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どこ世界でも女子って....
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翌日、学校では様々な反応があった。
社交界も学校も、ほとんど関わりがなかったにも関わらず私を敵視するご令嬢が多かったのには驚いた。公爵令嬢、王子の婚約者という肩書きだけで毛嫌いされていたのだろう。
逆に平民の女子生徒はとても静かだ。ここで、どちらにつくとか、私をおとしめるとか、そういった動きは見られなかった。彼女たちなりの自衛なのかもしれない。将来のことを考えれば、主人公に近づくのは得策ではない。主人公はまだ、将来を確約されていないのだから。
サロンに行くと、アンヌマリーが満面の笑みで迎えてくれた。他にも女子生徒達がいる。私が悪役令嬢ならば、彼女たちはその、とりまきってことになるのだけれど。
「昨日は大変でしたね」
そう言って、紅茶を出された。私はお礼を言いつつ紅茶を受け取る。集まっているのは女子生徒なんだけど、結局の所サロンはおばちゃんの井戸端会議みたいなものだ。宮廷のサロンと違って、生徒以外はいない。というのが安心させるのか、話す内容はかなりキツめかもしれない。
「アラン様には幻滅しましたわ」
1人がそう切り出すと、他の生徒もついづいする。
「アンネローゼ様との婚約破棄をしてまでのことですか?」
「平民の出自というのはみながしっていることですのよ。今更どこかに養女と上がっても反発は避けられないでしょうね」
アンヌマリーは、そう言いつつ、差別をしている訳では無いのですよ。と、付け加えた。そんなことを言われなくても、平民の出自では側室にしかなれない。というのは誰もが知っている事実だった。
「アラン様の周辺貴族にさせるつもりかしら?」
「ルイス様あたり?生徒会でも御一緒しているから、将来的にもその手のポジションを約束されているのかしらね?」
「あら、ルイス様にはお姉様がいらしたわよね?その方を差し置いて養女を?」
「そんなことをしたら、他の公爵家が黙っていませんわよ、ねぇアンネローゼ様?」
そうやって、私を会話に巻き込まないで!
「シャロン様はすでに嫁がれていますもの、養女を差し出しても問題はありませんけれど…反発は起きますわね」
そう言って、私はチラリとアンヌマリーを見た。多分、アンヌマリーだって王子の婚約者候補に名前があがっていたはずだ。
「アラン様の婚約者候補は結構いましたのよ?アンネローゼ様が降りた今、アラン様のわがままだけで決められるものではありませんでしょ?」
アンヌマリーはそう言うと、入口の方を見た。
「ごきげんよう、みなさま」
そこには満面の笑みでヴィオレッタ様が立っていた。
ヴィオレッタ様を見た途端、サロン内の空気が変わった。ほとんどの女子生徒がヴィオレッタ様を敵視しているのだ。なにせ、ヴィオレッタ様は生徒会役員なのだから。
「そんなに怖い顔をなさらないで」
ヴィオレッタ様は小さく笑うと、私の隣に座ってきた。一応3人がけだから、ドレスじゃなくて制服だから、私とアンヌマリーが座っていても、ヴィオレッタ様も座れることは座れるんだけど、
「ヴィオレッタ様、少々強引です」
反対側に座っているアンヌマリーが抗議した。ヴィオレッタ様に押される形で、アンヌマリーは肘掛に押し付けられたのだ。
「あら、私、そんなに太ってないわよ」
「じゃあ、わたくしが?」
アンヌマリーは、軽口に応じたが狭くて身動きが取れなかったのか、扇で口元が隠せなかったらしい。
「どうぞ」
一応はサロンに来られたので、紅茶が出された。
「あら、ありがとう。いただけないかと思っていたわ」
ヴィオレッタ様は優雅な手つきで紅茶を飲んで、それでね、ってやおら私の顔を掴んだ。
「えっ?な、なんですか?」
突然の事で私はかなり驚いた。
「こんなに綺麗なアンネローゼちゃんをすてるだなんて!やっぱり、アラン様はバカなんだわ」
ヴィオレッタ様の一言は、物凄い破壊力があった。
「アンネローゼちゃん?」
私は、唐突に親しみを込めて呼ばれたことに戸惑った。面識は、今回含めて3回目。
「あら、私はアンネローゼちゃんのこと気に入ってますのよ。お顔は綺麗だし、頑張り屋さんで好感がもてますもの」
ヴィオレッタ様はそう言って微笑んで、
「なのに、アラン様ったらミュゼットちゃんに興味を持っちゃって、見境がないと言うか、なんでも自分のモノだと、思っているようなのよね。全て自分の思い通りになると思っているって、言うか」
不満をぶちまけてきた。
「は?」
私とアンヌマリーは、けっこう間抜けな声を出した。
「アラン様、ミュゼットちゃんに興味を持っちゃったでしょ?」
「そうですね」
「あんな子どもじみた事をして」
「サロンの一件は仕組まれていた、と?」
アンヌマリーが怪訝な顔をした。
「そうよ、アンネローゼちゃんの言う通り、すごいタイミングで、普段はいないマルコスが偶然通りかかってミュゼットちゃんを助けるの」
これはもはや、ゲーム補正ではないのか?いや、ゲーム補正のなせる技なのか?
「では、かかった紅茶は…」
「すんごく、ぬるーい紅茶がかけられたわよね」
ヴィオレッタ様は、めんどくさいと言いたげだ。
「かけられたミュゼット様も、不思議に思われたのでは?」
「そう、それなの!あの場では突然の事で分からなかったみたいなんだけど、よくよく見たら紅茶がかかったのにまるで赤くなってなくて、不思議に思ったみたい」
そりゃそうだ。王子の指示で、紅茶をかけなくてはいけなかった令嬢からしたら、女の子の顔に紅茶をかけるなんて恐ろしいことだ。万が一顔にあとでも残したら、王子にどんなイチャモンを、付けられることか。
「ミュゼット様は、アラン様に迫られて嫌がっているのでは?」
アンヌマリーが興味津々という顔をして質問をした。
「そう!そうなのよ。」
ヴィオレッタ様は、それはそれは面白そうに話してくれた。
「あの日、ね。マルコスがミュゼットちゃんを生徒会室に連れてきたの。紅茶を、かけられて濡れちゃったでしょ?でもね、濡れたのは本当に前髪の辺りだけで、制服には全く被害がなかったわけ」
こりゃ、あのサロンの令嬢は、相当練習をしたに違いない。自宅のメイドでも使ったかな?
「で、私とマリアンヌが女性と言うことで、ミュゼットちゃんを見てあげたのよ。でも、紅茶がかかったところは赤くないし、制服も、まったく濡れてないし、転んだのだってフカフカのサロンの絨毯でしょ?」
ふむふむ、ぶっちゃけ、被害は限りなく0なわけですね。
「私もマリアンヌもすっごく不思議で、だって、大したことないもの、どうしてこんなに大袈裟なんだろう?って2人で思っていたら、アラン様がものすごーく心配するわけよ」
ははぁ、新しく手に入れた(と、王子は思っている)おもちゃの具合が気になるわけだ。
「もー、ミュゼットちゃんは物凄く警戒しちゃって、アラン様が何を言っても『大丈夫です』『結構です』のオンパレードだったわ」
そりゃそうだ、中身は他の攻略対象のルートを目指しているプレイヤーなんだから、王子ルートは絶対拒否だよね。
「アラン様は、拒絶されていることに気がついていらっしゃらないのかしら?」
アンヌマリーが素朴な疑問を投げかけた。普通なら、気が付くものなんだけど。
「いきなり生徒会室に連れ込まれて怯えていたのでは無いですか?」
「そもそも、ミュゼットさんに好かれていると思っていること自体気持ち悪いです」
「アラン様は、俺様主義なんですかね?ハッキリ言って勘弁です」
サロン内の女子生徒たちは、一斉に王子批判を口にした。どうやら、本当に王子が嫌いなようだ。誰も弁護しない。
「あら?誰も羨ましいとは言ってあげないのね」
ヴィオレッタ様が苦笑した。
「無理です。あんな性癖、ノーサンキューですわ」
アンヌマリーが口をハンカチで抑えながら言う。
うん、私も身をもって経験したから思う。あんなのめんどくさい、ウザイ。そんなに信用出来ないなら婚約なんてするなよ。って、話。
「噂に聞いただけで、気持ち悪いです。束縛無理です」
「俺様愛はハッキリ言って重いです。」
「自分に、自信がないからそんなことするんですよね?それなのに愛されて当たり前と思っているあたり、本当に痛いです」
ここまで言われるなんて、王子、第1攻略対象なのに、現実は不人気ナンバーワンなんじゃない。やっぱり、見た目だけはあくまで観賞用なのね。
「それで、マリアンヌが一緒に帰宅したのよ。王子が馬車に乗せようとしたんだけど、それはそれは頑なに拒否されましたから」
その時のことを思い出したのか、ヴィオレッタ様は笑っていた。さぞや、全力の拒絶だったことだろう。
「嫌がる女子生徒を、無理やり馬車に乗せたりしたら、それこそ拉致監禁とおもわれますわよね」
アンヌマリーは、愉快そうに言った。私もそう思うので、笑いながら頷いた。
「それで、今日は朝からミュゼットちゃんに会おうとしたみたいなんだけど、ミュゼットちゃんは徒歩で通学してるでしょ?王子の馬車を見た途端、全力で脇にある階段に行ってしまったそうよ」
王子、頭悪い。平民の生徒なんだから徒歩通学に決まってるのに。なぜ馬車を使った?さりげなく自分も徒歩にするでしょ、普通。
「王家の紋章つきの馬車で現れたら、そりゃ、見つけてくれって言ってるようなものですわね」
「昨日貴族の令嬢に紅茶をかけられた平民の生徒が、貴族の頂点みたいな人に近づきたいわけないのに」
「また、虐められるって、警戒して逃げるの当たり前です」
ほら、誰も王子を擁護しない。
「マルコス様あたりが教えて差し上げればよろしいのに」
私は呆れながらもそういった。が、
「アラン様が聞く耳をお持ちでないのよ。自分が絶対に正しいと思っているのですもの」
「それじゃあ、無理ですわね」
アンヌマリーは、誰よりも悪役令嬢野顔で笑っていた。私なは無理な笑顔である。
「そんな訳ですから、ミュゼットちゃんを嫌わないであげて欲しいの」
ヴィオレッタ様が小首を傾げながらそう言うと、サロンの女子生徒たちは、一斉に頷いた。
「私は、元々嫌ってません。勝手にライバルにはしましたけれど、あくまで成績優秀者としてのライバルですもの」
「そう、それなのよ」
ヴィオレッタ様が突然言った。
「アンネローゼちゃんが突然やる気を出したでしょう?アラン様はそれが気に入らなかったみたいなの。アンネローゼちゃんの凄いところは自分だけが知っていればいいんだ。とか、言い出して、他の男に色目を使っている。とかなんとかブツブツブツブツ言い始めるから、私とマリアンヌは気持ち悪くなって生徒会室を黙って出てきたのよ」
なるほど、王子はそんなにも私が不特定多数の目に晒されるのが嫌でしたか。そんな執着、迷惑なだけだわ。
「アラン様、気持ち悪いですわ」
アンヌマリーのつぶやきに、サロンの女子生徒が一斉に大きく頷くのであった。
社交界も学校も、ほとんど関わりがなかったにも関わらず私を敵視するご令嬢が多かったのには驚いた。公爵令嬢、王子の婚約者という肩書きだけで毛嫌いされていたのだろう。
逆に平民の女子生徒はとても静かだ。ここで、どちらにつくとか、私をおとしめるとか、そういった動きは見られなかった。彼女たちなりの自衛なのかもしれない。将来のことを考えれば、主人公に近づくのは得策ではない。主人公はまだ、将来を確約されていないのだから。
サロンに行くと、アンヌマリーが満面の笑みで迎えてくれた。他にも女子生徒達がいる。私が悪役令嬢ならば、彼女たちはその、とりまきってことになるのだけれど。
「昨日は大変でしたね」
そう言って、紅茶を出された。私はお礼を言いつつ紅茶を受け取る。集まっているのは女子生徒なんだけど、結局の所サロンはおばちゃんの井戸端会議みたいなものだ。宮廷のサロンと違って、生徒以外はいない。というのが安心させるのか、話す内容はかなりキツめかもしれない。
「アラン様には幻滅しましたわ」
1人がそう切り出すと、他の生徒もついづいする。
「アンネローゼ様との婚約破棄をしてまでのことですか?」
「平民の出自というのはみながしっていることですのよ。今更どこかに養女と上がっても反発は避けられないでしょうね」
アンヌマリーは、そう言いつつ、差別をしている訳では無いのですよ。と、付け加えた。そんなことを言われなくても、平民の出自では側室にしかなれない。というのは誰もが知っている事実だった。
「アラン様の周辺貴族にさせるつもりかしら?」
「ルイス様あたり?生徒会でも御一緒しているから、将来的にもその手のポジションを約束されているのかしらね?」
「あら、ルイス様にはお姉様がいらしたわよね?その方を差し置いて養女を?」
「そんなことをしたら、他の公爵家が黙っていませんわよ、ねぇアンネローゼ様?」
そうやって、私を会話に巻き込まないで!
「シャロン様はすでに嫁がれていますもの、養女を差し出しても問題はありませんけれど…反発は起きますわね」
そう言って、私はチラリとアンヌマリーを見た。多分、アンヌマリーだって王子の婚約者候補に名前があがっていたはずだ。
「アラン様の婚約者候補は結構いましたのよ?アンネローゼ様が降りた今、アラン様のわがままだけで決められるものではありませんでしょ?」
アンヌマリーはそう言うと、入口の方を見た。
「ごきげんよう、みなさま」
そこには満面の笑みでヴィオレッタ様が立っていた。
ヴィオレッタ様を見た途端、サロン内の空気が変わった。ほとんどの女子生徒がヴィオレッタ様を敵視しているのだ。なにせ、ヴィオレッタ様は生徒会役員なのだから。
「そんなに怖い顔をなさらないで」
ヴィオレッタ様は小さく笑うと、私の隣に座ってきた。一応3人がけだから、ドレスじゃなくて制服だから、私とアンヌマリーが座っていても、ヴィオレッタ様も座れることは座れるんだけど、
「ヴィオレッタ様、少々強引です」
反対側に座っているアンヌマリーが抗議した。ヴィオレッタ様に押される形で、アンヌマリーは肘掛に押し付けられたのだ。
「あら、私、そんなに太ってないわよ」
「じゃあ、わたくしが?」
アンヌマリーは、軽口に応じたが狭くて身動きが取れなかったのか、扇で口元が隠せなかったらしい。
「どうぞ」
一応はサロンに来られたので、紅茶が出された。
「あら、ありがとう。いただけないかと思っていたわ」
ヴィオレッタ様は優雅な手つきで紅茶を飲んで、それでね、ってやおら私の顔を掴んだ。
「えっ?な、なんですか?」
突然の事で私はかなり驚いた。
「こんなに綺麗なアンネローゼちゃんをすてるだなんて!やっぱり、アラン様はバカなんだわ」
ヴィオレッタ様の一言は、物凄い破壊力があった。
「アンネローゼちゃん?」
私は、唐突に親しみを込めて呼ばれたことに戸惑った。面識は、今回含めて3回目。
「あら、私はアンネローゼちゃんのこと気に入ってますのよ。お顔は綺麗だし、頑張り屋さんで好感がもてますもの」
ヴィオレッタ様はそう言って微笑んで、
「なのに、アラン様ったらミュゼットちゃんに興味を持っちゃって、見境がないと言うか、なんでも自分のモノだと、思っているようなのよね。全て自分の思い通りになると思っているって、言うか」
不満をぶちまけてきた。
「は?」
私とアンヌマリーは、けっこう間抜けな声を出した。
「アラン様、ミュゼットちゃんに興味を持っちゃったでしょ?」
「そうですね」
「あんな子どもじみた事をして」
「サロンの一件は仕組まれていた、と?」
アンヌマリーが怪訝な顔をした。
「そうよ、アンネローゼちゃんの言う通り、すごいタイミングで、普段はいないマルコスが偶然通りかかってミュゼットちゃんを助けるの」
これはもはや、ゲーム補正ではないのか?いや、ゲーム補正のなせる技なのか?
「では、かかった紅茶は…」
「すんごく、ぬるーい紅茶がかけられたわよね」
ヴィオレッタ様は、めんどくさいと言いたげだ。
「かけられたミュゼット様も、不思議に思われたのでは?」
「そう、それなの!あの場では突然の事で分からなかったみたいなんだけど、よくよく見たら紅茶がかかったのにまるで赤くなってなくて、不思議に思ったみたい」
そりゃそうだ。王子の指示で、紅茶をかけなくてはいけなかった令嬢からしたら、女の子の顔に紅茶をかけるなんて恐ろしいことだ。万が一顔にあとでも残したら、王子にどんなイチャモンを、付けられることか。
「ミュゼット様は、アラン様に迫られて嫌がっているのでは?」
アンヌマリーが興味津々という顔をして質問をした。
「そう!そうなのよ。」
ヴィオレッタ様は、それはそれは面白そうに話してくれた。
「あの日、ね。マルコスがミュゼットちゃんを生徒会室に連れてきたの。紅茶を、かけられて濡れちゃったでしょ?でもね、濡れたのは本当に前髪の辺りだけで、制服には全く被害がなかったわけ」
こりゃ、あのサロンの令嬢は、相当練習をしたに違いない。自宅のメイドでも使ったかな?
「で、私とマリアンヌが女性と言うことで、ミュゼットちゃんを見てあげたのよ。でも、紅茶がかかったところは赤くないし、制服も、まったく濡れてないし、転んだのだってフカフカのサロンの絨毯でしょ?」
ふむふむ、ぶっちゃけ、被害は限りなく0なわけですね。
「私もマリアンヌもすっごく不思議で、だって、大したことないもの、どうしてこんなに大袈裟なんだろう?って2人で思っていたら、アラン様がものすごーく心配するわけよ」
ははぁ、新しく手に入れた(と、王子は思っている)おもちゃの具合が気になるわけだ。
「もー、ミュゼットちゃんは物凄く警戒しちゃって、アラン様が何を言っても『大丈夫です』『結構です』のオンパレードだったわ」
そりゃそうだ、中身は他の攻略対象のルートを目指しているプレイヤーなんだから、王子ルートは絶対拒否だよね。
「アラン様は、拒絶されていることに気がついていらっしゃらないのかしら?」
アンヌマリーが素朴な疑問を投げかけた。普通なら、気が付くものなんだけど。
「いきなり生徒会室に連れ込まれて怯えていたのでは無いですか?」
「そもそも、ミュゼットさんに好かれていると思っていること自体気持ち悪いです」
「アラン様は、俺様主義なんですかね?ハッキリ言って勘弁です」
サロン内の女子生徒たちは、一斉に王子批判を口にした。どうやら、本当に王子が嫌いなようだ。誰も弁護しない。
「あら?誰も羨ましいとは言ってあげないのね」
ヴィオレッタ様が苦笑した。
「無理です。あんな性癖、ノーサンキューですわ」
アンヌマリーが口をハンカチで抑えながら言う。
うん、私も身をもって経験したから思う。あんなのめんどくさい、ウザイ。そんなに信用出来ないなら婚約なんてするなよ。って、話。
「噂に聞いただけで、気持ち悪いです。束縛無理です」
「俺様愛はハッキリ言って重いです。」
「自分に、自信がないからそんなことするんですよね?それなのに愛されて当たり前と思っているあたり、本当に痛いです」
ここまで言われるなんて、王子、第1攻略対象なのに、現実は不人気ナンバーワンなんじゃない。やっぱり、見た目だけはあくまで観賞用なのね。
「それで、マリアンヌが一緒に帰宅したのよ。王子が馬車に乗せようとしたんだけど、それはそれは頑なに拒否されましたから」
その時のことを思い出したのか、ヴィオレッタ様は笑っていた。さぞや、全力の拒絶だったことだろう。
「嫌がる女子生徒を、無理やり馬車に乗せたりしたら、それこそ拉致監禁とおもわれますわよね」
アンヌマリーは、愉快そうに言った。私もそう思うので、笑いながら頷いた。
「それで、今日は朝からミュゼットちゃんに会おうとしたみたいなんだけど、ミュゼットちゃんは徒歩で通学してるでしょ?王子の馬車を見た途端、全力で脇にある階段に行ってしまったそうよ」
王子、頭悪い。平民の生徒なんだから徒歩通学に決まってるのに。なぜ馬車を使った?さりげなく自分も徒歩にするでしょ、普通。
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ほら、誰も王子を擁護しない。
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私は呆れながらもそういった。が、
「アラン様が聞く耳をお持ちでないのよ。自分が絶対に正しいと思っているのですもの」
「それじゃあ、無理ですわね」
アンヌマリーは、誰よりも悪役令嬢野顔で笑っていた。私なは無理な笑顔である。
「そんな訳ですから、ミュゼットちゃんを嫌わないであげて欲しいの」
ヴィオレッタ様が小首を傾げながらそう言うと、サロンの女子生徒たちは、一斉に頷いた。
「私は、元々嫌ってません。勝手にライバルにはしましたけれど、あくまで成績優秀者としてのライバルですもの」
「そう、それなのよ」
ヴィオレッタ様が突然言った。
「アンネローゼちゃんが突然やる気を出したでしょう?アラン様はそれが気に入らなかったみたいなの。アンネローゼちゃんの凄いところは自分だけが知っていればいいんだ。とか、言い出して、他の男に色目を使っている。とかなんとかブツブツブツブツ言い始めるから、私とマリアンヌは気持ち悪くなって生徒会室を黙って出てきたのよ」
なるほど、王子はそんなにも私が不特定多数の目に晒されるのが嫌でしたか。そんな執着、迷惑なだけだわ。
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