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俺の力。
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「未来なんて見たくない…っ」
俺は目を3秒以上合わせるとその人の8年後の未来まで見てしまうという能力をもっている。
「その能力ほしい!」
と思った人もいるだろう。
俺はいらない。たとえ運命としてこの能力を授かっとしても、こんな力を持っている自分が誰よりも嫌いだ。
この話を打ち明けたのは中学校2年生の頃。
大親友である前村蒼空(まえむらそら)に。怖がりながらもその力のことを告白した。
蒼空は多分…信じてくれてたのかな。
ーーーーーーーーーーーー
~中学校2年生の頃~
オレンジ色の空が光る夕方。
俺は近くの空き地に蒼空を呼び出した。
「なあ、蒼空。」
「ん?どうしたの?」
「お、俺…」
その時はとてもつらかった。きっと信じてくれないだろうってずっと思っていたから。
1人で抱え込んでちゃダメだから。
「未来が見えるんだよ。」
言い切った。涙が零れて止まらない。
「どういう…こと?」
「ごめん。怖いよな。俺のこと。」
「詳しく聞かせて。」
「うん。」
蒼空は熱心に俺の話を聞いてくれた。怖がる様子もなく、ただ真剣に。俺は包み隠さず全て話した。いつからこの力を持っていたのか、どうやったら未来が見えてしまうのかなども全て。
「桃果がそんな力を…?」
「うん。ごめん、隠してて。」
「ホントだよ。なんで隠してたんだよ。」
怒っているかのようなトーンでじっと見てくる。
(目を合わせちゃいけないんだ。)
「蒼空が…!蒼空が、離れていくんじゃないかって。怖がって俺の元から逃げていくんじゃないかって思ってたから。この力のこと知った時、震えるほど怖かった。だから!蒼空もさ、信じてくれないだろうって。」
「ふざけんなよ…」
「え…?」
怒った…?
「桃果がこんな力持ってたって、桃果のもとから離れるつもりは無い。正直言って、まだ少し怖いけど。俺の未来も分かってしまうと思うとね。だけどお前のもとからは絶対に離れない。ずっとそばにいる。」
ぎゅっと蒼空の体が俺を包む。
優しく、だけどあったかくて。まだ出来たての体が触れてとても落ち着く。
「だから泣くな。怖いのはお互い様だ。俺よりも桃果が怖いかもしれない。だけど俺を信じろ!約束だ。」
「うん…。約束ね。」
横から差し出した手を握り返す。
約束だ。絶対に守る。
「あ、あと…」
握った手がほどけ、顎を掴む。
そして、震えた唇が優しく俺の唇に触れる。
キスだ。
「お、俺、桃果のこと好きだから。」
「え…?」
「約束しただろ?俺のこと信じるって。あれ本気だよ。俺はお前のこと絶対に守るから。」
嬉しかった。本当に嬉しい。
蒼空は分かってくれた。俺のことも、この力のことも。大きな心で受け入れてくれた。
そんな蒼空のこと、俺も…
「お、俺も…好きだよ!」
「ありがとう。」
俺たちはさっきより熱いキスを交わした。
熱くて熱くてとろけそうで。
でも蒼空だから許せて。きっと蒼空も俺だから許せるのだろう。
「キス…気持ちよかった?」
「うん。ファーストキス。蒼空にあげた。」
「いただきました。」
男同士だけど、ドキドキした。
蒼空が見てくるけど合わせちゃいけない。
こんな力を持っているけど、その日はちょっとだけ自分を好きになれたかもしれない。
「俺ん家来ない?親いないし。」
「来てもいいの?」
「もちろん。」
その日の夜、俺は蒼空と過ごした。
いけないこともした。でも2人で繋がり合えた。
次の日の学校なんて忘れるくらいに。
ーーーーー♡ーーーーー
俺は目を3秒以上合わせるとその人の8年後の未来まで見てしまうという能力をもっている。
「その能力ほしい!」
と思った人もいるだろう。
俺はいらない。たとえ運命としてこの能力を授かっとしても、こんな力を持っている自分が誰よりも嫌いだ。
この話を打ち明けたのは中学校2年生の頃。
大親友である前村蒼空(まえむらそら)に。怖がりながらもその力のことを告白した。
蒼空は多分…信じてくれてたのかな。
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~中学校2年生の頃~
オレンジ色の空が光る夕方。
俺は近くの空き地に蒼空を呼び出した。
「なあ、蒼空。」
「ん?どうしたの?」
「お、俺…」
その時はとてもつらかった。きっと信じてくれないだろうってずっと思っていたから。
1人で抱え込んでちゃダメだから。
「未来が見えるんだよ。」
言い切った。涙が零れて止まらない。
「どういう…こと?」
「ごめん。怖いよな。俺のこと。」
「詳しく聞かせて。」
「うん。」
蒼空は熱心に俺の話を聞いてくれた。怖がる様子もなく、ただ真剣に。俺は包み隠さず全て話した。いつからこの力を持っていたのか、どうやったら未来が見えてしまうのかなども全て。
「桃果がそんな力を…?」
「うん。ごめん、隠してて。」
「ホントだよ。なんで隠してたんだよ。」
怒っているかのようなトーンでじっと見てくる。
(目を合わせちゃいけないんだ。)
「蒼空が…!蒼空が、離れていくんじゃないかって。怖がって俺の元から逃げていくんじゃないかって思ってたから。この力のこと知った時、震えるほど怖かった。だから!蒼空もさ、信じてくれないだろうって。」
「ふざけんなよ…」
「え…?」
怒った…?
「桃果がこんな力持ってたって、桃果のもとから離れるつもりは無い。正直言って、まだ少し怖いけど。俺の未来も分かってしまうと思うとね。だけどお前のもとからは絶対に離れない。ずっとそばにいる。」
ぎゅっと蒼空の体が俺を包む。
優しく、だけどあったかくて。まだ出来たての体が触れてとても落ち着く。
「だから泣くな。怖いのはお互い様だ。俺よりも桃果が怖いかもしれない。だけど俺を信じろ!約束だ。」
「うん…。約束ね。」
横から差し出した手を握り返す。
約束だ。絶対に守る。
「あ、あと…」
握った手がほどけ、顎を掴む。
そして、震えた唇が優しく俺の唇に触れる。
キスだ。
「お、俺、桃果のこと好きだから。」
「え…?」
「約束しただろ?俺のこと信じるって。あれ本気だよ。俺はお前のこと絶対に守るから。」
嬉しかった。本当に嬉しい。
蒼空は分かってくれた。俺のことも、この力のことも。大きな心で受け入れてくれた。
そんな蒼空のこと、俺も…
「お、俺も…好きだよ!」
「ありがとう。」
俺たちはさっきより熱いキスを交わした。
熱くて熱くてとろけそうで。
でも蒼空だから許せて。きっと蒼空も俺だから許せるのだろう。
「キス…気持ちよかった?」
「うん。ファーストキス。蒼空にあげた。」
「いただきました。」
男同士だけど、ドキドキした。
蒼空が見てくるけど合わせちゃいけない。
こんな力を持っているけど、その日はちょっとだけ自分を好きになれたかもしれない。
「俺ん家来ない?親いないし。」
「来てもいいの?」
「もちろん。」
その日の夜、俺は蒼空と過ごした。
いけないこともした。でも2人で繋がり合えた。
次の日の学校なんて忘れるくらいに。
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