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第二章:魚と犬と死神

百三十六話:黒のガチャ試練 ③

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 俺が無双していたのは、敵が弱かっただけ……。

「ぐっ!?」

 漆黒の斬撃に裂かれる。

・・・・・
・・・


『黒のガチャ試練 Take89』

 88回の死を体験した。
 恐怖心はある、しかし、心は揺るがない。

 通常の攻撃では死神の障壁は破れない。
 死神だけじゃない、『千棘のマーマンロード』の鱗も突破できなかった。
 運よく内側から攻撃できただけ。
 強敵に対する火力が足りないのだ。

オォゥ……オオゥ……

 ヒントはあった。

 気合だ。

 ガチャでイケメンシャム猫さんが死神を倒したときも気合を貯めていた。
 気合が全てを成す。

「はぁあああああああああああああ!!」

 そうだ。
 URをゲットすべく籠めたあの気合。
 気合を籠めろっ!

『クリムゾンストライク』

「あ」

・・・・・
・・・


『黒のガチャ試練 Take90』
 
 そういえばあまり力を籠めることってなかったな。
 基本的にジェイソンに習ったのは忍術とクラヴ・マガくらいだが、どちらも流れるような連続技だ。 近くにあるものは何でも使い、相手の武器すらも利用する。
 急所突いたり金的蹴ったりろくな戦闘術じゃないぞ。
 シンプルかつ合理的。
 ファンタジーには対応できない。
 対死神の戦闘術ではないのだ。

オォゥ……オオゥ……

 試しに出してみたイケメンシャム猫さんの人形。
 こいつ動くぞ!? と期待してみたものの、人形さんは弱かった。
 一緒にぶった切られて死んで、一緒に復活した。

 共に戦ってくれるらしい。
 今もオモチャの剣で気合を籠めている。

「ふぅ! ――――かぁああああああああああああああ!!」

 負けてられないね。
 俺も気合を入れるぞ!
 もっと、もっとだ。
 もっと、――――熱くなれよッ!!

『クリムゾンストライク』

「――ぐあっ!?」

 気合と熱意を籠めた一撃は障壁に阻まれる。
 ……気合じゃダメかもしれない。
 イケメンシャム猫さんの人形と共に真っ二つにされた。

・・・・・
・・・


 
◇◆◇


「それで? どこまでイったのかしら?」

「ちょっ、玉木さん酔ってます!?」

「んー? こんなの酔ったうちにはいらないわ」

 打ち上げでシンクのお酒を奪った玉木は酔っていた。
 そして2泊お泊りデートをしたミサに絡んでいた。
 
「何にもないですよ」

「2日間も一緒に夜を過ごしてなにもないと?」

「なにこの事情聴取!?」

 僅かに肌を赤らめる玉木。
 エルフの長い耳も少し赤い。
 その超おっぱいをミサに押し付けて質問をする。
 
シン・・、君とずいぶん距離が縮まってたわね?」

 神駆に助けられその人となりを知った玉木は彼を溺愛している。
 もっと一緒にいたい。 もっと二人になりたい。 もっと彼を知りたい。
 別に仲良くなったミサを責めているわけではない。
 彼の良さをしれば当たり前のことだ。
 二人で彼をサポートしていきましょうと、そう提案するだけだ。
 しかし気持ちははっきりさせておきたいし、どこまでやっちゃったのかは気になる。
 視聴覚室での場面も見ているのでなおさらである。
 なんだかんだいってもやっぱり神駆の一番近く・・にいたいのだ。
 もはや狂信者の域ですらある。

「いや、それは……」

「その服も似合ってるわ。 可愛い格好にもなれるのね?」

「あうっ」

 ミサの新装備『ブラックホーンバニー』。
 身体能力の向上に加え、ジャンプ時の補助、加速・減速の補助、さらにコスチュームチェンジの能力。 そしてブラックホーンシャドウとの禁断の連携と多くの機能を有している。
 SFチックなバトルスーツから今はバニーちゃんの格好である。
 裏バニーになれる機能もあるのだが、それは神駆にしか発動できない。

「ちょっと機能を試していただけですよ?」

 スカート付きの白黒のバニーガール。 不思議の国のアリスみたいな感じである。 
 実は神駆に見せたくて着替えていたとはいえないミサであった。

「ふ~ん?」

「うひゃ!?」

 酔っ払いエルフたんのえっちな事情聴取を受けるバニーちゃん。
 打ち上げ会場の若い男たちが盛り上がるのは無理もない。

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