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第39話 出来たって!
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剣が完成したと連絡がきて、ロイはセドリックにすぐに知らせに来た。ガロ工房から届いた手紙を片手に、セドリックの所へと転移魔法を使ったのだ。
「いてっ」
全くの不意打ちでロイを受け止める羽目になったセドリックは、取り繕うことも無く感情が口から出た。
「あ、ごめん」
ロイはセドリックの顔を見て一応は謝った。
謝ったけれど、確かに痛そうだ。
何しろ、セドリックはロイの下にいた。毎回そうなのだが、ロイの座標はそのまんま本人を指しているらしい。
だから、今回も正しくロイはセドリックの上に降り立った。痛いのは当然だ。まだベッドの上で微睡んでいたセドリックのちょうど腰の辺りにロイが座るように現れたのだから。
「………………」
セドリックはロイのことを無言で見つめたが、どうして痛いのかを口にすることが出来なかった。おそらく、ロイには経験がないことだと思われるから。
何しろロイは、セドリックの上に座ったままどこうともしない。自分が何の上に座っているかなんて、考えもしないのだ。
「ほら、見て。ガロ工房から手紙が届いた」
仰向けのままのセドリックの顔の前に、封筒をチラつかせる。宛名はロイになっていて、直接届いた封筒は、依頼をした日にロイが工房の主人ガロに預けたものだ。
「なん、て……書いてある、んだ?」
セドリックがようやく声を出すと、ロイは封筒から手紙を取り出した。そして、その文面をセドリックの方へ向ける。共通文字で『取りに来い』とだけ書かれているのが見えた。
ただ、手紙を見せるのに、ロイが少し腰をうかして前かがみになったから、セドリックとしては痛みがました。当たり前だけど、これ以上呻き声を出すことなんて出来ない。
セドリックはチリチリとした痛みに堪えながら手紙を読んだ。ガロが筆無精で助かった。長ったらしく書かれていたら、とてもじゃないけど読める気がしない。
「い、まから、行くのか?」
セドリックがそう言うと、ロイは大変嬉しそうに笑った。まさか、セドリックからそんな返事が貰えるなんて思っていなかったから。
「え、いいの?」
「実家から、支払い用の金貨を預かっている」
セドリックが、そう答えると、困ったことにロイははしゃいでしまった。よりにもよってセドリックの上にのったまま。
「っ………」
ロイの子どものような反応で、セドリックの使用しているベッドは軋んだ音を立てた。それでも小柄なロイがセドリックの上で跳ねただけだから、大したことではない。大したことになったのは、セドリック自身だ。
セドリックは喉の奥で声を噛み殺し、はしゃぐロイを下から見上げた。これはこれで、朝から刺激的だ。
「そ、ろそろ、どいて、くれないか?」
セドリックがようやく口を開くと、ロイは今更ながらに気がついたようで、軽く謝りながらセドリックの上から降りてくれた。
「シャワーを浴びてくるから待っていてくれ」
セドリックはそう言い残し、ロイに気取られないようにして浴室へ消えていった。残されたロイは、セドリックのベッドに、腰かけたままだ。手にしていた手紙をしまい込むと、セドリックのベッドに倒れ込んだ。
手紙が届いたので、ロイは飛び起きたのだ。その興奮のままセドリックの所にやってきた。
ロイはボンヤリと天井を眺めていると、なんだか窮屈なことに気がついた。足が床についていて、背中はベッドで……
「セド、セド」
ロイは慌ててセドリックのいる浴室に入った。だが、セドリックはすでに寝間着も下着も脱いでいて、シャワーを浴びながら素早く処理をしようとしたところだった。
「な、あ、どうした?」
飛び込んできたロイに驚きはしたものの、セドリックはなんとなく正面から向き合わないようにして、下半身をロイから隠す。
「どうしよう、またお腹がむずむずする」
ロイはまたそんな目でセドリックを見るのだ。
セドリックには朝の生理現象に加えて、ロイが駄目押しをしてきたのだが、ロイはおそらく興奮のためだ。剣が完成した喜びと、セドリックが今日すぐに行ってくれるという喜びとで、かつてない興奮を覚えたのだろう。
だがしかし、この手の興奮にまだ慣れていないから、ロイはすぐにセドリックを頼ってくる。セドリックだって嫌ではない。まだ幼さの残るロイの相手をするのはむしろ刺激的だ。自分の性的嗜好を疑ってしまうほどに。
「わかった。一緒にシャワーを浴びよう」
「いてっ」
全くの不意打ちでロイを受け止める羽目になったセドリックは、取り繕うことも無く感情が口から出た。
「あ、ごめん」
ロイはセドリックの顔を見て一応は謝った。
謝ったけれど、確かに痛そうだ。
何しろ、セドリックはロイの下にいた。毎回そうなのだが、ロイの座標はそのまんま本人を指しているらしい。
だから、今回も正しくロイはセドリックの上に降り立った。痛いのは当然だ。まだベッドの上で微睡んでいたセドリックのちょうど腰の辺りにロイが座るように現れたのだから。
「………………」
セドリックはロイのことを無言で見つめたが、どうして痛いのかを口にすることが出来なかった。おそらく、ロイには経験がないことだと思われるから。
何しろロイは、セドリックの上に座ったままどこうともしない。自分が何の上に座っているかなんて、考えもしないのだ。
「ほら、見て。ガロ工房から手紙が届いた」
仰向けのままのセドリックの顔の前に、封筒をチラつかせる。宛名はロイになっていて、直接届いた封筒は、依頼をした日にロイが工房の主人ガロに預けたものだ。
「なん、て……書いてある、んだ?」
セドリックがようやく声を出すと、ロイは封筒から手紙を取り出した。そして、その文面をセドリックの方へ向ける。共通文字で『取りに来い』とだけ書かれているのが見えた。
ただ、手紙を見せるのに、ロイが少し腰をうかして前かがみになったから、セドリックとしては痛みがました。当たり前だけど、これ以上呻き声を出すことなんて出来ない。
セドリックはチリチリとした痛みに堪えながら手紙を読んだ。ガロが筆無精で助かった。長ったらしく書かれていたら、とてもじゃないけど読める気がしない。
「い、まから、行くのか?」
セドリックがそう言うと、ロイは大変嬉しそうに笑った。まさか、セドリックからそんな返事が貰えるなんて思っていなかったから。
「え、いいの?」
「実家から、支払い用の金貨を預かっている」
セドリックが、そう答えると、困ったことにロイははしゃいでしまった。よりにもよってセドリックの上にのったまま。
「っ………」
ロイの子どものような反応で、セドリックの使用しているベッドは軋んだ音を立てた。それでも小柄なロイがセドリックの上で跳ねただけだから、大したことではない。大したことになったのは、セドリック自身だ。
セドリックは喉の奥で声を噛み殺し、はしゃぐロイを下から見上げた。これはこれで、朝から刺激的だ。
「そ、ろそろ、どいて、くれないか?」
セドリックがようやく口を開くと、ロイは今更ながらに気がついたようで、軽く謝りながらセドリックの上から降りてくれた。
「シャワーを浴びてくるから待っていてくれ」
セドリックはそう言い残し、ロイに気取られないようにして浴室へ消えていった。残されたロイは、セドリックのベッドに、腰かけたままだ。手にしていた手紙をしまい込むと、セドリックのベッドに倒れ込んだ。
手紙が届いたので、ロイは飛び起きたのだ。その興奮のままセドリックの所にやってきた。
ロイはボンヤリと天井を眺めていると、なんだか窮屈なことに気がついた。足が床についていて、背中はベッドで……
「セド、セド」
ロイは慌ててセドリックのいる浴室に入った。だが、セドリックはすでに寝間着も下着も脱いでいて、シャワーを浴びながら素早く処理をしようとしたところだった。
「な、あ、どうした?」
飛び込んできたロイに驚きはしたものの、セドリックはなんとなく正面から向き合わないようにして、下半身をロイから隠す。
「どうしよう、またお腹がむずむずする」
ロイはまたそんな目でセドリックを見るのだ。
セドリックには朝の生理現象に加えて、ロイが駄目押しをしてきたのだが、ロイはおそらく興奮のためだ。剣が完成した喜びと、セドリックが今日すぐに行ってくれるという喜びとで、かつてない興奮を覚えたのだろう。
だがしかし、この手の興奮にまだ慣れていないから、ロイはすぐにセドリックを頼ってくる。セドリックだって嫌ではない。まだ幼さの残るロイの相手をするのはむしろ刺激的だ。自分の性的嗜好を疑ってしまうほどに。
「わかった。一緒にシャワーを浴びよう」
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