわ」
「いらない!」
思わず声を上げてからリザは自分に驚いた。
ニーケもターニャも、初めて聞くリザの大声にびっくりしている。
「リザ様?」
「いえ、ごめんなさい。急に声を上げてしまって。でも……こんな高価な真珠は私に似合わないと思ったの」
「何をおっしゃいます。黒髪に真珠が映えない訳がありませんわ」
リザの言い訳に耳を貸さず、パーセラとニーケはリザをどんどん飾り立てていった。
そして月が昇り始める。
秋の澄んだ夜気に、それはとても大きく見えた。
「さぁ、ご領主様、リザ様を見てください!」
ターニャがエルランドを連れて入ってきたが、リザはそちらを向くことができなかった。
だから、エルランドは見たのはリザの後ろ姿だった。そして侍女達はいつの間にかいなくなる。いつものように。
だが、リザは今ほど、エルランドと二人きりになりたくないと思ったことはなかった。
「体調はもういいのか?」
「はい。いつもご迷惑ばかりかけて申し訳ありません」
話しかけられて、リザはようやく振り返った。それでも真正面から彼を見るのは難しく、斜め前の床を見つめている。
「リザ」
リザが必死の思いで取った距離を、エルランドはたった一歩で詰めてしまった。
「どうした、何があった」
その問いは疑問形ではなかった。
「どうしてそんな話し方をする。言ってみなさい」
「……こんな服も飾りも、私には似合わないと思って」
「誰かにそう言われたのか?」
「いいえ。今日、カラス百合という花を見たのです。黒に近い花びらをしていて、私そっくりだなって思って……」
「カラス百合? 知らないな」
花などに興味を持ったことのないエルランドは首を捻った。リザは彼から離れる機会ができたと思って、昼間写生した手帳を見せる。
「これです」
「へぇ。こんな花があるのか……知らなかった。しかしよく描けている。リザは本当に器用だな」
「……」
「どこに生えていた?」
「……森の入り口近くの高台です。お昼前に登ったのです。皆さんが戻ってくるのが見えましたわ」
リザはその説明で、エルランドが何か気がつくかと思ったのだが、彼の態度は予想外のものだった。
「あんなところに登ったのか!」
叱りつけるような口調に、リザは思わず半歩下がった。
「結構急斜面だったろう? 危ないじゃないか」
「あ、アンテが連れていってくれたの」
「あのぅ……そろそろお時間でございますが……」
ニーケが遠慮しながら顔を出した。
「そうか。リザ、顔を上げなさい。大きな声を出して悪かった。あんなところに登って怪我をしたら大変だと思ったんだ」
「……」
リザはほんの少し顔を上げた。
「今夜のリザもとても綺麗だ。だが、そんな目で見上げるのは俺だけにしてほしい。舞踏もあるが、俺以外の男とは踊らないように」
「踊りませんわ。だって私、踊れないんですもの」
「ああ、そうだったか」
エルランドは、リザの不安の原因がわかったような気がした。
あの離宮で、ほとんど人にも会わずに暮らしていたリザに、舞踏ができるとは思えない。宴の話になるたびにリザが少し暗い顔をしていたのは、そのせいでもあったのだ。そこを考えつかなかった自分の配慮のなさに腹が立った。
「俺も舞踏は苦手だ。傭兵だった頃、貴族に招かれ、何度か夜会に行った程度だからな。それも、資金を供出してもらうために渋々行ったのさ」
「ナント侯爵様のお屋敷にも?」
「ああ。何度か招待されたことがある」
自分の言葉がリザをさらに怯ませたことに、エルランドは気がついていない。
「私は見ておりますので、エルランド様は、どうぞウルリーケ様と踊ってくださいませ」
「客人のご婦人とは踊らなければならないのは、主の務めでもあるから仕方がないが、俺はリザと踊りたい」
「でもだって、踊れないから」
「心配ない。それよりも」
エルランドはリザの顎を捉えた。口づけたいが、せっかくの紅が取れてしまう。彼はいつもより白い額に唇を落とすだけに留めた。
触れた瞬間、リザの肌に震えが走る。それがエルランドの眉を顰めさせた。
きっと、まだ何かある。俺が知らない何かが。
話し方も固い。
「この瞳に見える憂いの方が心配だ。リザ、必要以上に自分を卑下するな。不安もあるだろうが、俺がついている。この花もきっと美しいに違いない」
エルランドは傍の写生を指さす。
「不慣れなリザに、いろいろ無理を強いているのはわかっている。だが、明日には客達も帰るだろう」
「大丈夫。私はこの城の女主の役目を果たしてみせます」
そう言ってリザは毅然と顔を上げた。
この上、惨めに落ち込んだ顔をウルリーケやアンテに見られたくないと思ったのだ。
「この宴が終わったら、少し時間ができる。ゆっくり話をしような……リザ」
「行きましょう。宴が始まりますわ」
そう言ってリザは、差し出された腕を取った。
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