上 下
7 / 34

7 意気投合しなくていいよ!

しおりを挟む
「それでは、ここで一旦休憩しましょうか」

 リュカ先生の言葉に、それぞれが思い思いに腰を下ろす。

 今日は、校外学習と称して、町外れの教会に向かっているところだ。

 もちろん、これはゲームのイベントでもある。
 シルヴィが逆ハールートで同席するイベントはあまり多くないので、ここらでなんとか手を打っておきたいところだ。 



 このあたりには、瘴気が発生している場所があり、そこを経由して教会に向かう途中である。

 
 皆、先程見てきた瘴気について思うところがあるらしく、どこか重苦しい空気である。


「瘴気……確かにアレは、禍々しい気を感じるな」
「あれくらいであればまださほど影響はないでしょう。
 もっと濃いものになってくると、魔物の発生源になったりといった問題が出てきます」
「瘴気は、なぜ生まれるのでしょうか」
「瘴気自体は、自然発生的に生まれることもあれば、辺りのバランスを崩すほどの魔法の副産物として生まれることもあります。
 しかし、最近の発生は、ほぼ魔王の目覚めが引き起こしていると言われているのですよ」


 生徒たちの疑問に、丁寧に答えてくれるリュカ先生。
 魔王、その言葉に更にどんよりとする攻略対象たち。

「魔王は、すでに目覚めているんだよな?」
「そう聞いている。
 魔王の臣下、魔族の目撃情報も増えてるだろう? クローヴィス」

 ヴィクトルの疑問に、レイモンドが答える。
 そして投げかけられたクローヴィスも重苦しく頷く。

「そうだ。少し前にも、逃げられたが騎士団の交戦があったらしい。 
 剣での物理攻撃がほとんど効かなかったと言われている」
「剣が、効かない……。この前のあいつと同じ」

 ヴィクトルが顔を歪める。
 この前のあいつ?
 気になったが、問いかける前にマルクが不安げにリュカ先生に聞いているのでそちらを聞くことにする。

「魔王は、いつ本覚醒するのでしょうか」
「それは、誰にもわかりません。
 魔族の暗躍は、魔王の覚醒を早めるためとも、魔王の敵を排除するためとも言われていますが……」
「魔王は、浄化するしか対処法はないのだろう?」
「ええ、そのとおりです。
 ……ですので、聖女の存在はこちらにとって非常に重要なのです」

 と言って、リュカ先生以下、皆がこちらを見る。
 ……正確に言えば、私の膝を枕にして寝こけているアンジュを……であるが。

 うう、視線が痛い。私は何も知らんよ!
 美少女の膝枕で美少女が寝てるという素晴らしい光景を拝ませてやってんだから変な目で見てくんな!

「……聖女が魔王を浄化するためには、特別な魔法が必要なんだろう?」
「らしいな。浄化魔法は聖女しか使えないと聞いた」

 ヴィクトルが無理やり話題を戻す。
 レイモンドがそしらぬふりをしながら頷いている。

「アンジュさんは、浄化魔法を使えるのでしょうか?」
「この間尋ねてみたが、できない、と言っていた」

 マルクの問に、クローヴィスが残念そうに答える。 
 彼にとっては国の一大事だから、他の人に比べると真剣味が強い。

「聖女が浄化魔法を使えるようになることも、覚醒と呼んでいるらしい。
 アンジュが早く覚醒できるように、僕たちもできることがあればよいのだけど……」

 クローヴィスがため息混じりにつぶやく。
 そろそろアンジュを起こしたほうが良いだろうか。
 なんでこの短時間ですやすや寝れるのか……。


「アンジュ、起きて」


 ゆさゆさと揺り起こす。アンジュがゆっくり目を開ける。
 大きなあくびをしながら起き上がり、伸びをする。
 あくびのせいか涙目をこちらに向けて、もう一度小さくあくびをする。


「ふあー、寝た寝た。シルヴィの太ももはちょうどいいな。
 程よい高さと硬さでよく寝れる」
「私は脚痺れたよ……」
「ん? ……脚が、痺れた?」

 アンジュが考え込む素振りを見せ、私と同じように脚を伸ばして座り直す。

 なんだろう?

 アンジュが自分の太ももをペチペチ叩き、私の頭を掴む。そして、アンジュの膝枕。

「ちょ、なに?」
「脚が痺れるというのがどういうものか確認したいから付き合ってくれ」
「いやいや、私じゃなくても……」

 ふと視線を感じ振り返ると、あからさまに羨ましそうな顔のヴィクトル。
 やれやれといった面持ちながら若干羨望を感じるレイモンド。
 戸惑うクローヴィス。
 チラチラとこちらを見てくるマルク。
 そして、困りましたと言わんばかりのリュカ先生。


 私、悪くないよ?
 ちょっと楽しそうに私のお下げを弄るアンジュに、恐る恐る進言する。


「アンジュ。私は良いから、他の人にやってあげたら?」
「む? なんでだ?
 シルヴィにやってもらったからお返しだ」
「えーと、ほら、男の子のほうが重いから早く痺れると思うよ!」

 私はいたたまれず、身体を起こす。
 アンジュが不満そうに口を尖らせる。

「シルヴィの顔を見てるのが面白いのになぁ」

 失礼な! こんな可愛いシルヴィたんの顔をつかまえて面白いだとお!

 私はプンスカしてさっさと立ち上がる。
 アンジュも渋々立ち上がったが、アンジュの背後まで接近していたヴィクトルがちょっと残念そうにしていた。

「……それでは、行きましょうか」

 リュカ先生がそう言い、目的地に向かって歩き始めるのだった。


 さて、教会に到着する。
 私達は礼拝堂に案内され、祈りを捧げるのだが、聖女であるアンジュと、この国の王子であるクローヴィスは、教会にある特別な祭壇にてそれを行うことになっていた。

 この教会で、随分昔の聖女が覚醒して祈りを捧げ、ここから魔王封印の足掛かりとなったと言われているのだ。
 それにあやかろうということだろうか。

 残された私達は、礼拝堂でふたりを待つことになった。

 なんとはなしに、アンジュの話をする。


「アンジュさんは、不思議な方ですね」
「非常に興味深い存在だな」
「すごい子だよなぁ」
「とても、眩しいですよね……」

 皆、要するにアンジュに夢中である。
 レイモンドが、さりげなくアンジュについて尋ねてくる。

「アンジュは部屋でもあんな感じなのか?」
「あんな感じ……?」
「シルヴィ嬢には甘えているように見えるから気になってな」
「ああ……そうかもしれませんね」

 私は答えつつも、ピコーン!と閃き、上手く話の流れを持っていくべく頭をフル回転させる。

「なんでも話せる相手がいなかったみたいで。頼ってくれてるのは嬉しいですね」
「そうなんですね。どんな話をするんですか?」

 マルクが聞いてくる。良い感じだ。
 私はにっこり微笑みながら答える。

「ご飯のこととか、学園のこととか。
 ……皆さんの話も良くしますよ」
「へえ、例えばどんな?」

 ヴィクトルが興味津々といった様子で身を乗り出す。
 私は少し勿体ぶって言う。

「あんまり、本人の居ないところで話すのは……」
「別に、悪口言ってる訳じゃないんだろ?」

 レイモンドが口を挟む。

「もちろんです。
 ……例えば、クローヴィス殿下とどこそこ行ってきたとか、そんな感じですよ?」
「クローヴィスと……」
「ええ、殿下のお話はよく聞きますね」

 マルクが目を伏せている。
 よしよし。このまま、クローヴィス殿下が相手なら無理だなと諦めてもらいたいところ。

 ちなみに本当は別段クローヴィスの話が多いと言うわけではない。

 基本、攻略対象の話はイベント関係とか、【シルヴィに聞く】の時にしか話題に上がらないのだ。

 そこへ、クローヴィスが一人で戻ってきた。

「アンジュさんはまだ……?」
「はい。清めに時間がかかっていたようです」
「そうですか」


「なあ、クローヴィス」


 ヴィクトルがクローヴィスに声をかける。


「おまえ、アンジュのこと、どう思ってるんだ?」


 なんと直球!

 他の面々もはっとした顔でクローヴィスの回答を待っている。
 クローヴィスも急に言われて目をぱちくりとさせたものの、ゆったりと座り脚を組み、優雅に頷いた。

「とても素敵な女の子だと思っているよ」
「それ、好きってことか?」

 ヴィクトル、オブラートに少しは包もうよ!

 でも、私にとっても願ったりの展開だ。
 これで、殿下がアンジュを好きと言えば、俺も好きと言うことはすなわち王子が恋のライバルになるということ。
 さすがにこの面々はクローヴィスに近い臣下だから、遠慮してアプローチを控えるようになるだろう。

 よし、これで逆ハーは崩壊だ!
 ナイスヴィクトル!

 私が内心にやけを抑えて見守っていると、殿下はにっと笑い、頷いた。

「そうだね」

 よっしゃ!
 内心ガッツポーズをする私を尻目に、クローヴィスは言葉を続ける。

「でも、君たちも彼女が好きなんだろう?」

 まさかの意思確認。

 このイベント、こんなんじゃなかったような気がするけど。
 まあゲームはアンジュ目線だから、もしかしたらこんなことも話していたのかもしれないな。

 殿下の言葉に、ヴィクトルは大きくうなずく。

「そうだな。俺はアンジュが好きだ」
「レイモンドもだろう?」

 殿下に言われ、大袈裟にため息をつきながらやれやれと頷くレイモンド。

「全く、わざわざ言わされるとは思ってなかったな。……その通りだよ」
「ぼ、ぼくは……。ぼくも、好き、です!」

 マルクが顔を真っ赤にしながら小さく訴えた。

「……リュカ先生も気に入っているのではないですか? アンジュのこと」

 最後に皆の視線が集まったリュカ先生が、微笑む。

「先生と生徒ですから、気持ちを伝えようとは思っていませんが……ね」

 暗に肯定しているその答えに、殿下が満足げに頷いた。


「ふむ。彼女が誰を選ぶにせよ、その選択にケチをつける気はない。
 僕たちはお互い、正々堂々彼女に振り向いてもらえるよう努力しようじゃないか」


 そう言って笑顔を見せる。
 え、ちょっと待って?

「おまえがそういうなら、遠慮なくアプローチさせてもらうよ」
「オレ、負けないぞ!」
「お互い、頑張りましょう!」
「彼女が選ぶなら、恨みっこなし、ですね」

 えっ、なんでそうなるの?
 頑張ろーぜ! じゃないだろ!?
 良いのかよ! 誰も引かないのか!

 なぜだか、意気投合?
 正々堂々勝負だ!と男の友情が生まれてしまった。

 嘘だろ……。

 そして、なんで?
  誰か一人くらいシルヴィたん推しがいても良いんじゃないの?
 シルヴィだって、結構美少女だぜ?
 アンジュと系統違うだけで、ファン人気も公式人気もそこそこ高いんだぜ? 
 今は、私がシルヴィだから説得力ないかもしれないけど、シルヴィたん、めっちゃんこ可愛いんだぜ?


 なのに……。解せぬ。


 まあ良いけどさぁ……。きっとゲーム仕様、強制力というやつなんだろうし。

 とにかく、逆ハー阻止作戦その2も、失敗と言う結果に至ったのであった……。

 え、てかめっちゃこの空気の中にいるの、気まずいんだけど……。


 私は、小さく縮こまり祈りを捧げる。
 早くアンジュ戻ってこーい!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは小説の世界だ。 乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私は所謂モブ。 この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。 そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?

悪役令嬢は二度も断罪されたくない!~あのー、私に平穏な暮らしをさせてくれませんか?~

イトカワジンカイ
恋愛
(あれって…もしや断罪イベントだった?) グランディアス王国の貴族令嬢で王子の婚約者だったアドリアーヌは、国外追放になり敵国に送られる馬車の中で不意に前世の記憶を思い出した。 「あー、小説とかでよく似たパターンがあったような」 そう、これは前世でプレイした乙女ゲームの世界。だが、元社畜だった社畜パワーを活かしアドリアーヌは逆にこの世界を満喫することを決意する。 (これで憧れのスローライフが楽しめる。ターシャ・デューダのような自給自足ののんびり生活をするぞ!) と公爵令嬢という貴族社会から離れた”平穏な暮らし”を夢見ながら敵国での生活をはじめるのだが、そこはアドリアーヌが断罪されたゲームの続編の世界だった。 続編の世界でも断罪されることを思い出したアドリアーヌだったが、悲しいかな攻略対象たちと必然のように関わることになってしまう。 さぁ…アドリアーヌは2度目の断罪イベントを受けることなく、平穏な暮らしを取り戻すことができるのか!? 「あのー、私に平穏な暮らしをさせてくれませんか?」 ※ファンタジーなので細かいご都合設定は多めに見てください(´・ω・`) ※小説家になろう、ノベルバにも掲載

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

転生悪役令嬢、物語の動きに逆らっていたら運命の番発見!?

下菊みこと
恋愛
世界でも獣人族と人族が手を取り合って暮らす国、アルヴィア王国。その筆頭公爵家に生まれたのが主人公、エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌだった。わがまま放題に育っていた彼女は、しかしある日突然原因不明の頭痛に見舞われ数日間寝込み、ようやく落ち着いた時には別人のように良い子になっていた。 エリアーヌは、前世の記憶を思い出したのである。その記憶が正しければ、この世界はエリアーヌのやり込んでいた乙女ゲームの世界。そして、エリアーヌは人族の平民出身である聖女…つまりヒロインを虐めて、規律の厳しい問題児だらけの修道院に送られる悪役令嬢だった! なんとか方向を変えようと、あれやこれやと動いている間に獣人族である彼女は、運命の番を発見!?そして、孤児だった人族の番を連れて帰りなんやかんやとお世話することに。 果たしてエリアーヌは運命の番を幸せに出来るのか。 そしてエリアーヌ自身の明日はどっちだ!? 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。 その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。 そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。 なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。 私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。 しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。 それなのに、私の扱いだけはまったく違う。 どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。 当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。

処理中です...