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ジークフリート目線10
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メイドが用意してくれていた下着と寝間着を身につけると、風魔法でざっくりと髪を乾かした。いつもの通り用意されたハーブ水を飲むと、そのままセレスティンの部屋へと向かう。明かりは少し落とされてはいるが、セレスティンはベッドの上で起きていた。学園の教科書を読んでいたようだ。マリがサイドテーブルに置かれたカップとともに教科書を持って去っていく。マリの中では未だ俺のことを権力でセレスティンを奪いさった悪党と位置付けられているようだ。
「セレスティン、具合は良くなったのか?」
「はい。今日一日中寝ていたみたいで、とても頭がスッキリしています」
そう言って微笑むセレスティンはシャロン殿よりは、エイゼル様に似ている気がした。だが、だからといって似たような人生を歩む訳ではない。俺は決意を新たにベッドに腰掛けた。そうして上半身をセレスティンへと向けた。
「悩みがあるのなら話してほしい」
そう言って、そっとセレスティンの頭を自分の胸へと抱き寄せた。ベッドの上に上半身を起こした状態であったから、セレスティンはなんの抵抗もせずにすんなりと俺の胸に納まった。サラサラとしたセレスティンの髪をゆっくりと撫でる。そう強くはないが、ゆっくりとセレスティンの顔を俺の胸に埋めるようにセレスティンの背中にも手を回した。
そうすれば、踏ん張りに効かないセレスティンの上半身は面白いように俺の方へと傾き、セレスティンの顔面はどんどん俺の胸へ吸い付くように沈んでいった。
「…………」
セレスティンは無言であるが、俺からすればその感情は丸わかりである。首の後ろまで真っ赤に染め上げるほど、セレスティンは動揺しているのだ。
「セレスティン、どうか俺の腕の中で幸せになって欲しい」
そう言いいつつ、ゆっくりと意識しながら胸筋に力を入れていく。固くするのではなく、あくまでも盛り上げることを意識する。風呂上がりだから、まだ俺の胸は温かなことだろう。あくまでもセレスティンの頭を優しく撫でながら、俺の胸、エトワール令嬢が言うところの雄っぱいにゆっくりとセレスティンの顔が挟まる様にした。
「セレスティン……」
名前を呼んだ後、優しく抱きしめるようにセレスティンの頭に腕を回した。腕の中でセレスティンが何かをモゴモゴといっている様だが聞こえないふりに徹した。
しばらくそうしていると、セレスティンから規則正しい寝息が聞こえてきた。先程頭がスッキリしている。といっていたはずなのに、こんなにも安らかな寝息を立てるとは思わなかった。その寝顔を盗みみればまるで幼子の様に愛らしかった。
「……消灯」
指を鳴らして魔道具の照明を消せば、あたりがゆっくりと闇に包まれていった。
俺は抱きしめているセレスティンを起こさない様に、ゆっくりと体の向きを変えると、履いていた室内ばきを風魔法で足から外した。そうしてそのまま布団の中へと二人の体を滑り込ませる。セレスティンの体が冷えない様に、手で布団の中の温度を確認するのも忘れない。おれの腕の中、もとい雄っぱいの中に埋もれているセレスティンはなにやら幸せそうな笑みを浮かべていた。
「おやすみ、セレスティン」
俺はそう言ってセレスティンの頭に唇を落とした。抱きしめているから額にできないのは致し方がない。それでも、この陽だまりの様に美しい婚約者をこの腕にいだける喜びは何ものにも代え難い。風魔法で天蓋を落とせば、マリの気配が遠ざかったのがわかった。控えの間にずっといたのだろう。セレスティンに対して恐ろしいほど忠義を尽くすいいメイドだ。
明日は休みであるから、ゆっくりと眠らせてもらおう。
「セレスティン、具合は良くなったのか?」
「はい。今日一日中寝ていたみたいで、とても頭がスッキリしています」
そう言って微笑むセレスティンはシャロン殿よりは、エイゼル様に似ている気がした。だが、だからといって似たような人生を歩む訳ではない。俺は決意を新たにベッドに腰掛けた。そうして上半身をセレスティンへと向けた。
「悩みがあるのなら話してほしい」
そう言って、そっとセレスティンの頭を自分の胸へと抱き寄せた。ベッドの上に上半身を起こした状態であったから、セレスティンはなんの抵抗もせずにすんなりと俺の胸に納まった。サラサラとしたセレスティンの髪をゆっくりと撫でる。そう強くはないが、ゆっくりとセレスティンの顔を俺の胸に埋めるようにセレスティンの背中にも手を回した。
そうすれば、踏ん張りに効かないセレスティンの上半身は面白いように俺の方へと傾き、セレスティンの顔面はどんどん俺の胸へ吸い付くように沈んでいった。
「…………」
セレスティンは無言であるが、俺からすればその感情は丸わかりである。首の後ろまで真っ赤に染め上げるほど、セレスティンは動揺しているのだ。
「セレスティン、どうか俺の腕の中で幸せになって欲しい」
そう言いいつつ、ゆっくりと意識しながら胸筋に力を入れていく。固くするのではなく、あくまでも盛り上げることを意識する。風呂上がりだから、まだ俺の胸は温かなことだろう。あくまでもセレスティンの頭を優しく撫でながら、俺の胸、エトワール令嬢が言うところの雄っぱいにゆっくりとセレスティンの顔が挟まる様にした。
「セレスティン……」
名前を呼んだ後、優しく抱きしめるようにセレスティンの頭に腕を回した。腕の中でセレスティンが何かをモゴモゴといっている様だが聞こえないふりに徹した。
しばらくそうしていると、セレスティンから規則正しい寝息が聞こえてきた。先程頭がスッキリしている。といっていたはずなのに、こんなにも安らかな寝息を立てるとは思わなかった。その寝顔を盗みみればまるで幼子の様に愛らしかった。
「……消灯」
指を鳴らして魔道具の照明を消せば、あたりがゆっくりと闇に包まれていった。
俺は抱きしめているセレスティンを起こさない様に、ゆっくりと体の向きを変えると、履いていた室内ばきを風魔法で足から外した。そうしてそのまま布団の中へと二人の体を滑り込ませる。セレスティンの体が冷えない様に、手で布団の中の温度を確認するのも忘れない。おれの腕の中、もとい雄っぱいの中に埋もれているセレスティンはなにやら幸せそうな笑みを浮かべていた。
「おやすみ、セレスティン」
俺はそう言ってセレスティンの頭に唇を落とした。抱きしめているから額にできないのは致し方がない。それでも、この陽だまりの様に美しい婚約者をこの腕にいだける喜びは何ものにも代え難い。風魔法で天蓋を落とせば、マリの気配が遠ざかったのがわかった。控えの間にずっといたのだろう。セレスティンに対して恐ろしいほど忠義を尽くすいいメイドだ。
明日は休みであるから、ゆっくりと眠らせてもらおう。
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