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黒猫が導く運命の道
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ゲームが始まるその時までいろいろと頑張ってきた。
グランに姉を頼んだり、姉の動向をガリュー先生に聞いたり…全て13歳の時に起こした出来事で台無しにしてしまった。
ゲームとはいろいろと時期が早すぎるし内容は若干違う。
しかし確実に俺と姉の死亡ルートに進んでいる事は確かだった。
俺はゲーム同様姉の下僕になった…とはいえ全て姉の言う通りに動くわけではない。
ゲームにない展開を除けば、この場合この世界はトーマルートとなる。
下僕になったその日、姉とトーマが会う事をどうやったら回避出来るか悩んでいた。
会わなければそもそもトーマの怒りを買う事もない。
そう思っていたのにあれから姉は俺に何も命令して来なかった。
ありがたいがゲームに忠実な世界なら下僕認定されたその日からコキ使い始める筈だ。
もしかしてゲームの世界を辿ってると思ったらただ姉がグランを傷付けたくてあんな事を言っただけのような気がしてきた。
だって俺をあんなにバカにしていた姉が俺を下僕にしようとするだろうか、姉に付いていきたいと思う使用人がいないから誰でも良かった可能性はあるが……俺は姉ではないからいくら考えたって無駄だ。
俺は高等部に上がりもう一年が経過していた、時の流れは早い。
生前死んだ年齢である17歳になっていた、何だか不思議だ。
姉とグランとはあれから三年以上も会っていなかった。
学校のカリキュラムも本格的なものになり、俺は料理のレパートリーが増えていた。
約束通りリカルドとルカにご飯を作ると「毎日食べたい!」と気に入ってくれて今ではテスト前以外では部屋で作って食べる事にしていた。
両親や姉にも…とは思うが、姉の言葉が引っ掛かり一歩が踏み出せなかった。
あんな事を思っているんだとしたら、きっと顔も見たくないだろうな。
俺が死亡フラグを回避して生前より生き延びたら会いに行こうと決意していた。
ゲーム開始時は具体的には分からないが、確かヒロインは誕生日を迎えこの王都に来るんだった気がする。
緑の葉が目立ち、じめじめした天気が続く6月の事だったような…
今はもう6月だ、いつでもゲームが始まってもいいように構えとかなくてはならない。
確かヒロインがこの王都に来たその日に騎士団のパレードを見ていたイベントがあった。
はて、そんな予定はあっただろうか…新聞はチェックしているつもりだったが…
うーんうーん考えていたら「ニャー」と何処からか声がした。
今日は休日だからのんびり市場を見て回って夕飯はどうするか考えていた。
市場には平日よりも人が賑わっていて見ているだけで楽しい。
でも何故か人の話し声に混ざりその鳴き声が響いて聞こえた。
周りを見渡し、その鳴き声の持ち主を探した…足元に視線を落とした。
そしてこちらをジッと見つめている黒猫が見つかった。
黒猫は人に蹴られないように市場から少し離れた木箱の上に座っていた。
黒猫に近付いても全然逃げようとしない、人慣れしているのか?
そして、懐かしい気がした…なんでだろう…この子を知っているような…
「どうしたの?お腹空いてるの?」
「シャー!!」
撫でようと手を伸ばしたら黒猫の後ろから影が現れ引っ掻かれてしまった。
小さな切り傷だったが少しだけ血が滲んで、傷口が熱くなり痛い。
そしてもう一匹の黒猫を見て俺はこの子達を思い出した。
あの特徴的な赤毛が混じる猫だ、忘れるわけがない。
初等部の頃コートをあげたトーマ似の猫と子猫だ。
もう子猫は大人になっていて、長生きしてて良かったとホッとする。
しかしトーマ猫は俺に威嚇しているからどうしようもない…あの時と一緒だ。
二人の猫は木箱から降りて森の方まで走り去ってしまった。
動かなかった俺の耳にまた鳴き声が聞こえてそちらを見ると少し進んでこちらを見ていた。
トーマ猫はあれでももう一匹の黒猫は俺になにかを伝えたそうだ。
またトーマ猫に追い返されるだろうが気になり黒猫達が去った森に足を向けた。
それが俺の人生を大きく変えるなんて、誰も思わなかった。
森の草を掻き分けながらどんどん奥へと歩いていく。
17年生きてきて初めて森に足を踏み入れていて帰れるか分からなくて来た道をチラチラと振り返る。
何もないし、特に用事がなかっただけだがまさか猫を追いかけてやってくるなんて思わなかった。
猫を探していると、不安げに揺れる尻尾が見えて驚かせないようにゆっくりと近付く。
その尻尾はトーマ猫のものでさらに距離を縮める。
あの黒猫は何故かグルグル回っていた。
そして黒猫達の近くには遠くでよく分からないが倒れている人がいた。
「大丈夫ですか!?」
驚いて駆け寄る、俯せで倒れているが背中が動いているから死んではいないだろう。
もしかしてこの猫達は助けを呼んでいたのだろうか、とりあえず病院まで運ぼうと青年の腕を掴む。
しかし、突然その手は俺の腕を掴み返され驚いた。
赤黒い髪が揺れる。
その倒れている人がトーマだと考える暇はなかった。
腕を引かれてバランス崩しながらも受け身を取ろうと手を伸ばす。
「んっ!?」
少し起き上がったトーマをボーッとしながら眺めていた。
唇に柔らかい感触がする、これはトーマの唇だろうか。
すぐには理解出来なかった、トーマの瞳は何故か虚ろだ。
そういえばトーマの設定は魔力を使うと寝るんだっけ……だからファンの間では眠り騎士と呼ばれていた…妹もたまにそう呼んでいた記憶がある。
…もしかして、また寝ぼけてる?まさかこんなによく寝るとは…ゲームではそんなにしょっちゅう寝てはいない。
男同士ずっとキスしてるのは無意識のトーマに可哀想だと引き剥がそうとトーマの肩を掴む。
俺の唇なんて無価値だから俺は何も思わないがトーマは可哀想だろう…今後ヒロインとキスする予定なんだし、それがファーストキスになるんだから…
こんなのは犬に噛まれた程度、ノーカウントだ…俺のファーストキスでもあったがそれもノーカウントだ。
そして足元になにかあるのに今までキスで驚かされていて気付かなかった。
何だかよく分からない文字が刻まれた魔法陣が俺とトーマを包み込むように地面に現れて発光していた。
暖かい光に包まれて、キスをしている唇も熱くなる。
何だこれ、こんなのゲームにあったか?思い出せない…トーマの隠れた能力かなにか?
驚いて開きっぱなしだった口の中にぬるっとしたものが入ってくる。
「ん!?んんっ!!」
訴えても聞いてくれない、そりゃあそうだろう…たちの悪い寝ぼけてるんだから…
もっとほしいと言うかのように舌を撫でられ絡まる。
これもノーカウントに出来るだろうか……何だか涙が出てきた。
設定ではトーマは初恋がヒロインでヒロインとの契約が初キスだった筈だ。
まだヒロインは王都にいない筈なのに、なんだこのテクニシャンな男は…
キスをした事がない俺は勿論トーマのキスに翻弄されている。
キスって、こんなに気持ちよくなれるんだ…知らなかった。
あ、ヤバい…なんか下半身が熱く反応してきてしまった。
男同士なのにこのままじゃ危ない!肩を掴んでいた手を離す。
そしてトーマが俺を掴んでいる腕に軽くチョップした。
「んんっ、んぅんん!!(いい加減にしろ!!)」
「っ!?」
グランに姉を頼んだり、姉の動向をガリュー先生に聞いたり…全て13歳の時に起こした出来事で台無しにしてしまった。
ゲームとはいろいろと時期が早すぎるし内容は若干違う。
しかし確実に俺と姉の死亡ルートに進んでいる事は確かだった。
俺はゲーム同様姉の下僕になった…とはいえ全て姉の言う通りに動くわけではない。
ゲームにない展開を除けば、この場合この世界はトーマルートとなる。
下僕になったその日、姉とトーマが会う事をどうやったら回避出来るか悩んでいた。
会わなければそもそもトーマの怒りを買う事もない。
そう思っていたのにあれから姉は俺に何も命令して来なかった。
ありがたいがゲームに忠実な世界なら下僕認定されたその日からコキ使い始める筈だ。
もしかしてゲームの世界を辿ってると思ったらただ姉がグランを傷付けたくてあんな事を言っただけのような気がしてきた。
だって俺をあんなにバカにしていた姉が俺を下僕にしようとするだろうか、姉に付いていきたいと思う使用人がいないから誰でも良かった可能性はあるが……俺は姉ではないからいくら考えたって無駄だ。
俺は高等部に上がりもう一年が経過していた、時の流れは早い。
生前死んだ年齢である17歳になっていた、何だか不思議だ。
姉とグランとはあれから三年以上も会っていなかった。
学校のカリキュラムも本格的なものになり、俺は料理のレパートリーが増えていた。
約束通りリカルドとルカにご飯を作ると「毎日食べたい!」と気に入ってくれて今ではテスト前以外では部屋で作って食べる事にしていた。
両親や姉にも…とは思うが、姉の言葉が引っ掛かり一歩が踏み出せなかった。
あんな事を思っているんだとしたら、きっと顔も見たくないだろうな。
俺が死亡フラグを回避して生前より生き延びたら会いに行こうと決意していた。
ゲーム開始時は具体的には分からないが、確かヒロインは誕生日を迎えこの王都に来るんだった気がする。
緑の葉が目立ち、じめじめした天気が続く6月の事だったような…
今はもう6月だ、いつでもゲームが始まってもいいように構えとかなくてはならない。
確かヒロインがこの王都に来たその日に騎士団のパレードを見ていたイベントがあった。
はて、そんな予定はあっただろうか…新聞はチェックしているつもりだったが…
うーんうーん考えていたら「ニャー」と何処からか声がした。
今日は休日だからのんびり市場を見て回って夕飯はどうするか考えていた。
市場には平日よりも人が賑わっていて見ているだけで楽しい。
でも何故か人の話し声に混ざりその鳴き声が響いて聞こえた。
周りを見渡し、その鳴き声の持ち主を探した…足元に視線を落とした。
そしてこちらをジッと見つめている黒猫が見つかった。
黒猫は人に蹴られないように市場から少し離れた木箱の上に座っていた。
黒猫に近付いても全然逃げようとしない、人慣れしているのか?
そして、懐かしい気がした…なんでだろう…この子を知っているような…
「どうしたの?お腹空いてるの?」
「シャー!!」
撫でようと手を伸ばしたら黒猫の後ろから影が現れ引っ掻かれてしまった。
小さな切り傷だったが少しだけ血が滲んで、傷口が熱くなり痛い。
そしてもう一匹の黒猫を見て俺はこの子達を思い出した。
あの特徴的な赤毛が混じる猫だ、忘れるわけがない。
初等部の頃コートをあげたトーマ似の猫と子猫だ。
もう子猫は大人になっていて、長生きしてて良かったとホッとする。
しかしトーマ猫は俺に威嚇しているからどうしようもない…あの時と一緒だ。
二人の猫は木箱から降りて森の方まで走り去ってしまった。
動かなかった俺の耳にまた鳴き声が聞こえてそちらを見ると少し進んでこちらを見ていた。
トーマ猫はあれでももう一匹の黒猫は俺になにかを伝えたそうだ。
またトーマ猫に追い返されるだろうが気になり黒猫達が去った森に足を向けた。
それが俺の人生を大きく変えるなんて、誰も思わなかった。
森の草を掻き分けながらどんどん奥へと歩いていく。
17年生きてきて初めて森に足を踏み入れていて帰れるか分からなくて来た道をチラチラと振り返る。
何もないし、特に用事がなかっただけだがまさか猫を追いかけてやってくるなんて思わなかった。
猫を探していると、不安げに揺れる尻尾が見えて驚かせないようにゆっくりと近付く。
その尻尾はトーマ猫のものでさらに距離を縮める。
あの黒猫は何故かグルグル回っていた。
そして黒猫達の近くには遠くでよく分からないが倒れている人がいた。
「大丈夫ですか!?」
驚いて駆け寄る、俯せで倒れているが背中が動いているから死んではいないだろう。
もしかしてこの猫達は助けを呼んでいたのだろうか、とりあえず病院まで運ぼうと青年の腕を掴む。
しかし、突然その手は俺の腕を掴み返され驚いた。
赤黒い髪が揺れる。
その倒れている人がトーマだと考える暇はなかった。
腕を引かれてバランス崩しながらも受け身を取ろうと手を伸ばす。
「んっ!?」
少し起き上がったトーマをボーッとしながら眺めていた。
唇に柔らかい感触がする、これはトーマの唇だろうか。
すぐには理解出来なかった、トーマの瞳は何故か虚ろだ。
そういえばトーマの設定は魔力を使うと寝るんだっけ……だからファンの間では眠り騎士と呼ばれていた…妹もたまにそう呼んでいた記憶がある。
…もしかして、また寝ぼけてる?まさかこんなによく寝るとは…ゲームではそんなにしょっちゅう寝てはいない。
男同士ずっとキスしてるのは無意識のトーマに可哀想だと引き剥がそうとトーマの肩を掴む。
俺の唇なんて無価値だから俺は何も思わないがトーマは可哀想だろう…今後ヒロインとキスする予定なんだし、それがファーストキスになるんだから…
こんなのは犬に噛まれた程度、ノーカウントだ…俺のファーストキスでもあったがそれもノーカウントだ。
そして足元になにかあるのに今までキスで驚かされていて気付かなかった。
何だかよく分からない文字が刻まれた魔法陣が俺とトーマを包み込むように地面に現れて発光していた。
暖かい光に包まれて、キスをしている唇も熱くなる。
何だこれ、こんなのゲームにあったか?思い出せない…トーマの隠れた能力かなにか?
驚いて開きっぱなしだった口の中にぬるっとしたものが入ってくる。
「ん!?んんっ!!」
訴えても聞いてくれない、そりゃあそうだろう…たちの悪い寝ぼけてるんだから…
もっとほしいと言うかのように舌を撫でられ絡まる。
これもノーカウントに出来るだろうか……何だか涙が出てきた。
設定ではトーマは初恋がヒロインでヒロインとの契約が初キスだった筈だ。
まだヒロインは王都にいない筈なのに、なんだこのテクニシャンな男は…
キスをした事がない俺は勿論トーマのキスに翻弄されている。
キスって、こんなに気持ちよくなれるんだ…知らなかった。
あ、ヤバい…なんか下半身が熱く反応してきてしまった。
男同士なのにこのままじゃ危ない!肩を掴んでいた手を離す。
そしてトーマが俺を掴んでいる腕に軽くチョップした。
「んんっ、んぅんん!!(いい加減にしろ!!)」
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