高嶺の上司の優しいCommand

久乃り

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その6

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 翌日、柴崎課長は一人の新しい部下を隣に立たせて朝の挨拶をした。残念なことに隣の部署にはSabは一人しかいなかったのだ。

「では、挨拶をして《Speak》」

 隣に立つ新しい部下はほんのりと頬を染めながら自己紹介をした。今日の今日、会社に着いた途端に部署異動を告げられて柴崎課長に手を取られこの部屋にやってきたのだ。もちろん、昨日何があったのか知っている。それが昨日の今日でこんなにも展開が早く行われるとは思ってもいなかった。

「《Come》うん、みんないい子だ《Good》」

 挨拶が終わった途端全員が柴崎課長の前に集められ、そうしてこんな些細なことで褒められ皆一様に頬を染めている。

「山本くん、とてもいい挨拶だったよ。《Good》」

 そう言われ頭を撫でられれば今まで感じたことの無い高揚感に山本の体は包まれた。

「昨日は大変なことがあったが、みんなよく頑張った。《Good》設置しておいた防犯カメラが役に立った。あいつは降格されたから、もうみんなが会うことはないだろう。海外の支社に移動になった。更生プログラムの一環だから最低でも三年は戻ってこないから安心してほしい。では、今日も一日頑張ろう」

 それを合図に芝崎課長の部下たちは各自のデスクに戻っていく。移動したての山本は芝崎課長の近くのデスクに案内された。

「昨日までと仕事の内容に変わりはないから大丈夫だと思うが、上司は私で、担当の営業課が二課から一課になったので、メールの宛先を変える必要がある。メールボックスを開いて……」

 芝崎課長の指示に従い山本はパソコンを操作する。昨日まで上司だった宛先を消去して、代わりに芝崎課長のアドレスを登録した。それから同じ部署の仲間たち。そして、業務内容はほとんど同じで、取り扱う商品が違うだけだった。芝崎課長に見守られ、山本は今まで通りに営業から回ってきた注文書にある発注内容を入力していく。似たような名前の商品が多く、慎重にジャンコードを確認して登録を完了させた。

「素晴らしい。よくできた。入力も早くてミスがない。《Good》」

 芝崎課長がそう言って褒めると山本の頬がほんのりと色づいた。いつも通りに芝崎課長が頭を軽く撫でた時、山本の体が小さく跳ねた。その後、うつむく山本を見下ろし、芝崎課長は自分の顎を撫でて考える。こういったことは最初が肝心なのだ。

「山本君。《Stand》それから《Come》」
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