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第三章:Bunny&Black

百五十話:猫型ルームウェア

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 「ひゃあ! あッーー!?」

 蔓にデコレーションされたお洒落なトイレから男の子の悲鳴が響く。

「?」

 服部先輩にネペンデス式トイレを試してもらった。
 なぜか中から悲鳴のような声が聞こえた。
 机と椅子の骨組みを蔓で覆っているので中は見えない。
 なぜか蔓と葉っぱが嬉しそうに踊っている。

 工事現場とかにある簡易トイレみたいな感じだ。
 ネペンデス君いわく、一つのプランターで5個も作れるとのこと。
 シャム太に通訳してもらったけど、どっちも知恵が凄い。
 魔石を与えてるからかな?

「はぁ、はぁ、はぁ……鬼頭君?」

「……?」

 なぜか顔を赤らめた服部先輩がこちらを疑うような瞳で見てくる。
 ネペンデス君にイタズラでもされたのだろうか?
 誤解ですよ、俺がイタズラを命令したわけではないですよ?

「はぁぁ……。 うん、ちょっと危険だけど……これは凄いよ! トイレ革命だよっ!!」

「うむ」

 トイレ革命!
 
 やはりトイレ問題は領主様も頭を抱えていたらしい。
 臭いトイレは使用時の不快感はもちろん衛生的に良くない。 集団感染とか起こしたら全滅まったなしだしね。 猫の手のポーションがどの程度効くのか試したいところではあるが。

「へぇ? この宝石のところに魔石を当てると使えるんだね?」

 無料で使ってもらってもいいのだけど、どうせなら魔石を使用料として徴収しよう。
 ネペンデス君も喜ぶだろう。
 
「子供たちと女性には配れば大丈夫かな? 仕事をしてもらった報酬のほうがいいかも」
 
 働かざる者食うべからず。
 子供だろうと上手く動かせば労働力になる。
 心を病んでしまった人もいる。 すこし休むのはいい。 でもいつかは動きださないと、腐って死ぬ。 まぁそこらへんは服部先輩に任せよう。 俺にはケアはできないことだから。 丸投げするのは心苦しいので陰ながら協力しますけどね!

「甘ぁぃ!」

 マンゴーみたいな果物をあげるとめちゃくちゃ喜んだ。
 お気に召したらしい。
 ちなみにプランター上には木も生えていて実も生っている。 まだ緑色の実なので食べられないと思うけど。 熟すと自然と落ちるんじゃないかな?

「この実がそうなんだ……。そうするとプランター部分は隠して置いたほうがいいかもしれないね。 悪戯されたり盗まれたら大変だよ。 魔石は定期的にもらってこっちで宝石に与えるようにするよ」

 サブスクみたいな感じか。
 まぁたしかにプランターに何かあっても困るな。
 美味しい実が生るとしれたら、不埒者がでないとも限らん。
 プランターはガチャ産だから欲しい時に確実に手に入れられるわけではないし。
 対策は必要だな。

「美味しい……」

 凄い笑顔で果物を食べてるけど、独占したいからじゃないよね?
 いや、まぁそれくらい領主権限でいいけどさ。
 とりあえず貸し出せるプランターは二つあるので校庭と体育館に設置するらしい。

「そうだ! 鬼頭君のくれた魔石のおかげで城壁を作れるよっ。 完成まであと1日だから楽しみにしててね!」

 城壁?
 校門回りでも強化するんだろうか。
 
 

◇◆◇


 視聴覚室。

 「シン……可愛い」

 今日は久しぶりに戦闘はオフにしようと決めた訳だが、手持ち無沙汰だ。
 最近はほんとうに戦闘狂かと思われるくらい戦いに明け暮れていた。
 スマホでゲームをしようにもスマホ死んでるし、かといって遊ぶような友達いないし。
 外を見ると武道場の近くに特設ステージが出来ていた。
 石で出来たステージ。 何人かが武器をもって戦っている。 特訓中かな?
 俺も混ぜてくれるかなぁ?

「葵」

「ん!」

 猫型ルームウェアの触り心地に虜になっている葵。
 お尻を撫でまわすのはやめなさい。
 黒猫の猫型ルームウェアをプレゼントする。
 猫型以外にも出たんだけど、葵は黒猫が似合いそうだ。
 
「ありがと」

 嬉しそうに着替えだす葵。
 うん。
 いきなり目の前で脱ぐのやめようね。
 俺しか部屋にいないからいいけど!
 よくないか!?

 凹凸の少ない体にセクシーな下着をつけている。
 ミサにあげたときに渡したやつかな。

「似合う……?」

 セクシー下着ではなく猫型ルームウェアの感想を求められた。
 俺が着ているのとはちょっと違って、ちょっとドレスみたいにふわっとしたスカート状になっている。
 胸元に赤いリボンもついていて可愛い。
 
「似合うよ」

「ふぇ……」

 自然と答えていた。
 頭を撫でてやると、フードを被って俯いた。
 照れてる。
 構わずフード越しに撫でる。
 触り心地が凄く良い。
 ほんと猫を撫でてるみたいだ。
 懐かれたたことがあまりないので、触る機会は課金しないとなかったのだが。
 猫カフェの猫さんはおやつ課金したときだけ触らせてくれる。

「ふぁ」

 葵猫ちゃんは甘々みたいである。
 今日は猫を撫でて癒されようかな。
 尻尾もついてる。

「んあっ」

 尻尾も撫でると感触があるように反応する葵。
 
「やっ、あっ、ふあっ」

 尻尾を触ると立っていられないのかしがみついてきた。
 どこか座りたいなとおもったが、視聴覚室の椅子は固い。
 もっとリラックスできるような物がいいな。
 ハウジングガチャで出たソファを出してみる。

 可愛らしいデザインのソファだ。
 落ち着いた白色で3人くらいで座れそうな大きさ。
 クッションもふかふかで背もたれもやわらかい。
 なんか落ち着く香りもするぞ。
 ベッド代わりにも使えそうだ。

「シン……」

 葵猫ちゃんを乗せて座る。
 尻尾をいじるとくすぐったいのか顔をクッションに埋めてお尻をあげている。
 まるでもっと弄ってといっているようだ。
 さわさわと猫型ウェアの触り心地を楽しむ。
 うーん、この手触りは癖になるな。

「ぁっ、ん゛んっ」

 悶える葵猫ちゃんがお尻を振るたび猫の尻尾もくねくねと揺れる。
 凄い再現度だ。
 ぬこ動画でみたお尻の上のあたりをぽんぽんしてみる。

「んあっ!?」

 刺激が強かったのか、お尻は上がり背中は反る。
 尻尾の付け根、仙骨の上あたりになるのだろうか。 
 さわさわとんとんしてみる。
 葵猫ちゃんは小刻みに震えていたのだが、やりすぎたのか大きく跳ねて潰れてしまった。

「シン……だめ……はむ」

「っ!」

 攻守逆転。
 こんどは俺が猫のように撫でられるのだった。
 

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