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第二章:魚と犬と死神
百十七話:カッパ?
しおりを挟む「……カッパ?」
アンデット狩りを終えて寝ずの3日目に突入。
今日はどんよりと曇っている。
晴れていたら朝日で死んでいたかもしれない徹夜二日終わりの朝。
魚頭狩りに来たのだが、河童が見える。
「……カッパね」
どうやらミサにも見えているようだ。
俺だけに見える妖怪だったらどうしようかと思ったが、大丈夫だ。
なにが大丈夫なのかすらわからないが、まだまだ戦える。
河童は川から半分出ているが襲ってはこない。
レアの魔物だったら魂魄ポイントと魔晶石が狙えるのではと思うが、川に飛び込んで戦うのはどうなんだろう。
相手の土俵で戦うなんて無謀すぎるよな。
「「「……」」」
謎の沈黙。
川の流れと小鳥のさえずりの音だけが響いている。
そろりそろりと、河童は川に入って消えていった。
「なんだったの?」
わからない。
河童を見たら幸運になる伝説とかないかな?
それなら今すぐガチャを引くんだが。
なんだか不吉な予感でしかないからやめよう。
「んん゛っ」
時間がもったいない。
ミサを抱きかかえて魚頭狩りへと向かおう。
昨日のマッサージの余韻が残っているのか、ミサから艶めかしい声がもれた。
ブラックホーンリアのSP補充も満タン。
今日も高速立体起動で狩りまくるぞ!
今日は時間当たりの魂魄獲得量、600ポイントを目指す。
600×24=14400ポイントだ。
保有魂魄3万越えも夢ではないな!
「ふふふふふ!」
「……」
ついついこの後のガチャのことを考えると笑ってしまう。
ミサも慣れたようで何も言ってこない。
「お腹すいた!」
それどころか首に両手で手を回し腹ペコアピール。
首しまっているからね、防御力高くても頸動脈を絞められるのは危険なようだ。
ママノエの踊り食いでいいかな?
「いいわけないでしょ!?」
さいですか。
そういえば魚頭の領域はあまり探索したことがなかったな。
どこか無事そうなお店でも探してみようか?
生ものはもう全滅だろう。 最近暖かかったし。 保存食のありそうなお店ないかな。
「あ、東雲中央公園に備蓄倉庫があったかも!」
最近だといろんなところに備蓄倉庫があるよね。
街中にも見かけるし公園にも。
「たしか結構大きかった気がする」
駐屯地を見て思ったけど、やっぱりちゃんとした災害対策用品があるといいよね。
プライベートテントとか東雲東高校にはなかったからな。
今はまだ暖かいからいいけど、この先冬が来たら足りないものがたくさんあるぞ。
領地化したけど何ができるかまだ分かってないし、備蓄倉庫いってみるか。
「うん、行こう!」
雑魚狩りをしつつ進んでいけばいいだろう。
多少効率は落ちるがいたしかたない。
ミサもやる気になっているようだしな。
人を背負いながらでも屋根上パルクールで屋根を壊すことがなくなった。
ブラックホーンリアを一瞬起動することで最小のSPで虚空を蹴る。
ミサへの負担を減らす動きが繊細な操作の練習にもなる。
「あれって……」
目的の中央公園へと辿り着いたが……。
「中継拠点なの?」
進行拠点への突撃を繰り返してきたが、あきらかに規模が違う。
祭壇も豪華であり古代の遺物のような、海底神殿のような石造りの建物だ。
いくつもの石像がならんでおり奥には魔結晶のような物も見える。
中継拠点で間違いないだろう。
「そっかぁ……」
ミサは諦めてしまったようだ。
しかしどうだろうか?
防災倉庫のような太陽パネルが設置されている建物は特に壊された様子もなく無事みたいだ。
しかもうじゃうじゃと魚頭たちがいて大変おいしそうである。
見た限りでは黒炎の怪物やアンデットの重戦士のような規格外はいなそうだ。
「え。 嘘でしょ……?」
ミサにとって中継拠点は黒炎の怪物との死闘の記憶だ。
二人で行こうなんて、ちょっと無謀だと思っちゃいますよね。
「むりむりむりーー!? なに考えてるのぉーーーーー!!」
みんなの為に備蓄倉庫の解放を!
なんて微塵も思っていないけれど、明日のガチャまでにいくつ魂魄ポイント貯められるかな。
URを当てる為にも、5万ポイントは欲しいぞ。
「ふははっはははっ!」
「急に笑うなーー!」
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