上 下
7 / 8

異世界転生のそのあとで

しおりを挟む
 高熱から目が覚めて、ここがゲームの世界だと理解した。
 異世界転生アルアルだ。
 5歳になると教会で洗礼をうける。 
 その時スキルを1つ授かるのだ。
 それによって、この世界での生き方が左右される。特に貴族には重要だ。
 希望の職業のためのスキルが授かるまで、リセマラをよくしていたけれど、ここはゲームの世界であって、現実。リセットボタンなんてない。

 貴族の息子らしく、毅然とした態度で望んだ洗礼の儀式。

 ゲームのときなら泣いて喜ぶスキルがでた。
 だがしかし、両親は喜ばなかった。
 ゲームでは、5歳からスタートするからなんとも思っていなかったけれど、現実ではかなりやばい。
 その日のうちに父から金貨の入った袋を投げつけられ、家を追い出された。
 ゲーム内では幻と言われた最強スキルなのに、貴族の両親からしたらゴミだったようだ。
 本来ならゲーム中盤以降に金と名声値が溜まってから行く場所だけど、5歳児1人ではどうにもならないからこうするしかない。

 奴隷商で欠損奴隷を買う。

 隠しストーリーだから、やらなかったけれど、今の自分にはこの欠損奴隷が必要だ。
 白虎の獣人。
 もと冒険者。
 借金奴隷。

 借金額が膨大だから、返済が大変で、オマケに欠損を直すのにも金がかかる。名声値を爆上げできるから、勇者を目指すプレイヤーは頑張ってやっていた。

 今欲しいのは戦力。
 そして決して裏切らない仲間だ。
 有り金叩いて欠損奴隷を買い、街の外に出てスキルを使い奴隷の腕と脚を再生させた。
 これで戦力は莫大に跳ね上がった。

 次は拠点を手に入れる。

 ゲームの知識で砂漠の外れにある寂れた村へと移動した。
 今にも死にそうな老人しかいない村だ。
 ここを拠点にする理由はただ1つ。

 どこの国の地図にも載っていないからだ。

 スキルを使って家を建てると、早速盗賊たちがやってきた。1つ目のイベントだ。
 白虎の獣人の力はすごく、あっという間に盗賊を退ける。ついでに盗賊から馬まで奪った。
 住民たちの信頼を得たところで、住民の家も建て直し、さらに信頼度を上げていく。
 生活が安定してきた頃、大きなイベントが発生した。

 砂漠で盗賊に襲われた王女の救出だ。

 スキルで作ったチート武器を使い、難なく救出し、国に送り返して終了。
 国王から礼として爵位をもらったが、村は地図に載ってないから配下にはならない。
 砂漠に隣接する公爵が、協定を結ぼうと娘との婚約を打診してきた。

 それもゲーム通り。

 王女と公爵令嬢、どちらにしようか悩んでいると
 寝室に白虎の獣人がやってきた。

「主は閨指導を受けておりません」

 まだ子どもなのに、何言ってんだ。と慌てていると、

「ご安心ください。俺がしっかりとお相手を致します。奴隷ですから」

 なんて言って、寝台の上に乗ってきた。

「いや、まだ早くない?」

 慌てるけれど、獣人の毛皮が気持ちいい
ゲームにこんな展開あったっけ?
なんて考えているうちにどんどん事が進んでいく。

「どちらが先とか言われては、揉め事のもとですからね」

 それはもっとずっと先の話では?
 あわあわしていると、さらに追い打ちをかけられた。

「そのために俺を買ったのでしょう?」

 白虎のデカイ舌で、べろリと、舐められた。
 こんなイベント知らないよ。だって、ゲームではこのシナリオ未プレイなんだもん。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

【クズ攻寡黙受】なにひとつ残らない

りつ
BL
恋人にもっとあからさまに求めてほしくて浮気を繰り返すクズ攻めと上手に想いを返せなかった受けの薄暗い小話です。「#別れ終わり最後最期バイバイさよならを使わずに別れを表現する」タグで書いたお話でした。少しだけ喘いでいるのでご注意ください。

帰宅

papiko
BL
遊んでばかりいた養子の長男と実子の双子の次男たち。 双子を庇い、拐われた長男のその後のおはなし。 書きたいところだけ書いた。作者が読みたいだけです。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

君が好き過ぎてレイプした

眠りん
BL
 ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。  放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。  これはチャンスです。  目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。  どうせ恋人同士になんてなれません。  この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。  それで君への恋心は忘れます。  でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?  不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。 「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」  ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。  その時、湊也君が衝撃発言をしました。 「柚月の事……本当はずっと好きだったから」  なんと告白されたのです。  ぼくと湊也君は両思いだったのです。  このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。 ※誤字脱字があったらすみません

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

処理中です...