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39.不思議な退院
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特に何事もなく、今日も目覚めた。
このベッドで起きる事も寝る事ももうないのかと思いつつベッドから降りた。
備え付けの洗面所で顔を洗い目を覚ます。
タオルで手を拭いて、スマホを手に取った。
スマホの機能で手に取った瞬間電源がついた。
時刻は7時20分。
LIMUの通知があったのでLIMUを開くと中野先生から「今日の診察は9時からだから、よろしくね。」と来ていた。
私が「分かりました。」と送ると、直ぐに既読がついて「多分10時前には終わると思うから、連絡する人には連絡しとくんだよー」と来た。
この人は一体、どこ目線でメッセージを送っているのか不思議だ。
親目線?それだともう少し過保護という感じがするし、親族目線だともうちょっと雑な感じがする。
診察まではあと1時間半ぐらいある。
特にすることも無かったので、まとめれるだけ荷物をまとめて絵梨香に「10時前には終わりそう。」とLIMUを入れて、テレビやネットを見て時間を潰した。
診察の時間になったので、診察室に向かった。
時間つぶしの間に中野先生からLIMUが来て「今日は体に何も入れずに診察するから、朝ご飯ないから、ごめんねー」と来ていたので、朝ご飯は無く、何も食べずに診察を受けることになった。
扉を開けると中野先生が椅子に座っていた。
「はい、こんにちは。今はまだおはようかな?」と元気そうな声で言う。
しかし、顔を見ると色は悪く、前と同じように目の下には大きなクマがあった。
「顔色悪いですけど・・また、えふぴーえす?をやっていたんですか・・?」
中野先生は無邪気に笑うと「覚えてくれてたんだね、その通りだよ。」とまた笑いながら言った。
それほど熱が入るものがある事は良い事だと思うけど、ほどほどにね、先生。
「それじゃあ、本題に入ろうか。」と中野先生が言った。
手には、鉄製の舌圧子と小さなライトが握られていた。
私、風邪ひいてるわけじゃないけど一応しないといけないのかな。
嫌いなんだよな、舌抑えられるの。
全然浅い所を抑えられても「おえっ」ってなっちゃうからなぁ。
私は嫌そうに「それ、やんないとダメですか……?」と聞いた。
中野先生は「もちろん、診察ですから。」と100点の笑顔を作り舌圧子を近づけて来た。
私は抗えないと思い、仕方なく口を開けた。
以外にもすぐに終わり、嘔吐くことも無かった。
この人、相当上手い。
「はい、じゃあ次。お腹出して。」
「はい」と私は中野先生の指示に従い、服を捲りお腹を見せた。
お腹に聴診器が当てられた。
ステンレスなのかもの凄く冷たい。
「ひゃっ」と私が声を出すと中野先生は「すまないね」と一言かけてくれた。
この人、優しい。
冷たい物がお腹から無くなったと思うと「はい、これで終わり」という声が聞こえた。
「とりあえず、西嶋さんは特に処方する薬とかは無いから後は傷口の経過観察のみだね」
「という事は、これで診察終わりって事ですか?」
「まぁ、そうだね。爺さんみたいな先生からもあったと思うけど、裂けたらまた来てね」
裂けたら、その響きは気持ち悪いな。
「うっ……分かりました。」
「じゃあ、病室行って必要な物持ったらまたここに来て、見送るよ」
「分かりました」と言い私は診察室を出た。
やっとこの入院生活に終わりを告げれると思うと、なんだか嬉しい。
快適な面もあったが、やっぱりストレスは日常生活より溜まる。
吐き出すことはあまり出来なかったから、溜まる一方だったし。
病室に戻って来た。
必要な物と言っても、紙袋二つ分しか無かったから一人でも持てそうだ。
用意しておいた服に着替え、借りていた病院の服はベッドに上に畳んで置いた。
紙袋二つを持ち、診察室に戻って来た。
中野先生はパソコンに向かってひたすら何か打っている。
きっと、カルテでも書いているのだろう。
「戻りました」と私が声を掛けると中野先生はこちらを向いた。
「お、凄く速いね」
「荷物はまとめてあったので」
「いや~、その方が助かるよ。この後一般の患者さんがくるからね」
「あ、そうだったんですか。何か、すみません」
「いやいや、私が呼び止めたんだ、謝る必要はないよ」
「そ、そうですか……」
「では、行こうか」と私に声を掛け、中野先生は診察室を出た。
私もそれを追うかのように診察室を出た。
診察室を出て、受付までやって来た。
「なんか、大事な書類とかお金に関することは前にお母さんが来た時にすべて済ましたらしいから、一応保険証だけ提示してくれるかい?」
私は「分かりました」と了承し、受付に保険証を渡した。
「はい、確認できました」と言い受付の人から保険証を返してもらった。
「では、お大事に。LIMUも頼んだよ」
「はい、有難うございました」と中野先生と受付の人に対し一礼したあと、病院から出た。
病院の出入り口はまだ空いていないようだったので、事務用の出入り口から出してもらった。
一昨日ぐらいから思っていることが一つある。
これ、普通の人と同じ退院方法なのか?と思ってしまう。
だって、本来1週間様子を見る抜糸だって4日ぐらいでしたし、診察は喉を見たのと心音を聞いただけ、まだ病院はやっていないのに私だけ診察されて外に出る時には事務用から出て、何だこの病院。
けど、今生きてるし。
生きてればなんでも良いか、あんまり暗い方向に持って行っても良いことないし。
そうだ、ポジティブポジティブ。
そう自分に言い聞かせ、外を歩きだした。
なんだかんだあったが、まだ8月。
当然外は熱く、ムシムシとしている。
病院内はクーラーが効いていたのか涼しかったが、外に出ると砂漠のようだ。
しかし、こんな砂漠のような場所でも仕事や学校に行くためなのか色んな人が歩いている。
私もその群れに混じり、歩き始めた。
少し歩いて建物ので日影が出来ていたので日陰の方に寄った。
すると、聞き馴染みの声がした。
「はーちゃん!!!」
声の方を振り返るとそこには、汗でびしょびしょになった絵梨香が居た。
このベッドで起きる事も寝る事ももうないのかと思いつつベッドから降りた。
備え付けの洗面所で顔を洗い目を覚ます。
タオルで手を拭いて、スマホを手に取った。
スマホの機能で手に取った瞬間電源がついた。
時刻は7時20分。
LIMUの通知があったのでLIMUを開くと中野先生から「今日の診察は9時からだから、よろしくね。」と来ていた。
私が「分かりました。」と送ると、直ぐに既読がついて「多分10時前には終わると思うから、連絡する人には連絡しとくんだよー」と来た。
この人は一体、どこ目線でメッセージを送っているのか不思議だ。
親目線?それだともう少し過保護という感じがするし、親族目線だともうちょっと雑な感じがする。
診察まではあと1時間半ぐらいある。
特にすることも無かったので、まとめれるだけ荷物をまとめて絵梨香に「10時前には終わりそう。」とLIMUを入れて、テレビやネットを見て時間を潰した。
診察の時間になったので、診察室に向かった。
時間つぶしの間に中野先生からLIMUが来て「今日は体に何も入れずに診察するから、朝ご飯ないから、ごめんねー」と来ていたので、朝ご飯は無く、何も食べずに診察を受けることになった。
扉を開けると中野先生が椅子に座っていた。
「はい、こんにちは。今はまだおはようかな?」と元気そうな声で言う。
しかし、顔を見ると色は悪く、前と同じように目の下には大きなクマがあった。
「顔色悪いですけど・・また、えふぴーえす?をやっていたんですか・・?」
中野先生は無邪気に笑うと「覚えてくれてたんだね、その通りだよ。」とまた笑いながら言った。
それほど熱が入るものがある事は良い事だと思うけど、ほどほどにね、先生。
「それじゃあ、本題に入ろうか。」と中野先生が言った。
手には、鉄製の舌圧子と小さなライトが握られていた。
私、風邪ひいてるわけじゃないけど一応しないといけないのかな。
嫌いなんだよな、舌抑えられるの。
全然浅い所を抑えられても「おえっ」ってなっちゃうからなぁ。
私は嫌そうに「それ、やんないとダメですか……?」と聞いた。
中野先生は「もちろん、診察ですから。」と100点の笑顔を作り舌圧子を近づけて来た。
私は抗えないと思い、仕方なく口を開けた。
以外にもすぐに終わり、嘔吐くことも無かった。
この人、相当上手い。
「はい、じゃあ次。お腹出して。」
「はい」と私は中野先生の指示に従い、服を捲りお腹を見せた。
お腹に聴診器が当てられた。
ステンレスなのかもの凄く冷たい。
「ひゃっ」と私が声を出すと中野先生は「すまないね」と一言かけてくれた。
この人、優しい。
冷たい物がお腹から無くなったと思うと「はい、これで終わり」という声が聞こえた。
「とりあえず、西嶋さんは特に処方する薬とかは無いから後は傷口の経過観察のみだね」
「という事は、これで診察終わりって事ですか?」
「まぁ、そうだね。爺さんみたいな先生からもあったと思うけど、裂けたらまた来てね」
裂けたら、その響きは気持ち悪いな。
「うっ……分かりました。」
「じゃあ、病室行って必要な物持ったらまたここに来て、見送るよ」
「分かりました」と言い私は診察室を出た。
やっとこの入院生活に終わりを告げれると思うと、なんだか嬉しい。
快適な面もあったが、やっぱりストレスは日常生活より溜まる。
吐き出すことはあまり出来なかったから、溜まる一方だったし。
病室に戻って来た。
必要な物と言っても、紙袋二つ分しか無かったから一人でも持てそうだ。
用意しておいた服に着替え、借りていた病院の服はベッドに上に畳んで置いた。
紙袋二つを持ち、診察室に戻って来た。
中野先生はパソコンに向かってひたすら何か打っている。
きっと、カルテでも書いているのだろう。
「戻りました」と私が声を掛けると中野先生はこちらを向いた。
「お、凄く速いね」
「荷物はまとめてあったので」
「いや~、その方が助かるよ。この後一般の患者さんがくるからね」
「あ、そうだったんですか。何か、すみません」
「いやいや、私が呼び止めたんだ、謝る必要はないよ」
「そ、そうですか……」
「では、行こうか」と私に声を掛け、中野先生は診察室を出た。
私もそれを追うかのように診察室を出た。
診察室を出て、受付までやって来た。
「なんか、大事な書類とかお金に関することは前にお母さんが来た時にすべて済ましたらしいから、一応保険証だけ提示してくれるかい?」
私は「分かりました」と了承し、受付に保険証を渡した。
「はい、確認できました」と言い受付の人から保険証を返してもらった。
「では、お大事に。LIMUも頼んだよ」
「はい、有難うございました」と中野先生と受付の人に対し一礼したあと、病院から出た。
病院の出入り口はまだ空いていないようだったので、事務用の出入り口から出してもらった。
一昨日ぐらいから思っていることが一つある。
これ、普通の人と同じ退院方法なのか?と思ってしまう。
だって、本来1週間様子を見る抜糸だって4日ぐらいでしたし、診察は喉を見たのと心音を聞いただけ、まだ病院はやっていないのに私だけ診察されて外に出る時には事務用から出て、何だこの病院。
けど、今生きてるし。
生きてればなんでも良いか、あんまり暗い方向に持って行っても良いことないし。
そうだ、ポジティブポジティブ。
そう自分に言い聞かせ、外を歩きだした。
なんだかんだあったが、まだ8月。
当然外は熱く、ムシムシとしている。
病院内はクーラーが効いていたのか涼しかったが、外に出ると砂漠のようだ。
しかし、こんな砂漠のような場所でも仕事や学校に行くためなのか色んな人が歩いている。
私もその群れに混じり、歩き始めた。
少し歩いて建物ので日影が出来ていたので日陰の方に寄った。
すると、聞き馴染みの声がした。
「はーちゃん!!!」
声の方を振り返るとそこには、汗でびしょびしょになった絵梨香が居た。
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