年下男子が生意気です。

タニマリ

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年下男子が生意気です。すれ違い

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頭上には360度見渡す限りの満天の星空が輝いていた。
雲シートには白いクッションがたくさん敷き詰められていて、プニュプニュした肌触りがとても心地良い。

はあ……まるで、夜空に浮かんでいる気分だ……


「りつ先輩の目…星が瞬いてて流星郡みたいだ。」


耳元でそう囁く沖君の声はとても甘ったるくて……
私の頬を優しく撫で、顔を近付けてきた沖君はなぜか上半身裸の状態だった。


………はい?


「ちょっ沖君!なんで裸なの?こんなとこで脱いじゃダメでしょ?」
「言ったじゃん。俺、我慢出来ないって。大丈夫……誰も見てないから。」


なっ、なにを言っているの……?
雲シートは館内の前方に位置している。つまり、後ろの人からは何をしているかは見えてしまうのだ。
突然沖君の背中から白い羽根が生え、私達を覆い隠すように包み込んだ。



「……ほらね?これで大丈夫。」



なぜ羽根が?沖君て鳥かなんかだったっけ?
私の混乱などお構い無しに、沖君の唇はもう触れそうなほど目の前にあった。


ああダメ。いやでも……──────




ベッドから落ちて目が覚めた。
だよね……こんなもん夢に決まってる。





朝からなんて不埒な夢を見ているんだろう……
でも、今日の夜には雲シートに寝転がってパノラマのロマンチックな夜空を見上げるんだよね。
沖君と一緒に……
なにがあってもおかしくないっていうか、なにかあって欲しいって思っちゃうっていうか……キャッ。

「りっちゃん、朝からご機嫌ね。」

朝ご飯を食べながらニヤついてたもんだから母に突っ込まれてしまった。
母には今夜は紗奈と過ごすと言っている。
そう…と、ちょっと寂しそうな顔をさせてしまい、胸がチクリと傷んだ。
毎年、家族三人で過ごしていたからな……

母が制服に着替えた私にクリスマスプレゼントと言ってローズピンクの口紅をくれた。


「学校からは一旦帰ってきて着替えるんでしょ?とびきり可愛くして行きなさいよ。」


どうやらバレているっぽい……








今夜のことを考えるだけで赤面してしまいそうだ。
冷静沈着、 泰然自若 、従容自若……
大丈夫、落ち着いていこう。


「一条先輩。ちょっと良いですか?」


学校に着くなり声をかけられた。
この人…いつも沖君と一緒にいる男の子だ。
沖君はいつも騒がしいメンバーに囲まれているのだけれど、この子だけはクールで大人びた雰囲気だったので印象に残っていた。

「マコが話したいって言うので。」

そう言うと彼は自分のスマホを渡してきた。
私はスマホを持っていないからだろうけれど、こんなまわりくどいことをせずに直接会って話せばいいのに……
不思議に思いながらもモシモシと話すと、沖君の咳込む声が聞こえてきた。


「ごめん……りつ先輩……風邪引いた。」


電話ごしでも沖君の体調の悪さが伝わってきた。
熱が40度近くあり、咳が止まらないのだという……
掠れた声で何度も謝ってくるので、気にしなくていいから寝てなさい!と叱リつけてから電話を切った。
とは言ったもののプラネタリウムが……凄く楽しみにしていただけにがっくりだ………
ありがとうと言ってからスマホを返した。

「マコ、昨日みんなとカラオケした後に、駅前の噴水に飛び込んだんですよ。」

はっ……なにやってんの沖君?!
そりゃ風邪引くでしょ!!


「一条先輩から誘われたのがよっぽど嬉しかったみたいで…周りがはやし立てて煽ったのも悪かったんです。止めれなくてすいません。」
「そんな、あなたが謝らなくてもいいからっ。」


そっか……
そんなに嬉しかったんだ……

「あのっ…マコのこと怒らないでやってくれますか?」

寒空の中をはしゃぎながら水に飛び込む沖君を思い浮かべたらなんだか笑けてきた。
本当…子供なんだから。

「大丈夫よ。怒ってなんかないから。」

クスクスと笑う私に、彼は沖君の家の住所が書かれた紙を手渡してきた。


「マコ、今日は家に一人みたいなんで。良かったら行ってあげて下さい。」


私が笑顔で頷くとホッとした顔でお辞儀をし、一年生の教室へと階段を上っていった。
風邪が伝染らないようにとマスクまでくれた。
なんて良い子なんだろう……沖君、素敵なお友達がいてるんだな。


















今日は終業式なので学校は午前中で終わる。
コンビニでスポーツドリンクやゼリー等を買って沖君の家へと急いだ。
沖君大丈夫かな…倒れて泡吹いてたりしてないよね。
食欲があるならお粥も作ってあげたいところなんだけど、予備校が13時から始まるのであまり時間がない。


住所が書かれた場所は学校から二駅目の有名な高級住宅街だった。
沖君の家が超お金持ちだったとは知らなかった。
風邪で寝込んでいる子供をいくら高校生だからといって家に一人にしておくだなんて、心配ではないのだろうか……
以前沖君は家族の中で俺は空気だと言っていた。
沖君が思うように、大切にはされていないのかな……
早く行ってあげなきゃと気持ちが焦る。

「……あれかな?」

白い外壁に重厚なタイルが組み合わされた英国風の邸宅が見えてきた。
想像以上の豪邸に気後れしそうになりつつも呼び鈴を押した。
しばらくすると玄関の扉が開き、外門へとアプローチするタイルの階段を女の子が駆け下りてきた。


「なに?あんたが新しい女?!」


彼女はお嬢様のような可憐な外見とは異なる低くて凄みのある声でそう言うと、大きな目をキッとさせて私を見据えた。
この子こそ誰なんだろう……?
どう返事を返せばいいのか迷っていると、パシンと乾いた音が辺りに響いた。

「今すぐ失せなっ!!」

左の頬に刺すような痛みが走る……
なんなのこれは……?
私、今……叩かれたの?


「おいアリサ!なにやってんだっ?!」


玄関から現れた沖君が、パジャマ姿のままで慌てて階段を下りてきた。
熱のせいか足元がふらついている……危険だから止めさせようと思った瞬間、沖君は階段を踏み外した。

─────危ないっ!!

前のめりに倒れかけた沖君を、私の目の前で彼女が抱きしめるように受け止めた。


「ねえマコ、こんなダサいのに私が負けたっていうの?!」
「……勘違いすんなっ。この人はアリサが思ってるような人とは、違うからっ……」


……違う?
違うって…なにが……?

沖君は体を起こそうとはせずに、だるそうに彼女に体を預けたままだった。
沖君にとってこの子はなんなのだろう……?
お互いに下の名前で呼び合い、ぴったりと寄り添うその姿が二人の親密さを物語っていた。
胸が苦しくなってきて目を逸らした。



「……私、帰るわ。」


もう…見ていられない。
私と沖君の間に横たわる鉄の門扉が、冷たい重しのように私の心を一気に閉ざした。

「えっ……待ってよりつ先輩!!」

沖君が必死でなにかを言っているのが聞こえてきたけれど、振り返らずに全速力で走った。





わかってる。
私達は付き合っていたわけじゃない……




私が浮かれてただけだ。


沖君にとって、私だけが一番に大切な人なんじゃないかって……

きっと私も、沖君にとっては数ある遊び相手のうちの一人だったんだ。


なのに私は……からかわれていることも気が付かずに、勘違いして舞い上がってしまった。





頭の中で沖君の言葉が何度も何度もリフレインする。

違う……って。




私じゃない。私じゃなかったんだ───────




















クリスマスムード一色に彩られた街を走り抜けて私が向かった先は予備校だった。
13時には自分の席に座り、講師の先生が行う授業を一言も漏らさぬように何時間も集中して聞き入った。
頭の中から今日あった出来事を全部消し去りたい……
家までへの道も、ひたすら英単語を覚えながら帰った。

鍵のかかった玄関の扉を開けると、靴が二足並んでいた。
母は今日は祖父の具合が悪いので実家に泊まると言っていた。
多分私が出かけるので、家で父と二人っきりになるのを避けたのだと思う。
でも、そこには父と母の靴が仲睦まじそうに並んでおり、リビングからは楽しそうな話し声が聞こえてきた。
良かった……きっと仲直りしたんだ。
私には家族三人で過ごすクリスマスの方が合っている。
恋なんて私には必要ない。
今まで通り、勉学に励み、真面目に暮らせばいいんだ。


「ただいまっ。」

リビングに入ると、驚いた顔をした父と目が合った。
父の隣に座っていたのは母ではなく、あの写真に写っていた女性だった……

「律子……おまえ今日は帰りが遅いんじゃ……」

なに、これ……
ダイニングテーブルにはチキンやグラタン等の出来上がったばかりの手料理がクリスマスケーキと共に置かれていた。
父は料理をしたことがない。
まさかこの人がうちの台所で作ったのだろうか……母が毎日私達のために立つ台所で……


「違うんだ律子っ。この人はお父さんの学校の同僚で…今日は家で一人だと言ったらわざわざ手料理を作りに来てくれただけで……全然そんなやましい関係とは違うからなっ?」


……違う……?
これのなにが違うっていうの?
オーディオからは洋楽のクリスマスソングが流れていた。
毎年、家族三人で聞いていた曲だ。

父の浮気は一時の気の迷いだと私は思っていた。
いずれは目を覚まして母の元へと戻ってくると……
心の底から反省した父を母は許し、夫婦の絆はより深まるんだって、思っていた。
こんな酷い裏切りはないっ。


「律子もお腹減ってるだろ?一緒に食べるか?」


私のご機嫌を伺うかのようにヘラヘラと笑う父が、汚らしいものに見えて仕方がなかった。
私はテーブルの端に手を伸ばし、綺麗に盛り付けられた料理やワインの注がれたグラス、スプーンやフォークやクリスマスケーキも、あるもの全部をひとつ残らず床にぶちまけた。

ぐちゃぐちゃに散乱した食べ物、砕け散ったグラスの破片……すすり泣く女性に父の怒鳴り声……
なにもかもがぐるぐると回って気持ち悪くて吐きそうだ。


二階の自分の部屋へと入り、鍵を閉めた。


私が夢見た理想や価値観はただの幻想に過ぎなかった。
現実には有り得なかったんだ。


痛い……
手の甲から血が流れていた。



痛い……

流れる血の赤い色が、涙で霞んで見えなくなっていく……



心が、引き裂かれたみたいに痛い……




行き場を無くした感情に

押しつぶされてしまいそうだった───────

























年が明けた。
受験生にとっては待ったなしの勝負時だ。
一週間後には第1次試験であるセンター試験。二月末からは第2次試験が始まる。

紗奈は美大への推薦入学がもう決まっていたのだが、私の家に来て勉強に付き合ってくれていた。
彼氏と別れたばっかで暇なのよね~と言ってはいるが、紗奈なりに心配してくれてるんだと思う……


「沖君見~っけ。寒いのによくやるよね~。」


窓の外を覗いた紗奈が、私に聞こえるように呟いた。
三学期が始まり、学校で沖君と会わないように避けている。
家に電話がかかってきても取り次がないようにと母に言っている。
これで諦めるかと思ったのに、ここ何日間か沖君は、私の家の前に何時間も立つようになったのだ。
つまらない言い訳を聞くなんて時間の無駄だ。
今は勉強に集中しないといけない。


「今日ってすっごい寒いよね~。律子どう?風邪引いちゃうくらい寒くなーい?」


……なにが言いたいの紗奈?
沖君の話は止めてとあれほど言っているのに……

「じゃあ紗奈が、受験生だからあなたにかまってる暇はないって言ってきて!!」
「え~。私が行くの?面倒くさっ。」

紗奈はブツブツと言いながらも、蛍光色の派手なコートを羽織って外へと出ていった。
父はあの日以来家に帰ってこない。
母は浮気がバレて合わす顔がないのだろうと言っているけれど、あの女のところに入り浸っているに違いない。
男なんて嫌いだ。信用出来ない。




「沖君もう勉強の邪魔はしないからって。だからせめて卒業式の日に少しだけ話をさせて欲しいってさ。」

卒業式は3月3日だ。
元々受けようとしていた大学ならもう2次も終わっているのだけれど……


「まさか紗奈、言ったりしてないよね?」
「そりゃあ言ってないけどさあ、いくらなんでも可哀想すぎやしない?」


母はもう父とは離婚をして、具合の悪い祖父の介護のために実家に戻ることを決めた。
私もそんな母を支えたいと思い、ギリギリで志望校を変えたのだ。
新たな志望校の試験日は3月3日なので私は卒業式には出席しない。


「沖君てさあ、律子が引っ越すことも知らないよね?」
「紗奈、私は勉強がしたいの。これ以上沖君の話題をしたら絶交するよ?」

「こんな終わり方でいいの?だいたい沖君レベルの顔面偏差値の高いイケメンが、この先律子みたいな堅物女を好きになってくれるとでも……」
「紗ぁあ奈ぁあ~っ!シャ──ラップ!!」


紗奈はため息を付くと、私が解いた問題集の丸つけをしてくれた。
一問採点が終わる度に盛大なため息を付いてくれやがる……
そのため息も止めろっつーの!


「律子さあ…沖君とお父さんとのことはちゃんと切り離して考えなよ?」


紗奈の言いたいことはわかってる。
紗奈の言う通り、私は沖君と父を一緒くたにしている。
男なんて…って思ってる……


でももう無理だよ……
頭の中がゴッチャゴチャにこんがらがってて、整理することなんて出来ない……











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