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50.私はシンプルな物が好きです
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メニュー表を開くとでかでかとサラダやステーキの写真が貼られていて食欲をそそられた。
ステーキの種類も豊富でドレッシングや使われている食材の違いによって値段が変わるようだ。
しかしどれも聞いた事の無い名前で、とても新鮮だ。
特にベイビーバッグリブとか全然何が何だか分からない。
メニューの説明によると「ポークリブを骨から落ちてしまうほどやわらかく調理いたしました。」と書かれていた。
正直、メニュー表を見て一番食欲をそそられたのが、このベイビーバッグリブだ。
写真では皿の前側に大きなステーキが置かれ後ろ側にコールスローサラダとフライドポテトが置かれているというシンプルにこだわった物だ。
他の料理を見ても、ステーキの上に刻まれた野菜のソースがかかっているステーキやステーキとぶつ切りの野菜を入れたサラダのようなものだった。
絵梨香はかなり長考しているようだったので、せっかく絵梨香の奢りだから私はジュースも頼もうと決めた。
ジュースの種類も豊富で夏限定の商品など色んなものがある。
しかし、先ほどのステーキと同じように聞いた事ないような言葉が商品の名前になっていた。
パラダイス パンチやノベンバーシーブリーズ、ティクドル ピンクなど名前からは味が想像できないようなものばかりだ。
普通のフルーツジュースもあるがせっかくならミックスされたものが良い。
悩みに悩んで私はストロベリーパッションティーを選んだ。
「絵梨香決まった?」
「うん」
絵梨香も丁度決まったようで私は呼び出しベルを押した。
ほどなくしてタキシードを着た店員さんが。
「どうされましたか?」
「注文をしたいんですけど……」
「かしこまりました」
「えーっと、このベイビーバッグリブを一つ」
「はい、他のご注文は」
「絵梨香はどれにするの?」
「あ、えーっと、私はこのテキサスリブアイでサイドメニューがポテトとバターライスで。焼き加減はミディアムで」
「かしこまりました、テキサスリブアイ、サイドメニューがフライドポテトとバターライス、焼き加減はミディアムでお間違いないでしょうか?」
「はい、あとマンゴーピーチレモネードスラッシュを一つ、はーちゃんは?」
「あ、えっと……このストロベリーパッションティーを一つ」
店員さんは私たちが頼んだ商品を復唱してキッチンに行った。
「はーちゃん、バッグリブで良かったの?」
「え、なんか一番食欲そそられるのどれかな~って見てたらそのバッグリブってやつが一番食欲そそられたから」
「もっと、色んなメニューあったのに」
「そういう絵梨香はなんでテキサスうんたらにしたの?」
「ここに来たら絶対テキサスリブを食べるって決めてるから」
絵梨香の頼んだ商品は私の頼んだ商品と見た目はあまり変わらなく、変わるのはサイドメニューと使われているスパイスやドレッシングなど。
それに絵梨香にはサイドメニューが自由に選べるという特典付き。
確か絵梨香はバターライスとフライドポテトを頼んでいたはず、どちらも高カロリーだ。
「そんなにカロリー高そうなものばっかり食べて太らないの?」
「私は太らない体質だから」
「それ、さっきも聞いた。まず太らないなんて絶対嘘!」
「嘘って言われてもなぁ、本当だから何も言えないんだよなぁ」
「じゃあどうして太らないか分かるの?」
「うん」
「……教えて」
「良いよ。私がやってる事は基礎代謝を上げてるかな」
私は料理が来るまで絵梨香から基礎代謝について、みっちり指導された。
絵梨香によると太らないためには基礎代謝が一番と言って良いほど大事らしい。
基礎代謝とは呼吸や体温維持、他にも寝ている時や座っている時にも消費されるもので生きるためのエネルギーらしい。
その基礎代謝が大きいと消費されるエネルギーが多いから少しの運動でも痩せるらしい。
他にもゆっくり噛んで食べるとか料理は何から食べるかなどこれから活かしていけるか分からないがそのような事を教わった。
絵梨香による太らない体質作り講座が終わると、頼んでいたジュースが運ばれて来た。
「うわ~ピルクルみたい!はーちゃんのやつ赤!」
絵梨香の頼んだレモネードはコップの縁にレモンが刺さっていて、マンゴーや桃など黄色い果物が入っているせいか乳製品のようなクリーム色になっている。
一方、私の頼んだパッションティーは主にベリーで固められているため凄く赤い、それに液体の頂点にはぶつ切りにされたイチゴが2、3個乗っていた。
ストローを差し、液体を吸う。
絵梨香の方は比較的飲みやすそうだが私の方は果物が完全に潰れていなかったりとストローでは飲めなそうだった。
一応ストローを差して飲もうとするが、案の定飲めなくてコップからストローを抜いて口をつけて飲んだ。
「おいしい」
「はーちゃんのおいしそう」
レモンとライムが入っているのか甘酸っぱく、その甘酸っぱさの後にくるイチゴの味によって口の中がさっぱりする。
イチゴの果肉も丁度良く潰されており食感も楽しめてとても美味しいジュースだ。
しかし、こんなに美味しいと絵梨香の方の味も気になってしまう。
「飲んでみる?」
「飲んでみたい、私のと交換しよ?」
「やったー!私ちょっと気になってた」
「それは良かった」
絵梨香のドリンクは私のと違っていて果肉などが入っていないためストローで簡単に飲める。
コップには絵梨香が使ったストローが刺さっていたが、使うのは悪いと思いコップの縁に口を付けて飲んだ。
おいしい。
こちらもレモンとライムを使っているのかさっき飲んだパッションティーと同じような味だったが後味に来るマンゴーの程良い甘さによって口の中がスッキリする。
それにマンゴーの他にも桃の味がして、マンゴーだけの甘さではなく桃による違った甘さが加わることによってより一層美味しく感じられた。
「絵梨香のも美味しいね」
「はーちゃんのも美味しかったよ」
互いにグラスを元の位置に戻した。
少し前までは考えられなかったな。
絵梨香とこんな風に食事をするなんて。
よくよく考えてみれば絵梨香と二人きりで外食をするのは今日が初めてだ。
小学、中学時代は確かに絵梨香と外食に行く事はあったがそれは家族も踏まえてだ。
二人きりだなんて初めてで変な風に意識してしまって急にドキドキして来た。
一方の絵梨香はドキドキしている様子も無く、余裕そうだ。
そんな大人びた絵梨香が、私には輝いて見えた。
好きって気持ちもあるんだろうけど、憧れっていう気持ちもあるのかなと思った。
「失礼します。こちらベイビーバッグリブです。そしてこちらがテキサスリブアイ、焼き加減がミディアム、サイドメニューがフライドポテトとバターライスです」
「ほわぁ~!来た来た!」
「おいしそうだね」
店員さんは「ごゆっくりどうぞ」と言い席を離れた。
「はーちゃんのも美味しそうだけどやっぱりテキサス!」
絵梨香がこんなに嬉しそうにしているとこちらまで嬉しくなってしまう。
しかし、絵梨香がこんなに嬉しそうにしているのを見ているとテキサスがどんなものなのか気になってしまう。
私がジーっと絵梨香の方を見つめると「食べてみる?」と言われた。
私はお言葉に甘えて「食べる」と言った。
ステーキの種類も豊富でドレッシングや使われている食材の違いによって値段が変わるようだ。
しかしどれも聞いた事の無い名前で、とても新鮮だ。
特にベイビーバッグリブとか全然何が何だか分からない。
メニューの説明によると「ポークリブを骨から落ちてしまうほどやわらかく調理いたしました。」と書かれていた。
正直、メニュー表を見て一番食欲をそそられたのが、このベイビーバッグリブだ。
写真では皿の前側に大きなステーキが置かれ後ろ側にコールスローサラダとフライドポテトが置かれているというシンプルにこだわった物だ。
他の料理を見ても、ステーキの上に刻まれた野菜のソースがかかっているステーキやステーキとぶつ切りの野菜を入れたサラダのようなものだった。
絵梨香はかなり長考しているようだったので、せっかく絵梨香の奢りだから私はジュースも頼もうと決めた。
ジュースの種類も豊富で夏限定の商品など色んなものがある。
しかし、先ほどのステーキと同じように聞いた事ないような言葉が商品の名前になっていた。
パラダイス パンチやノベンバーシーブリーズ、ティクドル ピンクなど名前からは味が想像できないようなものばかりだ。
普通のフルーツジュースもあるがせっかくならミックスされたものが良い。
悩みに悩んで私はストロベリーパッションティーを選んだ。
「絵梨香決まった?」
「うん」
絵梨香も丁度決まったようで私は呼び出しベルを押した。
ほどなくしてタキシードを着た店員さんが。
「どうされましたか?」
「注文をしたいんですけど……」
「かしこまりました」
「えーっと、このベイビーバッグリブを一つ」
「はい、他のご注文は」
「絵梨香はどれにするの?」
「あ、えーっと、私はこのテキサスリブアイでサイドメニューがポテトとバターライスで。焼き加減はミディアムで」
「かしこまりました、テキサスリブアイ、サイドメニューがフライドポテトとバターライス、焼き加減はミディアムでお間違いないでしょうか?」
「はい、あとマンゴーピーチレモネードスラッシュを一つ、はーちゃんは?」
「あ、えっと……このストロベリーパッションティーを一つ」
店員さんは私たちが頼んだ商品を復唱してキッチンに行った。
「はーちゃん、バッグリブで良かったの?」
「え、なんか一番食欲そそられるのどれかな~って見てたらそのバッグリブってやつが一番食欲そそられたから」
「もっと、色んなメニューあったのに」
「そういう絵梨香はなんでテキサスうんたらにしたの?」
「ここに来たら絶対テキサスリブを食べるって決めてるから」
絵梨香の頼んだ商品は私の頼んだ商品と見た目はあまり変わらなく、変わるのはサイドメニューと使われているスパイスやドレッシングなど。
それに絵梨香にはサイドメニューが自由に選べるという特典付き。
確か絵梨香はバターライスとフライドポテトを頼んでいたはず、どちらも高カロリーだ。
「そんなにカロリー高そうなものばっかり食べて太らないの?」
「私は太らない体質だから」
「それ、さっきも聞いた。まず太らないなんて絶対嘘!」
「嘘って言われてもなぁ、本当だから何も言えないんだよなぁ」
「じゃあどうして太らないか分かるの?」
「うん」
「……教えて」
「良いよ。私がやってる事は基礎代謝を上げてるかな」
私は料理が来るまで絵梨香から基礎代謝について、みっちり指導された。
絵梨香によると太らないためには基礎代謝が一番と言って良いほど大事らしい。
基礎代謝とは呼吸や体温維持、他にも寝ている時や座っている時にも消費されるもので生きるためのエネルギーらしい。
その基礎代謝が大きいと消費されるエネルギーが多いから少しの運動でも痩せるらしい。
他にもゆっくり噛んで食べるとか料理は何から食べるかなどこれから活かしていけるか分からないがそのような事を教わった。
絵梨香による太らない体質作り講座が終わると、頼んでいたジュースが運ばれて来た。
「うわ~ピルクルみたい!はーちゃんのやつ赤!」
絵梨香の頼んだレモネードはコップの縁にレモンが刺さっていて、マンゴーや桃など黄色い果物が入っているせいか乳製品のようなクリーム色になっている。
一方、私の頼んだパッションティーは主にベリーで固められているため凄く赤い、それに液体の頂点にはぶつ切りにされたイチゴが2、3個乗っていた。
ストローを差し、液体を吸う。
絵梨香の方は比較的飲みやすそうだが私の方は果物が完全に潰れていなかったりとストローでは飲めなそうだった。
一応ストローを差して飲もうとするが、案の定飲めなくてコップからストローを抜いて口をつけて飲んだ。
「おいしい」
「はーちゃんのおいしそう」
レモンとライムが入っているのか甘酸っぱく、その甘酸っぱさの後にくるイチゴの味によって口の中がさっぱりする。
イチゴの果肉も丁度良く潰されており食感も楽しめてとても美味しいジュースだ。
しかし、こんなに美味しいと絵梨香の方の味も気になってしまう。
「飲んでみる?」
「飲んでみたい、私のと交換しよ?」
「やったー!私ちょっと気になってた」
「それは良かった」
絵梨香のドリンクは私のと違っていて果肉などが入っていないためストローで簡単に飲める。
コップには絵梨香が使ったストローが刺さっていたが、使うのは悪いと思いコップの縁に口を付けて飲んだ。
おいしい。
こちらもレモンとライムを使っているのかさっき飲んだパッションティーと同じような味だったが後味に来るマンゴーの程良い甘さによって口の中がスッキリする。
それにマンゴーの他にも桃の味がして、マンゴーだけの甘さではなく桃による違った甘さが加わることによってより一層美味しく感じられた。
「絵梨香のも美味しいね」
「はーちゃんのも美味しかったよ」
互いにグラスを元の位置に戻した。
少し前までは考えられなかったな。
絵梨香とこんな風に食事をするなんて。
よくよく考えてみれば絵梨香と二人きりで外食をするのは今日が初めてだ。
小学、中学時代は確かに絵梨香と外食に行く事はあったがそれは家族も踏まえてだ。
二人きりだなんて初めてで変な風に意識してしまって急にドキドキして来た。
一方の絵梨香はドキドキしている様子も無く、余裕そうだ。
そんな大人びた絵梨香が、私には輝いて見えた。
好きって気持ちもあるんだろうけど、憧れっていう気持ちもあるのかなと思った。
「失礼します。こちらベイビーバッグリブです。そしてこちらがテキサスリブアイ、焼き加減がミディアム、サイドメニューがフライドポテトとバターライスです」
「ほわぁ~!来た来た!」
「おいしそうだね」
店員さんは「ごゆっくりどうぞ」と言い席を離れた。
「はーちゃんのも美味しそうだけどやっぱりテキサス!」
絵梨香がこんなに嬉しそうにしているとこちらまで嬉しくなってしまう。
しかし、絵梨香がこんなに嬉しそうにしているのを見ているとテキサスがどんなものなのか気になってしまう。
私がジーっと絵梨香の方を見つめると「食べてみる?」と言われた。
私はお言葉に甘えて「食べる」と言った。
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