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第13話 その何か
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今日は予約が入っているからと、石崎はそう告げて、将晴に制服を持ってきた。
どうやって調達するのか、どう見ても本物の制服だと思われるそれは、将晴の体型にピッタリのサイズだった。
「いつ間に俺のサイズ測ったの?」
制服に着替えながら石崎に問うけれど、石崎はただ薄く笑うだけで答えようとはしない。分かってはいるけれど、将晴のパーソナルデータなんて、最初から全て石崎に筒抜けなのだ。
着慣れた制服に似ているから、特に問題なく着てみると、随分と素材のいいものだと分かる。アルファの客からの指定だから、またどこかの名門学校の制服なのだろう。ネクタイに校章が刺繍されていて、絞める時に若干邪魔だった。どうせ解くのに、そんな気持ちがある。
「新薬のモニターだから」
石崎がいつもの薄い笑いを浮かべてそう言った。
「今度は、なに?」
いちいち聞くのも面倒だけど、知らずに飲んで予想外の事になるのは勘弁していただきたい。
「発情剤」
ピンク色の可愛らしい見た目をしているけれど、発情剤ということは、普通では使用することはない。抑制剤を試させているくせに、将晴には発情剤を試させるとは、矛盾しているのではないだろうか。
「俺が、飲むの?」
分かっていても確認はする。
「そう、どのくらいで効き始めて、継続時間の確認」
石崎はそう言うと、ミネラルウォーターをテーブルに置いた。
「そろそろ飲んで」
そう言って腕時計を見た。
「わかったよ」
将晴は返事をして、ピンク色の錠剤を口にした。ミネラルウォーターは冷えていて、のどごしは良かった。
部屋を見渡すけれど、あるのは応接セットらしい大きなソファーと低いテーブル。ソファーの布は、ガチャガチャとした花か何かの絵柄があった。そんなのの上でしたら汚れるけれど、アルファの客が来るぐらいだから、大した金額では無いのだろう。
立っていても仕方が無いので、将晴は三人がけの方に腰を下ろした。
「はぁ」
結構な柔らかさと弾力があって、座り心地はいいけれど、将晴が海を背後にと言うシチュエーションは、制服とどういう意味があるのか謎だ。
振り返って膝立ちで海を眺めていると、背後で気配を感じた。
「……ハル」
一瞬、それが自分の名前だったと忘れてしまって、振り返るのに時間がかかった。
ゆっくりと振り返ると、そこには仮面をつけたアルファが立っていた。
将晴のいる三人がけのソファーとからは離れた一人がけのソファーを、指さす。
「座るならそっち」
将晴はそう言ってから、アルファが何かを手にしていることに気がついた。
「なに、それ?」
小さな紙袋を一つ手にしてたっているアルファは、将晴に聞かれてゆっくりと前に出て、ローテブルの上に置いた。
「アイス、お土産かな?」
そう言って、将晴の指定した一人がけのソファーに腰を下ろす。ゆったりとした配置だから、将晴とアルファの距離は結構あった。
「ありがとう」
持ち込めたということは、石崎が許可したのだろう。
将晴は紙袋を手にして、中を確認する。
カップのアイスが一つ入っていた。
一緒に入っていたスプーンは、将晴がよく見かける木のものではなくて、熱伝導でアイスがすくいやすいという噂のスプーンだった。デザインがクジラの形で、可愛らしいのは、別に将晴の気を引いたりはしなかったけど、地域限定らしい塩の入ったアイスはサッパリとして美味しい。
将晴が黙ってアイスを食べているのを、アルファは黙って見つめている。不思議な時間が流れるけれど、将晴はだいぶ慣れた。
こうしてやってくるアルファたちは、将晴をただ眺めるだけで、何もしてこない。ただ、見つめてくるだけなのだけど、その目は見てはいけない。興奮しているらしいアルファの目は、絡め取られたら逃れられないものだった。
だから、チラチラとアルファの様子を確認はするけれど、目線は合わせないように気をつける。
アイスを食べる時に意識して、口を開くのを見せつけるようにして、飲み込む時の喉の動きを分かるようにした。
冷たいものを食べているはずなのに、お腹が逆に熱くなってきた。
発情剤が、きいてきたようだ。
「ご馳走様」
将晴はそう言って、空になったカップとスプーンをローテブルに置いた。
夏服なのに絞めたネクタイは、学年カラーを示していたらしい。おそらく、目の前にいるアルファが憧れていた頃の学年なのだろう。
「んっ、あつい」
将晴はそう言って、シャツの裾をスラックスから引き出した。
アイスを食べている途中からだったけれど、身体が熱くなって、冷たいアイスを食べる手がやたらと進んだ。冷たいアイスが、喉を通るのがたまらなく気持ちが良かった。
(発情剤って、医師の診断が必要じゃなかった?)
飲んでしまってからで遅いけれど、今更ながらに思う。まぁ、断ることが出来ないから飲むのだけれど。正確には分からないけれど、石崎は製薬会社のなにかなのだろう。ここまでの事を用意出来るだけの、上位アルファからの指示を受けているのだろう。
将晴は、あえて下からシャツのボタンを外した。
アルファの目には、将晴の細い腰と薄い腹、その真ん中に臍のくぼみ。沖縄の太陽でいくらかは日焼けした将晴の肌。制服の白いシャツの下から、ほんのりと日焼けした肌が見えれば、アルファの喉が上下したのがわかった。
将晴は慣れないネクタイを解くのに手間取った。上まで上がってきて、ボタンを外すのにネクタイを緩めたけれど、案の定校章の刺繍が邪魔をして、ネクタイが思うように解けない。面倒になって、将晴は適当にネクタイを弛めたままで胸の辺りを自分の手で慰める。
「ハル、可愛い」
アルファがそんな将晴を見て言葉を発する。今回のアルファはなかなかおしゃべりなのかもしれない。
やたらと将晴に声をかけてくる。
将晴は、下も限界だったのでベルトを弛めた。
多分、ベルトも学校指定なのだろう。やたらと上質な革のベルトはまったく馴染んでなくて、金具から上手く抜くことが出来ない。
「んっ、もう」
将晴はちょっとイラついた感じでベルトを弛めると、アルファがじっと手元を見ていた。将晴が上手くできないのも楽しいようだ。
「きっつ、い」
座っている体勢を動かして、将晴はスラックスを太腿まで下げる。指定されていたのは下着もで、ボクサータイプで色はグレー。おかげで将晴が既に興奮して薄らと垂らしたもので色が変わっていた。
「ゃあだぁ…み、ないで」
自分の目で色の違いを確認してしまった将晴は、そこをアルファの目から隠そうと膝を立てた。そのせいで膝の自由が悪くなり、将晴はスラックスを片足から抜いた。
「はぁぁ、ん」
ようやく寛げたため、将晴の口から吐息が漏れる。
「あ、あぁ……あっ、ん」
色の濃くなった辺りに手を伸ばして、既に濡れてしまった先端を指で撫でるように弄ぶ。
「ふぁぁぁ」
自分で分かる気持ちのいい箇所を細い指先で撫でて、鼻にかかった声を出せば、空いている手がシャツを強く握りしめる。
「はぁ、はぁ、はぁぁ、んっ」
下着の中に手を沈めて、下へと動かす。身体の熱を逃がそうと、そのまま一気に引き下ろし、片足を膝立ちさせると頭が背もたれからずり落ちた。
クッションに頭が落ちて、胸が上をむく。
中途半端に脱げた制服が淫らさを際立たせる。膝立ちをした足を将晴がやたらと動かすから、履いていた靴下がずり下がり踝が見えてきた。
将晴の細い足首がアルファの目に映る。
アルファからしたら、将晴の足首など簡単に片手で掴める程の細さだ。
ソファーの上に身体を投げ出す将晴には、アルファの顔はもう見えなかった。だからこそ安心して行為に没頭できる。目線は感じでも、目線さえ合わなければ怖いことは無い。
「んっぅん、はぁ、おくぅ」
将晴は自分の指を後ろに沈めて、ゆっくりと動かした。時分の指で届く範囲をゆっくりと擦るように動かす。その度にねっとりとした音がして、将晴は腰を何度か浮かした。
後ろを弄りながら、胸の突起をやわやわと捏ねる事を覚えたのは、最近だ。硬い制服が擦れた時に気持ちよかったから。不意打ちのそれも腰が跳ねたけれど、自分の指で強弱をつけて刺激を与えるのは、また違った。見られていることは痛いほど分かっていても、身体の中から発生する熱を沈めるのに頭の中が支配される。
「見ちゃ、ゃあだぁ」
限界が近くなって、将晴はそんなことを口走りながら前と後ろを自らの手で弄ぶ。身体の中と外から聞こえる粘着質な水音は、激しさをまして将晴を高めていく。後ろを弄ぶ指が、気持ちのいい所をついに見つけて、将晴は我慢できずにそこを強く押した。
「あぁぁぁぁぁっ」
加減をせずに押し込んだせいで、一気に高まってしまい、将晴はそのまま達してしまった。前から白濁が飛んで、将晴の臍の辺りに飛び散った。
「……あっ」
飛び散ったモノを自らの指ですくって、ぼんやりと眺めていると、アルファからの欲の強いフェロモンが漏れてきた。
将晴はアルファのフェロモンにあてられたのか、自分の指を眺めていたのに、何故かそれを舌で舐めとった。自分の指をねっとりと舐める仕草を、アルファに見せつけるようにして見せた。
「はぁ」
気だるそうに息を吐く将晴を、アルファが凝視する。けれど、アルファは決して立ち上がることはなく、将晴の舌が舐めとったモノ確認して喉を鳴らした。
「………ぁ」
一回達しただけで疲れたのか、将晴の手が下に落ちた。クッションのせいで上に突き上げるようになっている胸が静かに上下している。解けなかったネクタイのせいで、制服のシャツは脱げることがなく、余計に淫らだった。
動かなくなった将晴をアルファはまだ見つめていた。そうして、立ち上がり、斜め上から将晴を見つめる。
事後にしか見えない制服の乱れ方が、アルファの欲望を刺激したけれど、アルファはそれ以上将晴には近づかなかった。じっくりと将晴を眺めたあと、ゆっくりと部屋を出ていった。
しばらくして石崎が部屋に入った来て、ソファーの上で動かない将晴の髪を撫でた。
けれど、将晴は反応しない。
一回達しただけで、将晴は疲れてしまったようだ。石崎は将晴が解けなかったネクタイを外して、乱れた制服を丁寧に脱がせた。首に測定器を押し付けて将晴の状態を測定する。それをノートパソコンに入力してから、将晴を抱き上げて風呂場に向かった。
将晴が使用した制服は一回だけしか使用しないため、このままクリーニングにも出さずに破棄される。一回毎にアルファからその代金も徴収しているため、使い回すことはしない。
明日も天気がいいらしいので、石崎は将晴が希望していた、イルカが見られるツアーに参加するつもりだ。
後で沖縄のコテージに一回立ち寄れば、利用履歴が残せる。それで周りを誤魔化せるのだから安いものだ。
将晴の体を綺麗にして、石崎は満足そうに笑っていた。
どうやって調達するのか、どう見ても本物の制服だと思われるそれは、将晴の体型にピッタリのサイズだった。
「いつ間に俺のサイズ測ったの?」
制服に着替えながら石崎に問うけれど、石崎はただ薄く笑うだけで答えようとはしない。分かってはいるけれど、将晴のパーソナルデータなんて、最初から全て石崎に筒抜けなのだ。
着慣れた制服に似ているから、特に問題なく着てみると、随分と素材のいいものだと分かる。アルファの客からの指定だから、またどこかの名門学校の制服なのだろう。ネクタイに校章が刺繍されていて、絞める時に若干邪魔だった。どうせ解くのに、そんな気持ちがある。
「新薬のモニターだから」
石崎がいつもの薄い笑いを浮かべてそう言った。
「今度は、なに?」
いちいち聞くのも面倒だけど、知らずに飲んで予想外の事になるのは勘弁していただきたい。
「発情剤」
ピンク色の可愛らしい見た目をしているけれど、発情剤ということは、普通では使用することはない。抑制剤を試させているくせに、将晴には発情剤を試させるとは、矛盾しているのではないだろうか。
「俺が、飲むの?」
分かっていても確認はする。
「そう、どのくらいで効き始めて、継続時間の確認」
石崎はそう言うと、ミネラルウォーターをテーブルに置いた。
「そろそろ飲んで」
そう言って腕時計を見た。
「わかったよ」
将晴は返事をして、ピンク色の錠剤を口にした。ミネラルウォーターは冷えていて、のどごしは良かった。
部屋を見渡すけれど、あるのは応接セットらしい大きなソファーと低いテーブル。ソファーの布は、ガチャガチャとした花か何かの絵柄があった。そんなのの上でしたら汚れるけれど、アルファの客が来るぐらいだから、大した金額では無いのだろう。
立っていても仕方が無いので、将晴は三人がけの方に腰を下ろした。
「はぁ」
結構な柔らかさと弾力があって、座り心地はいいけれど、将晴が海を背後にと言うシチュエーションは、制服とどういう意味があるのか謎だ。
振り返って膝立ちで海を眺めていると、背後で気配を感じた。
「……ハル」
一瞬、それが自分の名前だったと忘れてしまって、振り返るのに時間がかかった。
ゆっくりと振り返ると、そこには仮面をつけたアルファが立っていた。
将晴のいる三人がけのソファーとからは離れた一人がけのソファーを、指さす。
「座るならそっち」
将晴はそう言ってから、アルファが何かを手にしていることに気がついた。
「なに、それ?」
小さな紙袋を一つ手にしてたっているアルファは、将晴に聞かれてゆっくりと前に出て、ローテブルの上に置いた。
「アイス、お土産かな?」
そう言って、将晴の指定した一人がけのソファーに腰を下ろす。ゆったりとした配置だから、将晴とアルファの距離は結構あった。
「ありがとう」
持ち込めたということは、石崎が許可したのだろう。
将晴は紙袋を手にして、中を確認する。
カップのアイスが一つ入っていた。
一緒に入っていたスプーンは、将晴がよく見かける木のものではなくて、熱伝導でアイスがすくいやすいという噂のスプーンだった。デザインがクジラの形で、可愛らしいのは、別に将晴の気を引いたりはしなかったけど、地域限定らしい塩の入ったアイスはサッパリとして美味しい。
将晴が黙ってアイスを食べているのを、アルファは黙って見つめている。不思議な時間が流れるけれど、将晴はだいぶ慣れた。
こうしてやってくるアルファたちは、将晴をただ眺めるだけで、何もしてこない。ただ、見つめてくるだけなのだけど、その目は見てはいけない。興奮しているらしいアルファの目は、絡め取られたら逃れられないものだった。
だから、チラチラとアルファの様子を確認はするけれど、目線は合わせないように気をつける。
アイスを食べる時に意識して、口を開くのを見せつけるようにして、飲み込む時の喉の動きを分かるようにした。
冷たいものを食べているはずなのに、お腹が逆に熱くなってきた。
発情剤が、きいてきたようだ。
「ご馳走様」
将晴はそう言って、空になったカップとスプーンをローテブルに置いた。
夏服なのに絞めたネクタイは、学年カラーを示していたらしい。おそらく、目の前にいるアルファが憧れていた頃の学年なのだろう。
「んっ、あつい」
将晴はそう言って、シャツの裾をスラックスから引き出した。
アイスを食べている途中からだったけれど、身体が熱くなって、冷たいアイスを食べる手がやたらと進んだ。冷たいアイスが、喉を通るのがたまらなく気持ちが良かった。
(発情剤って、医師の診断が必要じゃなかった?)
飲んでしまってからで遅いけれど、今更ながらに思う。まぁ、断ることが出来ないから飲むのだけれど。正確には分からないけれど、石崎は製薬会社のなにかなのだろう。ここまでの事を用意出来るだけの、上位アルファからの指示を受けているのだろう。
将晴は、あえて下からシャツのボタンを外した。
アルファの目には、将晴の細い腰と薄い腹、その真ん中に臍のくぼみ。沖縄の太陽でいくらかは日焼けした将晴の肌。制服の白いシャツの下から、ほんのりと日焼けした肌が見えれば、アルファの喉が上下したのがわかった。
将晴は慣れないネクタイを解くのに手間取った。上まで上がってきて、ボタンを外すのにネクタイを緩めたけれど、案の定校章の刺繍が邪魔をして、ネクタイが思うように解けない。面倒になって、将晴は適当にネクタイを弛めたままで胸の辺りを自分の手で慰める。
「ハル、可愛い」
アルファがそんな将晴を見て言葉を発する。今回のアルファはなかなかおしゃべりなのかもしれない。
やたらと将晴に声をかけてくる。
将晴は、下も限界だったのでベルトを弛めた。
多分、ベルトも学校指定なのだろう。やたらと上質な革のベルトはまったく馴染んでなくて、金具から上手く抜くことが出来ない。
「んっ、もう」
将晴はちょっとイラついた感じでベルトを弛めると、アルファがじっと手元を見ていた。将晴が上手くできないのも楽しいようだ。
「きっつ、い」
座っている体勢を動かして、将晴はスラックスを太腿まで下げる。指定されていたのは下着もで、ボクサータイプで色はグレー。おかげで将晴が既に興奮して薄らと垂らしたもので色が変わっていた。
「ゃあだぁ…み、ないで」
自分の目で色の違いを確認してしまった将晴は、そこをアルファの目から隠そうと膝を立てた。そのせいで膝の自由が悪くなり、将晴はスラックスを片足から抜いた。
「はぁぁ、ん」
ようやく寛げたため、将晴の口から吐息が漏れる。
「あ、あぁ……あっ、ん」
色の濃くなった辺りに手を伸ばして、既に濡れてしまった先端を指で撫でるように弄ぶ。
「ふぁぁぁ」
自分で分かる気持ちのいい箇所を細い指先で撫でて、鼻にかかった声を出せば、空いている手がシャツを強く握りしめる。
「はぁ、はぁ、はぁぁ、んっ」
下着の中に手を沈めて、下へと動かす。身体の熱を逃がそうと、そのまま一気に引き下ろし、片足を膝立ちさせると頭が背もたれからずり落ちた。
クッションに頭が落ちて、胸が上をむく。
中途半端に脱げた制服が淫らさを際立たせる。膝立ちをした足を将晴がやたらと動かすから、履いていた靴下がずり下がり踝が見えてきた。
将晴の細い足首がアルファの目に映る。
アルファからしたら、将晴の足首など簡単に片手で掴める程の細さだ。
ソファーの上に身体を投げ出す将晴には、アルファの顔はもう見えなかった。だからこそ安心して行為に没頭できる。目線は感じでも、目線さえ合わなければ怖いことは無い。
「んっぅん、はぁ、おくぅ」
将晴は自分の指を後ろに沈めて、ゆっくりと動かした。時分の指で届く範囲をゆっくりと擦るように動かす。その度にねっとりとした音がして、将晴は腰を何度か浮かした。
後ろを弄りながら、胸の突起をやわやわと捏ねる事を覚えたのは、最近だ。硬い制服が擦れた時に気持ちよかったから。不意打ちのそれも腰が跳ねたけれど、自分の指で強弱をつけて刺激を与えるのは、また違った。見られていることは痛いほど分かっていても、身体の中から発生する熱を沈めるのに頭の中が支配される。
「見ちゃ、ゃあだぁ」
限界が近くなって、将晴はそんなことを口走りながら前と後ろを自らの手で弄ぶ。身体の中と外から聞こえる粘着質な水音は、激しさをまして将晴を高めていく。後ろを弄ぶ指が、気持ちのいい所をついに見つけて、将晴は我慢できずにそこを強く押した。
「あぁぁぁぁぁっ」
加減をせずに押し込んだせいで、一気に高まってしまい、将晴はそのまま達してしまった。前から白濁が飛んで、将晴の臍の辺りに飛び散った。
「……あっ」
飛び散ったモノを自らの指ですくって、ぼんやりと眺めていると、アルファからの欲の強いフェロモンが漏れてきた。
将晴はアルファのフェロモンにあてられたのか、自分の指を眺めていたのに、何故かそれを舌で舐めとった。自分の指をねっとりと舐める仕草を、アルファに見せつけるようにして見せた。
「はぁ」
気だるそうに息を吐く将晴を、アルファが凝視する。けれど、アルファは決して立ち上がることはなく、将晴の舌が舐めとったモノ確認して喉を鳴らした。
「………ぁ」
一回達しただけで疲れたのか、将晴の手が下に落ちた。クッションのせいで上に突き上げるようになっている胸が静かに上下している。解けなかったネクタイのせいで、制服のシャツは脱げることがなく、余計に淫らだった。
動かなくなった将晴をアルファはまだ見つめていた。そうして、立ち上がり、斜め上から将晴を見つめる。
事後にしか見えない制服の乱れ方が、アルファの欲望を刺激したけれど、アルファはそれ以上将晴には近づかなかった。じっくりと将晴を眺めたあと、ゆっくりと部屋を出ていった。
しばらくして石崎が部屋に入った来て、ソファーの上で動かない将晴の髪を撫でた。
けれど、将晴は反応しない。
一回達しただけで、将晴は疲れてしまったようだ。石崎は将晴が解けなかったネクタイを外して、乱れた制服を丁寧に脱がせた。首に測定器を押し付けて将晴の状態を測定する。それをノートパソコンに入力してから、将晴を抱き上げて風呂場に向かった。
将晴が使用した制服は一回だけしか使用しないため、このままクリーニングにも出さずに破棄される。一回毎にアルファからその代金も徴収しているため、使い回すことはしない。
明日も天気がいいらしいので、石崎は将晴が希望していた、イルカが見られるツアーに参加するつもりだ。
後で沖縄のコテージに一回立ち寄れば、利用履歴が残せる。それで周りを誤魔化せるのだから安いものだ。
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