44 / 57
43 戦いの島へ 2
しおりを挟む
その島は自然が作ったものではない。
『エーヴィルの塔』の呼び名で、大陸中に恐怖を撒き散らしているそれは、奇岩でできているので、不吉な造形作品にも見える。おまけに麓は黒い樹海だった。
しかし、自然界ではあり得ないその造形、山から吹き降りてくる瘴気が、この島がエニグマの魔力で作られたことを示していた。
「くそっ! ただ見上げるだけで、冷や汗が噴き出るぜ!」
ブルーが忌々しそうに吐き捨てた。
他のデューンブレイドの戦士達も、顔色をなくして不気味な樹海の奥にあるその山を見上げている。
「まだ海上にいるってのに、なんだこの威圧感は!」
「島内の森や山に、一体どれだけのギマが潜んでいるのかと思うと、さっき食った昼飯を吐きそうだ」
歴戦の勇姿であるオーカーでさえ、軽口が冗談に聞こえなさそうな顔つきだ。若いビリディなどはすでに口元を抑えている。
それほどの魔島。
「まぁしかし、ここまで来ちまったからにはなぁ。何にもしねぇで引き返すわけにもいくまいよ」
「その通りだ。若きデューンブレイドの長よ。ここは作戦通りに行こう」
ブルーの言葉に、クチバが珍しく口を挟んだ。
彼はかつて地下組織<シグル>の構成員として、非人道的な任務をいくつもくぐり抜けてきた経験があるのだ。
彼だけは絶望的な顔で見上げる若者達の中で、普段通りの顔をしていた。
いや、もう一人。
「カーネリアの船に合図を送れ」
ナギが中央帆柱の見張に向かって手を上げる。
皆より高いところにいて、山の影響を真近にうけているはずのイスカの守備隊員は、それでも背後の船団に向かって勇敢に旗を振った。
油をたっぷり詰めて発火装置を備えた砲弾を、島の中央の山に向かって放とうというのである。
最初は発火しやすい紅油の砲弾、次に長く燃えて広範囲を焼き尽くす黄油の砲弾の二段攻撃であった。
「撃て」
ブルーが即席で作ったレジメントの三色旗を大きく振る。
ドン ドドーン!
カーネリアの指揮下の五隻の軍艦は、エーヴィルの塔に向かって最初の砲撃を始めた。
「始まった!」
魔女エニグマとの決戦の火蓋が切って落とされたのだ。
「いいぞ! 山肌が抉られている! 周囲の森にも打ち込め!」
砲撃は約三十分の間、休みなく続けられた。
数発撃てば、砲身が熱を持って変形しやすくなるため、しばらく覚まさなくてはならない。くみおいた海水を使って冷やすのだが、あまりの激しさに水蒸気で船の周囲がけぶって見えるほどだった。
「打ち方やめ!」
ブルーの合図で、砲撃が停止した。
風で煙幕が腫れる数秒の間、兵士たちは固唾を飲んで攻撃の成果がどのようなものか見守る。
「上! 上を見てください!」
澄んだ声が皆の頭の中に響いた。レーゼだ。
一斉に皆が上空を見上げる。
「ギセラだ!」
空を覆うほどの巨鳥ギセラの大群が沖からこちらへと向かっている。総数百羽はいるだろうか?
彼らの翼は大きく、嘴は鋭い。
「なんでギセラが!?」
ギセラは基本人に慣れない。しかも飛翔能力が高く、捕獲も難しいのだ。レーゼに懐いているカールは、例外中の例外である。
「エニグマに操られている!」
エニグマはなんらかの魔法で、ギセラの脳に働きかけて屈服させたのだろう。ギセラは通常は群れを作ることはないので、その魔力の範囲は非常に広大なものになったに違いない。
「来るぞ!」
先頭の大きなギセラが、中央帆柱の見張台の兵士に攻撃を仕掛けた。
さすがに鳥の力で、人一人は持ち上げられないが、嘴の攻撃で兵士はすでに血まみれで、狭い台の下にうずくまっている。
「目を狙われるぞ! 全員兜を被れ! 目と頭を守れ!」
「くそっ! この怪物め!」
ブルー達、体調格が必死で叫ぶ。ギセラは十隻の船全てに攻撃を仕掛けていた。遠くから見れば、船は真っ黒に見えたろう。
兵士たちは面頬をおろした兜で、必死に応戦するが、狭い船上では思うように剣が奮えない。柔らかい所を食いちぎられて大怪我をする者も出始めた。
「刀子だ! 刀子かクナイで応戦しろ!」
指示を出したのはナギだ。
彼は兜も被らず、鉢金だけで頭を守り、得物を剣から、やや刃の長い短刀に代えて両手に構えている。
ギシェエエエエ!
ナギは帆柱を背にし、襲い掛かるギセラの嘴を躱しざま、喉を掻っ切っていった。大きいとは言っても、所詮は鳥なので、骨は華奢にできている。
たちまちナギの周囲には、ギセラの死体が積み上がった。
「見ておけ!」
ナギは一番大きなギセラの死体の首にロープをかけ、帆柱を駆け上がる。
物見台には気を失った兵士が倒れていたが、ナギは構わずに、帆柱の間を渡っているロープにギセラを吊るした。
「他の船にも伝えろ! 吊るせ!」
効果はてきめんだった。
ギセラは鳥の中では知能が高い。
仲間の死体が吊り下げられているのを見て、恐れを成したのか、一斉に叫び声を上げながら船から遠ざかる。
たちまちその数は半分以下に減っていた。そこへカーネリアの船から弓矢が放たれる。
燃えて海に落ちた鳥は、これまた獰猛な魚達に食いつかれている。小さいが鋭い歯を持つ平たい魚だ。普段はおそらく深海にいる種類だろうが、なぜか海面近くに集まってきているのだ。
「すげぇ……」
サップが真っ青になって海面を覗き込んでいた。
海面が激しく沸き立ち、表層の水が真っ赤に染まっている。人間が海に落ちても同じ運命をたどることになるだろう。魔女の力は魚類にまで及ぶのか。
「空も海も油断できないな」
ブルーが難しい顔で呟く。
「ギセラや魚を操っているのは」
「間違いなく厄災の魔女でしょう」
クチバは、最後に船に残ったギセラの首をへし折りながら答えた。
「しかし、我々は確実にエニグマを追い詰めています。でなければここまで辿り着くこともできなかったでしょうから」
「そういうことだ」
ナギも静かに答えた。
この船の奥の船室にはレーゼがいる。ナギから絶対に出てこないように厳命されたことを素直に守っているのだ。
しかし、もうそれも終わりだ。
『行きましょう。あの島へ』
声はそう告げた。
『エーヴィルの塔』の呼び名で、大陸中に恐怖を撒き散らしているそれは、奇岩でできているので、不吉な造形作品にも見える。おまけに麓は黒い樹海だった。
しかし、自然界ではあり得ないその造形、山から吹き降りてくる瘴気が、この島がエニグマの魔力で作られたことを示していた。
「くそっ! ただ見上げるだけで、冷や汗が噴き出るぜ!」
ブルーが忌々しそうに吐き捨てた。
他のデューンブレイドの戦士達も、顔色をなくして不気味な樹海の奥にあるその山を見上げている。
「まだ海上にいるってのに、なんだこの威圧感は!」
「島内の森や山に、一体どれだけのギマが潜んでいるのかと思うと、さっき食った昼飯を吐きそうだ」
歴戦の勇姿であるオーカーでさえ、軽口が冗談に聞こえなさそうな顔つきだ。若いビリディなどはすでに口元を抑えている。
それほどの魔島。
「まぁしかし、ここまで来ちまったからにはなぁ。何にもしねぇで引き返すわけにもいくまいよ」
「その通りだ。若きデューンブレイドの長よ。ここは作戦通りに行こう」
ブルーの言葉に、クチバが珍しく口を挟んだ。
彼はかつて地下組織<シグル>の構成員として、非人道的な任務をいくつもくぐり抜けてきた経験があるのだ。
彼だけは絶望的な顔で見上げる若者達の中で、普段通りの顔をしていた。
いや、もう一人。
「カーネリアの船に合図を送れ」
ナギが中央帆柱の見張に向かって手を上げる。
皆より高いところにいて、山の影響を真近にうけているはずのイスカの守備隊員は、それでも背後の船団に向かって勇敢に旗を振った。
油をたっぷり詰めて発火装置を備えた砲弾を、島の中央の山に向かって放とうというのである。
最初は発火しやすい紅油の砲弾、次に長く燃えて広範囲を焼き尽くす黄油の砲弾の二段攻撃であった。
「撃て」
ブルーが即席で作ったレジメントの三色旗を大きく振る。
ドン ドドーン!
カーネリアの指揮下の五隻の軍艦は、エーヴィルの塔に向かって最初の砲撃を始めた。
「始まった!」
魔女エニグマとの決戦の火蓋が切って落とされたのだ。
「いいぞ! 山肌が抉られている! 周囲の森にも打ち込め!」
砲撃は約三十分の間、休みなく続けられた。
数発撃てば、砲身が熱を持って変形しやすくなるため、しばらく覚まさなくてはならない。くみおいた海水を使って冷やすのだが、あまりの激しさに水蒸気で船の周囲がけぶって見えるほどだった。
「打ち方やめ!」
ブルーの合図で、砲撃が停止した。
風で煙幕が腫れる数秒の間、兵士たちは固唾を飲んで攻撃の成果がどのようなものか見守る。
「上! 上を見てください!」
澄んだ声が皆の頭の中に響いた。レーゼだ。
一斉に皆が上空を見上げる。
「ギセラだ!」
空を覆うほどの巨鳥ギセラの大群が沖からこちらへと向かっている。総数百羽はいるだろうか?
彼らの翼は大きく、嘴は鋭い。
「なんでギセラが!?」
ギセラは基本人に慣れない。しかも飛翔能力が高く、捕獲も難しいのだ。レーゼに懐いているカールは、例外中の例外である。
「エニグマに操られている!」
エニグマはなんらかの魔法で、ギセラの脳に働きかけて屈服させたのだろう。ギセラは通常は群れを作ることはないので、その魔力の範囲は非常に広大なものになったに違いない。
「来るぞ!」
先頭の大きなギセラが、中央帆柱の見張台の兵士に攻撃を仕掛けた。
さすがに鳥の力で、人一人は持ち上げられないが、嘴の攻撃で兵士はすでに血まみれで、狭い台の下にうずくまっている。
「目を狙われるぞ! 全員兜を被れ! 目と頭を守れ!」
「くそっ! この怪物め!」
ブルー達、体調格が必死で叫ぶ。ギセラは十隻の船全てに攻撃を仕掛けていた。遠くから見れば、船は真っ黒に見えたろう。
兵士たちは面頬をおろした兜で、必死に応戦するが、狭い船上では思うように剣が奮えない。柔らかい所を食いちぎられて大怪我をする者も出始めた。
「刀子だ! 刀子かクナイで応戦しろ!」
指示を出したのはナギだ。
彼は兜も被らず、鉢金だけで頭を守り、得物を剣から、やや刃の長い短刀に代えて両手に構えている。
ギシェエエエエ!
ナギは帆柱を背にし、襲い掛かるギセラの嘴を躱しざま、喉を掻っ切っていった。大きいとは言っても、所詮は鳥なので、骨は華奢にできている。
たちまちナギの周囲には、ギセラの死体が積み上がった。
「見ておけ!」
ナギは一番大きなギセラの死体の首にロープをかけ、帆柱を駆け上がる。
物見台には気を失った兵士が倒れていたが、ナギは構わずに、帆柱の間を渡っているロープにギセラを吊るした。
「他の船にも伝えろ! 吊るせ!」
効果はてきめんだった。
ギセラは鳥の中では知能が高い。
仲間の死体が吊り下げられているのを見て、恐れを成したのか、一斉に叫び声を上げながら船から遠ざかる。
たちまちその数は半分以下に減っていた。そこへカーネリアの船から弓矢が放たれる。
燃えて海に落ちた鳥は、これまた獰猛な魚達に食いつかれている。小さいが鋭い歯を持つ平たい魚だ。普段はおそらく深海にいる種類だろうが、なぜか海面近くに集まってきているのだ。
「すげぇ……」
サップが真っ青になって海面を覗き込んでいた。
海面が激しく沸き立ち、表層の水が真っ赤に染まっている。人間が海に落ちても同じ運命をたどることになるだろう。魔女の力は魚類にまで及ぶのか。
「空も海も油断できないな」
ブルーが難しい顔で呟く。
「ギセラや魚を操っているのは」
「間違いなく厄災の魔女でしょう」
クチバは、最後に船に残ったギセラの首をへし折りながら答えた。
「しかし、我々は確実にエニグマを追い詰めています。でなければここまで辿り着くこともできなかったでしょうから」
「そういうことだ」
ナギも静かに答えた。
この船の奥の船室にはレーゼがいる。ナギから絶対に出てこないように厳命されたことを素直に守っているのだ。
しかし、もうそれも終わりだ。
『行きましょう。あの島へ』
声はそう告げた。
0
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ズボラな私の異世界譚〜あれ?何も始まらない?〜
野鳥
ファンタジー
小町瀬良、享年35歳の枯れ女。日々の生活は会社と自宅の往復で、帰宅途中の不運な事故で死んでしまった。
気が付くと目の前には女神様がいて、私に世界を救えだなんて言い出した。
自慢じゃないけど、私、めちゃくちゃズボラなんで無理です。
そんな主人公が異世界に転生させられ、自由奔放に生きていくお話です。
※話のストックもない気ままに投稿していきますのでご了承ください。見切り発車もいいとこなので設定は穴だらけです。ご了承ください。
※シスコンとブラコンタグ増やしました。
短編は何処までが短編か分からないので、長くなりそうなら長編に変更いたします。
※シスコンタグ変更しました(笑)
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
37才にして遂に「剣神」の称号を得ましたが、20年前に自分を振った勇者のパーティのエルフの女剣士に今更求婚されました。
カタナヅキ
ファンタジー
20年前、異世界「マテラ」に召喚された「レオ」は当時の国王に頼まれて魔王退治の旅に出る。数多くの苦難を乗り越え、頼りになる仲間達と共に魔王を打ち倒す。旅の終わりの際、レオは共に旅をしていた仲間のエルフ族の剣士に告白するが、彼女から振られてしまう。
「すまないレオ……私は剣の道に生きる」
彼女はそれだけを告げると彼の前から立ち去り、この一件からレオは彼女の選んだ道を追うように自分も剣一筋の人生を歩む。英雄として生きるのではなく、只の冒険者として再出発した彼は様々な依頼を引き受け、遂には冒険者の頂点のSランクの階級を与えられる。
勇者としてではなく、冒険者の英雄として信頼や人望も得られた彼は冒険者を引退し、今後は指導者として冒険者ギルドの受付員として就職を果たした時、20年前に別れたはずの勇者のパーティの女性たちが訪れる。
「やっと見つけた!!頼むレオ!!私と結婚してくれ!!」
「レオ君!!私と結婚して!!」
「頼む、娘と結婚してくれ!!」
「はあっ?」
20年の時を迎え、彼は苦難を共に乗り越えた仲間達に今度は苦悩される日々を迎える。
※本格的に連載するつもりはありませんが、暇なときに投稿します。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる