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主従なのか愛なのか

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 元々時間の分からない部屋にいる。
 体がだるくてだるくて仕方が無いので、ひたすら惰眠をむさぼっていたが、侍従が甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれた。
 かさついた喉のために、蜂蜜の入ったお茶を入れてくれて、消化のいい食事を出してくれた。

 抱くより抱かれる側の方が疲れるのは何故なんだろう?動いているのは抱いている側なのだが?やはり、あの恥ずかしい声を出しているのが原因なのだろうか?
 うだうだと考えるものの、答えなんてあるわけがない。誰も教えてはくれない事だ。



 一応ここは、後宮のような場所らしく、教育のためなのかこの国の、歴史書のような本が割と置かれていた。小難しいのから、あっさりしたものまであったので、とりあえずあっさりしたものを読んだ。
 なにしろ転生しているし、田舎出身の為、そんなに詳しく勉強なんてしていない。貴族なら知ってて当然のことを、俺は何も教わってはいない。
 丁度いいのでこの際少しは覚えておこう。ゲームの、設定集を読んでいるようでなかなか面白い。


 ソファーでくつろぎながら本を読んでいると、侍従が王子の到着を告げた。

「お前でも本を読むのか」

 乱雑に置かれた本を見て、王子が笑った。

「貴族名鑑は途中までしか読んでないけどね」

 俺が笑って答えると、王子は俺から本を取り上げた。

「ずっとここにいたのか?」
「なんでも持ってきてくれるし」

 俺はそう言って、部屋の片隅に控える侍従を見た。

「そうか」

 王子が短く答えると、侍従は小さく頭を下げて退出してしまった。
 王子の手が俺の髪を梳くように撫で、項の辺りで止まるとそのまま俺の頭を固定した。
 何をされるかわかっているので、俺は王子を見つめたままそれを待つ。
 下唇を軽く噛んでから、舐めるようにして重ねられた。けれど俺が目を開けたままなので、王子は笑いながらそのままその行為を続ける。

 目線を合わせたままの口付けは、なかなか刺激的で俺も王子の口内を攻めるのが楽しくなる。深いせめぎ合いを繰り返し、どちらのものか分からない唾液を何度も飲み込んだ。
 喉がなる度その音が、お互い塞ぎあった唇から頭に響いて余計に卑猥に感じてくる。
 王子はなかなか慣れているのか、そんな口付けを交わしながらも、俺の服を上手に脱がしていた。
 俺はそこまで上手に出来ないようで、上着のボタンを外すしか出来なかった。
 それでも上半身は裸になって、それでも口付けをやめないから、肌が触れ合って俺はたまらなく気持ちが良かった。

「んっ…んぁん……ふっ」

 気持ちが高まってきたのか、息継ぎをしている時に声が出てしまった。王子の手も俺の体を撫で回す。その手つきがだんだん変わってきて、腰にまわったあたりで体勢が変わった。
 唇が離れると、王子が笑っているのがよく分かった。

 俺は素直に王子の首に手を回すと、王子はそのまま俺を抱き上げた。
 王子、すげー力持ちだよな。俺だってそこそこ重たいと思うよ?
 まぁ、でも、今の俺は後宮に囲われた寵姫ポジションかな?王子に溺愛されているはずだから、こういうのもありなんだろう。


「大人しいな」

 俺を下ろすと、前髪をかきあげて額に唇を落としてきた。そういうのもやり慣れてる感じがする。
 女にしていないのなら、親衛隊員の、誰にしていたのだろう?
 皆さんなかなかの細マッチョなんだが?

「何を考えている?」
「うん、慣れてるなぁ…って」

 俺がそう言うと、王子は柔らかく笑った。
 俺、なんか変なこと言ったかな?

「そう思うか?」
「思う」
 俺が即答すると、王子が俺に被さってきた。

「……っん、ふぁ…ぁ……はぁ…ん」

 王子の舌が当たり前のように入ってきて、俺の口内を勝手にする。強く吸われて俺の舌が王子の口に入り、歯で甘噛みされると背筋がゾクゾクした。
 たまらなく気持ちいいので、思わず王子の背中に手が回る。全身を使ってお強請りをしてしまい、脚も王子の片脚に絡めていた。

「そう急かすな」

 一瞬見つめあって、王子の唇が顬や頬や鼻に落ちてきた。啄むような触れ方がくすぐったくて自然と顔が笑ってしまう。

「ふっ…ふっ……ふふ」
「どうした?」
 王子は俺の首の辺りに移動していたので、鎖骨の辺りを舐めていた。

「ん…なんか、ね」

 感覚がなんだかふわふわして、どうにも笑ってしまう。前世だったらイチャラブとか思ってるな、これ。
 俺がふわふわしているのに、王子はあんまり構ってくれないようで、俺の肌に落とす口付けが少しキツくなる。

「っ、ん……やだ…痛い」

 キツく吸われているというと言うより、噛みつかれている感覚があって、痛みが勝る回数が多い。

「文句を言うな。お前に教えてやってるんだ」

 王子はその行為を辞めるつもりは無いらしい。今更だけど、俺を教え込むつもりらしい。



 うん、まぁ、これって監禁ルートだもんな。
 でろでろに愛されちゃうやつなんだろうな。



 王子はいい加減俺の弱いところを、知り尽くしているから、胸の辺りを軽く爪で引っ掻くように指を動かす。ギリギリのところまでは攻めてくれるのに、寸前でやめるので俺は焦らされてどうにもむず痒い。

「あん…やぁ、だ…そこ…」

 焦らされて俺は我慢が出来ず、触って欲しくて胸を王子に押し付けるような動きをする。けれど、王子はそんな俺を笑ってみているだけで、俺の触って欲しいところには決して触らない。

「ヤダっ…なんでぇ」

 俺は胸が弱い。だから触って貰えないと寂しと思ってしまうのだ。縋るように王子の腕を掴むが、王子はわらっているだけだ。

「どうして欲しいか言ってみろ」
 分かっていてそう言うのだ。

「あっ…あ……ん、さわっ、て…もっと強く、して」

 ここに来てからずっと教えられてきたため、今更して貰えないのは辛い。昨日のことを思い出して、俺の身体は期待しているのだ。

「シオンは、強いのが好きか」

 笑っているような言い方で、王子はそう言うと、俺の胸を強く弄び始めた。慣れてしまった身体なので、強い刺激さえ心地よく、頭の後ろの辺りから意識が抜けていく。

「もっと…もっと、して」

 俺が強請れば王子が笑いながら俺の下半身に視線をうつす。自分でもわかっているが、下半身は既に熱を帯びている。焦らされた上で、与えられる強い刺激に反応しているのだ。

「節操がないな」
 王子の手が俺のモノを軽く触れ、首の辺りを強く摘んだ。

「っん…んん、ぅん……んん」

 強めの刺激だけれど、決定打ではない。どこをどうすればいいのかわかっているだけに、俺の期待には答えないつもりなんだろう。

「やぁ…もっ、と…」

 腰を揺らしてしまい、恥ずかしいとは思いつつももっと刺激が欲しいのが本音だ。

「ダメだ。今日は俺がいいと言うまで我慢だ」
「っ…ムリ、そんな、の……ムリ」

 俺がそう言うと、王子が俺の顔のそばによってくる。

「俺の言うことをちゃんと聞けたらご褒美をやろう」
 いつもより低い声が俺の耳を、刺激する。

「あ…で、も……」
「自分で抑えてみろ」
 そう言って俺の手を自身に連れていく。

「なん、で…」
「シオン、お前が誰のものかよく覚えてもらう」
 王子が、俺の手でしっかりと俺自身を握らせる。根元の辺りをキツく握ると、それだけで結構苦しい。

「えっ、な…んで、俺は…リーの、もの…」
「本当に、分かっているのか確認だ」
 王子の舌が俺の顳かみを舐めた。少しざらついた舌の感触に心がザワつく。外耳をゆっくりと舐め取られ、徐々に中へと入ってくる。

「くっ……ん、んん…あぁ」

 耳とはいえ、俺の穴の中に王子が入ってくる。そこから勝手に想像してしまう俺はおかしいのだ。けれど、想像することをやめることができない。
 俺の好きな胸を王子が強く摘んだ。

「あっあっ…もっ、もう……」

 口がだらしなく開くせいで、涎がたれてしまう。それを王子が、舐めとってわざと音を立てる。その音もまた俺を刺激する。

「気を抜くなよ」

 そう言って王子は俺の肌を撫で回す。俺は手を動かせないから身をよじるようにしてそれを耐える。空いている方の手は、シーツを掴もうとして指先に力が入る。
 脇腹から上へと王子の指が移動して、最後に胸を強く弾いた刺激は耐えられるものではなかった。

「っひゃあ……あぁぁ」

 全身が痙攣するけれど、俺は握る手を弱めることはしなかった。いや、逆に刺激を耐えようとして力を入れてしまったかもしれない。

「ぁああ……はぁはぁ…あ、あぁ」

 身体が痙攣するのがなかなか治まらず、俺は自然に涙を流していた。息が荒くなり口が閉まらない。

「よく出来た」
 王子が俺の頭を撫でた。

「っん…ご、ほう…び?」
 涙で霞む視界に王子がいる。濡れた音がして俺の膝裏に、王子の手が回された。
「ああ、ご褒美だ」

 前置きもなく王子が俺の胎内に入ってくると、王子の手が俺の手を引き離す。
 自分のものとはおもえないほどの嬌声を上げて、俺は吐精した。
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