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リーク
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景子の撮影現場には予想通り沢山の報道陣が詰めかけていた。始終ノーコメントを貫いたが流石の景子も自宅前の記者の数を見た時にはげんなりした。
山本は景子を庇って記者の前に立ちはだかり、景子はやっとの思いで自宅の中に滑り込んだ。
「新聞記者ってほんとしつこいのね、家族にも容赦なかったわよ」
「仕方ないわ。それだけ私が有名人だって証拠よ」
「それより・・思った通りに事が運んでいるわね」
「お母さんのコメントも効いてたわよ。それに、まさかあの日、五瀬家に記者を呼んだのは私達だなんて誰も気づいてないわ」
「あとは何をすればいいかしら?」
「五瀬馨と会う機会を作らないとだめだわ」
「難しいわね、どこへ行くにも記者が後を付けて来るだろうし・・でもまずは相手のスケジュールが知りたいところね」
_______
数日後、景子の母親のリカは五瀬の会社の社員がお昼によく利用するカフェを訪れていた。
今日も数人の女子社員がおしゃべりに花を咲かせながらランチを取っている。
「それでね相手の人数が一人増えたからこっちも誰か探さないといけないのよ」
「三輪さんはやめてね、あの人なんでも仕切りたがるからうざくて」
「じゃあさ、秘書室の大井さんはどう? あの人すっごいケチだから服装も地味だし、目立たなくていいかもよ」
「そうなんだ? まぁ急ぎだから、その人誘ってみようか」
リカは彼女たちのテーブルのすぐ後ろに座って話に耳を傾けていた。やがてお昼が終わると、リカも五瀬コーポレーションに向かった。
受付で秘書室の大井を呼び出したリカは大井を先ほどのカフェに誘った。
「あの・・仕事中なのであまり時間がないんですが」
「ごめんなさいね、すぐ済みますから。私高野と言います。高野景子の母ですわ」
大井めぐみはハッとした。高野景子と言ったら社長との写真をスクープされた・・。
「景子が大井さんは信用できると言ってたものですから」
「どうして高野さんが私を?」
「ここだけのお話なんですけど、五瀬社長の本命は景子なんですの。景子は五瀬社長からあなたの話を聞いてまして、それであなたにご相談にあがろうと思ったわけなんですの」
大井めぐみは目を丸くした。週刊誌に報道されていた通りだったんだわ。そうよね、こんな大きな会社の社長の相手だもの、高野景子くらいの大物が本命で当たり前かもしれない。
社長が私をそんなに信用してくれてたなんて思わなかったけど、ここで高野景子にに恩を売っておけば将来は秘書室長になれるかもしれないわ。
めぐみは愛だの結婚だのには興味がなかった。そんなものは信用できない。この世の中、信じられるのはお金だけよ・・。
「もちろん口外はしませんけど、相談と言うのはなんでしょう?」
「五瀬社長のスケジュールを教えて頂きたいのです。ほら、直前になって変更になったりしますでしょう? 景子も社長から伺ってはいますけどそこまでは・・」
そう言いながらリカはエルメスのバーキンから封筒を取り出した。「これ、ほんの少しですがお近づきの印です。協力して頂けたら都度、お礼を致します。中に私の連絡先が入れてありますから」
リカは相手の返事を待たずに席を立った。「お時間を割いていただいてありがとうございます。支払いはこちらで致しますわ」
「ご馳走様です」大井はリカの後姿に礼を言った。そして封筒の中身を確かめると万札が20枚ほど、リカの名刺と共に入っていた。
(20万はあるわ・・。社長のスケジュールを教える位なら別に犯罪じゃないわよね。しかも社長の恋人に教えるんだから感謝されても叱られるはずはないわ)
大井はすぐカフェを出て職場に戻った。なんとなく後ろめたい気分で周囲をキョロキョロと確認しながら・・。
_____
「やったわ、昨日の子からLINEが来たわよ」スマホ画面に目をやったまま、リカは朝食を取っていた景子に話しかけた。
「ほんと?! 見せてよお母さん」
「今日は大阪に宿泊の予定が、真っすぐ新幹線で博多まで行くんですって。新幹線の時間と博多の宿泊先まで書いてあるわ」
「今日はオフなんでしょ? ついてるじゃない!」
「ええ、明日の昼くらいに戻ってこれれば問題ないわ。多少遅れたって山本がなんとか言いつくろってくれるだろうし。でも急がなきゃ。お母さん、ちょっと支度手伝ってよ」
こんな時沙耶がいれば景子の支度を全部手伝わせるのに。旅行バッグを取り出し衣類や小物を詰め、景子の髪をセットした。
沙耶が居なくなってからリカは景子の世話に疲れていた。景子は自分の事を何もしない。
子供の時から沙耶がやっていた雑用すべてが自分に回って来てリカは忙しくて目が回りそうだった。
景子が五瀬と結ばれて沙耶がお払い箱になったら、またこの家でこき使ってやろう。それまでの辛抱よ・・。
山本は景子を庇って記者の前に立ちはだかり、景子はやっとの思いで自宅の中に滑り込んだ。
「新聞記者ってほんとしつこいのね、家族にも容赦なかったわよ」
「仕方ないわ。それだけ私が有名人だって証拠よ」
「それより・・思った通りに事が運んでいるわね」
「お母さんのコメントも効いてたわよ。それに、まさかあの日、五瀬家に記者を呼んだのは私達だなんて誰も気づいてないわ」
「あとは何をすればいいかしら?」
「五瀬馨と会う機会を作らないとだめだわ」
「難しいわね、どこへ行くにも記者が後を付けて来るだろうし・・でもまずは相手のスケジュールが知りたいところね」
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数日後、景子の母親のリカは五瀬の会社の社員がお昼によく利用するカフェを訪れていた。
今日も数人の女子社員がおしゃべりに花を咲かせながらランチを取っている。
「それでね相手の人数が一人増えたからこっちも誰か探さないといけないのよ」
「三輪さんはやめてね、あの人なんでも仕切りたがるからうざくて」
「じゃあさ、秘書室の大井さんはどう? あの人すっごいケチだから服装も地味だし、目立たなくていいかもよ」
「そうなんだ? まぁ急ぎだから、その人誘ってみようか」
リカは彼女たちのテーブルのすぐ後ろに座って話に耳を傾けていた。やがてお昼が終わると、リカも五瀬コーポレーションに向かった。
受付で秘書室の大井を呼び出したリカは大井を先ほどのカフェに誘った。
「あの・・仕事中なのであまり時間がないんですが」
「ごめんなさいね、すぐ済みますから。私高野と言います。高野景子の母ですわ」
大井めぐみはハッとした。高野景子と言ったら社長との写真をスクープされた・・。
「景子が大井さんは信用できると言ってたものですから」
「どうして高野さんが私を?」
「ここだけのお話なんですけど、五瀬社長の本命は景子なんですの。景子は五瀬社長からあなたの話を聞いてまして、それであなたにご相談にあがろうと思ったわけなんですの」
大井めぐみは目を丸くした。週刊誌に報道されていた通りだったんだわ。そうよね、こんな大きな会社の社長の相手だもの、高野景子くらいの大物が本命で当たり前かもしれない。
社長が私をそんなに信用してくれてたなんて思わなかったけど、ここで高野景子にに恩を売っておけば将来は秘書室長になれるかもしれないわ。
めぐみは愛だの結婚だのには興味がなかった。そんなものは信用できない。この世の中、信じられるのはお金だけよ・・。
「もちろん口外はしませんけど、相談と言うのはなんでしょう?」
「五瀬社長のスケジュールを教えて頂きたいのです。ほら、直前になって変更になったりしますでしょう? 景子も社長から伺ってはいますけどそこまでは・・」
そう言いながらリカはエルメスのバーキンから封筒を取り出した。「これ、ほんの少しですがお近づきの印です。協力して頂けたら都度、お礼を致します。中に私の連絡先が入れてありますから」
リカは相手の返事を待たずに席を立った。「お時間を割いていただいてありがとうございます。支払いはこちらで致しますわ」
「ご馳走様です」大井はリカの後姿に礼を言った。そして封筒の中身を確かめると万札が20枚ほど、リカの名刺と共に入っていた。
(20万はあるわ・・。社長のスケジュールを教える位なら別に犯罪じゃないわよね。しかも社長の恋人に教えるんだから感謝されても叱られるはずはないわ)
大井はすぐカフェを出て職場に戻った。なんとなく後ろめたい気分で周囲をキョロキョロと確認しながら・・。
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「やったわ、昨日の子からLINEが来たわよ」スマホ画面に目をやったまま、リカは朝食を取っていた景子に話しかけた。
「ほんと?! 見せてよお母さん」
「今日は大阪に宿泊の予定が、真っすぐ新幹線で博多まで行くんですって。新幹線の時間と博多の宿泊先まで書いてあるわ」
「今日はオフなんでしょ? ついてるじゃない!」
「ええ、明日の昼くらいに戻ってこれれば問題ないわ。多少遅れたって山本がなんとか言いつくろってくれるだろうし。でも急がなきゃ。お母さん、ちょっと支度手伝ってよ」
こんな時沙耶がいれば景子の支度を全部手伝わせるのに。旅行バッグを取り出し衣類や小物を詰め、景子の髪をセットした。
沙耶が居なくなってからリカは景子の世話に疲れていた。景子は自分の事を何もしない。
子供の時から沙耶がやっていた雑用すべてが自分に回って来てリカは忙しくて目が回りそうだった。
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