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9.目覚め
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白い天井、周りを見渡す。
手がとても暖かい、自分の手に誰かの手が重なっていた。
横を見ると、絵梨香が寝ていた。
寝顔が凄く可愛い、このまま自分の物にしたい。
このままずっと見ていたいが、起こさないわけにもいかない。
「絵梨香、起きて。」
「やだ・・行かないで・・」
何か夢を見ているのだろうか、けれど良い夢ではなさそうだ。
「絵梨香、絵梨香・・!・・うっ・・」
腹部が痛む。
刺されたことを忘れていた。
「ん・・なに・・?」
絵梨香が起きた。
起きるや否や、絵梨香は私に抱き着いて来た。
「・・はーちゃん!」
「ちょ、絵梨香・・まだ痛いんだから・・」
「あ・・ごめん・・今先生呼んでくるね。」
そう言い絵梨香は病室から出て行った。
ベット横の机には、私のスマホが置いてあった。
通知欄はLIMUで埋め尽くされていた。
クラスの人、中学時代の友達、小太郎、両親など色んな人から来ていたが、小太郎と両親、そしてとくに仲が良かった友達にしかLIMUは返さなかった。
絵梨香が先生を連れてきて、色々説明を受けた。
取りあえず、退院は最低でも2週間ほどかかるらしい。
定期的ていきてきに検査をして、問題があったら長引くとのこと。
説明が終わり、先生は病室から出て行った。
「ふぅ・・」と安堵の息を吐く。
刺された後の事はあんまり覚えていないが、男に刺されても絵梨香を守ろうとしたことは覚えている。
けれど、それ以降は何も覚えていない。
絵梨香が病室に戻って来た。
「はーちゃん、ありがとう。」
「ど、どうしたの・・?急に・・」
「私が言うのは図々しいと思うんだけど、あの時はーちゃんが守ってくれて凄く嬉しかった。」
「けど、今日のデートだって無くなっちゃったし・・」
「そんなのどうでも良いの、それに守ろうとしてくれたって事は、その・・大事にされているんだなぁって思ったし。」
「そうなんだ・・」
「うん・・」
「はーちゃん・・・」
「何・・?」
「こっち向いて」
絵梨香に言われたので、横を向く。
すると、絵梨香は顔を近づけて来た。
そして、私の唇にぷにっとした感触の物が触れた。
10秒ほどくっついていたのだろうか、ぷにっした物は絵梨香の顔が離れると同時に私の唇からも無くなった。
絵梨香は顔を赤らめ「じゃあ、帰るね・・」と病室から出て行った。
これがキス・・?
急すぎて実感が無いが、凄く気持ちよかったし嬉しかった。
私はキスの余韻に浸った。
少しして、私はスマホを手に取る。
さっきスマホを開いたのに時間を全く見ていなかった、スマホのロック画面をみる。
7月17日 月曜日 8:34
ドラマとかだと重大な怪我をした時とかって1日ずっと寝てるイメージだけど、案外違うんだなと感じた。
上半身を起こし、壁にもたれかかる。
「ふぅ~」と息を吐き、スマホをいじる。
さっきの事が忘れられない。
きっと私の顔は凄く赤くなっているのだろう。
小太郎から、10時頃こちらに来るという連絡があったのでスマホをいじるのをやめて、テレビでも見て待つことにした。
テレビをつけると、朝定番のニュース番組がやっていた。
可愛い女子アナウンサーがフリップを持って国の運営方法を説明している、しかしそんな事説明されても私にはさっぱり分からない。
「では、次の特集に行きましょう。」
どうやら、政治についての特集は終わったらしい。
「昨夜、大崎駅で女子高生が刺されるという事件が発生しました。」
次は、私の話題らしい。
それもそうか、駅で女子高生が刺されるなんてあんまり無い、それに都内で起こった話。
マスコミも食いつくわけだ。
再現VTRみたいなものが始まった。
CGで昨日の事が再現されている、ナレーションと言うかセリフ付きで。
男を再現していると思われる方には包丁が持たされている。
図太い声で「殺すぞ!」とナレーション?が流れる。
ネット上では殺すという文字は規制されがちだが、単体での使用は認められるのか。
次に、女性の声で「私が守る!」と迫真の演技で流れた。
うん、こんな事言って無いんだよなぁ、まず怖くて声も出なかったし。
マスコミは数字が命とも聞くし、やっぱり誇張しないとダメなんだなぁと思ったが、流石にこれは誇張されすぎ。
再現VTRが終わった後、詳しい説明がされる。
「被害にあった女子高生は、都内の高校に通っていて容体は安定しているとのことです。」
何で知ってんねんとツッコミたくなる。
どっからこんな情報を仕入れてくるのか不思議だ。
女子アナの説明を聞いた後、コメンテーターであろう人達は「おぉ~、良かった」と口をそろえて言う。
ほんとにそんな事思っているのかと疑ってしまう、名前も知らないのにどうしてそこまで心配をするのか。
心配しておかないと炎上するからか、まぁいいや。
私は、再びスマホに目を移す。
私のスマホには目立ったアプリなど入っていない、強いて言うなら知らない人が投稿した小説を読めるアプリがあるくらい。
それでも、自分でライトノベルを買って読むので使う事はほとんどない。
結局、時間を確認したぐらいでスマホの画面を閉じた。
スマホには、9:21と書いてあった。
小太郎が来る時間までは、あと40分ほどある。
そういえば、お腹が空いた。
先生の話の中では食事について何も説明は無かった、小太郎に何か買ってきてもらおうかと思ったが、何か問題があるとマズいので私はナースコールを押した。
程なくして、看護師と思われる女性が来た。
「どうされましたか?」
「あの・・ご飯ってどうすれば良いですか・・?」
看護師の女性は「すみません、ただいま確認してきます。」と頭を下げ病室から出て行った。
私は、スマホを開きネットで調べる。
「病院 食事」と素早く打ち込み、一番上に出てきたページを開く。
ネットの情報によると、場所によって変わるが食事箋(処方箋の食事バージョン)を医師が管理栄養士に提出して、それを見た管理栄養士が献立を考えるとのこと。
まぁ、昨日緊急搬送されて来たし、仕方ないのかなとも思った。
5分ほどして、さっきの看護師が戻って来た。
「すみません、確認してきました。パンかご飯で選べるんですけど、どちらにしますか?」
私は朝はご飯派なのでご飯にした。
また5分ほどして、料理が運ばれて来た。
ベットのに付いている簡易型のテーブルにおぼんが置かれた。
主食はサバの塩焼き、野菜料理はほうれん草のお浸し、その他はたくあん、ご飯、牛乳というラインナップ。
病院でこんな豪華な物を食べても良いのだろうか、私は躊躇しつつサバを口に放り込んだ。
口に入れて最初に思った事、それは「薄い」。
塩焼きと思っていたがただ焼いただけなのではと思うほどの薄さ。
ほうれん草のお浸しも食べてみるが、やっぱり薄い。
ご飯は普通、たくあんはサバとほうれん草に比べたら味がある。
まぁ、確かに病人ではあるが私は「病気」というより「怪我」で入院している。
それなのに、こんなに薄くないとダメなのか。
「はぁ~」とまたため息をつく。
少し気が下がっているが、食べないとお腹は空く、私は再びサバを口に放り込み、ご飯を食べた。
なんとか、全部食べ終えて最後に牛乳を飲もうと思ったら、病室のドアが「コンコン」と鳴った。
手がとても暖かい、自分の手に誰かの手が重なっていた。
横を見ると、絵梨香が寝ていた。
寝顔が凄く可愛い、このまま自分の物にしたい。
このままずっと見ていたいが、起こさないわけにもいかない。
「絵梨香、起きて。」
「やだ・・行かないで・・」
何か夢を見ているのだろうか、けれど良い夢ではなさそうだ。
「絵梨香、絵梨香・・!・・うっ・・」
腹部が痛む。
刺されたことを忘れていた。
「ん・・なに・・?」
絵梨香が起きた。
起きるや否や、絵梨香は私に抱き着いて来た。
「・・はーちゃん!」
「ちょ、絵梨香・・まだ痛いんだから・・」
「あ・・ごめん・・今先生呼んでくるね。」
そう言い絵梨香は病室から出て行った。
ベット横の机には、私のスマホが置いてあった。
通知欄はLIMUで埋め尽くされていた。
クラスの人、中学時代の友達、小太郎、両親など色んな人から来ていたが、小太郎と両親、そしてとくに仲が良かった友達にしかLIMUは返さなかった。
絵梨香が先生を連れてきて、色々説明を受けた。
取りあえず、退院は最低でも2週間ほどかかるらしい。
定期的ていきてきに検査をして、問題があったら長引くとのこと。
説明が終わり、先生は病室から出て行った。
「ふぅ・・」と安堵の息を吐く。
刺された後の事はあんまり覚えていないが、男に刺されても絵梨香を守ろうとしたことは覚えている。
けれど、それ以降は何も覚えていない。
絵梨香が病室に戻って来た。
「はーちゃん、ありがとう。」
「ど、どうしたの・・?急に・・」
「私が言うのは図々しいと思うんだけど、あの時はーちゃんが守ってくれて凄く嬉しかった。」
「けど、今日のデートだって無くなっちゃったし・・」
「そんなのどうでも良いの、それに守ろうとしてくれたって事は、その・・大事にされているんだなぁって思ったし。」
「そうなんだ・・」
「うん・・」
「はーちゃん・・・」
「何・・?」
「こっち向いて」
絵梨香に言われたので、横を向く。
すると、絵梨香は顔を近づけて来た。
そして、私の唇にぷにっとした感触の物が触れた。
10秒ほどくっついていたのだろうか、ぷにっした物は絵梨香の顔が離れると同時に私の唇からも無くなった。
絵梨香は顔を赤らめ「じゃあ、帰るね・・」と病室から出て行った。
これがキス・・?
急すぎて実感が無いが、凄く気持ちよかったし嬉しかった。
私はキスの余韻に浸った。
少しして、私はスマホを手に取る。
さっきスマホを開いたのに時間を全く見ていなかった、スマホのロック画面をみる。
7月17日 月曜日 8:34
ドラマとかだと重大な怪我をした時とかって1日ずっと寝てるイメージだけど、案外違うんだなと感じた。
上半身を起こし、壁にもたれかかる。
「ふぅ~」と息を吐き、スマホをいじる。
さっきの事が忘れられない。
きっと私の顔は凄く赤くなっているのだろう。
小太郎から、10時頃こちらに来るという連絡があったのでスマホをいじるのをやめて、テレビでも見て待つことにした。
テレビをつけると、朝定番のニュース番組がやっていた。
可愛い女子アナウンサーがフリップを持って国の運営方法を説明している、しかしそんな事説明されても私にはさっぱり分からない。
「では、次の特集に行きましょう。」
どうやら、政治についての特集は終わったらしい。
「昨夜、大崎駅で女子高生が刺されるという事件が発生しました。」
次は、私の話題らしい。
それもそうか、駅で女子高生が刺されるなんてあんまり無い、それに都内で起こった話。
マスコミも食いつくわけだ。
再現VTRみたいなものが始まった。
CGで昨日の事が再現されている、ナレーションと言うかセリフ付きで。
男を再現していると思われる方には包丁が持たされている。
図太い声で「殺すぞ!」とナレーション?が流れる。
ネット上では殺すという文字は規制されがちだが、単体での使用は認められるのか。
次に、女性の声で「私が守る!」と迫真の演技で流れた。
うん、こんな事言って無いんだよなぁ、まず怖くて声も出なかったし。
マスコミは数字が命とも聞くし、やっぱり誇張しないとダメなんだなぁと思ったが、流石にこれは誇張されすぎ。
再現VTRが終わった後、詳しい説明がされる。
「被害にあった女子高生は、都内の高校に通っていて容体は安定しているとのことです。」
何で知ってんねんとツッコミたくなる。
どっからこんな情報を仕入れてくるのか不思議だ。
女子アナの説明を聞いた後、コメンテーターであろう人達は「おぉ~、良かった」と口をそろえて言う。
ほんとにそんな事思っているのかと疑ってしまう、名前も知らないのにどうしてそこまで心配をするのか。
心配しておかないと炎上するからか、まぁいいや。
私は、再びスマホに目を移す。
私のスマホには目立ったアプリなど入っていない、強いて言うなら知らない人が投稿した小説を読めるアプリがあるくらい。
それでも、自分でライトノベルを買って読むので使う事はほとんどない。
結局、時間を確認したぐらいでスマホの画面を閉じた。
スマホには、9:21と書いてあった。
小太郎が来る時間までは、あと40分ほどある。
そういえば、お腹が空いた。
先生の話の中では食事について何も説明は無かった、小太郎に何か買ってきてもらおうかと思ったが、何か問題があるとマズいので私はナースコールを押した。
程なくして、看護師と思われる女性が来た。
「どうされましたか?」
「あの・・ご飯ってどうすれば良いですか・・?」
看護師の女性は「すみません、ただいま確認してきます。」と頭を下げ病室から出て行った。
私は、スマホを開きネットで調べる。
「病院 食事」と素早く打ち込み、一番上に出てきたページを開く。
ネットの情報によると、場所によって変わるが食事箋(処方箋の食事バージョン)を医師が管理栄養士に提出して、それを見た管理栄養士が献立を考えるとのこと。
まぁ、昨日緊急搬送されて来たし、仕方ないのかなとも思った。
5分ほどして、さっきの看護師が戻って来た。
「すみません、確認してきました。パンかご飯で選べるんですけど、どちらにしますか?」
私は朝はご飯派なのでご飯にした。
また5分ほどして、料理が運ばれて来た。
ベットのに付いている簡易型のテーブルにおぼんが置かれた。
主食はサバの塩焼き、野菜料理はほうれん草のお浸し、その他はたくあん、ご飯、牛乳というラインナップ。
病院でこんな豪華な物を食べても良いのだろうか、私は躊躇しつつサバを口に放り込んだ。
口に入れて最初に思った事、それは「薄い」。
塩焼きと思っていたがただ焼いただけなのではと思うほどの薄さ。
ほうれん草のお浸しも食べてみるが、やっぱり薄い。
ご飯は普通、たくあんはサバとほうれん草に比べたら味がある。
まぁ、確かに病人ではあるが私は「病気」というより「怪我」で入院している。
それなのに、こんなに薄くないとダメなのか。
「はぁ~」とまたため息をつく。
少し気が下がっているが、食べないとお腹は空く、私は再びサバを口に放り込み、ご飯を食べた。
なんとか、全部食べ終えて最後に牛乳を飲もうと思ったら、病室のドアが「コンコン」と鳴った。
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