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アリス目線4
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真剣な顔をして、セレスティン様が私のことを見ている。おおかた予想はついているが、進行具合からいってそろそろなことぐらい私はわかっている。高等部への進級が迫っている。それはすなわちR15からR18に切り替わるということで、セレスティン様とジークフリート様が二人で生活を始めると言うことに他ならない。
「アリス、俺の貞操の危機なんだ」
セレスティン様はとても真剣なお顔をされているけれど、もはや決定事項、R18版に突入して一番最初にエロスチルを出すのは他ならぬセレスティン様なのだ。何しろ一緒に住むのだから、自宅にいればいつでもどこでも押し倒されてしまうのだ。ソファーでうたた寝をしていれば、風邪をひくと言って温められたり、入浴していれば体を洗ってやると言われ、眠っていればいつの間にかに同衾されているのだ。
もはや待ったなし。
「お屋敷の準備は整ってしまったのでしょう?」
「そうなんだよ。風呂もベッドも俺の理想通りのものが完成したんだ」
「それは……喜ばしいことで?」
「そうなんだけどぉ、十六になったらぁ」
「解禁されますわね」
私がそう答えると、セレスティン様はがっくりと肩を落とされた。
「性的な接触、だよ?何されると思う?」
「なに、とは……ナニ……いえ、でも、いきなりはないと思いますけれど」
「いきなり?いきなりって、そりゃ男同士だからさいきなりは無理だと思うよ、無理だって信じたいよ?でもこの世界魔法があるじゃん」
セレスティン様は力いっぱい叫ばれた。狭い温室で、セレスティン様がかけた遮音の魔法があるとはいえ、年頃のご子息様が発するには少々品がないとも言える。のですが、今はそんな悠長なことを言っている場合ではないのです。しかしながら、腐女子である私からすればようやくやってきた解禁日、ジークフリート様には頑張ってエロスチルを連発していただきたい所存……
「アリス、今変なこと考えてただろ!俺のこと助ける気はないの?」
「え?ええええええええ?わ、私がセレスティン様を助ける?」
「助けてくれないの?」
「そうは言われましても、私は婚約破棄の手段を教えたではありませんか」
「だって、すぐに婚約破棄なんかできないじゃん。それに、神官が動機が弱いっていうしさぁ」
「そう、でしたか……」
しょんぼりした顔を作って見せたものの、内心はそりゃそうだと思っている私がいる。ゲームでは婚約破棄は成立していない。それどころか逃げようとするセレスティン様を監禁するジークフリート様が出現してしまうフラグなのだ。この婚約破棄という行動は。
「ねえ、やだよ俺、童貞より処女失うなんてさぁ」
セレスティン様のお顔がわかりやすいぐらいに青ざめている。やはり前世おじさんにBLは難しいようですね。前世で読み漁ってきた薄い本では、たいていの転生者転移者の皆様は環境に適応するが如く、BLというものを受け入れてしまっていたというのに、セレスティン様はどうしてなかなか順応してくれない。
助けを求められ、同郷のよしみで助けたいと思う反面、腐女子としてはフラグの立った監禁を見てみたいと思ってしまうのだ。私の中で葛藤が生まれているのだが、それをセレスティン様に悟られるわけにはいかない。
「ねぇ、アリス。なんかいい策はないの?」
セレスティン様が聞いてくる。だがしかし、少しはご自分で考えられてはよろしいのではないだろうか?私だって自分の現状から逃れる策を探しているというのに。
「あ、悪役令息になってみてはいかがでしょうか」
とっさに出てきた言葉は、BLにおいてもはや定番となったタグである悪役令息である。このタグは人気がある。問題は、悪役令嬢とは対をなしてはいないことだろう。
「悪役令息?前にそれはない。みたいなこと言ってなかった?」
「で、すから、悪役令息になって婚約破棄とかはこのゲームにはないのですが、悪役令息になってジークフリート様を翻弄してみてはいかがでしょうか?」
「ジーク様を翻弄?」
「そうです、ええ、と、そう、小悪魔。例えるなら小悪魔ですよセレスティン様」
「うぅぅん、小悪魔……小悪魔、ぎゃ、ギャル?」
うううう、セレスティン様には理解されなかった模様。ギャルはジャンルが違います。なんて説明をすればいいのやら……おじさんであったというのだから、時代、おじさん文化における小悪魔、とは?
「セレスティン様、アレです。ジークフリート様をアッシーくんでメッシーくんでミツグくんとするのですよ」
私がそう言えばセレスティン様は大きく目を見開いた。
「わかった、ありがとう!さすがはアリスだ。そうだよ、ジーク様は俺にいろんなものを買ってくれて、美味しいものを食べさせてくれて、今度の誕生日には馬車をプレゼントしてくれるっていうんだから、間違いなくアッシーメッシーミツグくんだよ」
おおおお、セレスティン様が理解なされた。私にはなんの事だかよく分からない呪文のような言葉だけど、はるか昔バブル世代と呼ばれる方々にとっては馴染みの言葉であるらしい。とりあえず上手くいったので私はそっと胸を撫で下ろした。R18に変わろうともセレスティン様が婚約破棄されるというシナリオは存在しないのだ。前世で課金しまくった私の記憶に間違いは無いのである。
「アリス、俺の貞操の危機なんだ」
セレスティン様はとても真剣なお顔をされているけれど、もはや決定事項、R18版に突入して一番最初にエロスチルを出すのは他ならぬセレスティン様なのだ。何しろ一緒に住むのだから、自宅にいればいつでもどこでも押し倒されてしまうのだ。ソファーでうたた寝をしていれば、風邪をひくと言って温められたり、入浴していれば体を洗ってやると言われ、眠っていればいつの間にかに同衾されているのだ。
もはや待ったなし。
「お屋敷の準備は整ってしまったのでしょう?」
「そうなんだよ。風呂もベッドも俺の理想通りのものが完成したんだ」
「それは……喜ばしいことで?」
「そうなんだけどぉ、十六になったらぁ」
「解禁されますわね」
私がそう答えると、セレスティン様はがっくりと肩を落とされた。
「性的な接触、だよ?何されると思う?」
「なに、とは……ナニ……いえ、でも、いきなりはないと思いますけれど」
「いきなり?いきなりって、そりゃ男同士だからさいきなりは無理だと思うよ、無理だって信じたいよ?でもこの世界魔法があるじゃん」
セレスティン様は力いっぱい叫ばれた。狭い温室で、セレスティン様がかけた遮音の魔法があるとはいえ、年頃のご子息様が発するには少々品がないとも言える。のですが、今はそんな悠長なことを言っている場合ではないのです。しかしながら、腐女子である私からすればようやくやってきた解禁日、ジークフリート様には頑張ってエロスチルを連発していただきたい所存……
「アリス、今変なこと考えてただろ!俺のこと助ける気はないの?」
「え?ええええええええ?わ、私がセレスティン様を助ける?」
「助けてくれないの?」
「そうは言われましても、私は婚約破棄の手段を教えたではありませんか」
「だって、すぐに婚約破棄なんかできないじゃん。それに、神官が動機が弱いっていうしさぁ」
「そう、でしたか……」
しょんぼりした顔を作って見せたものの、内心はそりゃそうだと思っている私がいる。ゲームでは婚約破棄は成立していない。それどころか逃げようとするセレスティン様を監禁するジークフリート様が出現してしまうフラグなのだ。この婚約破棄という行動は。
「ねえ、やだよ俺、童貞より処女失うなんてさぁ」
セレスティン様のお顔がわかりやすいぐらいに青ざめている。やはり前世おじさんにBLは難しいようですね。前世で読み漁ってきた薄い本では、たいていの転生者転移者の皆様は環境に適応するが如く、BLというものを受け入れてしまっていたというのに、セレスティン様はどうしてなかなか順応してくれない。
助けを求められ、同郷のよしみで助けたいと思う反面、腐女子としてはフラグの立った監禁を見てみたいと思ってしまうのだ。私の中で葛藤が生まれているのだが、それをセレスティン様に悟られるわけにはいかない。
「ねぇ、アリス。なんかいい策はないの?」
セレスティン様が聞いてくる。だがしかし、少しはご自分で考えられてはよろしいのではないだろうか?私だって自分の現状から逃れる策を探しているというのに。
「あ、悪役令息になってみてはいかがでしょうか」
とっさに出てきた言葉は、BLにおいてもはや定番となったタグである悪役令息である。このタグは人気がある。問題は、悪役令嬢とは対をなしてはいないことだろう。
「悪役令息?前にそれはない。みたいなこと言ってなかった?」
「で、すから、悪役令息になって婚約破棄とかはこのゲームにはないのですが、悪役令息になってジークフリート様を翻弄してみてはいかがでしょうか?」
「ジーク様を翻弄?」
「そうです、ええ、と、そう、小悪魔。例えるなら小悪魔ですよセレスティン様」
「うぅぅん、小悪魔……小悪魔、ぎゃ、ギャル?」
うううう、セレスティン様には理解されなかった模様。ギャルはジャンルが違います。なんて説明をすればいいのやら……おじさんであったというのだから、時代、おじさん文化における小悪魔、とは?
「セレスティン様、アレです。ジークフリート様をアッシーくんでメッシーくんでミツグくんとするのですよ」
私がそう言えばセレスティン様は大きく目を見開いた。
「わかった、ありがとう!さすがはアリスだ。そうだよ、ジーク様は俺にいろんなものを買ってくれて、美味しいものを食べさせてくれて、今度の誕生日には馬車をプレゼントしてくれるっていうんだから、間違いなくアッシーメッシーミツグくんだよ」
おおおお、セレスティン様が理解なされた。私にはなんの事だかよく分からない呪文のような言葉だけど、はるか昔バブル世代と呼ばれる方々にとっては馴染みの言葉であるらしい。とりあえず上手くいったので私はそっと胸を撫で下ろした。R18に変わろうともセレスティン様が婚約破棄されるというシナリオは存在しないのだ。前世で課金しまくった私の記憶に間違いは無いのである。
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