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3.仲直りとお誘い
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私の家は天王洲アイルから二駅の東京テレポート駅の近く、有名な名前で言えば「お台場」と言われ場所にある。
駅に来た私は、新木場行きの電車に乗り込んだ。
電車に乗っている間何も考えられなかった、というか考えたくなかった。
ぼーっとしていると、東京テレポートに着いた。
電車から降りると「姉貴?」と声が聞こえた。
振り返ると、義弟の小太郎がいた。
小太郎は、私の母が再婚して出来た義弟、といっても私が2歳、小太郎が1歳の時に再婚しているため実の弟のように接している。
「どうしたの・・?姉貴。何か浮かない顔してるけど・・」
「あぁ、小太郎いたんだ・・」
「俺なら話聞くけど・・」
「じゃあ家で話聞いてもらおうかな・・」
「あぁ・・」
階段を上り、改札を抜ける。
(なんで、義弟相手の気まずくなってんのよ・・)
「あ、姉貴、今日は姉貴の好きな炒飯作ってやるからさ、その・・元気だせよ。」
「う、うん・・ごめんね・・?」
「家でたっぷり話聞いてやるからさ!」
小太郎は私と違っていつも元気だ、それに人に対する気遣いが上手く、常に周りをみて行動している。
私とは大違いだ。
10分ほど歩き、マンションに着いた。
私の家庭は、周りと比べると絵梨香ほどではないが裕福だ。
両親は、北海道で暮らしている。
去年の秋、義父方のおじいちゃんが要介護になってしまったのと母の転勤がちょうど北海道になったため両親は北海道に居る。
私と小太郎が東京にいる理由は、時期が遅かったため、私の入試先の変更が出来なかったのと、小太郎が転校したくないといったから、それと絵梨香の影響。
「ただいまー」
「家に誰も居ないでしょ。」
「そうだね・・」
「ほら、姉貴手洗って。」
「へいへい」
「ぷっ・・!」
小太郎が急に笑い出した。
「ちょ、ちょっといきなり何・・?」
「いや、さっきまで一番大切にしていたものが壊れて絶望した顔みたいになっていた姉貴が、家に帰ってきたらいつもの姉貴になったからつい・・」
「ははは・・まぁ、大体あってるかもね・・」
今まで、一番の友達だと思っていて好きになって、告白してOK貰って付き合った日に大喧嘩してって、確かに一番大事なものを失ったのかな。
「ふーん、まぁ飯の時に話してくれよ、力になれるか分からないけど・・話せばスッキリするかもしれないからさ。」
「ありがとう・・!私は良い義弟を持ったなぁ・・!」
「ちょ、抱き着くなよ姉貴、だからブラコンって言われるんだぞ・・!」
今日の料理当番は小太郎、なので私は炒飯が出来るまで部屋に籠った。
「はぁ、どうしよ・・・」
カレンダーを見る、今日は金曜日。明日は土曜日なので学校は無い、部活も休みだ。
(明日、何しようかな・・)
そんなことを考えながらベットに倒れた。
「・・ねき・・ぁねき・・姉貴!」
「はっ・・」
「おはよう、姉貴。ぐっすり寝てたな。」
「おはよう・・今何時・・?」
「6時、ご飯できたから呼びに来た。正直、寝かせておこうか迷ったんだけど、話あるって言ってたし。」
「あぁ・・」
「まぁ、食べようぜ。」
「うん」
リビングに行くと、すでに机の上に炒飯が二つ置いてあった。
今日のメニューは、炒飯、中華スープ、飲み物は麦茶だ。
「なんか、ミニ回鍋肉でも作ればよかったか・・?」
「良いよ、今日はこれぐらいしか食べれないと思うし・・」
「そっか、で今日何があったんだ・・?」
「そ、それは・・」
私は、大幅に内容を変えて今日あったことを話した。さすがに、今日あったことをありのまま話す勇気は無かった。
「え、えりちゃんと喧嘩したのか・・」
「そう、だからどうしたら・・」
「うーん、明日謝れば?」
「あんた簡単に言うけどねぇ・・!」
「姉貴、喧嘩したらすぐに謝ったほうが良いよ?」
「で、でも・・会うの気まずいし・・」
「あのなぁ・・そんなのいつ行っても気まずいもんは気まずいんだよ、けど時間が経っていく度気まずさは増える、だから明日行け。」
「あ、明日は予定が・・」
「姉貴、明日部活とか何にも予定入って無いよな・・?」
「ぎくっ!」
「行かないと、料理当番毎日姉貴にするから。」
「・・・あい」
炒飯をしっかり味わい、下半身に違和感を感じたので風呂に来た。
違和感の正体は、うさちゃんパンツ。
あの後、家に帰ってきてから着替えもせず、直ぐに寝てしまったため気付かなかったが、パンツが乾きかけになっていて、もの凄く気持ち悪い。
風呂は沸いている、きっと小太郎が沸かしといてくれたのだろう。
お陰で直ぐに風呂に浸かることが出来そうだ。
服を脱ぎ、体をササっと流して湯船に浸かる。
(小太郎に明日謝れって言われたけど・・)
そもそも、どうやって絵梨香を誘えばいいか分からない。
「風呂の事で・・」これだと風呂の事限定になってしまうし「これからのことについて・・」だと今日の事と関連性が薄れてしまう。
迷いに迷った結果、「今日の事で話がある」とLIMUで誘うことにした。
風呂を上がり、スマホを見ると不在着信が入っていた。
相手は絵梨香だった。
掛け直そうとも思ったが小太郎に相談したところ、こうゆう話は実際に会って話した方が良いと言われたため「明日私の家に来て。」とだけ返信した。
自分の部屋に戻り再びベットに倒れ込む。
今日は、人生で一番疲れた。
柔道の時の体力トレーニングよりも、柔道の地区大会決勝戦よりも。今日はドンと疲れた、きっと体力の問題ではなく精神的な問題なのだろう。
(明日、ちゃんと仲直り出来るかな・・)
そんなことを考えながらスマホを手に取る。
インターネットを開き、入力した文字は『仲直り 同性』と調べていた。
調べてみると、色んな記事が出てきた。
なぜ喧嘩してしまうのか、同性カップルでありがちなケンカ、私の読んだ記事だと、価値観の違いが主な原因と書いてあった。
私は、性知識について全く知らない、けど絵梨香は沢山知っていた。それも、同性同士でする事を。
解決方法は旅行に行く、気分転換のため近場に出かけるなど。
一日しか付き合っていない、同性カップルにそんなこと言われてもと思いながらインターネットを閉じた。
時刻は、9時。
寝ようと思ったが、明日の事が気になり体は疲れているが中々寝付けない。
スマホを手に取り、再びインターネットを開いた。
履歴の残らないモードにして、打ち込んだ文字は『レズ エッチの仕方』
(別に、興味を持ったわけじゃない、あの時の電気みたいなものが気持ちよかったわけじゃない・・)
自分で怖いと言っておきながら調べるのはどうかと思うが、次やられた時に受け入れられなくて、その時嫌われてしまうのは嫌だと思っただけだ。
一番上に出てきたページを開く。
記事の見出しは、『レズビアンセックスは普通のセックスより気持ちいい!?』という見出し。
セックスという文字が堂々と入っていて、すでに恥ずかしい。
(セックスって言うのは英語で性別という意味・・)
そんな事を思いながら記事を読み進めた。
ステップ3! 耳を責めよう!
わざと吐息を聞かせてたり、囁いたりしましょう!そして愛を伝えましょう。
そんなことが書いてあった。
私は、今日あったことを思い出してしまい、開いていたタブを消した。
(もういい・・・寝る・・・)
そんなことを思い、瞳ひとみを閉じた。
頭が痛い。
目を開け横の時計を見る、時刻は10時。
「頭痛い・・」
独り言をぼやき、部屋から出る。
リビングのテーブルの上に紙が置いてあった。
「姉貴、おはよう。今日、えりちゃんと会って話し合って来いよ!朝飯はテーブルの上に置いてあるから、チンして食べてくれー。俺は部活で4時には帰るから。」
と紙には書いていた。
「ほんと、良い義弟おとうとを持ったなぁ・・」
洗面所に行き、鏡を見る。
長い髪は静電気でぼさぼさ、目はちゃんと開いていない。
「こりゃ酷い・・」
笑顔を作ろうとしても口が引き攣る。
「大丈夫かなぁ・・」
ふとスマホを見ると、絵梨香から「何時に行けば良いですか」と返信が来ていた。
(昨日の10時・・ちゃんと見とけば良かった・・)
急いで、「1時頃に来れる?」と打ち込み絵梨香に送った。
10分もしないで絵梨香から「分かりました」と帰って来た。
時刻は11時。
ご飯も食べて容姿も整えた、やることがない。
寝ようかとも思ったが、体質的に一度寝てしまうと爆睡してしまい、自分では起きられないため寝るのは辞めた。
部屋に戻って、本棚からライトノベルを取り出した。
題名は、「私の守護霊は大好きなお兄ちゃんなの!?」という本。
ライトノベルを読むようになったキッカケは、本屋に行った時可愛い女の子が映っている表紙に惹かれて、一冊買ったところ見事にはまってしまった。
自分で小説を作ってみたいとも思ったが、国語力が無く諦めた。
ライトノベルだからこそあるトンデモ展開、この本の魅力は兄が事故で死んだのに妹、そしてその周りの人には兄の姿が見えていくという設定が面白い。
時には笑い、時には感動して泣く。それがライトノベルの良さだ。
どうやら本の世界にかなり入り込んでいたらしく、時刻は12時30分を回っていた。
流石に片付けないとヤバいと思い、自分の部屋とリビングを掃除し始める。
自分の部屋は常に片付けている為、すぐに終わったがリビングは生活感駄々洩だだもれな感じ。
くしゃくしゃのクッション、明らかに使ったであろうにブランケット、その他色んな物が散らかっている。
西嶋姉弟は自分の部屋は片付けるが、リビングなど共有スペースはどっちかがやってくれるだろうという日本人の悪い心理がでてどちらも片付けようとしない。
「はぁ・・」とため息をつきブランケットやクッションを洗面所に持って行き、バスケットに入れる。
母親の口癖は「ため息をつくと幸せが逃げる」だ。
しかし、ため息なんてつきまくってるし、幸せってなんだと思い始めて来てる自分。
ブランケットを持って行き、リビングに戻ると丁度インターホンが鳴った。
「はーい」
「あ、あのはーちゃん・・?絵梨香だけど・・」
「あ、うん・・上がって・・」
うちのマンションはエントランスで応答とかしない、玄関前にチャイムがあるので、対応して直ぐに招き入れることが可能。
「お邪魔します・・」
「どうぞ・・」
絵梨香を家に入れても、お互いに目を合わせようとはしない。
「座って、私お茶持ってくる。」
「あ、うん・・ありがとう・・」
お茶を持ってきて絵梨香の目の前に置く。
一瞬だけ絵梨香の顔が見えた、その顔は悲しそうな顔をしており、今にも泣きだしそうな顔だった。
沈黙が続く。
少しして絵梨香が口を開いた。
「あ、あの・・」
「な、なに・・?」
「はーちゃん、ごめんなさい!」
絵梨香の口から出た言葉は意外なものだった、私はてっきり「はーちゃんなんて大っ嫌い!」的な事を言われると思い、覚悟はしていたが謝罪が飛んでくるとは思わなかった。
「その、昨日ははーちゃんのこと考えずに自分の事ばっか考えていて、はーちゃんの嫌な事してはーちゃんを傷つけた。だから、ごめんなさい。」
絵梨香がそう言うと、立ち上がり頭を下げてきた。
普段はぽわぽわしている絵梨香が、この時は凄く真面目な顔をしていた。
「え、絵梨香・・?その、私もごめんなさい。」
掠れ気味な声で絵梨香は訪ねてくる。
「えっ・・傷つけたのは私なのに・・何ではーちゃんが謝るの?」
「私もあの時、絵梨香に何されるか分かんなくて少しは興奮してたかもしれない、けど何されるか分からない恐怖の方が勝って絵梨香の事突き飛ばして挙句の果てに『狂人』とか言って絵梨香の事傷つけた。」
私は立ち上がり、絵梨香の方を見て頭を下げる。
「だから、ごめんなさい。あと、これからも私の恋人で居てください。」
絵梨香は泣き出しそうになっているのか声が震えていた。
「はい・・!私もはーちゃんの恋人で居たいです!」
こうして、絵梨香と仲直りすることが出来た。
「ううっ・・私・・はーちゃんと仲直り出来た・・」
絵梨香の目を見ると涙が溢れ出ている。
「ちょ、絵梨香!何で泣いてんの・・?」
「だ、だってはーちゃんと仲直り出来なかったらどうしようって考えてたけど、仲直り出来たのが嬉しくて・・」
私は絵梨香の近くに行き、気付けば絵梨香を抱きしめていた。
「私もすっごく怖かったんだから・・」
絵梨香を抱きしめていることに気づき、絵梨香から離れようとする。
しかし「やめないで。」と絵梨香は弱々しい声で囁いて来た。
あの時の高圧的な声とは違う、一人の少女の嘆き。
少女の嘆きを聞き、離れようとしていた腕を少女の腰に回し力を入れる。
そうすると、少女も手を回し抱きしめてくれる。
少しして絵梨香が「ぷふっ・・!」と吹き出した。
「私たち、さっきまでとんでもなく気まずかったのに、今はこんなに仲良くなって。」
「ほんとだね、昨日なんて心臓バクバクだったのに・・」
絵梨香の顔は笑顔から真剣な顔に変わっていた。
「ねぇ、はーちゃん。」
「ん、なに?」
「あの・・明日って・・暇・・?」
真剣な顔から、照れ臭そうな顔になる。
多分、最後まで真剣な顔で行く予定だったのだろうが、最初の言葉で照れ臭くなってしまったのだろう。
「暇だけど・・」
「だ、だったらさ明日、私とデートしない?」
私の脳内は「?」で埋まった。
「で、でーと?」
「そう、デート。昨日はーちゃんを傷つけてしまったお詫びもかねて。」
「・・・!」
デート、恋人が出来たらまず一番最初にしたいイベントだろう。
さすがに、今まで恋人0人だった私でもライトノベルの力でデートの仕方ぐらいは分かる。
しかし、いきなり誘われたため少しびっくりしてしまった。
「良いけど・・どこ行くの・・?」
「しながわ水族館。」
しながわ水族館。東京テレポートからしながわ水族館までは、大崎で降りて山手線に乗り換えて品川まで行った後京急線に乗り換え、大森海岸駅で降りて15分程度で着く。
しかし、りんかい線だけで行ける葛西臨海水族園という場所もある。
「けど、水族館なら臨海公園のとこで良いじゃん。」
「あそこは、何回も行ってるし品川の方が新鮮でしょ・・?」
「そうだね、私も臨海公園はお母さんと行ってたし、品川明日行こう。」
「え・・じゃあ・・」
「明日、デートしよ。」
「・・やったぁ!」
その後、集合時間と場所を決めて、絵梨香は家に帰った。
時刻は3時過ぎ。
2時間程しか話してないが、かなり疲れた。
しかし、絵梨香と仲直りも出来たしデートにも誘ってもらえた。
昨日のように絵梨香が暴走しないか不安な面もあるが、公共の場所であのようなことはしないだろうと思い、その考えは切り捨てた。
1時間程して小太郎が帰って来た。
「ただいまー姉貴。」
「おかえりー」
「姉貴、えりちゃんと仲直りできたのか・・?」
「うん!出来たしデートにも誘ってもらえた!」
「デート?」
(やべ、口滑った・・)
「い、いや~?そんなこと言って無いよ・・?」
「は?姉貴何言ってんの・・?」
昨日小太郎に相談はした、しかし絵梨香が恋人になったことは言わずにただ、『絵梨香と喧嘩した』としか言っていなかった。
本格的にマズい。
「い、いや~?だから・・」
「もしかして姉貴・・えりちゃんと付き合ってる・・?」
終わった。
「終わりだあぁ・・・!」
「ちょ、姉貴まだ何も言って無いだろ!」
「言ったじゃん、今!私と絵梨香が付き合ってるって言ったじゃん!」
「俺のは疑問形な!てかその言い方・・本当に・・?」
白状するしかない、そう思った私は昨日と今日の事を全て小太郎に教えた。
「まぁ、姉貴は性事情とか知らなそうだからな・・」
「う、うるさいな・・!本当にあの時は怖かったんだから!」
「けど、感じてたんだろ・・?」
笑いそうになりながら、小太郎は煽ってくる。
「まぁ、俺は姉貴の恋に口や手は出さないから。」
「え・・」
「まぁ、俺のクラスにも一組女の子同士で付き合ってるやつらが居て、そいつらと仲良いから姉貴の気持ち分からなくはないよ。」
「小太郎・・」
「だから、明日えりちゃんとデートするんだろ・・?楽しんで来いよ!」
「小太郎・・あんたってやつは・・!」
「ちょ、抱き着くな!だからブラコンって・・」
小太郎にバレたのは誤算?だったが、逆にバレて良かったかもしれない。
けど、小太郎のクラスに同性カップルが居なかったら、小太郎は今と違う答えを出していたかもしれない。
小太郎のクラスの同性カップルに感謝し、少し早いお風呂に入った。
風呂を上がり、夕飯を作る。
今日の当番は私なので、キッチンに立つ。
冷蔵庫を開けると、昨日小太郎が買ったであろう食材がたっぷり入っていた。
「うーん、何作ろう。」
迷いに迷いに、結局小太郎に聞くことにした。
「小太郎、今日何食べたい?」
「うーん、麺料理・・かな。」
「おーけー。じゃあ、冷やし中華でもするかな。」
キッチンに戻り、冷蔵庫を開ける。
大量の食材の中から、キュウリ、卵、サラダチキン、パプリカ、麺、中華のタレを取り出した。
西嶋家では、冷やし中華にパプリカを入れるという、珍しい家庭なのだ。
先に麺を茹で、氷水に冷やして置く。その間に野菜を切り分け、卵焼きを作り縦長に切る。
調理方法は特殊だか、小太郎からの評判は毎回良い。
30分ほどで、冷やし中華が完成した。
「小太郎、出来たよー」
「うぃー」
小太郎と二人、机に座り冷やし中華を啜る。
「姉貴、明日何着てくの?」
「えーと、制服・・?」
「はぁ・・」と小太郎はため息をつき私に喝を入れるように話し出す。
「姉貴!それはえりちゃんに対して失礼だぞ!」
「で、でも服なんてパジャマとかしか・・」
「んー」と小太郎は考えながら、時計を見る。
「よし、今買いに行こう。」
「はぁ?まだ、6時だから行けないことないけど・・」
服を買いに行くなら、池袋や新宿の方が良いと絵梨香が前言っていた。
絵梨香に「ヴィーナスフォートで良くない?」と言ったら「服だけなら良いかもしれないけど、池袋とかの方が流行に乗れるよ!」と自信満々に言っていたので、池袋新宿辺りに行こうと決めた。
「じゃあ、池袋行く?」
「はぁ?ヴィーナスフォートで・・」
「池袋行くの!」
ご飯を食べたら、部屋に籠る気満々だったので私はパジャマ姿だ。
パジャマを脱ぎ、制服に着替え小太郎を強引に連れ出し。東京テレポート駅に向かう。
駅に来た私は、新木場行きの電車に乗り込んだ。
電車に乗っている間何も考えられなかった、というか考えたくなかった。
ぼーっとしていると、東京テレポートに着いた。
電車から降りると「姉貴?」と声が聞こえた。
振り返ると、義弟の小太郎がいた。
小太郎は、私の母が再婚して出来た義弟、といっても私が2歳、小太郎が1歳の時に再婚しているため実の弟のように接している。
「どうしたの・・?姉貴。何か浮かない顔してるけど・・」
「あぁ、小太郎いたんだ・・」
「俺なら話聞くけど・・」
「じゃあ家で話聞いてもらおうかな・・」
「あぁ・・」
階段を上り、改札を抜ける。
(なんで、義弟相手の気まずくなってんのよ・・)
「あ、姉貴、今日は姉貴の好きな炒飯作ってやるからさ、その・・元気だせよ。」
「う、うん・・ごめんね・・?」
「家でたっぷり話聞いてやるからさ!」
小太郎は私と違っていつも元気だ、それに人に対する気遣いが上手く、常に周りをみて行動している。
私とは大違いだ。
10分ほど歩き、マンションに着いた。
私の家庭は、周りと比べると絵梨香ほどではないが裕福だ。
両親は、北海道で暮らしている。
去年の秋、義父方のおじいちゃんが要介護になってしまったのと母の転勤がちょうど北海道になったため両親は北海道に居る。
私と小太郎が東京にいる理由は、時期が遅かったため、私の入試先の変更が出来なかったのと、小太郎が転校したくないといったから、それと絵梨香の影響。
「ただいまー」
「家に誰も居ないでしょ。」
「そうだね・・」
「ほら、姉貴手洗って。」
「へいへい」
「ぷっ・・!」
小太郎が急に笑い出した。
「ちょ、ちょっといきなり何・・?」
「いや、さっきまで一番大切にしていたものが壊れて絶望した顔みたいになっていた姉貴が、家に帰ってきたらいつもの姉貴になったからつい・・」
「ははは・・まぁ、大体あってるかもね・・」
今まで、一番の友達だと思っていて好きになって、告白してOK貰って付き合った日に大喧嘩してって、確かに一番大事なものを失ったのかな。
「ふーん、まぁ飯の時に話してくれよ、力になれるか分からないけど・・話せばスッキリするかもしれないからさ。」
「ありがとう・・!私は良い義弟を持ったなぁ・・!」
「ちょ、抱き着くなよ姉貴、だからブラコンって言われるんだぞ・・!」
今日の料理当番は小太郎、なので私は炒飯が出来るまで部屋に籠った。
「はぁ、どうしよ・・・」
カレンダーを見る、今日は金曜日。明日は土曜日なので学校は無い、部活も休みだ。
(明日、何しようかな・・)
そんなことを考えながらベットに倒れた。
「・・ねき・・ぁねき・・姉貴!」
「はっ・・」
「おはよう、姉貴。ぐっすり寝てたな。」
「おはよう・・今何時・・?」
「6時、ご飯できたから呼びに来た。正直、寝かせておこうか迷ったんだけど、話あるって言ってたし。」
「あぁ・・」
「まぁ、食べようぜ。」
「うん」
リビングに行くと、すでに机の上に炒飯が二つ置いてあった。
今日のメニューは、炒飯、中華スープ、飲み物は麦茶だ。
「なんか、ミニ回鍋肉でも作ればよかったか・・?」
「良いよ、今日はこれぐらいしか食べれないと思うし・・」
「そっか、で今日何があったんだ・・?」
「そ、それは・・」
私は、大幅に内容を変えて今日あったことを話した。さすがに、今日あったことをありのまま話す勇気は無かった。
「え、えりちゃんと喧嘩したのか・・」
「そう、だからどうしたら・・」
「うーん、明日謝れば?」
「あんた簡単に言うけどねぇ・・!」
「姉貴、喧嘩したらすぐに謝ったほうが良いよ?」
「で、でも・・会うの気まずいし・・」
「あのなぁ・・そんなのいつ行っても気まずいもんは気まずいんだよ、けど時間が経っていく度気まずさは増える、だから明日行け。」
「あ、明日は予定が・・」
「姉貴、明日部活とか何にも予定入って無いよな・・?」
「ぎくっ!」
「行かないと、料理当番毎日姉貴にするから。」
「・・・あい」
炒飯をしっかり味わい、下半身に違和感を感じたので風呂に来た。
違和感の正体は、うさちゃんパンツ。
あの後、家に帰ってきてから着替えもせず、直ぐに寝てしまったため気付かなかったが、パンツが乾きかけになっていて、もの凄く気持ち悪い。
風呂は沸いている、きっと小太郎が沸かしといてくれたのだろう。
お陰で直ぐに風呂に浸かることが出来そうだ。
服を脱ぎ、体をササっと流して湯船に浸かる。
(小太郎に明日謝れって言われたけど・・)
そもそも、どうやって絵梨香を誘えばいいか分からない。
「風呂の事で・・」これだと風呂の事限定になってしまうし「これからのことについて・・」だと今日の事と関連性が薄れてしまう。
迷いに迷った結果、「今日の事で話がある」とLIMUで誘うことにした。
風呂を上がり、スマホを見ると不在着信が入っていた。
相手は絵梨香だった。
掛け直そうとも思ったが小太郎に相談したところ、こうゆう話は実際に会って話した方が良いと言われたため「明日私の家に来て。」とだけ返信した。
自分の部屋に戻り再びベットに倒れ込む。
今日は、人生で一番疲れた。
柔道の時の体力トレーニングよりも、柔道の地区大会決勝戦よりも。今日はドンと疲れた、きっと体力の問題ではなく精神的な問題なのだろう。
(明日、ちゃんと仲直り出来るかな・・)
そんなことを考えながらスマホを手に取る。
インターネットを開き、入力した文字は『仲直り 同性』と調べていた。
調べてみると、色んな記事が出てきた。
なぜ喧嘩してしまうのか、同性カップルでありがちなケンカ、私の読んだ記事だと、価値観の違いが主な原因と書いてあった。
私は、性知識について全く知らない、けど絵梨香は沢山知っていた。それも、同性同士でする事を。
解決方法は旅行に行く、気分転換のため近場に出かけるなど。
一日しか付き合っていない、同性カップルにそんなこと言われてもと思いながらインターネットを閉じた。
時刻は、9時。
寝ようと思ったが、明日の事が気になり体は疲れているが中々寝付けない。
スマホを手に取り、再びインターネットを開いた。
履歴の残らないモードにして、打ち込んだ文字は『レズ エッチの仕方』
(別に、興味を持ったわけじゃない、あの時の電気みたいなものが気持ちよかったわけじゃない・・)
自分で怖いと言っておきながら調べるのはどうかと思うが、次やられた時に受け入れられなくて、その時嫌われてしまうのは嫌だと思っただけだ。
一番上に出てきたページを開く。
記事の見出しは、『レズビアンセックスは普通のセックスより気持ちいい!?』という見出し。
セックスという文字が堂々と入っていて、すでに恥ずかしい。
(セックスって言うのは英語で性別という意味・・)
そんな事を思いながら記事を読み進めた。
ステップ3! 耳を責めよう!
わざと吐息を聞かせてたり、囁いたりしましょう!そして愛を伝えましょう。
そんなことが書いてあった。
私は、今日あったことを思い出してしまい、開いていたタブを消した。
(もういい・・・寝る・・・)
そんなことを思い、瞳ひとみを閉じた。
頭が痛い。
目を開け横の時計を見る、時刻は10時。
「頭痛い・・」
独り言をぼやき、部屋から出る。
リビングのテーブルの上に紙が置いてあった。
「姉貴、おはよう。今日、えりちゃんと会って話し合って来いよ!朝飯はテーブルの上に置いてあるから、チンして食べてくれー。俺は部活で4時には帰るから。」
と紙には書いていた。
「ほんと、良い義弟おとうとを持ったなぁ・・」
洗面所に行き、鏡を見る。
長い髪は静電気でぼさぼさ、目はちゃんと開いていない。
「こりゃ酷い・・」
笑顔を作ろうとしても口が引き攣る。
「大丈夫かなぁ・・」
ふとスマホを見ると、絵梨香から「何時に行けば良いですか」と返信が来ていた。
(昨日の10時・・ちゃんと見とけば良かった・・)
急いで、「1時頃に来れる?」と打ち込み絵梨香に送った。
10分もしないで絵梨香から「分かりました」と帰って来た。
時刻は11時。
ご飯も食べて容姿も整えた、やることがない。
寝ようかとも思ったが、体質的に一度寝てしまうと爆睡してしまい、自分では起きられないため寝るのは辞めた。
部屋に戻って、本棚からライトノベルを取り出した。
題名は、「私の守護霊は大好きなお兄ちゃんなの!?」という本。
ライトノベルを読むようになったキッカケは、本屋に行った時可愛い女の子が映っている表紙に惹かれて、一冊買ったところ見事にはまってしまった。
自分で小説を作ってみたいとも思ったが、国語力が無く諦めた。
ライトノベルだからこそあるトンデモ展開、この本の魅力は兄が事故で死んだのに妹、そしてその周りの人には兄の姿が見えていくという設定が面白い。
時には笑い、時には感動して泣く。それがライトノベルの良さだ。
どうやら本の世界にかなり入り込んでいたらしく、時刻は12時30分を回っていた。
流石に片付けないとヤバいと思い、自分の部屋とリビングを掃除し始める。
自分の部屋は常に片付けている為、すぐに終わったがリビングは生活感駄々洩だだもれな感じ。
くしゃくしゃのクッション、明らかに使ったであろうにブランケット、その他色んな物が散らかっている。
西嶋姉弟は自分の部屋は片付けるが、リビングなど共有スペースはどっちかがやってくれるだろうという日本人の悪い心理がでてどちらも片付けようとしない。
「はぁ・・」とため息をつきブランケットやクッションを洗面所に持って行き、バスケットに入れる。
母親の口癖は「ため息をつくと幸せが逃げる」だ。
しかし、ため息なんてつきまくってるし、幸せってなんだと思い始めて来てる自分。
ブランケットを持って行き、リビングに戻ると丁度インターホンが鳴った。
「はーい」
「あ、あのはーちゃん・・?絵梨香だけど・・」
「あ、うん・・上がって・・」
うちのマンションはエントランスで応答とかしない、玄関前にチャイムがあるので、対応して直ぐに招き入れることが可能。
「お邪魔します・・」
「どうぞ・・」
絵梨香を家に入れても、お互いに目を合わせようとはしない。
「座って、私お茶持ってくる。」
「あ、うん・・ありがとう・・」
お茶を持ってきて絵梨香の目の前に置く。
一瞬だけ絵梨香の顔が見えた、その顔は悲しそうな顔をしており、今にも泣きだしそうな顔だった。
沈黙が続く。
少しして絵梨香が口を開いた。
「あ、あの・・」
「な、なに・・?」
「はーちゃん、ごめんなさい!」
絵梨香の口から出た言葉は意外なものだった、私はてっきり「はーちゃんなんて大っ嫌い!」的な事を言われると思い、覚悟はしていたが謝罪が飛んでくるとは思わなかった。
「その、昨日ははーちゃんのこと考えずに自分の事ばっか考えていて、はーちゃんの嫌な事してはーちゃんを傷つけた。だから、ごめんなさい。」
絵梨香がそう言うと、立ち上がり頭を下げてきた。
普段はぽわぽわしている絵梨香が、この時は凄く真面目な顔をしていた。
「え、絵梨香・・?その、私もごめんなさい。」
掠れ気味な声で絵梨香は訪ねてくる。
「えっ・・傷つけたのは私なのに・・何ではーちゃんが謝るの?」
「私もあの時、絵梨香に何されるか分かんなくて少しは興奮してたかもしれない、けど何されるか分からない恐怖の方が勝って絵梨香の事突き飛ばして挙句の果てに『狂人』とか言って絵梨香の事傷つけた。」
私は立ち上がり、絵梨香の方を見て頭を下げる。
「だから、ごめんなさい。あと、これからも私の恋人で居てください。」
絵梨香は泣き出しそうになっているのか声が震えていた。
「はい・・!私もはーちゃんの恋人で居たいです!」
こうして、絵梨香と仲直りすることが出来た。
「ううっ・・私・・はーちゃんと仲直り出来た・・」
絵梨香の目を見ると涙が溢れ出ている。
「ちょ、絵梨香!何で泣いてんの・・?」
「だ、だってはーちゃんと仲直り出来なかったらどうしようって考えてたけど、仲直り出来たのが嬉しくて・・」
私は絵梨香の近くに行き、気付けば絵梨香を抱きしめていた。
「私もすっごく怖かったんだから・・」
絵梨香を抱きしめていることに気づき、絵梨香から離れようとする。
しかし「やめないで。」と絵梨香は弱々しい声で囁いて来た。
あの時の高圧的な声とは違う、一人の少女の嘆き。
少女の嘆きを聞き、離れようとしていた腕を少女の腰に回し力を入れる。
そうすると、少女も手を回し抱きしめてくれる。
少しして絵梨香が「ぷふっ・・!」と吹き出した。
「私たち、さっきまでとんでもなく気まずかったのに、今はこんなに仲良くなって。」
「ほんとだね、昨日なんて心臓バクバクだったのに・・」
絵梨香の顔は笑顔から真剣な顔に変わっていた。
「ねぇ、はーちゃん。」
「ん、なに?」
「あの・・明日って・・暇・・?」
真剣な顔から、照れ臭そうな顔になる。
多分、最後まで真剣な顔で行く予定だったのだろうが、最初の言葉で照れ臭くなってしまったのだろう。
「暇だけど・・」
「だ、だったらさ明日、私とデートしない?」
私の脳内は「?」で埋まった。
「で、でーと?」
「そう、デート。昨日はーちゃんを傷つけてしまったお詫びもかねて。」
「・・・!」
デート、恋人が出来たらまず一番最初にしたいイベントだろう。
さすがに、今まで恋人0人だった私でもライトノベルの力でデートの仕方ぐらいは分かる。
しかし、いきなり誘われたため少しびっくりしてしまった。
「良いけど・・どこ行くの・・?」
「しながわ水族館。」
しながわ水族館。東京テレポートからしながわ水族館までは、大崎で降りて山手線に乗り換えて品川まで行った後京急線に乗り換え、大森海岸駅で降りて15分程度で着く。
しかし、りんかい線だけで行ける葛西臨海水族園という場所もある。
「けど、水族館なら臨海公園のとこで良いじゃん。」
「あそこは、何回も行ってるし品川の方が新鮮でしょ・・?」
「そうだね、私も臨海公園はお母さんと行ってたし、品川明日行こう。」
「え・・じゃあ・・」
「明日、デートしよ。」
「・・やったぁ!」
その後、集合時間と場所を決めて、絵梨香は家に帰った。
時刻は3時過ぎ。
2時間程しか話してないが、かなり疲れた。
しかし、絵梨香と仲直りも出来たしデートにも誘ってもらえた。
昨日のように絵梨香が暴走しないか不安な面もあるが、公共の場所であのようなことはしないだろうと思い、その考えは切り捨てた。
1時間程して小太郎が帰って来た。
「ただいまー姉貴。」
「おかえりー」
「姉貴、えりちゃんと仲直りできたのか・・?」
「うん!出来たしデートにも誘ってもらえた!」
「デート?」
(やべ、口滑った・・)
「い、いや~?そんなこと言って無いよ・・?」
「は?姉貴何言ってんの・・?」
昨日小太郎に相談はした、しかし絵梨香が恋人になったことは言わずにただ、『絵梨香と喧嘩した』としか言っていなかった。
本格的にマズい。
「い、いや~?だから・・」
「もしかして姉貴・・えりちゃんと付き合ってる・・?」
終わった。
「終わりだあぁ・・・!」
「ちょ、姉貴まだ何も言って無いだろ!」
「言ったじゃん、今!私と絵梨香が付き合ってるって言ったじゃん!」
「俺のは疑問形な!てかその言い方・・本当に・・?」
白状するしかない、そう思った私は昨日と今日の事を全て小太郎に教えた。
「まぁ、姉貴は性事情とか知らなそうだからな・・」
「う、うるさいな・・!本当にあの時は怖かったんだから!」
「けど、感じてたんだろ・・?」
笑いそうになりながら、小太郎は煽ってくる。
「まぁ、俺は姉貴の恋に口や手は出さないから。」
「え・・」
「まぁ、俺のクラスにも一組女の子同士で付き合ってるやつらが居て、そいつらと仲良いから姉貴の気持ち分からなくはないよ。」
「小太郎・・」
「だから、明日えりちゃんとデートするんだろ・・?楽しんで来いよ!」
「小太郎・・あんたってやつは・・!」
「ちょ、抱き着くな!だからブラコンって・・」
小太郎にバレたのは誤算?だったが、逆にバレて良かったかもしれない。
けど、小太郎のクラスに同性カップルが居なかったら、小太郎は今と違う答えを出していたかもしれない。
小太郎のクラスの同性カップルに感謝し、少し早いお風呂に入った。
風呂を上がり、夕飯を作る。
今日の当番は私なので、キッチンに立つ。
冷蔵庫を開けると、昨日小太郎が買ったであろう食材がたっぷり入っていた。
「うーん、何作ろう。」
迷いに迷いに、結局小太郎に聞くことにした。
「小太郎、今日何食べたい?」
「うーん、麺料理・・かな。」
「おーけー。じゃあ、冷やし中華でもするかな。」
キッチンに戻り、冷蔵庫を開ける。
大量の食材の中から、キュウリ、卵、サラダチキン、パプリカ、麺、中華のタレを取り出した。
西嶋家では、冷やし中華にパプリカを入れるという、珍しい家庭なのだ。
先に麺を茹で、氷水に冷やして置く。その間に野菜を切り分け、卵焼きを作り縦長に切る。
調理方法は特殊だか、小太郎からの評判は毎回良い。
30分ほどで、冷やし中華が完成した。
「小太郎、出来たよー」
「うぃー」
小太郎と二人、机に座り冷やし中華を啜る。
「姉貴、明日何着てくの?」
「えーと、制服・・?」
「はぁ・・」と小太郎はため息をつき私に喝を入れるように話し出す。
「姉貴!それはえりちゃんに対して失礼だぞ!」
「で、でも服なんてパジャマとかしか・・」
「んー」と小太郎は考えながら、時計を見る。
「よし、今買いに行こう。」
「はぁ?まだ、6時だから行けないことないけど・・」
服を買いに行くなら、池袋や新宿の方が良いと絵梨香が前言っていた。
絵梨香に「ヴィーナスフォートで良くない?」と言ったら「服だけなら良いかもしれないけど、池袋とかの方が流行に乗れるよ!」と自信満々に言っていたので、池袋新宿辺りに行こうと決めた。
「じゃあ、池袋行く?」
「はぁ?ヴィーナスフォートで・・」
「池袋行くの!」
ご飯を食べたら、部屋に籠る気満々だったので私はパジャマ姿だ。
パジャマを脱ぎ、制服に着替え小太郎を強引に連れ出し。東京テレポート駅に向かう。
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