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第4話 お友だちはお友だち
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大人たちと子どもたちで、テーブルが違うのが救いだった。俺はこの集まりの意図を何となく感じ取って、とりあえず無表情に徹した。笑っちゃダメだ。
席について自己紹介をしてわかったことは、確かにシャロンの言う通り、ハスヴェル公爵家のアルトは母親であるシーリー様に似て美人だ。リンドン侯爵家のモリルとリーステン侯爵家のデヴイットは、どちらも子どもらしく可愛らしい顔立ちだったのだ。
この二人がどちらがわなのか分からない以上、俺は無闇に笑えなかった。うっかり笑ってアラン曰く『天使の微笑み』なんてものを見せてしまって求婚でもされてしまったら大惨事だ。
「学園に通うようになると、婚約の打診が沢山くるようになるんだって」
そんなとんでも爆弾発言をしてきたのはアルトだった。上に兄がいるから、よく見ているのだろう。なにしろ公爵家だ。国に二個しかない。恐れ多くも王族に釣り書を送り付けることはできないが、一応上位貴族であるならば、ダメ元で送るのもありのようだ。
「えー、それはさぁ、ここんちが公爵家だからじゃん」
「こら、モリル。言い方」
そんな会話を交わす二人だって、侯爵家では無いか。うちはしがない伯爵家。そんなもの来るはずもない。お声がかかるのを待つのだろう。いや、待ちたくはないけどな、俺としては。
「みんなも婚約者はまだいないんだ?」
アルトが聞いてきた。みんなも?
それを聞いて俺はアルトの顔を見た。男だけど母親に似たゴウジャス美人。ふんわりとした金色髪に縁どられた白いお肌の顔は目鼻立ちがクッキリとして、まつ毛は長い。瞬きする度に音がしそうだ。鼻筋は通っているし、割と大きめな唇はピンクと言うより赤に近い。口紅塗ってないはずなのに、クッキリと赤い。そして、細い首。
これだけの美貌を持つのに婚約者がいない?
「え?アルトに、婚約者がいないの?」
俺よりも驚いて声を上げたのはやはりモリルだった。モリル、遠慮はしないんだな。
「うん。まだ兄上も決まってないからね。弟の僕は後回しだよ」
「そっかぁ、アルト美人さんなのにまだ決まってないんだ。まぁ、でも二大公爵家だもんな。厳選しなくちゃいけないんだろ?」
「モリル、言い方!」
すぐにデヴイットが突っ込んだ。この二人仲良いんだなぁ。
「うん、まぁ、そうなるのかな?て言うか、その、僕の場合兄上がうるさくてね」
「兄上?ああ、ジークフリート様?なんで?」
「父上や母上よりも兄上がうるさいんだ」
そう言ってげんなりとした顔をアルトがした。
なるほど、これだけ美人な弟が可愛くて仕方がないわけだ。いわゆるブラコンってやつか?ま、確かにここまで美人だと、兄としては心配だろうな。政略にしても、変なやつが来たら公爵家としても困るだろうし。将来は義理の兄弟となるわけだろうから………………ん?
アルトは多分お嫁さん体質だ。きっと俺と同じことを思われているに違いない。
「兄上がさ、自分のご学友さえ僕に合わせないんだよ。兄上は十三歳だよ?七歳も離れてるのに何考えてんだろ」
そう言ってアルトは、深いため息をついた。子ども時代の七歳差はでかいけど、大人ななら大したことは無い。政略なら尚更だ。ただ、今はありえない。中学生が幼稚園児に性的な反応なんてしちゃダメだ。犯罪の匂いしかしない。
「俺もそう思う」
ここで俺はようやく発言することにした。そうしてアルトに向かって微笑んだ。
こんなにも最高な盾はいない。公爵家だし、俺と同じ母親似の美人。学園に入ってから、婚約の打診とかそういった目で見てくる男たちから逃れるのに、アルト以上の盾はない。仲良くなって、常にその背中に隠れさせてもらえばいいんだ。
こうやって四人でお茶を嗜んでいるけど、招いた側だからなのか、公爵家のご子息だからなのか、随分と堂々としている。
「えっと、セレスティンもそう思うの?」
俺が突然口を開いたからアルトがだいぶ驚いた顔をした。
「うん、そう思うよ。俺は歳の近い人がいい。あと、女の子がいい」
「え?女の子?」
俺が願望を口にすると、モリルが素っ頓狂な声を上げた。やめろ、母上たちがこっちを見たじゃないか。
「うん、歳の近い女の子と結婚したい」
俺がそう言うと、モリルが俺の事を上から下までじっくりと見つめた。そうしてようやく口を開くと、アランとほぼ同じことを言ってきた。
「えぇ、セレスティンが女の子と?ムリムリ、無理だよぉ。鏡見た事ある?あるよね?そーぉっんな綺麗な顔してて、お婿さんになるつもりなの?なれる訳ないじゃん!誰が見たってセレスティンはお嫁さんになるしかないね!俺は断言するよ。ついでに言うなら、俺の姉さんだってセレスティンと結婚したいなんて思わないね」
「モリル、言い方!もう少し優しく」
慌てたのはデヴイットだ。いくら格下の伯爵家子息が相手だからといっても、こうまでハッキリと事実を伝えるのは如何なものか?俺はこの家全否定するけどな。
「なんでだよ!俺の顔が好みだって言う女の子がいるかもしれないだろう」
俺がそう言い返すと、モリルが鼻で笑った。
「騎士を目指しちゃうような女の子ががいたらあるかもしれないけどか、そういう子は大抵自分より強い男に憧れるもんだ」
むきーっ!! そっちの方が普通だってことぐらい俺だって分かってるよ。分かってはいるけれど、他人に言われるとムカつくもんだ。
「まぁまぁ、落ち着いて」
ホストであるアルトが俺たちをなだめる。うん、やっぱり公爵家だよな。虎の威を借る狐って言うじゃん。俺は決めた!
「アルト様」
俺はアルトの手を両手でガッツリと掴んだ。当然ながら、アルトは困惑する。
「あ、うん、なに、かな?」
「俺、アルトについく。アルトと友だちになりたい。なって、お願いします」
だってこれは俺じゃなくてシャロンの希望なんだからな。
席について自己紹介をしてわかったことは、確かにシャロンの言う通り、ハスヴェル公爵家のアルトは母親であるシーリー様に似て美人だ。リンドン侯爵家のモリルとリーステン侯爵家のデヴイットは、どちらも子どもらしく可愛らしい顔立ちだったのだ。
この二人がどちらがわなのか分からない以上、俺は無闇に笑えなかった。うっかり笑ってアラン曰く『天使の微笑み』なんてものを見せてしまって求婚でもされてしまったら大惨事だ。
「学園に通うようになると、婚約の打診が沢山くるようになるんだって」
そんなとんでも爆弾発言をしてきたのはアルトだった。上に兄がいるから、よく見ているのだろう。なにしろ公爵家だ。国に二個しかない。恐れ多くも王族に釣り書を送り付けることはできないが、一応上位貴族であるならば、ダメ元で送るのもありのようだ。
「えー、それはさぁ、ここんちが公爵家だからじゃん」
「こら、モリル。言い方」
そんな会話を交わす二人だって、侯爵家では無いか。うちはしがない伯爵家。そんなもの来るはずもない。お声がかかるのを待つのだろう。いや、待ちたくはないけどな、俺としては。
「みんなも婚約者はまだいないんだ?」
アルトが聞いてきた。みんなも?
それを聞いて俺はアルトの顔を見た。男だけど母親に似たゴウジャス美人。ふんわりとした金色髪に縁どられた白いお肌の顔は目鼻立ちがクッキリとして、まつ毛は長い。瞬きする度に音がしそうだ。鼻筋は通っているし、割と大きめな唇はピンクと言うより赤に近い。口紅塗ってないはずなのに、クッキリと赤い。そして、細い首。
これだけの美貌を持つのに婚約者がいない?
「え?アルトに、婚約者がいないの?」
俺よりも驚いて声を上げたのはやはりモリルだった。モリル、遠慮はしないんだな。
「うん。まだ兄上も決まってないからね。弟の僕は後回しだよ」
「そっかぁ、アルト美人さんなのにまだ決まってないんだ。まぁ、でも二大公爵家だもんな。厳選しなくちゃいけないんだろ?」
「モリル、言い方!」
すぐにデヴイットが突っ込んだ。この二人仲良いんだなぁ。
「うん、まぁ、そうなるのかな?て言うか、その、僕の場合兄上がうるさくてね」
「兄上?ああ、ジークフリート様?なんで?」
「父上や母上よりも兄上がうるさいんだ」
そう言ってげんなりとした顔をアルトがした。
なるほど、これだけ美人な弟が可愛くて仕方がないわけだ。いわゆるブラコンってやつか?ま、確かにここまで美人だと、兄としては心配だろうな。政略にしても、変なやつが来たら公爵家としても困るだろうし。将来は義理の兄弟となるわけだろうから………………ん?
アルトは多分お嫁さん体質だ。きっと俺と同じことを思われているに違いない。
「兄上がさ、自分のご学友さえ僕に合わせないんだよ。兄上は十三歳だよ?七歳も離れてるのに何考えてんだろ」
そう言ってアルトは、深いため息をついた。子ども時代の七歳差はでかいけど、大人ななら大したことは無い。政略なら尚更だ。ただ、今はありえない。中学生が幼稚園児に性的な反応なんてしちゃダメだ。犯罪の匂いしかしない。
「俺もそう思う」
ここで俺はようやく発言することにした。そうしてアルトに向かって微笑んだ。
こんなにも最高な盾はいない。公爵家だし、俺と同じ母親似の美人。学園に入ってから、婚約の打診とかそういった目で見てくる男たちから逃れるのに、アルト以上の盾はない。仲良くなって、常にその背中に隠れさせてもらえばいいんだ。
こうやって四人でお茶を嗜んでいるけど、招いた側だからなのか、公爵家のご子息だからなのか、随分と堂々としている。
「えっと、セレスティンもそう思うの?」
俺が突然口を開いたからアルトがだいぶ驚いた顔をした。
「うん、そう思うよ。俺は歳の近い人がいい。あと、女の子がいい」
「え?女の子?」
俺が願望を口にすると、モリルが素っ頓狂な声を上げた。やめろ、母上たちがこっちを見たじゃないか。
「うん、歳の近い女の子と結婚したい」
俺がそう言うと、モリルが俺の事を上から下までじっくりと見つめた。そうしてようやく口を開くと、アランとほぼ同じことを言ってきた。
「えぇ、セレスティンが女の子と?ムリムリ、無理だよぉ。鏡見た事ある?あるよね?そーぉっんな綺麗な顔してて、お婿さんになるつもりなの?なれる訳ないじゃん!誰が見たってセレスティンはお嫁さんになるしかないね!俺は断言するよ。ついでに言うなら、俺の姉さんだってセレスティンと結婚したいなんて思わないね」
「モリル、言い方!もう少し優しく」
慌てたのはデヴイットだ。いくら格下の伯爵家子息が相手だからといっても、こうまでハッキリと事実を伝えるのは如何なものか?俺はこの家全否定するけどな。
「なんでだよ!俺の顔が好みだって言う女の子がいるかもしれないだろう」
俺がそう言い返すと、モリルが鼻で笑った。
「騎士を目指しちゃうような女の子ががいたらあるかもしれないけどか、そういう子は大抵自分より強い男に憧れるもんだ」
むきーっ!! そっちの方が普通だってことぐらい俺だって分かってるよ。分かってはいるけれど、他人に言われるとムカつくもんだ。
「まぁまぁ、落ち着いて」
ホストであるアルトが俺たちをなだめる。うん、やっぱり公爵家だよな。虎の威を借る狐って言うじゃん。俺は決めた!
「アルト様」
俺はアルトの手を両手でガッツリと掴んだ。当然ながら、アルトは困惑する。
「あ、うん、なに、かな?」
「俺、アルトについく。アルトと友だちになりたい。なって、お願いします」
だってこれは俺じゃなくてシャロンの希望なんだからな。
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