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人間×人間 将軍×元敵軍人 ⑭
しおりを挟む大きな火が嫌いだ。
街が燃え人の悲鳴が響く憧憬は、思い出したくない。
生きた人が苦手だ。
自分以外の人間の考えることがあまりにも理解できない。
血溜まりの中、笑って男の首を絞める。
顔色のおかしい男は「狂ってる」と音を発さずに呟いた。
「ははっ、狂ってねぇ人間が、戦場に居るわけねぇだろ。お前も、さっさと堕ちろよ。そしたらきっと、楽しいぞ?」
男の目に映るのは血を浴び笑う人間。
…ああ、此奴も…。
ガクリと力の抜けた男から手を離すと鳩尾に蹴りを食らわせる。
咳き込む男に、俺は溜息をついた。
此奴も、壊れなかったか…残念だ。
人を殺す事に感情はいらない。
人を傷付ける事に躊躇いはいらない。
…特別な物なんて必要ない。
必要なのは、ソレを当たり前と認識出来る人格だ。
「つまんねぇなぁ、何奴も此奴も」
辺りで唸りながら転がっている男たちは皆、手足があらぬ方を向いている。
「あっは、もっと楽しく生きようぜ?」
笑う男が踵を返すと、カランと腰に着けていた狐の面が音を立てながら揺れた。
「っ、あ、あ……ぁあ…っ」
今日も今日とてガーディと肌を合わせ恋人の時間を楽しんでいた。
だが普段とは違いガーディは何を思ったのか俺を壁に押付け膝裏を持ってセックスをしだした。
待て待て待て待て、俺浮いてる。
「おち、るって…足、はなし…っ、あ」
必死にガーディの首へ腕を回し落ちないよう縋るが、激しい律動の前では不安定でしかない。
「っ、あ、ぁあ?!ふ、ふか…っ、ふかい、って…あ、ぁ…奥、あた、て…っ~~!」
何度も奥を叩かれ、届いてはいけない場所に届きそうになり腰を捻る。
「ソラ、ソラ」
俺の名前を呼ぶガーディは、一向に速度を落とさず同じ場所ばかり責め続け額に汗を浮かべている。
「ガ、ディ…っお、く…だめだ、だめ…っ、あ」
腕に力を入れ体を持ち上げようとするが、不安定な姿勢では誤差でしかなく結局腰を捻って逃げるしか無かった。
全力疾走をしているかの如く息が上がり汗が落ちていく。
どうしたら…どうしたら、この快楽から逃げられる?
「考え事か?」
思案中に声を掛けられ、肩が跳ねると同時に口を塞がれた。
「んん、んっ…んん゙……ん~~っ」
もう頭の中では気持ちいいしか考えられず、ガーディの頭を抱き込んで口付けに集中すると下肢では肌がぶつかる激しい音が再開された。
「んぶ、っは、はーっ…あっ、あぁ…」
口の端から垂れる粘液を舐められ、俺は身震いした。
「どこを見ている」
「ガーディ、も、もぅ…もうい、く」
長く太い物で腹の中を満たされ、遠慮なく快楽を生み出す行為に足先が丸まる。
「ああ、イクのか。いいぞ、好きなだけイくといい」
イっていなくとも変に力の入る体勢の所為で、出さずに軽くイっていた体は大きな波を感じ更に力が入った。
「がーでぃ、いく、って…あ、は…ぁっ、い、くぅ」
ガーディの背中に爪を立て、歯を食いしばるとピタリとガーディの体が止まった。
「あ、え?なん…え、何…っ、~~っ」
ズルリと抜けそうな程引いた腰が勢い良く中に戻ってきて息が詰まる。
「~~~~っ、~~!」
喉から声にならない音が鳴り、俺は目の前で星が散るのが見えた。
…嵌った。
そう表現するのが正しいだろう。
腹の奥、開けてはいけない場所に、ガッポリ嵌っている。
「ひ、ぃっ…う、動いちゃ、だめだ!だめ!あっ、~~~っ!」
ガーディの首に噛み付き、目を強く瞑る。
これ…これ、大丈夫か?
ちょっと動かれるだけでイきそうなんだけど。
大丈夫、なわけない。
少し腰を動かされ、白濁液が押し出されるように溢れた。
「ソラ、イっているのか?」
「い、って…ぅ…は、ぁ……ぁー…」
上り詰めたまま降りて来れないような快楽がずっと体を走っている。
正直呼吸の上下運動だけでイける。
「すまない、少し…っ」
「あぁ?!あっ、あ゙あぁ、ひぃ、ひっ…だめ、だめ…ひっ、あぁ」
嵌った場所を何度も擦られ体が陸に上げられた魚のように跳ねるのを止められない。
「が、がーでぃ…だめだ、そこっ…あぁっ、あ゙ー…」
腹の中でグポグポと鳴っちゃいけない音が鳴ってる。
「イって…イ、てる!とめ、あっ、とま、て…っ、あ、あ゙…イっ、~~っ、あぁあ゙」
気付けば俺はガーディの上で寝ていた。
…気絶する程抱くって…お前、正気か?
俺に下敷きにされながら心地良さそうに寝ているガーディの鼻を抓ろうと腕を動かそうとして止めた…ってか無理だった。
……腕動かねぇってレベルじゃない。
体動かそうとすると、腰に痛みが走るから動かしたくない。
治療魔法をまさかこんな事の為に使う事になるなんて…治療魔法を覚えた当初には絶対想像もつかなかった。
昔の俺、よく治療魔法を覚えてレベル上げといてくれたな、めっちゃ感謝する。
あと腰鍛えといてくれたら文句無かった…いや、どうやって鍛えるんだよ腰って。
「がーでぃ、みず、くれ」
喉枯れすぎてて声ガッスガスじゃねぇか…喉も治療かよ、めんどくせぇ。
「む、起きたか…少し待て」
俺の声で目覚めたガーディはベッド横に置いてある水差しに手を伸ばした。
…ガーディ。
お前暫く禁欲だからな、覚えとけよ。
いや、俺以外となら好きにシテいいけど、俺とは暫くさせねぇから。
労れ、俺を。
そんで腰摩れ。
治療魔法使っても疲れは取れねぇんだからな。
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