【完結】知っていたら悪役令息なんて辞めていた

久乃り

文字の大きさ
上 下
33 / 75

第32話 補給か事後処理か

しおりを挟む
 強引に起き上がったから、ロイの足はセドリックの肩から外れていた。
 体格差もあるから、ロイがしがみつけたのはセドリックの腹の辺りになった。

「ずるいって、なんだ」

 座っていた体勢だから、ロイがぶつかってきても倒れるようなことはなかったけれど、それでも少しは体の重心が後ろに動いた。こんな体勢では、セドリックも興奮している事がバレてしまう。

「なんでっ!俺の方が魔力切れしてたのに」

 ロイが口にしたことを耳が捉えて、セドリックは理解ができた。おそらく、ロイの体液をセドリックが飲んだことに対しての抗議なのだろう。

「ロイ、今のはあくまでも…」

 セドリックが説明をしようとしたけれど、ロイは聞く耳を持たなかった。セドリックの興奮を確認すると、なんの躊躇いもなくそこを掴んできたのだ。

「!!!!!!」

 そんな勢いで掴まれたことなんてないから、セドリックは当然驚いて、一瞬腰が浮いた。平たく言えば急所だ。しかも、こんなに分かりやすくむき出しになっている。鍛えて何とかなる場所ではない。いやむしろ、鍛えるのは違う方向になる場所だ。

「セドのだって、こんなになってる」

 制服のズボンの上から、ロイが両手で握りしめている。はだけたシャツしか身にまとっていない、そんな姿で男の股間に手を伸ばしてくるなんて、ロイはその手のことが全く分かっていないのだ。

「だ、大丈夫だ。俺は自分で処理ができるから」

 セドリックがなんとかしてロイを引き離そうとするけれど、ロイは全く意に介さない。ロイの頭を押すセドリックに抵抗するかのように、ロイは握りしめる手に力を込めてきた。

「っう……ぅ」

 痛いと言うよりは、もどかしい感覚があって、セドリックはなんともむず痒い状態になっていた。けれど、だからといって、この先の事をロイにはさせられない。

「ほら、俺がやってあげるから」

 ロイはそう言って、セドリックの制服のズボンの前をくつろげた。ズボンの上から握りしめていたものを、出すために、下着を下げる。

「ロイっ」

 さすがに、ロイが見慣れたモノとは違うことに躊躇いがあるため、セドリックはロイの顔を遠ざけようとしたけれど、重心が後ろに行ってしまって、上手くロイを遠ざけることが出来なかった。

「……………」

 自分で出しておきながら、ロイはセドリックのモノをみて止まってしまった。形は似ているけれど、色と大きさがあまりにも違った。ロイは、広げた手のひらをそっと近づけて、指先でそっと、触った。
 先端は柔らかくて、お世辞にも綺麗な色とは言い難い。赤と言うよりかは紫寄りの、ピンクが混じっている。
 ロイの指がそこをつつくように押し込めば、先端の穴から透明な液体がゆっくりと溢れてきた。ロイはしばらく眺めていたが、そのこぼれてきた液体を指先ですくいとり、そのまま口に運んだ。

「ばっ、バカなのか?」

 セドリックはだいぶ慌ててロイの手を掴んだ。けれど、掴んだだけでロイの指はすくった液体をもう、口に入れていた。

「んんんん?」

 指をくわえてロイはしばし考え込むような顔をした。
 少し首を傾げて、指を舐るように動かしている。

「やっぱり、セドのは濃くて美味しい」

 軽く下唇を舐めたロイが、セドリックに近づく。

「ロイ?」

 セドリックが、呆気にとられているうちに、ロイの頭はそのままセドリックの下腹部に触れていた。

「ろっ、ロイ!ダメだ、よせ!お前がこーゆー事をするのは良くない」

 体液を摂取するなら他の方法があるのに、とは決して言えなかった。他の方法の方が、よろしくない。体格も思考もロイはまだまだ、子どもなのだ。

「やだよ、だって、セドもしたじゃん」

 理屈はあっているが、そうじゃない。
 ロイの小さな体がセドリックの膝の間に入り込んで、小さな頭が股間に達した。

「っう…う」

 軽く歯が当たったものの、温かくて柔らかい感触が先端を包み込んだ。分かってはいるけれど、ロイの口に対して、セドリックのモノが大きい。ロイの手は、魔力を感知しているのか、下にある膨らみを握りつつ、口に収まらない箇所を掴んでいた。

「…ろ、い……ダメだ、よせ」

 誰かの手で触れられたことはあるけれど、さすがに口は初めてで、温かいものに包み込まれる気持ちよさにセドリックの腰が浮いた。

「ん~ー」

 わかっているのか、いないのか、ロイはちょっとだけ顔を上げてセドリックを見た。口を少し開けるから、ロイのピンク色の舌の上に、セドリックの紫がかった赤みを帯びた先端が乗っていた。少し見える白い歯がやけに目に付いた。

「らいひょーぶ」

 ロイは返事をすると口を閉じ、セドリックがしたように強く吸い付いてきた。そんなことをすると、ロイの腰が揺れる。シャツしか着ていないから、むき出しの下半身が嫌でもセドリックの目には毒だった。

「ロ、イ」

 小さな口だからこそ、先端だけを強く吸われて、余計に刺激が強かった。
 ロイは、自分がセドリックにされたように吸って、軽く歯を当てて、舌を絡めてきた。ロイの小さな口からは、セドリックを刺激する音が漏れて、視覚も聴覚も完全にやられてしまった。ロイの手は、セドリックの魔力の流れを確認するように、下腹の辺りをゆっくりと撫でてきた。

「すまない」

 セドリックは半ば諦めに似た感情で、堪えきれなくなった思いを吐き出した。受け止めてもらうには、相手が小さいと思いつつも、どうにもならない。

「んぅ」

 うめき声にも似た小さな声が聞こえて、その後に不釣り合いなほど大きな喉の鳴る音が響いた。
 ロイの二回分程の量を吐き出した。
 セドリックが不安になって、ロイを見つめていると、ロイは顔を上げてセドリックを見た。

「ロイ?大丈夫か?」

 セドリックが不安になって尋ねると、ロイはニンマリと笑ってセドリックと目を合わせた。そして、セドリックが、したように口を開いた。

「っ!」

 その視覚の暴力にしかならないモノを見せつけて、ロイはゆっくりと口を閉じると、喉を見せつけるようにして飲み込んだのだ。
 ロイの喉が上下する音がやけに艶めかしい。けれど、セドリックはわかっている、ロイがしている事が自分の受け売りなのだと。自分とロイの行為の決定的な違いはそこだ。

「セドのは、やっぱり美味しい。質がいいよ」

 軽く唇をひと舐めする仕草だって、なんの意図もない。けれど、セドリックはその仕草に意味を求めてしまうのだ。

「ロ、イ…」

 セドリックが口を開いた時、ロイが勢いよく立ち上がった。目の前でいきなりの行動だったから、セドリックの体が一瞬後ろに退けぞった。

「よし!帰ろう」

 ロイは元気よく宣言すると、セドリックが脱がせた制服を拾い集めた。そうして浄化魔法をかかけて身につける。

「あ、セドにもかけとくね」

 ロイの手がセドリックの方へ向けられると、何かがセドリックの体を包み込んだ。
 ダンジョンに潜っていたから、土埃なんかで汚れていた制服が綺麗になったし、抜きあいでついた独特の匂いがなくなった。セドリックが礼を言うと、ロイはなんでもない事のように振る舞った。

「じゃあ、帰ろう」

 ロイがそう言うので、セドリックは慌てて自分の結界を解いた。戻り用の転移ゲートがあるとは聞いていたが、だいぶ離れた辺りに白っぽい魔法陣が見えた。

「アレを使うのか?」

「んーん」

 ロイは首を横に振ると、セドリックに抱きついてきた。

「俺ンチに帰るの。んで、セドの英雄の剣作りに行こ」

 セドリックが聞き返そうとした時には、すでにロイが転移魔法を展開していた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...