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姉の想い
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「アンタも後で聞かされる事だから今言うけど、次のターゲットはトーマなんですって…トーマを殺す事が…」
「…………」
英雄ラグナロクの次はトーマ…分かっていたが、やっぱり改めて聞くと辛い。
英雄ラグナロクが罪を償っているんだ、父にもちゃんとその罪を償ってほしい。
…父はいろんな罪がない人を手にかけその血で濡らしてきた。
一生掛かっても償えないだろうけど、そうなったら俺も父の罪を償っていきたい。
誰にも認められなくても俺にシグナムの血が流れているなら…
だからトーマに父を捕まえてほしいんだ、ゲームでは最後父は二人の子供を亡くし行方をくらました。
父を野放しにしたらまた同じ事を何処かでやるだろう。
俺も協力する、だから…父を止めて…
姉はどうするのだろうか、作戦に参加しないのだろうか……でもそれを父は許すだろうか。
「分かってた、トーマが私を好きにならない事ぐらい……でも私はトーマが好きだから想いを伝えるのは自由でしょ?」
「…でも、他人に迷惑掛けちゃダメだよ」
「何それ、私が悪いの!?トーマが私のものにならないなら一生独り身でもいいじゃない!それをトーマに群がる女共が」
姉は泣き腫らした目をしてても迫力があり俺に詰め寄る。
一生独り身はトーマが可哀想なんじゃ…と苦笑いする。
姉は少々自由過ぎる、トーマを想うならおしとやかにしといた方が効果があると思う。
姉の怒りがふつふつと沸き上がり今度はリンディについて怒りを露にしていた。
ちょっといつもの姉に戻り良かったような、残念なような複雑な気持ちになった。
でもそれは一瞬で、すぐにまた下を向いた。
「分からないのよ、好きになった事がないからどうすればいいか」
「……姉さん」
「でも、トーマを大好きって気持ちはぶれないの…だからトーマがいない世界なんて私にとって怖いものでしかない」
姉は震えていた、トーマを失う気持ちは俺も同じだから分かる。
不器用なだけで、姉はトーマを本気で好きなんだ。
自分がしてきた罪を理解している、だからこんなに震えている。
トーマに恨まれてもいいが、トーマは失いたくない。
姉の今までの行動からして普通の人には理解できないだろう、姉は悪い人でしかない。
それと同じくらい俺にとっては姉は姉でしかないんだ。
姉はこちらを見つめた。
その瞳はとても弱っていた。
「私が悪い事をしてきたのは分かってる皆私を睨むから……アルト、アンタにも散々こきつかったり酷い事を言ったわね」
グランの事はまだ許したわけじゃない、リンディを攻撃した事も……
でも俺は俺にした事ならもう何とも思っていない。
……俺には沢山の人からいろんなものをもらったから…
だからその優しさを姉にも分けたい。
ちゃんと罪を償い、真っ白な心になった時…きっと人の優しさに気付くから…
それまで何年掛かっても俺が姉を日陰から陽向に向かって連れ出すから…
それが出来るのは家族だけだから…
「姉さん、これが終わったらちゃんと自分のした罪を償ってくれる?」
「…え?」
「約束してくれるなら俺は姉さんに協力するよ」
分かってた、姉さんが何を言いたいのか。
俺はその事について協力するつもりでいた。
正直一人だと限界があったから、ちょうどいいと思った。
姉はまたポロポロと涙を流した。
やっぱり姉弟だって言うのが嘘みたいに姉は美しい人だ。
俺の服を掴んで姉は心の底から叫んだ。
「お父様からトーマを助けたい!」
「…うん、俺も助けたい」
姉の手に手を重ねた。
初めて姉弟が繋がった、そう思った。
「…………」
英雄ラグナロクの次はトーマ…分かっていたが、やっぱり改めて聞くと辛い。
英雄ラグナロクが罪を償っているんだ、父にもちゃんとその罪を償ってほしい。
…父はいろんな罪がない人を手にかけその血で濡らしてきた。
一生掛かっても償えないだろうけど、そうなったら俺も父の罪を償っていきたい。
誰にも認められなくても俺にシグナムの血が流れているなら…
だからトーマに父を捕まえてほしいんだ、ゲームでは最後父は二人の子供を亡くし行方をくらました。
父を野放しにしたらまた同じ事を何処かでやるだろう。
俺も協力する、だから…父を止めて…
姉はどうするのだろうか、作戦に参加しないのだろうか……でもそれを父は許すだろうか。
「分かってた、トーマが私を好きにならない事ぐらい……でも私はトーマが好きだから想いを伝えるのは自由でしょ?」
「…でも、他人に迷惑掛けちゃダメだよ」
「何それ、私が悪いの!?トーマが私のものにならないなら一生独り身でもいいじゃない!それをトーマに群がる女共が」
姉は泣き腫らした目をしてても迫力があり俺に詰め寄る。
一生独り身はトーマが可哀想なんじゃ…と苦笑いする。
姉は少々自由過ぎる、トーマを想うならおしとやかにしといた方が効果があると思う。
姉の怒りがふつふつと沸き上がり今度はリンディについて怒りを露にしていた。
ちょっといつもの姉に戻り良かったような、残念なような複雑な気持ちになった。
でもそれは一瞬で、すぐにまた下を向いた。
「分からないのよ、好きになった事がないからどうすればいいか」
「……姉さん」
「でも、トーマを大好きって気持ちはぶれないの…だからトーマがいない世界なんて私にとって怖いものでしかない」
姉は震えていた、トーマを失う気持ちは俺も同じだから分かる。
不器用なだけで、姉はトーマを本気で好きなんだ。
自分がしてきた罪を理解している、だからこんなに震えている。
トーマに恨まれてもいいが、トーマは失いたくない。
姉の今までの行動からして普通の人には理解できないだろう、姉は悪い人でしかない。
それと同じくらい俺にとっては姉は姉でしかないんだ。
姉はこちらを見つめた。
その瞳はとても弱っていた。
「私が悪い事をしてきたのは分かってる皆私を睨むから……アルト、アンタにも散々こきつかったり酷い事を言ったわね」
グランの事はまだ許したわけじゃない、リンディを攻撃した事も……
でも俺は俺にした事ならもう何とも思っていない。
……俺には沢山の人からいろんなものをもらったから…
だからその優しさを姉にも分けたい。
ちゃんと罪を償い、真っ白な心になった時…きっと人の優しさに気付くから…
それまで何年掛かっても俺が姉を日陰から陽向に向かって連れ出すから…
それが出来るのは家族だけだから…
「姉さん、これが終わったらちゃんと自分のした罪を償ってくれる?」
「…え?」
「約束してくれるなら俺は姉さんに協力するよ」
分かってた、姉さんが何を言いたいのか。
俺はその事について協力するつもりでいた。
正直一人だと限界があったから、ちょうどいいと思った。
姉はまたポロポロと涙を流した。
やっぱり姉弟だって言うのが嘘みたいに姉は美しい人だ。
俺の服を掴んで姉は心の底から叫んだ。
「お父様からトーマを助けたい!」
「…うん、俺も助けたい」
姉の手に手を重ねた。
初めて姉弟が繋がった、そう思った。
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