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ゲームの未来を変えるのは君だ!
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姉の6歳の誕生日は一週間後に迫っていて家の中は準備で慌ただしかった。
きっとグランがいなくなったら新しい世話係がやってくるだろう。
でも俺の信頼している世話係はグランだけだけどグランを心配掛けたくなくて何も言わない。
ゲームを知っている俺はこの先なにが起きたのか分かっていた。
姉の護衛をしたグランはヒロインの仲間になる、そしてアルトと敵対する関係になる。
でもそれはトーマルートの出来事だ、トーマルートを避ければグランと対立する事はないが…もう二度とグランと会えない気がした。
こんな事ならもっとグランに優しくすれば良かった。
「…アルト様、今日…その…一緒に寝てもいいですか?な、何もしない事を誓います!」
「いいよ」
何もしないって分かってる、グランは優しいから酷い事なんてしない。
最後のその日まで共にいたいと思うのは俺も同じだった。
俺のベッドは大人まで長く使えるように大きめのベッドだった。
グランと小さな俺が寝ても余るほどおさまるだろう。
二人でベッドに横になると間近でグランが俺を見つめている。
グランの手触りがいいクリーム色の茶髪に撫でるように触れた。
片目が隠れていて素顔を全て見せてないのがもったいないほど、グランは綺麗な顔をしている。
一番傍に居てきっとグランの家族と俺しか知らない素顔、この顔がヒロインのものになるなんて…姉ほどではないがちょっと嫉妬する。
グランは俺を優しく抱き寄せて瞳を閉じた、いいにおいがする。
荒い息遣いが聞こえたがいつもなら嫌な顔をしたり、グランから逃げるが今日は聞かないフリした。
「…アルトさま」
グランに呼ばれ、グランを見たら寝息を立てていた。
寝言だったのだろう、俺は瞳を閉じてグランにもう少し寄り添った。
もしこの世界を知らなかったらきっと何とも思わなかったのだろう。
姉の騎士だし、城の中にいるから簡単に会えるだろうと…
でもゲームを知っているグランはこの先の展開も知っている。
姉は6歳になったら魔法学園初等部に入学してグランも共に行く。
魔法学園は全寮制だから滅多に会う事は難しいだろう。
俺は魔力がないから一般学校に入学するだろうからそこでもう会う機会はなくなる。
一般学校も全寮制だし、この学校は魔法学園で訳ありな下位ランクの子供達が通う。
魔法学園はランクが全てなのでランクを気にせず通えたり魔力に自信がある人がほとんどだ。
俺はそもそも魔力がないから魔力ランク試験で絶対落ちるから一般学校に通う。
だから姉が魔法学園高等部を卒業してから物語は始まるから俺が高等部3年の時の話になる。
それまでアルトは姉と接点がなくなる、だからグランに姉を彼らに会わせないように明日頼もうと思う。
グランの言う事を姉が聞くとは思わないが、何もしないよりはいいだろう。
お願いグラン、グランしかいないんだ…姉さんを守って…
ーーー
チュンチュンと鳥の囀りが聞こえて、グランよりちょっと早めに目を覚ました。
まだ夢の中なのかグランの頬はだらしなく緩んでいた。
楽しい夢でも見ているのだろうか、辛そうだったから少しでも楽しい夢が見れたらこちらも嬉しい。
グランは俺を抱き締めた状態で寝ていて、上手く抜け出し置きっぱなしだった紙をちぎり新しい紙が出てきた。
真っ白だった紙に走らせて鮮やかな色がついていく。
グランが初めてくれた誕生日プレゼントのクレヨンが綺麗に紙を染める。
「アルト様?」
後ろから声が聞こえて後ろを見ると眠そうに目を擦るグランがいた。
シャツのボタンは第二まで外れていていつも頼りないグランが初めて色気を見せていた。
俺は紙を自分の体で隠し「もうちょっとだけベッドにいて!」とお願いして、早く描き終わろうと作業を進める。
よく分からないグランだが俺に言われたから大人しくベッドの上から俺の背中を眺める。
「できた!」
俺はクレヨンを箱に入れる時間も惜しくて床に置きっぱなしにしてグランのところに駆け寄る。
そして完成したばかりの紙をグランに広げて見せた。
紙には俺とグランらしき人物二人が手を繋いで笑いあっていた絵が描かれていた。
空いたスペースにはグランが俺にお土産で買ってきたパンが並んでいた。
俺の手はずっと握っていたからかクレヨンで汚れていた。
グランはそっと汚い俺の手を包み込むように握った。
「初めてかもしれません、こんなに嬉しい贈り物を貰ったのは」
「俺、大きくなったらグランが買ってきたパンに負けないぐらい美味しいパンを作るから!グランは姉さんの事…よろしくね!くれぐれも姉さんが悪い事しそうになったら止めてね」
「…いつか、アルト様が作った初めてのパンを食べたいです」
「初めてだから美味しくないよ?」
「そこは愛のスパイスで美味しくなりますよ」
「なにそれ」
二人で下らない話をして笑い合って小指を絡めて約束した。
グランが姉を止められたら俺は生きていられる、パンもいっぱい作れる…全てはグランに掛かっている。
そんな事情を知らないグランは俺が描いた絵を眺めて涙した。
しかし不思議な事がある、そこはゲームでも疑問だった事だ。
姉のランクがAランクなのに姉より低いZランクのグランが何故姉の護衛をするのだろうか。
ゲームでも姉事情は詳しく明かされなかったから今の俺には分からない。
このゲームは三部作で、生前の俺は全てやった記憶がある。
三作目でグランが正式に攻略キャラになっていたが…グランに悪いがあまり印象になく、一番ストーリーが長く一番最後にやったトーマルートはよく覚えている。
二作目がトーマオンリーシナリオだし、三作目で姉とアルトが死ぬからそりゃあ印象強いだろう。
グランに護衛は務まるのか疑問だったがグランなら何とか出来るかもしれない、今までだってピンチを乗り越えてきたんだから…
「グラン、結婚式には呼んであげるからね!」
未来のお嫁さんはパン屋が似合う優しい子だって決めているから両親と姉はまず来てくれるか分からないがグランは絶対に呼ぼうと言った。
何故かさっきよりグランが涙を流している、なんで?
そんなに感動したのだろうかとポケットからハンカチを取り出しグランに渡す。
本格的に泣き出したグランを見て、本当に姉の護衛大丈夫かと不安になった。
きっとグランがいなくなったら新しい世話係がやってくるだろう。
でも俺の信頼している世話係はグランだけだけどグランを心配掛けたくなくて何も言わない。
ゲームを知っている俺はこの先なにが起きたのか分かっていた。
姉の護衛をしたグランはヒロインの仲間になる、そしてアルトと敵対する関係になる。
でもそれはトーマルートの出来事だ、トーマルートを避ければグランと対立する事はないが…もう二度とグランと会えない気がした。
こんな事ならもっとグランに優しくすれば良かった。
「…アルト様、今日…その…一緒に寝てもいいですか?な、何もしない事を誓います!」
「いいよ」
何もしないって分かってる、グランは優しいから酷い事なんてしない。
最後のその日まで共にいたいと思うのは俺も同じだった。
俺のベッドは大人まで長く使えるように大きめのベッドだった。
グランと小さな俺が寝ても余るほどおさまるだろう。
二人でベッドに横になると間近でグランが俺を見つめている。
グランの手触りがいいクリーム色の茶髪に撫でるように触れた。
片目が隠れていて素顔を全て見せてないのがもったいないほど、グランは綺麗な顔をしている。
一番傍に居てきっとグランの家族と俺しか知らない素顔、この顔がヒロインのものになるなんて…姉ほどではないがちょっと嫉妬する。
グランは俺を優しく抱き寄せて瞳を閉じた、いいにおいがする。
荒い息遣いが聞こえたがいつもなら嫌な顔をしたり、グランから逃げるが今日は聞かないフリした。
「…アルトさま」
グランに呼ばれ、グランを見たら寝息を立てていた。
寝言だったのだろう、俺は瞳を閉じてグランにもう少し寄り添った。
もしこの世界を知らなかったらきっと何とも思わなかったのだろう。
姉の騎士だし、城の中にいるから簡単に会えるだろうと…
でもゲームを知っているグランはこの先の展開も知っている。
姉は6歳になったら魔法学園初等部に入学してグランも共に行く。
魔法学園は全寮制だから滅多に会う事は難しいだろう。
俺は魔力がないから一般学校に入学するだろうからそこでもう会う機会はなくなる。
一般学校も全寮制だし、この学校は魔法学園で訳ありな下位ランクの子供達が通う。
魔法学園はランクが全てなのでランクを気にせず通えたり魔力に自信がある人がほとんどだ。
俺はそもそも魔力がないから魔力ランク試験で絶対落ちるから一般学校に通う。
だから姉が魔法学園高等部を卒業してから物語は始まるから俺が高等部3年の時の話になる。
それまでアルトは姉と接点がなくなる、だからグランに姉を彼らに会わせないように明日頼もうと思う。
グランの言う事を姉が聞くとは思わないが、何もしないよりはいいだろう。
お願いグラン、グランしかいないんだ…姉さんを守って…
ーーー
チュンチュンと鳥の囀りが聞こえて、グランよりちょっと早めに目を覚ました。
まだ夢の中なのかグランの頬はだらしなく緩んでいた。
楽しい夢でも見ているのだろうか、辛そうだったから少しでも楽しい夢が見れたらこちらも嬉しい。
グランは俺を抱き締めた状態で寝ていて、上手く抜け出し置きっぱなしだった紙をちぎり新しい紙が出てきた。
真っ白だった紙に走らせて鮮やかな色がついていく。
グランが初めてくれた誕生日プレゼントのクレヨンが綺麗に紙を染める。
「アルト様?」
後ろから声が聞こえて後ろを見ると眠そうに目を擦るグランがいた。
シャツのボタンは第二まで外れていていつも頼りないグランが初めて色気を見せていた。
俺は紙を自分の体で隠し「もうちょっとだけベッドにいて!」とお願いして、早く描き終わろうと作業を進める。
よく分からないグランだが俺に言われたから大人しくベッドの上から俺の背中を眺める。
「できた!」
俺はクレヨンを箱に入れる時間も惜しくて床に置きっぱなしにしてグランのところに駆け寄る。
そして完成したばかりの紙をグランに広げて見せた。
紙には俺とグランらしき人物二人が手を繋いで笑いあっていた絵が描かれていた。
空いたスペースにはグランが俺にお土産で買ってきたパンが並んでいた。
俺の手はずっと握っていたからかクレヨンで汚れていた。
グランはそっと汚い俺の手を包み込むように握った。
「初めてかもしれません、こんなに嬉しい贈り物を貰ったのは」
「俺、大きくなったらグランが買ってきたパンに負けないぐらい美味しいパンを作るから!グランは姉さんの事…よろしくね!くれぐれも姉さんが悪い事しそうになったら止めてね」
「…いつか、アルト様が作った初めてのパンを食べたいです」
「初めてだから美味しくないよ?」
「そこは愛のスパイスで美味しくなりますよ」
「なにそれ」
二人で下らない話をして笑い合って小指を絡めて約束した。
グランが姉を止められたら俺は生きていられる、パンもいっぱい作れる…全てはグランに掛かっている。
そんな事情を知らないグランは俺が描いた絵を眺めて涙した。
しかし不思議な事がある、そこはゲームでも疑問だった事だ。
姉のランクがAランクなのに姉より低いZランクのグランが何故姉の護衛をするのだろうか。
ゲームでも姉事情は詳しく明かされなかったから今の俺には分からない。
このゲームは三部作で、生前の俺は全てやった記憶がある。
三作目でグランが正式に攻略キャラになっていたが…グランに悪いがあまり印象になく、一番ストーリーが長く一番最後にやったトーマルートはよく覚えている。
二作目がトーマオンリーシナリオだし、三作目で姉とアルトが死ぬからそりゃあ印象強いだろう。
グランに護衛は務まるのか疑問だったがグランなら何とか出来るかもしれない、今までだってピンチを乗り越えてきたんだから…
「グラン、結婚式には呼んであげるからね!」
未来のお嫁さんはパン屋が似合う優しい子だって決めているから両親と姉はまず来てくれるか分からないがグランは絶対に呼ぼうと言った。
何故かさっきよりグランが涙を流している、なんで?
そんなに感動したのだろうかとポケットからハンカチを取り出しグランに渡す。
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