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オメガの寵姫
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宰相は困り果てていた。
アルファの王の閨の相手が見つからない。
アルファの王だから、いづれはオメガの妃を娶る予定だ。
だか、今はそのときでは無い。
アルファの王の盛大な性欲を処理する相手が必要だ。
発情期でなければ孕むことの無い貴族のオメガが幾人かあてがわれたが、どうにも王をまんぞくさせられていない。
ベータの女など、間違って孕まれては困るし、ろくな子どもが産まれないから論外だ。
困り果てた宰相は、家でも深いため息をついていた。
「どこかに珍しいオメガがいれば」
女オメガより、体力があると聞く男オメガがいれば、宰相はそう考えていた。ベータの男に相手をさせたら、王は満足したが、ベータの男がひと月も経たないうちに使い物にならなくなった。
「今年の新入生にオメガがいましたよ。下級貴族で男でした」
息子が情報を仕入れてくれた。
下級貴族なんて、権力でなんとでもなる。
早速宰相は受けの父親の職場に赴いた。下級貴族であるから、ひたすら事務作業をしている。
直ぐに執務室に連れ出して打診した。
貧乏子沢山を体現している子爵家だったらしく、受けの父親は快諾した。給金は破格である。
受けは学校が終わるとまっすぐ城に向かうことになった。
立場は寵姫。
誰も受けのことを揶揄うことが出来なくなった。父親の10倍近い給金のおかげで、受けの兄妹も学校に通える。
「ボクまだ発情期が来てないんです」
閨の直前、受けはようやく宰相に伝えることが出来た。
「なに、その方が好都合だ」
発情期がないのなら、毎晩相手ができるでは無いか。
受けは寵姫として美味しいご飯を食べさせられて、体力を付けさせられた。
細い体に肉もついて、王も抱き心地が良くなったと大満足だ。
だが、毎晩アルファに抱かれていたから、体が出来上がれば受けにも発情期が来た。
「このままでは捨てられてしまう」
最初の宰相の言葉を覚えていた受けは狼狽えた。
発情期が来れば、閨は休みだ。
女官が連絡を取り、受けは初めてひとりで眠ることになった。
発情期の辛さは、医者の処方した薬のおかげで楽ではある。
「広いベッドで一人で寝ていいなんて、すごい」
受けは薬を飲んで女官が部屋に鍵をかけてくれたことを確認して眠りについた。
よく朝、まだ火照る体のまま食べやすい食事をとっていると、扉を蹴破る勢いで王がやってきた。
驚きたのは受けだけでは無い。
その部屋にいた全員が震え上がった。
王が威嚇のフェロモンを撒き散らしていたからだ。
受けが閨に来なかった事に怒っているようだ。
「発情期にございます」
女官が震えながらも何とか答える。
「発情期は番と過ごす物であろう」
王はそう叫ぶように言うと、受けを無理やり連れ去った。
慌てて後ろを追いかける女官たち
途中宰相も加わった。
「王の番は隣国の姫ですぞ」
宰相の言葉を聞いて、王が振り返る。
「我の番はこの者だ。ほか要らぬ」
王は執務も何もかもを放棄して、受けを抱いた。
「僕学校は卒業したいです」
受けがそんなわがままを言ったから、もちろんOは叶えてくれた。
卒業してから受けは沢山の子を生したのであった。
番にされた受けは、そのまま妃となってしまった。
アルファの王の閨の相手が見つからない。
アルファの王だから、いづれはオメガの妃を娶る予定だ。
だか、今はそのときでは無い。
アルファの王の盛大な性欲を処理する相手が必要だ。
発情期でなければ孕むことの無い貴族のオメガが幾人かあてがわれたが、どうにも王をまんぞくさせられていない。
ベータの女など、間違って孕まれては困るし、ろくな子どもが産まれないから論外だ。
困り果てた宰相は、家でも深いため息をついていた。
「どこかに珍しいオメガがいれば」
女オメガより、体力があると聞く男オメガがいれば、宰相はそう考えていた。ベータの男に相手をさせたら、王は満足したが、ベータの男がひと月も経たないうちに使い物にならなくなった。
「今年の新入生にオメガがいましたよ。下級貴族で男でした」
息子が情報を仕入れてくれた。
下級貴族なんて、権力でなんとでもなる。
早速宰相は受けの父親の職場に赴いた。下級貴族であるから、ひたすら事務作業をしている。
直ぐに執務室に連れ出して打診した。
貧乏子沢山を体現している子爵家だったらしく、受けの父親は快諾した。給金は破格である。
受けは学校が終わるとまっすぐ城に向かうことになった。
立場は寵姫。
誰も受けのことを揶揄うことが出来なくなった。父親の10倍近い給金のおかげで、受けの兄妹も学校に通える。
「ボクまだ発情期が来てないんです」
閨の直前、受けはようやく宰相に伝えることが出来た。
「なに、その方が好都合だ」
発情期がないのなら、毎晩相手ができるでは無いか。
受けは寵姫として美味しいご飯を食べさせられて、体力を付けさせられた。
細い体に肉もついて、王も抱き心地が良くなったと大満足だ。
だが、毎晩アルファに抱かれていたから、体が出来上がれば受けにも発情期が来た。
「このままでは捨てられてしまう」
最初の宰相の言葉を覚えていた受けは狼狽えた。
発情期が来れば、閨は休みだ。
女官が連絡を取り、受けは初めてひとりで眠ることになった。
発情期の辛さは、医者の処方した薬のおかげで楽ではある。
「広いベッドで一人で寝ていいなんて、すごい」
受けは薬を飲んで女官が部屋に鍵をかけてくれたことを確認して眠りについた。
よく朝、まだ火照る体のまま食べやすい食事をとっていると、扉を蹴破る勢いで王がやってきた。
驚きたのは受けだけでは無い。
その部屋にいた全員が震え上がった。
王が威嚇のフェロモンを撒き散らしていたからだ。
受けが閨に来なかった事に怒っているようだ。
「発情期にございます」
女官が震えながらも何とか答える。
「発情期は番と過ごす物であろう」
王はそう叫ぶように言うと、受けを無理やり連れ去った。
慌てて後ろを追いかける女官たち
途中宰相も加わった。
「王の番は隣国の姫ですぞ」
宰相の言葉を聞いて、王が振り返る。
「我の番はこの者だ。ほか要らぬ」
王は執務も何もかもを放棄して、受けを抱いた。
「僕学校は卒業したいです」
受けがそんなわがままを言ったから、もちろんOは叶えてくれた。
卒業してから受けは沢山の子を生したのであった。
番にされた受けは、そのまま妃となってしまった。
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