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その代償
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「うん?」
魔素溜まりを回しているフィートルの手が僅かに止まった。
「どうしたの?」
リシュデリュアルは肩越しに聞いた。本来は頭一つ程の違いがあるため、背後から手を回しつつ、両足も開いて体全体でフィートルを包み込んでいた。
「お前、魔力を流しているだろう?」
「うん、邪魔してないよね?」
リシュデリュアルはフィートルの胸に手を回し、静かに魔力をフィートルの体を包み込むように流していた。それは目に見えない衣のようで、魔素溜まりからの空気の流れを抑えていた。
「お前の魔力があるおかげで、他の場所の気配が見えた」
「何が見えたの?」
「災厄が発生して、お前の同族が戦っている」
フィートルの前にあった魔素溜まりは、ようやく透明になりその姿がなくなった。
一日に二個も魔素溜まりを浄化したのに、フィートルはまるで疲れを見せていない。
「疲れてないの?」
リシュデリュアルは不思議に思って聞いてみた。フィートルが阻害魔法を張っているため、本当の魔力量が見られない。ふれた感じでは竜族に負けないほどの魔力を有しているのが伺えた。
「この程度なら、俺の魔力は消費されない」
作業が終わったというのに、リシュデリュアルはフィートルの体に、腕を回したままでいる。
フィートルもわざわざ振りほどくのが億劫なのか、そのままにする。
「………」
「何かな?」
フィートルが、眉根を寄せてリシュデリュアルを見た。
「お前の同族がかなり傷ついた」
「かなり、って?」
「かなり、だ」
回された腕に力が入ったので、フィートルは少し苦しくなったが、小さくため息をつくと小声でなにか呟いた。
「お前の魔力を借りよう」
先程見えたリシュデリュアルの同族がいる場所に、リシュデリュアルの魔力を利用して転移した。
「アイゼ……」
転移して最初に感じたのは血と腐ったような焦げた匂い。災厄は消滅していたが、燻る魔素の匂いの中に、竜族が倒れていた。
その姿を見て、リシュデリュアルは駆け寄った。
幼体にもなれず、欠損した手足から血を流す同族の姿にリシュデリュアルは泣き叫んだ。
「アイゼ、アイゼッ」
災厄は倒せたが、反撃が強かったのだろう。撒き散らされた魔素が直撃したのか、手足の欠損が酷かった。ただれる様に先端を失って、体からは血が流れている。死にかけの状態だと一目で分かるが、リシュデリュアルは同族に回復の魔法をかけ続ける。
「天に戻った方がいい」
フィートルに言われてようやくリシュデリュアルは同族を、抱き上げて立った。
「うん、戻る。戻るけど…」
「俺の魔力をかしてやる」
同族を抱き上げるリシュデリュアルと向かい合うように立ち、両肩に手を乗せる。
「流すぞ」
魔力の流れを感じ取り、リシュデルアルは天へ戻る転移魔法を行使した。
天にある竜族の国。巨大な城の周りに浮島が点在して形をなしていた。
その中心にある城の広間に、傷ついた同族を抱いたリシュデリュアルは降り立った。なぜか黒をまとった人族を伴って。
災厄と戦っていたのを知っている竜族は、帰還したアイゼファルの姿を見て声をなくした。
手足の欠損が酷く、体からは血が流れている。リシュデリュアルのかけた回復の魔法では、命をつなぎとめるしか出来てはいなかった。
明らかに力のありそうな同族が歩み寄り、アイゼファルの血を止める。怪我を治すが、欠損した手足は戻らない。
「幼体にもなれないのか」
竜族たちが力なく項垂れる。
全身の痛みから、アイゼファルは逃れられず目から涙が溢れていた。
「痛い……」
小さな声で訴えるが、欠損した手足を戻すことは出来なかった。痛みを取り去るための治癒魔法は与えられるのに。
「幼体に戻ると体が治るのか?」
しばらく黙って見ていたフィートルが口を開いた。
ここでようやくこの場に人族がいることに気がついた竜族は、その色に言葉を失った。竜族にさえいない黒を纏った人族。
「アイゼファルはまだ発情期を迎えていないから成人していない。そのせいで幼体に戻れない」
リシュデリュアルが答えた。
成人していれば、体の成長段階での、一つ前に戻れるのだが、未だ成人していなかったため、戻る形態がないのだ。
「嫌だ、こんな姿で死にたくない」
強い魔素を浴びてただれる様に手足を欠損しているせいか、アイゼファルの姿は悲しい程に歪になっていた。
「なるほど、確か竜族は発情期が来て性別がつくんだったな」
フィートルは、口の端を僅かに上げて笑った。
「え?な、に?」
フィートルの様子が変わったことにリシュデリュアルは戸惑った。
「助けてやろうか?」
フィートルが低い声で聞いてきた。
闇魔法の使い手である証の黒髪が揺れ、黒い瞳がアイゼファルを見据える。
傷ついたアイゼファルは、その声に従いフィートルを見た。産まれて初めて見る闇魔法の使い手は、人族であるのに人の領域を逸脱した美しい少年だった。
まだ六百年程しか生きてはいないが、闇魔法の使い手が人外の美しさを持つとだけは聞いてはいた。
だが、髪も瞳もその黒に染まった闇魔法の使い手を見たのは初めてで、地上に住まうニンゲンたちが闇魔法の使い手を恐れる理由を知った気がした。
「ま、まて人族」
慌てて竜族の一人が間に割って入った。
「なに?」
フィートルは目線をそちらに移す。
「お前、地上にあるシヴィシス帝国の第三王子フィートルだな?」
「いかにも」
「闇魔法で治すというのか?」
「だとしたら?」
見れば分かること。今ここにいる人族は、闇魔法の使い手としての色を完全に持ち合わせている。使われるのは闇魔法だと分かりきっていた。
ここに居合わせた竜族の誰もが、例え三千年の時を生きようとも、欠損した手足を治す術は持ち合わせていない。
同族を助けるのに、この小さな人族に頼るしかないのだが、闇魔法での救済は代償が伴うはずだった。
「助けて、死にたく、ない」
動きが止まったフィートルに、アイゼファルが縋るように手を伸ばす。だが、先は欠損している。
「お前はまだ性別が決まっていないのだな?」
アイゼファルは黙って頷いた。
「ならば、お前の純潔が引き換えだ」
少年にしか見えない人族は、えもいえぬ顔をしてアイゼファルを見つめた。左手がアイゼファルの顎を掴む。
欠損した手足のアイゼファルは、この状態から助かりたくて縋る目でフィートルを見つめた。
「助けて」
それを聞いてフィートルは歪んだ笑みを浮かべた。
「交渉成立だ」
フィートルがアイゼファルの顎を掴んだまま唇を重ねる。手足の欠損があるアイゼファルは何も抵抗はできず、そのままフィートルを受け入れた。
「いい子だ」
フィートルが満足そうに笑うと、魔力が流れアイゼファルを包み込む。
三千年は生きた竜族でさえ、初めてみる魔法だった。
酷い怪我をして、手足を欠損させた同族が、闇魔法によって本来の姿を取り戻したのだ。
誰かの喉がなる音がした。
一人ではなく、複数だったかも知れない。
「なおっ た?」
両手がある。体からは傷みが消えている。立ち上がることが出来た。
そうして、目線が今までと違うことに気がついた。見上げていたはずの同族と目線があった。
「…ぼ、く?」
「お前の純潔を代償とした」
人族としては普通かもしれないが、竜族からしたら小柄な男、少年にしか見えない闇魔法の使い手が目の前にいた。
「代償はいただいた、アレのように礼を言いに来てくれる必要は無い」
フィートルはそう言うと、もう一度アイゼファルに唇を重ねてそのまま消えた。
魔力を抜かれたのを確実に感じて、アイゼファルはその場に崩れ落ちた
魔素溜まりを回しているフィートルの手が僅かに止まった。
「どうしたの?」
リシュデリュアルは肩越しに聞いた。本来は頭一つ程の違いがあるため、背後から手を回しつつ、両足も開いて体全体でフィートルを包み込んでいた。
「お前、魔力を流しているだろう?」
「うん、邪魔してないよね?」
リシュデリュアルはフィートルの胸に手を回し、静かに魔力をフィートルの体を包み込むように流していた。それは目に見えない衣のようで、魔素溜まりからの空気の流れを抑えていた。
「お前の魔力があるおかげで、他の場所の気配が見えた」
「何が見えたの?」
「災厄が発生して、お前の同族が戦っている」
フィートルの前にあった魔素溜まりは、ようやく透明になりその姿がなくなった。
一日に二個も魔素溜まりを浄化したのに、フィートルはまるで疲れを見せていない。
「疲れてないの?」
リシュデリュアルは不思議に思って聞いてみた。フィートルが阻害魔法を張っているため、本当の魔力量が見られない。ふれた感じでは竜族に負けないほどの魔力を有しているのが伺えた。
「この程度なら、俺の魔力は消費されない」
作業が終わったというのに、リシュデリュアルはフィートルの体に、腕を回したままでいる。
フィートルもわざわざ振りほどくのが億劫なのか、そのままにする。
「………」
「何かな?」
フィートルが、眉根を寄せてリシュデリュアルを見た。
「お前の同族がかなり傷ついた」
「かなり、って?」
「かなり、だ」
回された腕に力が入ったので、フィートルは少し苦しくなったが、小さくため息をつくと小声でなにか呟いた。
「お前の魔力を借りよう」
先程見えたリシュデリュアルの同族がいる場所に、リシュデリュアルの魔力を利用して転移した。
「アイゼ……」
転移して最初に感じたのは血と腐ったような焦げた匂い。災厄は消滅していたが、燻る魔素の匂いの中に、竜族が倒れていた。
その姿を見て、リシュデリュアルは駆け寄った。
幼体にもなれず、欠損した手足から血を流す同族の姿にリシュデリュアルは泣き叫んだ。
「アイゼ、アイゼッ」
災厄は倒せたが、反撃が強かったのだろう。撒き散らされた魔素が直撃したのか、手足の欠損が酷かった。ただれる様に先端を失って、体からは血が流れている。死にかけの状態だと一目で分かるが、リシュデリュアルは同族に回復の魔法をかけ続ける。
「天に戻った方がいい」
フィートルに言われてようやくリシュデリュアルは同族を、抱き上げて立った。
「うん、戻る。戻るけど…」
「俺の魔力をかしてやる」
同族を抱き上げるリシュデリュアルと向かい合うように立ち、両肩に手を乗せる。
「流すぞ」
魔力の流れを感じ取り、リシュデルアルは天へ戻る転移魔法を行使した。
天にある竜族の国。巨大な城の周りに浮島が点在して形をなしていた。
その中心にある城の広間に、傷ついた同族を抱いたリシュデリュアルは降り立った。なぜか黒をまとった人族を伴って。
災厄と戦っていたのを知っている竜族は、帰還したアイゼファルの姿を見て声をなくした。
手足の欠損が酷く、体からは血が流れている。リシュデリュアルのかけた回復の魔法では、命をつなぎとめるしか出来てはいなかった。
明らかに力のありそうな同族が歩み寄り、アイゼファルの血を止める。怪我を治すが、欠損した手足は戻らない。
「幼体にもなれないのか」
竜族たちが力なく項垂れる。
全身の痛みから、アイゼファルは逃れられず目から涙が溢れていた。
「痛い……」
小さな声で訴えるが、欠損した手足を戻すことは出来なかった。痛みを取り去るための治癒魔法は与えられるのに。
「幼体に戻ると体が治るのか?」
しばらく黙って見ていたフィートルが口を開いた。
ここでようやくこの場に人族がいることに気がついた竜族は、その色に言葉を失った。竜族にさえいない黒を纏った人族。
「アイゼファルはまだ発情期を迎えていないから成人していない。そのせいで幼体に戻れない」
リシュデリュアルが答えた。
成人していれば、体の成長段階での、一つ前に戻れるのだが、未だ成人していなかったため、戻る形態がないのだ。
「嫌だ、こんな姿で死にたくない」
強い魔素を浴びてただれる様に手足を欠損しているせいか、アイゼファルの姿は悲しい程に歪になっていた。
「なるほど、確か竜族は発情期が来て性別がつくんだったな」
フィートルは、口の端を僅かに上げて笑った。
「え?な、に?」
フィートルの様子が変わったことにリシュデリュアルは戸惑った。
「助けてやろうか?」
フィートルが低い声で聞いてきた。
闇魔法の使い手である証の黒髪が揺れ、黒い瞳がアイゼファルを見据える。
傷ついたアイゼファルは、その声に従いフィートルを見た。産まれて初めて見る闇魔法の使い手は、人族であるのに人の領域を逸脱した美しい少年だった。
まだ六百年程しか生きてはいないが、闇魔法の使い手が人外の美しさを持つとだけは聞いてはいた。
だが、髪も瞳もその黒に染まった闇魔法の使い手を見たのは初めてで、地上に住まうニンゲンたちが闇魔法の使い手を恐れる理由を知った気がした。
「ま、まて人族」
慌てて竜族の一人が間に割って入った。
「なに?」
フィートルは目線をそちらに移す。
「お前、地上にあるシヴィシス帝国の第三王子フィートルだな?」
「いかにも」
「闇魔法で治すというのか?」
「だとしたら?」
見れば分かること。今ここにいる人族は、闇魔法の使い手としての色を完全に持ち合わせている。使われるのは闇魔法だと分かりきっていた。
ここに居合わせた竜族の誰もが、例え三千年の時を生きようとも、欠損した手足を治す術は持ち合わせていない。
同族を助けるのに、この小さな人族に頼るしかないのだが、闇魔法での救済は代償が伴うはずだった。
「助けて、死にたく、ない」
動きが止まったフィートルに、アイゼファルが縋るように手を伸ばす。だが、先は欠損している。
「お前はまだ性別が決まっていないのだな?」
アイゼファルは黙って頷いた。
「ならば、お前の純潔が引き換えだ」
少年にしか見えない人族は、えもいえぬ顔をしてアイゼファルを見つめた。左手がアイゼファルの顎を掴む。
欠損した手足のアイゼファルは、この状態から助かりたくて縋る目でフィートルを見つめた。
「助けて」
それを聞いてフィートルは歪んだ笑みを浮かべた。
「交渉成立だ」
フィートルがアイゼファルの顎を掴んだまま唇を重ねる。手足の欠損があるアイゼファルは何も抵抗はできず、そのままフィートルを受け入れた。
「いい子だ」
フィートルが満足そうに笑うと、魔力が流れアイゼファルを包み込む。
三千年は生きた竜族でさえ、初めてみる魔法だった。
酷い怪我をして、手足を欠損させた同族が、闇魔法によって本来の姿を取り戻したのだ。
誰かの喉がなる音がした。
一人ではなく、複数だったかも知れない。
「なおっ た?」
両手がある。体からは傷みが消えている。立ち上がることが出来た。
そうして、目線が今までと違うことに気がついた。見上げていたはずの同族と目線があった。
「…ぼ、く?」
「お前の純潔を代償とした」
人族としては普通かもしれないが、竜族からしたら小柄な男、少年にしか見えない闇魔法の使い手が目の前にいた。
「代償はいただいた、アレのように礼を言いに来てくれる必要は無い」
フィートルはそう言うと、もう一度アイゼファルに唇を重ねてそのまま消えた。
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