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7.暗雲
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駅に入って、スマホを取り出し次の電車の時刻を確認する。
湘南新宿ラインは10分後、埼京線は3分後だったので埼京線に乗ることにした。
東京など寄るのであれば山手線を使うが、大崎に帰るだけなので今回は使わない。
流石に『酔い?』が覚めたのか絵梨香も普通にしている。
埼京線も通る駅が違うだけで、湘南新宿ラインと同じぐらいの時間で帰れるので埼京線にした。
「絵梨香、早くして。電車来ちゃうよ・・?」
「あ、うん。何か、はーちゃんから腕にぎゅーってしてくれたのが嬉しくて。」
「そうなんだ。じゃあ、もう一回!」
もう一度、絵梨香の腕に飛びついた。
さっきは大胆に行こう!と思ってったけど、案外恥ずかしい。
自分からやったのに、恥ずかしくなるとは情けないと思ってしまった。
改札に着いたので、改札を抜ける。
階段を降りると、丁度電車が来た。
私と絵梨香は、埼京線に乗り込んだ。
私は、なんで家に来てほしいのか絵梨香に聞いた。
「何で、この後絵梨香の家なの・・?」
「そ、それは・・」
絵梨香は少し顔を赤らめ
「今日も親居ないし、東京とか原宿とか行ったらはーちゃんと二人きりになれないし・・」
「ふーん、つまり二人きりになりたいってこと・・?」
「うん・・」
やっぱり昨日の事もあるので、どっちかって言うと行きづらい。
けど絵梨香も勇気を出して、家に来てほしいと言ったのだろう。
それに、二人きりになれるのは私も嬉しい。
昨日のように、絵梨香が暴走したら柔道の技で絵梨香を制圧すれば良いだけだ、昨日は突き飛ばしちゃったけど。
「私も、二人きりになりたい・・かな・・」
「ほんとに・・?じゃあ、家に・・」
「でも!」
「でも?」
「昨日みたいに、暴走したら技かけるからね・・」
怖がらせるために、低いトーンで私が言うと、絵梨香はバツが悪そうな顔をして「わかったよ・・」と納得してくれた。
「まもなく~大崎~大崎~」
話していて全く気が付かなかったが、そろそろ大崎に着くようだ。
私と絵梨香は車内アナウンスが鳴ったので、ドア付近まで行く。
ドアが開き、多くの人が降りていく。
「いたっ」
そんな声が隣から聞こえた。
隣を見ると、絵梨香が40代ぐらいの社会人とぶつかったようだ。
しかし、降りている人が沢山いる中、社会人であろう人は人の波に逆らい無理やり電車に乗ろうとしていた。
ぶつかるのも当たり前だ。
「ちょ、そこの女!」
さっきの男がわざわざ引き返して絵梨香に絡み始めた。
守らないと。
「え、その・・なんですか・・?」
「ぶつかっといて、謝罪もねぇのか?」
「だ、だってあなたが・・」
「口答えすんな!」
「う・・すみません・・」
絵梨香の瞳には溢れそうなぐらい水が付いている。
「ちょっと!それはないんじゃない?」
怖くて、体も声も震える。
「あ?なんだガキ。」
「あんたには関係ないでしょ?」
「ちっ、あーもうめんどくせぇ」
男がそう言うと、カバンの中をまさぐり始めた。
男は、カバンの中から包丁のようなものを取り出しこちらに向けてきた。
「お前を〝殺す"」
男の目は本気だ。
目に迷いなどなく、こちら一点に私を見つめている。
「は、はーちゃん早く逃げよう・・!」
逃げたい、けど逃げられるのならとっくに逃げている。
足が冷たい、思うように動かない。
けど、逃げられないのなら応戦するしかない。
「死ねよ!クソガキー!」
男は、こちらに向かって走ってくる。
頭が真っ白になる。
今まで考えていたことが、何も分からない。
腹部が熱い。
そう感じた後、とてつもない痛みが腹部に走った。
痛い、痛すぎて涙が出てくる。
目の前には、血の付いた包丁を持った男一人。
後ろには、怖いのか腰が抜けてる絵梨香が居る。
守らないと。
私は痛みに耐えながら、なんとか立ち上がり男に近づく。
「な、なんだよ・・!くるんじゃねぇ、刺すぞ!」
男は何か言っているが、私にはよく聞こえない。
男に限界まで、近づいた。
(よし・・これで・・・)
しかし、ここで私の視界は、暗くなり意識もプツリと消えた。
湘南新宿ラインは10分後、埼京線は3分後だったので埼京線に乗ることにした。
東京など寄るのであれば山手線を使うが、大崎に帰るだけなので今回は使わない。
流石に『酔い?』が覚めたのか絵梨香も普通にしている。
埼京線も通る駅が違うだけで、湘南新宿ラインと同じぐらいの時間で帰れるので埼京線にした。
「絵梨香、早くして。電車来ちゃうよ・・?」
「あ、うん。何か、はーちゃんから腕にぎゅーってしてくれたのが嬉しくて。」
「そうなんだ。じゃあ、もう一回!」
もう一度、絵梨香の腕に飛びついた。
さっきは大胆に行こう!と思ってったけど、案外恥ずかしい。
自分からやったのに、恥ずかしくなるとは情けないと思ってしまった。
改札に着いたので、改札を抜ける。
階段を降りると、丁度電車が来た。
私と絵梨香は、埼京線に乗り込んだ。
私は、なんで家に来てほしいのか絵梨香に聞いた。
「何で、この後絵梨香の家なの・・?」
「そ、それは・・」
絵梨香は少し顔を赤らめ
「今日も親居ないし、東京とか原宿とか行ったらはーちゃんと二人きりになれないし・・」
「ふーん、つまり二人きりになりたいってこと・・?」
「うん・・」
やっぱり昨日の事もあるので、どっちかって言うと行きづらい。
けど絵梨香も勇気を出して、家に来てほしいと言ったのだろう。
それに、二人きりになれるのは私も嬉しい。
昨日のように、絵梨香が暴走したら柔道の技で絵梨香を制圧すれば良いだけだ、昨日は突き飛ばしちゃったけど。
「私も、二人きりになりたい・・かな・・」
「ほんとに・・?じゃあ、家に・・」
「でも!」
「でも?」
「昨日みたいに、暴走したら技かけるからね・・」
怖がらせるために、低いトーンで私が言うと、絵梨香はバツが悪そうな顔をして「わかったよ・・」と納得してくれた。
「まもなく~大崎~大崎~」
話していて全く気が付かなかったが、そろそろ大崎に着くようだ。
私と絵梨香は車内アナウンスが鳴ったので、ドア付近まで行く。
ドアが開き、多くの人が降りていく。
「いたっ」
そんな声が隣から聞こえた。
隣を見ると、絵梨香が40代ぐらいの社会人とぶつかったようだ。
しかし、降りている人が沢山いる中、社会人であろう人は人の波に逆らい無理やり電車に乗ろうとしていた。
ぶつかるのも当たり前だ。
「ちょ、そこの女!」
さっきの男がわざわざ引き返して絵梨香に絡み始めた。
守らないと。
「え、その・・なんですか・・?」
「ぶつかっといて、謝罪もねぇのか?」
「だ、だってあなたが・・」
「口答えすんな!」
「う・・すみません・・」
絵梨香の瞳には溢れそうなぐらい水が付いている。
「ちょっと!それはないんじゃない?」
怖くて、体も声も震える。
「あ?なんだガキ。」
「あんたには関係ないでしょ?」
「ちっ、あーもうめんどくせぇ」
男がそう言うと、カバンの中をまさぐり始めた。
男は、カバンの中から包丁のようなものを取り出しこちらに向けてきた。
「お前を〝殺す"」
男の目は本気だ。
目に迷いなどなく、こちら一点に私を見つめている。
「は、はーちゃん早く逃げよう・・!」
逃げたい、けど逃げられるのならとっくに逃げている。
足が冷たい、思うように動かない。
けど、逃げられないのなら応戦するしかない。
「死ねよ!クソガキー!」
男は、こちらに向かって走ってくる。
頭が真っ白になる。
今まで考えていたことが、何も分からない。
腹部が熱い。
そう感じた後、とてつもない痛みが腹部に走った。
痛い、痛すぎて涙が出てくる。
目の前には、血の付いた包丁を持った男一人。
後ろには、怖いのか腰が抜けてる絵梨香が居る。
守らないと。
私は痛みに耐えながら、なんとか立ち上がり男に近づく。
「な、なんだよ・・!くるんじゃねぇ、刺すぞ!」
男は何か言っているが、私にはよく聞こえない。
男に限界まで、近づいた。
(よし・・これで・・・)
しかし、ここで私の視界は、暗くなり意識もプツリと消えた。
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