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第二章:魚と犬と死神
八十八話:中継拠点攻防戦 リザルト
しおりを挟む>>>SPが枯渇しました。≪ベルセルク≫の付与を解除します。
体を支配していた全能感が失われる。
それは酷い喪失感となって俺を襲う。
しかし、それ以上に俺は精神的ダメージを受けていた。
(なんてこったぁあああああああああ!?)
玉木さんを抱きしめ胸をハチャメチャに揉みしだき、最後に首筋をペロリと舐める。
しかも木実ちゃんたちが見ている前で。
しかも、しかも、しかもっ……なんだあのセリフは……。
(いやぁああああああああああああああああああ!!)
『ヴォルフガング』、なんて恐ろしい指輪なんだ。
≪ベルセルク≫は封印決定だな。
「これは、すごい」
集まっていた野犬たちを一蹴しポーションで回復しながら黒炎の怪物の魔石を見る。
これはおそらく、魔結晶なんじゃないだろうか?
普通の魔石のような石とは違っていて、バレーボールほどの大きな赤い結晶石、中には黒い炎がまるであるかのように揺らいで見える。
持ってみると温かい。 熱を発している。 無限のエネルギーを感じる。
これは暖房にも使えるぞ。
「ん?」
黒炎の怪物が最初にいた場所。
祭壇というよりは東屋のような作りの建物。
四隅に狛犬に似た石像がある。 それは大きな口を開け今にも火を吹き出しそうだ。
「もう一つ?」
なんと祭壇の奥にもうひとつ魔結晶が有った。
それは四面体の菱形。いかにもクリスタルですといった感じである。
炎のようなオレンジ色をしており台座の上で僅かに浮遊している。
黒炎の怪物の残したものはどこか自然な感じだったが、こちらは明らかに作られた感がある。
何か大事なモノを失った気がするが、これで集める魔結晶四つのうち二つはクリアだ。
「早く帰りたい」
疲れた。
お嬢様学校の温泉が恋しい。
「……」
みんなの元へと合流するのが怖いのだが……。
はぁ……しかし、いかねばなるまい。
あちこちに散らばったドロップアイテムを拾う。
祭壇に使われている狛犬っぽい石像も回収できないかな?
学校の門に飾ったら犬と魚除けにならんだろうか。
今日は無理だけどまた後で回収しよう。
「鬼頭君……大丈夫ですか?」
「シン、……大丈夫?」
その『大丈夫』には二重の意味が籠められていそうだ。
体は問題ない。
ポーションを使ったのもあるし、ベルセルク化したときに自然治癒力が上がったのかもう完治している。 なんならいつもより調子がいい。
でも精神的には凄い疲れている。
俺は問題ないとサムズアップした。
「シンク君、無事で良かった!」
先ほどのことなどなかったように、満面の笑みで出迎えてくれる玉木さん。
いつもの明るく花のような笑顔だ。
彼女もあちこち怪我をしている。
みんな満身創痍だ。
早く帰ろう。
大変な遠征になってしまったけど。
前よりもみんなとの距離が近くなった気がした。
「……獣《ケダモノ》」
ただ一人、ミサだけは近づいてこなかったが。
「今度は二人きりの時にね……///」
斜め後ろから耳元に玉木さんが言霊を飛ばしてきた。
危うく封印したはずの≪ベルセルク≫が発動しかけたよ。
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鬼頭 神駆
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雪代 木実
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鹿野 美咲
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『獄炎のケルベロス支配地域』
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玉木 由佳莉
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