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第二章:魚と犬と死神

百八話:洗いっこ♡

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「気に入った子はいましたか?」

 ガールズバーの後はダンスを見せてくれた。
 ダンス部の皆さんらしく、とても上手だった。
 なぜか皆さん下はスパッツだったけど。
 しかもちょっとエッチなKPOPダンスだったけど。

 さすがにそろそろ気づく、これ、ハニートラップや。

「……やっぱり円さんがお気に入りですか」

 やはりどこも戦力の強化には熱心なようだ。
 俺も見習って駐屯地から引っ張ってこないとな。
 しかしお嬢様学校の生徒たちはみんなレベルが高い。
 木実ちゃんたちがいなかったら引っかかっていたかもしれない。

(つまり温泉でもハニートラップが待っていると)

 なんてことだ。
 俺の妹を、幻想を返してくれ。
 お兄ちゃんて呼んでくれたあれも全部演技だというのか?
 嘘だ嘘だ嘘だぁああああ!

「ど、どうしたんですか? シンクさん」

「はぁ、はぁ」

 許せない。
 もう家族になる準備はできていたのに。
 俺の妹を返せぇえええ。

「……」

 『先に行って準備してるねお兄ちゃん♡』
 そう言って先に行った円ちゃん。
 いったいなんの準備をしているんだい? ハニートラップだね……ふふふ。
 
「ふ……」

 
◇◆◇


 まさか学校でこの水着を着ることになるとは。
 その名も『童貞を殺す水着』。
 なんでも若いころのお父様をメロメロにしたと、お母様からは良く自慢されました。
 でもこれ貧乳のわたくしがつけても効果があるのでしょうか?
 お母様はフクヨカデスカラネお胸が。 
 家族以外の前で着るのは初めてです。

「わっ、お兄ちゃん凄ーい♡ 筋肉、マッチョさんだぁ」

 ベルゼさんがいらっしゃいました。 
 凄い筋肉です。
 美愛お姉様が言っていましたが、栞お姉様は筋肉フェチなんだとか。
 そうですかこれが栞お姉様を射止めた筋肉。
 たしかに一種の芸術作品のように美しいラインです。
 むむむ、わたくしは全然興味ありませんよ?
 ちょっとカッコイイとか思ってません。

「えへへ、水着似合うかなぁ? お母様のおさがりなのぉ~~」

 わたくしが男を落とすために買ったものではありませんアピールです。
 下手したら変態に思われますから、おさがりなら仕方ないですよね。
 だって妹キャラですもの。
 
「お兄ちゃん♡ お背中お流しさせてください♪」

 背中の筋肉はさらに凄いです。
 あら……タオルを前にしたせいで見えたお尻がセクシーですわ。
 これはなかなか……。
 いえ、なんでもありませんわ。
 美愛お姉様のお尻には勝てませんもの。
 さぁ、お父様を骨抜きにしたわたくしのお背中流し術でイチコロにして差し上げますわ。

「どうですかぁ? かゆいところないですか?」

 このあとは一緒に温泉に入ってお膝の上にのってあげるサービスです。
 うふふ、それで後ろを振り向きながら囁けば落ちない殿方などいないと、お父様から太鼓判をいただきましたもの。
 そのあとはお母様直伝の色香の術で――

「え? 円のお背中も……?」

 まぁ致し方ありませんか。
 流しあいの文化ですもの。
 本当は美愛お姉様以外に肌に触れられるのは嫌なのですが……。

「ぁっ」

 思わず声が出てしまいました。
 慌てて口を手で塞ぎます。
 どうしてそんなに上手なんですか?
 大きくて暖かい手が、優しくゆっくりと背中を洗ってくれます。
 お父様に洗ってもらった時でもこんなに気持ちよくなかったですわ。

「んんっ、お兄ちゃん上手ぅ♡」

 本当に上手です!
 まるで手が四つあるかのように、リズミカルにわたくしの背中を洗っていきます。
 いえこれはマッサージに近いです。
 背中の点穴を絶妙な強さで的確にとらえてきます。
 リズミカルに優しく氣を混ぜて……。

「ぁんっ、あっ、ああっ!」

 これは、点穴術!?
 それも相当の腕前。
 点穴術の達人であるお母様に匹敵しますぅ。

「お兄ちゃんっ、まどかぁっ、あっ、壊れちゃうぅううううう♡」

 四本の手。
 20本の指先はわたくしの背中を蹂躙し味わったことのない快楽に落としていきます。
 これがベルゼさん。
 『鬼頭 神駆』さんの実力ですか!

「んんんんっ♡」

 でも負けられません。
 ここで負けたらこの魔手が美愛お姉様に及ぶかもしれませんもの。

「つ!?」

「はぁん♡」

 殿方の最大の弱点を後ろ手に掴みました。
 シンクさん、慌てて手が滑りましたね。
 点穴を外させれば勝機はあります。
 負けませんわ!

「つ!つ!」

「ああああああああん♡♡♡」

 美愛お姉様のためにも負けられませんわーーーーああん♡


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