何度も母を殺す夢

真ん中のペダル

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第一夢

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 まずはじめに、私は母が大嫌いだ。私の人間性をすべて否定し、私の夢を妨害し、私を人間として扱わないあの人が大嫌いだ。だから、反抗する。私は夢の中であの人を殺す事にした。

 初めてあの人を殺したのは、小学5年生のとき。布団を使わせてもらえず、下着のまま冷えきった床で眠っていた時だった。私の手には包丁があって、母と妹は呑気にテレビを見ていた。私はチャンスだと思った。

 まず私は妹を殺した。あの人が可愛がっていた妹だ。叫ばないはずも無い。愉悦だった。歪な顔になりギャーギャー泣き叫んでいる。何が悪かったの!?どうしてそんなことをするの!?その金切り声が煩くて喉を掻っ切って殺した。あの感覚は夢のはずなのに妙にリアルだった。

 高校生になるまでにゆうに500回は殺した気がする。まだ足りなかった。これは、私が高校3年間夢の中で母を殺すだけの話。
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