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第二章:魚と犬と死神
八十三話:中継拠点攻防戦 ①
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今回の探索の目的、敵の中継拠点に使われているという魔晶石を手にいれること。
つまり敵の中継地点を蹂躙しろってことだ。
元は公園だった場所にそれはあった。
野犬の群れに、双頭も複数いる。
祭壇と思わしき場所には見慣れない怪物もいるが――。
『風の精霊、烈風の弾丸、疾駆する風波――エアリアルウェーブ!!』
「大地の母よ、地に満ちて岩となり、我が敵を貫け!――アーススパイク!!」
先手必勝。
玉木さんの風の刃群と葵の魔法《・・》が野犬の群れを襲う。
岩杭の山が咲き、野犬を腹から穿つ。
スペルカードではなく、魔法だ。
ついに魔法少女葵が魔法を覚えたのだ。
それは意外なことに土属性の魔法だった。
「……ブイ」
戦闘中にVマークなんて寄越すなと怒らないといけないが、今回だけは見逃そう。
彼女にとって念願の魔法なのだから。
スペルカードの使用感から雷とか闇属性がいいとか言っていたような気がするが、土属性を選んだのは何か理由があるんだろうか?
しかし、詠唱の時だけやたらと活舌がいいのだが、一体どれだけの特訓を……。
「あっ!」
敵拠点から放たれる火炎弾。
木実ちゃんの慌てた声が漏れる。
数は4つ。
それほどの速度ではない。
全て叩き潰す!
「大地の母よ、地に満ち、我らを守れ――アースウォール!」
迫る火炎弾を土壁が防ぐ。
遠距離攻撃を防ぐ手段を得たのは大きい。
「ふひひ……!」
「……」
ステッキを構える葵の様子がおかしい。
魔法を使ってハイになっているのか?
土壁を回避して、野犬の群れが襲い掛かってくる。
ヘッ、ヘッ、ヘッ
独特の呼吸の音。
舌をだらりと垂らし涎をダラダラとたらした赤黒い野犬が、側面へと数体を連れて回り込もうとしている。
数は相手のほうが多い。 囲まれてはめんどうだ。
「シッ!」
土壁からこちらにくる野犬は任せ、遊撃部隊を叩く。
火炎弾も飛んでくるがお構いなしだ。
当たらなければ問題ない。
多少の火ならバトラータキシードは破れない。
蹂躙を開始する!
◇◆◇
ソレは退屈をしていた。
与えられた使命は守り。
本来は一番に主の敵を屠るのが役目だというのに。
ソレは退屈を好まない。
脆弱な獲物を狩ることに興味はない。
求めるのは血沸き肉躍る戦い。
我が牙を突き立てるに値する、獲物が現れることを願う。
ソレの耳朶に楽し気な声が聞こえた。
笑い声と同族の悲鳴だ。
同族を蹂躙する人族が一人こちらに向かっている。
ソレは笑う獲物を見た。
グゥ、と腹が鳴った。
ソレは牙を見せ呵うのだった。
つまり敵の中継地点を蹂躙しろってことだ。
元は公園だった場所にそれはあった。
野犬の群れに、双頭も複数いる。
祭壇と思わしき場所には見慣れない怪物もいるが――。
『風の精霊、烈風の弾丸、疾駆する風波――エアリアルウェーブ!!』
「大地の母よ、地に満ちて岩となり、我が敵を貫け!――アーススパイク!!」
先手必勝。
玉木さんの風の刃群と葵の魔法《・・》が野犬の群れを襲う。
岩杭の山が咲き、野犬を腹から穿つ。
スペルカードではなく、魔法だ。
ついに魔法少女葵が魔法を覚えたのだ。
それは意外なことに土属性の魔法だった。
「……ブイ」
戦闘中にVマークなんて寄越すなと怒らないといけないが、今回だけは見逃そう。
彼女にとって念願の魔法なのだから。
スペルカードの使用感から雷とか闇属性がいいとか言っていたような気がするが、土属性を選んだのは何か理由があるんだろうか?
しかし、詠唱の時だけやたらと活舌がいいのだが、一体どれだけの特訓を……。
「あっ!」
敵拠点から放たれる火炎弾。
木実ちゃんの慌てた声が漏れる。
数は4つ。
それほどの速度ではない。
全て叩き潰す!
「大地の母よ、地に満ち、我らを守れ――アースウォール!」
迫る火炎弾を土壁が防ぐ。
遠距離攻撃を防ぐ手段を得たのは大きい。
「ふひひ……!」
「……」
ステッキを構える葵の様子がおかしい。
魔法を使ってハイになっているのか?
土壁を回避して、野犬の群れが襲い掛かってくる。
ヘッ、ヘッ、ヘッ
独特の呼吸の音。
舌をだらりと垂らし涎をダラダラとたらした赤黒い野犬が、側面へと数体を連れて回り込もうとしている。
数は相手のほうが多い。 囲まれてはめんどうだ。
「シッ!」
土壁からこちらにくる野犬は任せ、遊撃部隊を叩く。
火炎弾も飛んでくるがお構いなしだ。
当たらなければ問題ない。
多少の火ならバトラータキシードは破れない。
蹂躙を開始する!
◇◆◇
ソレは退屈をしていた。
与えられた使命は守り。
本来は一番に主の敵を屠るのが役目だというのに。
ソレは退屈を好まない。
脆弱な獲物を狩ることに興味はない。
求めるのは血沸き肉躍る戦い。
我が牙を突き立てるに値する、獲物が現れることを願う。
ソレの耳朶に楽し気な声が聞こえた。
笑い声と同族の悲鳴だ。
同族を蹂躙する人族が一人こちらに向かっている。
ソレは笑う獲物を見た。
グゥ、と腹が鳴った。
ソレは牙を見せ呵うのだった。
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