【完結】乙女ゲームの最推し♀キャラに転生したら、私が悪役令嬢になるルートをヒロインが突っ走ってきます

ショウコ

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24 始まる断罪イベント

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 兄嫁がへこんでいたのをみて若干胸がスッとしたものの、別に私、何もやってない。
 全部アンジュのおかげだ。

「アンジュ、ありがとね」
「ん? ああ、君も苦労してたんだねぇ。
 他人の前であそこまでボロクソに家族を詰れるならば、家ではどんなにいびられていたかと……。
 君が実家のことを話したがらないわけが解ったよ」
「うん、もう正直暴君だったから。
 これで少しはおとなしくなるといいけど」

 両親は既に鬼籍に入っているシルヴィたんの肉親は、あとはお兄さまだけ。
 お兄さまは年若いうちに領主の仕事をしなくてはいけなくなったから、仕事に勉強にとすごく忙しい。
 そして兄嫁が私を近づかせないので、お兄さまに訴えることもままならず、
 兄嫁が我儘放題になる一方だったのだ。
 

 でも、これからはマシな扱いをしてもらえるかもしれない。
 あの人、損得勘定だけは早いから。
 まぁ、それでも実家で過ごそうとは思わないけど。

 どこにも行くあてがない、お兄さまに会えたらいいな、それだけの気持ちでフラフラここまで来たけど、
 アンジュがこうして迎えに来てくれて、私を信じてくれたお陰で、戻る勇気が湧いた。
 本当に感謝。
 そう言ったら、感謝するのはまだ早いよ、と笑われた。



 列車に揺られて学園に帰る。

 アンジュは窓の外を眺めながら、あれは何これは何と聞いてくる。

「面白いなぁ」
「そう? 畑とか森ばっかり。
 海とか見えるわけじゃないし……」

 私にとっては見慣れた田園風景…というか、田舎なのだけど。

 アンジュがそんなつぶやきに反応する。

「海?」
「うん、車窓から海見るのって結構好きだな。
 キラキラしてて」

 前世でも見た記憶がある。
 アンジュはぐるりと目を回す。

「海…見たことない」
「あ、そうなの?
 でもこの国にはないからねぇ……」
「そうなのか……」
「あ、風車」
「どこ!?」


 そんなことを話しつつ、アンジュに連れられて学園に戻る。
 学園内は何故か閑散としていた。


 アンジュはずんずんと進んでいく。


「アンジュ、どこに向かってるの?」
「恐らくはもう祝賀パーティが始まってる。
 直接向かう」

 え、功労者のアンジュが不在なのにもうパーティはじめてるの?

「え、アンジュいないのに?」
「影武者を置いてきたからな。
 だがそろそろ影武者も限界の頃だ」

 か、影武者?
 私の疑問をよそに、会場であるホールに辿り着き、そっと中の様子をうかがうアンジュ。


 私もその後ろからそっと覗き込む。


 生徒たちがわらわらと集まる中、
 壇上には怒りをその目に滲ませる攻略対象達と、確かにアンジュがいる。

 偽物のアンジュは物憂げに椅子に座ってどこかぼうっとしている。
 そんな影武者アンジュの様子を労しそうにちらりちらりと見つめる攻略対象たちが話をしているようだ。

 理事長以下、リュカ先生を含めた教師陣は壇上の下、並んで座っている。
 理事長は苦々しげに、校長は沈痛な面持ちで、リュカ先生は偽アンジュを苦しげに見つめていた。


 クローヴィスが朗々と声を響かせる。


「シルヴィ・ジラールは先日学園から逃げ出したが、その罪を公にせねばならない。
 聖女アンジュへの度重なる嫌がらせや暴言の類は皆にも知られていると思うが、
 今一度確認しよう」


 偽物のアンジュが顔を伏せうつむく。
 そんな様子を見てクローヴィスが声に更に怒りを滲ませる。


「このとおり、アンジュはどれだけ嫌がらせを受けても、シルヴィ・ジラールを信じ続けた。
 その信用を踏みにじった罪は重い!

 本人不在なのは不本意だが、断罪を行い処分をここに決定し、償わせることを約束しよう」


 その言葉に、生徒たちが拍手や口笛でそれぞれの意思を示している。
 私が如何に非道であるかを声高に喋る者もいる。
 そんな騒がしい会場を片手を挙げることで制したクローヴィス。


 何を言われるのかドキドキしてきた。
 断罪イベントはゲームで経験済みだけど、
 シルヴィが救済されるイベントは知らない。

 アンジュは私を信じて無実を証明してくれると言ってはくれているけど、やはり怖い。

 大丈夫なのだろうか?

 アンジュが私の方を振り返る。

「案ずるな、シルヴィ。
 君は何もしていない。
 聞きたくなければ耳をふさいでいろ」

 アンジュは安心させるように微笑みそう言って、そっと私の背中を引き寄せる。
 アンジュは長身で私がそれ程身長がないせいで、
 丁度アンジュの豊満な胸元に顔が包み込まれる。
 いい香りがする。何という贅沢……。

 私はその感触をこっそり楽しみつつ、耳をそばだてた。

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